避難所について文書質問趣意書を出しました。
特に重視したのは、「スフィア基準」との関わりで、東京都の施策がどうなっているかです。
2018年第3回都議会定例会
文書質問趣意書
質問者 池川友一
五 避難所について
1 国際赤十字やNGO団体などが「人道憲章と人道対応に関する最低基準」、通称「スフィア基準」をまとめ、国際社会における人道対応の事実上の基準となっています。
スフィア基準の考え方の根底には、被災者、避難者の命と健康を守るとともに、その尊厳を守ることの重要性があります。
被災者、避難者の命と健康と同時に尊厳を守ることの重要性について、都の認識を伺います。
スフィア基準では、具体的には、生命維持に必要な水の供給量、20人に1つのトイレ設置や女性用のトイレは男性用の3倍必要などの基準、避難所での一人当たりの必要最小面積3.5平方メートルなどが定められ、政府も避難所の運営ガイドラインに参考すべき基準として紹介しています。
熊本地震では、災害関連死が200人を超え、地震での直接の被害者50人を大きく超える事態となりました。災害関連死の約半数は車中泊や避難所での生活を経られた方で、避難先での環境が要因として挙げられています。
西日本豪雨災害でも、避難所の冷房設置や段ボールベッド、間仕切りの活用など、被災者の命と健康、尊厳を守る避難所の環境整備の重要性が示されました。
2 避難所で、床等にじかに寝るより、段ボールベッドを活用することにより、埃等の吸引による呼吸器疾患の防止、足腰の弱い高齢者も容易に立ち上がれ、トイレなどにも一人で行きやすくなり、エコノミークラス症候群の防止にもなります。また、収納スペースの確保にも役立ちます。
避難所において、段ボールベッドの役割、重要性について都の認識を伺います。
3 避難所において、間仕切り等を活用し、プライベートスペースを生み出すことによって、ストレスの軽減や、プライバシーの確保などの効果があります。
避難所においてのプライベート空間の創設の重要性について都の認識を伺います。
4 わが党の代表質問に対し都は「都は、近年の大規模災害における避難所の運営状況等を踏まえ、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子供への配慮やトイレの確保等について記載いたしました避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しております。今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかけてまいります。」と答弁しました。
区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかける際、スフィア基準実現の立場で支援や援助を行うことが重要と考えますが、見解を伺います。
5 区市町村が避難所の快適性向上、被災者、避難者の命と健康、尊厳を守る立場で避難所の改善を行う際に、必要な財政的支援も検討すべきですがいかがですか。
2018年第3回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
五 避難所について
1 スフィア基準の考え方の根底には、被災者、避難者の命と健康を守るとともに、その尊厳を守ることの重要性がある。被災者、避難者の命と健康と同時に尊厳を守ることの重要性について、都の認識を伺う。
回答
避難所において、避難者一人一人の尊厳、健康を守り、安全・安心を確保することは重要であると認識しており、都は、良好な生活環境が確保されるよう、避難所管理運営の指針を区市町村向けに作成しています。
質問事項
五の2 避難所において、段ボールベッドの役割、重要性について都の認識を伺う。
回答
避難所における良好な生活環境を整備するとともに、避難者の健康を維持するため、寝床について、エアマットや段ボールベッド等を導入することは重要であると認識しており、平成30年3月に改定した避難所管理運営の指針で、区市町村が検討する事項として、段ボールベッド等の設置について記載しています。
質問事項
五の3 避難所において、間仕切り等を活用し、プライベートスペースを生み出すことによって、ストレスの軽減や、プライバシーの確保などの効果がある。避難所においてのプライベート空間の創設の重要性について都の認識を伺う。
回答
避難所における良好な生活環境を整備するため、間仕切り用パーティションを活用するなど、プライベート空間を可能な限り確保することは重要であると認識しており、平成30年3月に改定した避難所管理運営の指針で、間仕切りの設置について記載しています。
質問事項
五の4 区市町村が地域の特性や実情に応じて避難所を運営できるよう、さまざまな知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働きかける際、スフィア基準実現の立場で支援や援助を行うことが重要と考えるが、見解を伺う。
回答
御質問の国際基準は、紛争や災害の際の避難所の環境に関する最低基準として、国際赤十字等がまとめたものです。
都は、近年の大規模災害における避難所の運営状況等を踏まえ、良好な生活環境が確保されるよう、東京都地域防災計画に基づき、災害想定を考慮した避難所の指定、女性や子供への配慮やトイレの確保等について記載した避難所管理運営の指針を、区市町村向けに作成しています。
今後とも、区市町村が地域の特性や実情に応じて、避難所を運営できるよう、様々な知見も踏まえ、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を行うよう働き掛けていきます。
質問事項
五の5 区市町村が避難所の快適性向上、被災者、避難者の命と健康、尊厳を守る立場で避難所の改善を行う際に、必要な財政的支援も検討すべきであるが見解を伺う。
回答
都は、平成30年7月豪雨等の災害を踏まえ、防災事業の緊急総点検を行いました。
この点検を踏まえ、冷房設備が未整備の指定避難所にスポットクーラーや大型扇風機を導入する区市町村に対して、平成30年10月から包括補助で支援を行っています。
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