都議会決算特別委員会で、質問したテーマの一つに「避難所」があります。
避難所について、台風19号の避難の際に定員超過になった場所が少なくありませんでした。
また、台風(風水害)のように事前に対応できる災害と地震など被害が発生してから対応する災害と避難所の運営については大きく変わってきます。
こうしたことを踏まえ、「昨年度の防災事業の緊急総点検の中で、避難所はどのように改善したのですか。また、常に避難所の『質の向上』を行なっていくことが重要だと思いますがいかがですか」と質問しました。
これに対して、
- 平成30年7月豪雨では、暑い時期の避難生活への対応が課題。また避難所運営にあたっては、女性や要配慮者の視点の重要性を再確認。
- こうしたことから、避難所の快適性を図るため、避難所で使用するスポットクーラーなどを購入する区市町村を支援するとともに、「避難所ですぐに使える食中毒予防ブック」をより使いやすいものに改訂。
- 女性や要配慮者の視点を踏まえて作成した「東京くらし防災」を用いた普及啓発を進めるとともに、被災地への女性職員の派遣割合を一定以上確保。
という答弁がありました。スポットクーラーは昨年の文書質問で明らかになった重要な成果です。
日本共産党国会議員団も避難所の「質の向上」について申し入れなどを行ってきましたが、その指針となるのが「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」と「避難所運営ガイドライン」です。
内閣府の「避難所運営ガイドライン」には、避難所の「『質の向上』に前向きに取り組むことは、被災者の健康を守り、その後の生活再建への活力を支える基礎となる」と述べており、その「『質の向上』とは、『人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができているか』という『質』を問うものであり、個人の収入や財産を基に算出される『生活水準』とは全く異なる考え方であるため、『贅沢』という批判は当たりません」としています。
私は、とても重要な視点だと思います。
さらに、「質の向上」について考えていく上で、内閣府も国際基準として参考にしているのが、NGOや国際赤十字などが作成にあたった「人道憲章と人道対応に関する最低基準」──いわゆるスフィア基準、スフィアプロジェクトです。
共通の原則として、
- 尊厳ある生活への権利
- 人道支援を受ける権利
- 保護と安全への権利
という国際法で確立された原則を明確にしています。
最新版は2018年に改定された第4版で、改訂プロセスには、各支援分野の個人やNGO、政府および国連機関など多くの幅広い関係者が協議に関わり、科学的根拠と世界中の支援者による20年間の現場検証の結果から導かれたものです。その中では、例えば子どもが基本的サービスにアクセスできるように特別の対策をとること、性的マイノリティの人々に対して準備と計画の際に、特化した安全かつ包摂的な保護対応を含めることなどを求めています。
こうした中で、「内閣府の『避難所運営ガイドライン』にはスフィア基準について、『今後の我が国の「避難所の質の向上」を考えるとき、参考にすべき国際基準となります』と明記されています。都としても、避難所のさらなる『質の向上』を行う上で、スフィア基準を参考にすべきだと考えますが、知事いかがですか」と質問しました。
これに対して、
- お話の国際基準は、紛争や災害の際の避難所の環境に関する最低基準として、国際赤十字等がまとめたもの。
- 都は、近年の大規模災害における避難所の運営状況等を踏まえ、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子どもへの配慮やトイレの確保等について記載した避難所管理運営の指針を、区市町村向けに作成。
- 今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて、避難所を運営できるよう、様々な知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働き掛けていく。
「様々な知見も踏まえ」と答弁があり、スフィア基準については否定はしませんでした。
「人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送ることができているか」という視点を持って、避難所の改善に取り組んでいただくことを求めていきます。
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