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日本ほどタロットや解説書が発売されている国も他にないのでは
と思います。
こちらアメリカでも大型書店などに行けば数種類か有名な
カードが置かれていますが、それでも日本に比べれば
ずっと少なく、またキリスト教から離脱する動きが加速し、
テレビ番組中でどこかの占い師がタロットを使用している
様な場合があっても、まだまだ「異端的な業」という認識が
根強く残っている様です。
日本では、現在はわかりませんが、少なくとも90年代までは、
しばしばタロットカードは少女雑誌や本などに付録としてくるほど
で、また店頭では専用の一角が設けられていたような事も
少なくなかったです。
タロットカードはそれぞれ一枚ずつ、決まった名前や象徴が
あって、各カードにはそれが描かれますが、日本の新しいものや
児童用のものでは、そうしたものを多少踏襲しながらも、
斬新なデザインや発想をカードの図柄に取り入れているような事も
あります。
画像のものは「猫のタロットカード」で、一つの本の付録でしたが、
人間を全て猫に置き換えてしまった、比較的珍しいものではないかと
思います。
画像の向かって左側のカードが「(0)愚者」で、右側が「(1)魔術師」
です。
この「愚者」と「魔術師」について一つの本には以下のような解説が
あります。
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その絵には袋を棒の先に通して担ぐ道化師の旅人の姿が
描かれている。
彼には昨日も今日もなく、そして明日もない。
ただひたすら永遠とも思われる荒野を旅してゆくのである。
人はその姿を眺めて、男を「愚者」あるいは「痴人」と呼んだ。
村里に近づけば犬が吠えついて、彼のズボンを噛み破るだろう。
しかし男はそんな事は意にも介さず、淡々として村を過ぎてゆく。
たまたま、人々は男の担いでいる袋の中身に興味を持つ事がある。
ある者は下らぬガラクタが入っていると言い、ある者は何処かで
見つけた金貨が詰まっていると言う。
またある者は、鉛を金に変える薬が入っているのさ、とも言う。
しかしその答えはいずれも的を射ていない。
例え人がその中をのぞいても、多分永久に何も発見出来ないだろう。
なぜなら男が担いでいる袋の中は空だからである。
ただ、むなしいその袋の中には、目には見えぬ、旅人のたった一つの
宝が入っている、
それには「失われた真実」という、この世における「0」の象徴である。
愚者と呼ばれる男の旅は続く。
あるカードでは、愚者は断崖に向かって晴れやかに歩を進めて
いる。
さよう、人々の輪を抜けて久遠の旅に出た男の運命は決して明るい
ものではあるまい。
この世の中で、知ってか知らずか「失われた真実を担ぐ旅人」の
一寸先は闇である。
人々から見れば男はその旅する「行為」によって愚かしく、宇宙
から見れば、未だ「求め得ぬ」事によって愚かしい存在なのだ。
愚者の旅、すなわち魔術師の旅はこうして続いてゆくのである。
タロットカードの「1」という札は、「魔術師」と呼ばれている。
しかしこの札の「魔術師」はこの世の中を手玉に取る男であり、
真の「魔術師」のあり方には遠い。
タロットカードの魔術師は、広範な知識と熟練した手管とによって、
世の中のあらゆる階層の人々を巧みに操ろうとする人物である。
魔術師すなわち、世間の目をたぶらかす手品師こそ、あなたの
一番身近に居て、一番もっともらしい話をする人物である。
もしあなたが魔術師というものに対して、今までのような世間
一般の先入観を持っているとしたら、是非この際、二つの
まなこをしっかり開いて、真偽のほどを見つめて欲しいと思う。
少なくともタロットカードに例をとるなら、愚者は愚者にあらず、
魔術師は魔術師にあらず……である。
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