そんなことがあってから1週間ほど経ったある日のこと、レイが散歩をしていると、もくもくと煙りが沸き上がっている一件の倉庫を見つけました。
火事です。
レイは、びっくりして近付いていきました。
すると、中から弱々しく助けを求めるネコの声が聞こえました。
「苦しい、助けて…」
ミーの声です。ミーは、この倉庫に住み着いていたのでした。
「ミー、早く出てきなさいよ。こっち、私の声のする方に来て」
レイは、一所懸命に声をかけるのですが、ミーは炎と煙に巻かれ動揺しています。そのうえ、少しずつミーに近付いていく炎の大きな音が、レイの声を遮り、うまくミーに届きません。
こうしている間にも、炎はどんどん広がっていきます。レイは、必死に呼び掛けましたが、返事が帰ってきません。
「助けなくては…」
レイは、そう思いつつも、炎の中に入ることを躊躇っていました。それは、炎が恐いからだけではありませんでした。
「ミーには、この間、随分、ひどいことを言われたし…。それに、こんな火の中に入ったら、私の自慢の毛が台なしになってしまうわ」
レイは、そう思っていました。しかし、周りを見回しても、だれもいません。一所懸命に、呼び掛けてみましたが、だれも現れそうありません。このままでは、ミーは、焼け死んでしまいます。炎はどんどん勢いを増して燃え広がっていますが、レイはうろうろするばかりです。
「どうしよう…」
レイが、そう囁いた次の瞬間に、炎の音をかいくぐるようにミーの声がしました。
「助けて…」
それはミーが最後の力を振り絞った声でした。その声を聞いた瞬間、レイは炎の中に飛び込んでいきました。
(つづく)
火事です。
レイは、びっくりして近付いていきました。
すると、中から弱々しく助けを求めるネコの声が聞こえました。
「苦しい、助けて…」
ミーの声です。ミーは、この倉庫に住み着いていたのでした。
「ミー、早く出てきなさいよ。こっち、私の声のする方に来て」
レイは、一所懸命に声をかけるのですが、ミーは炎と煙に巻かれ動揺しています。そのうえ、少しずつミーに近付いていく炎の大きな音が、レイの声を遮り、うまくミーに届きません。
こうしている間にも、炎はどんどん広がっていきます。レイは、必死に呼び掛けましたが、返事が帰ってきません。
「助けなくては…」
レイは、そう思いつつも、炎の中に入ることを躊躇っていました。それは、炎が恐いからだけではありませんでした。
「ミーには、この間、随分、ひどいことを言われたし…。それに、こんな火の中に入ったら、私の自慢の毛が台なしになってしまうわ」
レイは、そう思っていました。しかし、周りを見回しても、だれもいません。一所懸命に、呼び掛けてみましたが、だれも現れそうありません。このままでは、ミーは、焼け死んでしまいます。炎はどんどん勢いを増して燃え広がっていますが、レイはうろうろするばかりです。
「どうしよう…」
レイが、そう囁いた次の瞬間に、炎の音をかいくぐるようにミーの声がしました。
「助けて…」
それはミーが最後の力を振り絞った声でした。その声を聞いた瞬間、レイは炎の中に飛び込んでいきました。
(つづく)