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画像は「マイバースデイ」系の雑誌の90年代初頭の付録で、
「魔よけ」という事ですが、トルコ国旗とほぼ同じデザインで、
この付録のデザインの由来についてはよくわかりません。
有名な「オズの魔法使い」の童話に関して90年代に書かれた
コラムがわたくしの手元にありますが、少々興味深い見方が
書かれており、今回転載させて頂きます。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【現代童話のパイオニア】
20世紀に入ったばかりの年にアメリカで発表された「オズの
魔法使い」は、実に風変わりな作品です。
これは一見メルヘンチックですが、よく読むと、ただのメルヘン
とは思えません。
よく言われるのは、ヨーロッパの童話のような、お姫様や
妖精の類のものは出てこないという事です。
が、それ以上に登場人物がずいぶんと変わっている事は
見逃せません。
少女ドロシーはカンザス州の大草原の貧しい農家の夫婦に
育てられている孤児です。
ここでは風景も人も全て灰色であり、殺伐で陰気な生活に埋もれて
います。
ドロシーもやがて目に輝きのない、くすんだ灰色のおばさんになって
いくのかもしれません。
この絶望的モノクロの世界で、ただ一つイキイキとしているのは、
真っ黒な子犬のトートでした。
この子犬だけがドロシーを笑わせてくれます。
そしてこのいたずら子犬の偶然にもたらす導きにより、ドロシーは
あの不思議なオズの国に迷い込む事になります。
オズの国は、灰色のカンザス何かと違って、総天然色のそれは
とても美しい所でした。
ドロシーは土地の人々から、悪い魔女を殺した小さな魔女として
感謝されました。
彼女は身寄りが無いのですから、普通の童話なら、ここで幸せに
暮らすのでしょう。
でもドロシーはカンザスに帰りたいという固定観念にとらわれて
しまっているのです。
そこで悪い魔女の履いていた銀の靴を履き、オズの国の真ん中に
住む大王、オズの魔法使いに会う為の苦しい旅が始まるのです。
御存知のように、ワラの案山子とブリキの木こりとライオンが
ドロシーのお供をするのですが、これは実に情けない人達ばかり。
本来の童話なら、ドロシーを守る三勇士のはずです。
ところが案山子は頭が空っぽ、木こりは心がサビつき、ライオンは
臆病なのです。
彼らはオズの魔法にすがって脳みそや勇気を授かりたいと云うの
ですから、全く呆れてしまいます。
要するにこの物語は、これまでの伝統的な童話のパロディとして
始まる――この事をまず押さえておくと面白くなります。
かつまた、最後にとんでもないどんでん返しがあり、単なるパロディを
超えて、現代の新しい童話のパイオニアとして、輝かしい金字塔を
打ち立てているのです。
【灰色の現実から抜け出す】
魔法の国のオズを支配するという、オズの魔法使いとは、何者なの
でしょうか?
ドロシー達は最後に、オズの魔法使いの正体を突き止めました。
それは、頭は禿げ、顔はシワだらけの、みすぼらしいただの小さな
お爺さんでした。
オズの魔法使いは、手品と腹話術でペテンをはたらく大嘘つきでした。
これが現実だったというわけです。
でも何という事でしょう。
それでもドロシー達はオズの魔法使いに救いを求めたがります。
「到底出来るわけもないと分かり切った事を、みんなよってたかって、
このワシにさせようとするんだから、こちらも大嘘つきになる他ない
じゃないか。」
このようにオズの魔法使いはぼやくばかりでした。
魔法のような美味い話しなんてあり得ないのですが、魔法を求める
性根がある限り、魔法は存在し続けるのだという、恐ろしい心理学
です。
兎に角、案山子と木こりとライオンは、オズの魔法使いから
インチキの脳みそと心と勇気をもらい自己満足します。
魔法使いは、「使い方は教えられないよ、自分でやるしかないんだ。」
と言うのですが。
ドロシーも気球でカンザスに帰れる事になるはずでしたが、子犬の
イタズラで気球はドロシーを置いて飛び去ります。
そして最後に残った南の魔女にまたしても、救いを求める事に
なります。
けれど、南の魔女は意外な事を言いました。
なんとドロシーは、始めから銀の靴によって簡単に帰れたという
のです。
救いは自分の足元にあったというわけです。
人は兎に角、特別の何か(或いはカリスマ的人物、東京の夢の
ような大都会)に救いを求めたがります。
しかしその何かに到達したら、ただの空っぽだった、という事ばかりです。
結局は自分の足元に気がつく他ないのです。
気がつきさえすれば、やがて希望に変わります。
灰色の現実から抜け出すには、早くそうした空っぽさを見抜き、
自分の足元から出発する他ない事に転換出来るかどうかに
かかっています。
こうしてドロシーは、もう灰色になる事のない脳みそと心と勇気を
持って、明るい故郷に帰ったのでした。
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画像は「マイバースデイ」系の雑誌の90年代初頭の付録で、
「魔よけ」という事ですが、トルコ国旗とほぼ同じデザインで、
この付録のデザインの由来についてはよくわかりません。
有名な「オズの魔法使い」の童話に関して90年代に書かれた
コラムがわたくしの手元にありますが、少々興味深い見方が
書かれており、今回転載させて頂きます。
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【現代童話のパイオニア】
20世紀に入ったばかりの年にアメリカで発表された「オズの
魔法使い」は、実に風変わりな作品です。
これは一見メルヘンチックですが、よく読むと、ただのメルヘン
とは思えません。
よく言われるのは、ヨーロッパの童話のような、お姫様や
妖精の類のものは出てこないという事です。
が、それ以上に登場人物がずいぶんと変わっている事は
見逃せません。
少女ドロシーはカンザス州の大草原の貧しい農家の夫婦に
育てられている孤児です。
ここでは風景も人も全て灰色であり、殺伐で陰気な生活に埋もれて
います。
ドロシーもやがて目に輝きのない、くすんだ灰色のおばさんになって
いくのかもしれません。
この絶望的モノクロの世界で、ただ一つイキイキとしているのは、
真っ黒な子犬のトートでした。
この子犬だけがドロシーを笑わせてくれます。
そしてこのいたずら子犬の偶然にもたらす導きにより、ドロシーは
あの不思議なオズの国に迷い込む事になります。
オズの国は、灰色のカンザス何かと違って、総天然色のそれは
とても美しい所でした。
ドロシーは土地の人々から、悪い魔女を殺した小さな魔女として
感謝されました。
彼女は身寄りが無いのですから、普通の童話なら、ここで幸せに
暮らすのでしょう。
でもドロシーはカンザスに帰りたいという固定観念にとらわれて
しまっているのです。
そこで悪い魔女の履いていた銀の靴を履き、オズの国の真ん中に
住む大王、オズの魔法使いに会う為の苦しい旅が始まるのです。
御存知のように、ワラの案山子とブリキの木こりとライオンが
ドロシーのお供をするのですが、これは実に情けない人達ばかり。
本来の童話なら、ドロシーを守る三勇士のはずです。
ところが案山子は頭が空っぽ、木こりは心がサビつき、ライオンは
臆病なのです。
彼らはオズの魔法にすがって脳みそや勇気を授かりたいと云うの
ですから、全く呆れてしまいます。
要するにこの物語は、これまでの伝統的な童話のパロディとして
始まる――この事をまず押さえておくと面白くなります。
かつまた、最後にとんでもないどんでん返しがあり、単なるパロディを
超えて、現代の新しい童話のパイオニアとして、輝かしい金字塔を
打ち立てているのです。
【灰色の現実から抜け出す】
魔法の国のオズを支配するという、オズの魔法使いとは、何者なの
でしょうか?
ドロシー達は最後に、オズの魔法使いの正体を突き止めました。
それは、頭は禿げ、顔はシワだらけの、みすぼらしいただの小さな
お爺さんでした。
オズの魔法使いは、手品と腹話術でペテンをはたらく大嘘つきでした。
これが現実だったというわけです。
でも何という事でしょう。
それでもドロシー達はオズの魔法使いに救いを求めたがります。
「到底出来るわけもないと分かり切った事を、みんなよってたかって、
このワシにさせようとするんだから、こちらも大嘘つきになる他ない
じゃないか。」
このようにオズの魔法使いはぼやくばかりでした。
魔法のような美味い話しなんてあり得ないのですが、魔法を求める
性根がある限り、魔法は存在し続けるのだという、恐ろしい心理学
です。
兎に角、案山子と木こりとライオンは、オズの魔法使いから
インチキの脳みそと心と勇気をもらい自己満足します。
魔法使いは、「使い方は教えられないよ、自分でやるしかないんだ。」
と言うのですが。
ドロシーも気球でカンザスに帰れる事になるはずでしたが、子犬の
イタズラで気球はドロシーを置いて飛び去ります。
そして最後に残った南の魔女にまたしても、救いを求める事に
なります。
けれど、南の魔女は意外な事を言いました。
なんとドロシーは、始めから銀の靴によって簡単に帰れたという
のです。
救いは自分の足元にあったというわけです。
人は兎に角、特別の何か(或いはカリスマ的人物、東京の夢の
ような大都会)に救いを求めたがります。
しかしその何かに到達したら、ただの空っぽだった、という事ばかりです。
結局は自分の足元に気がつく他ないのです。
気がつきさえすれば、やがて希望に変わります。
灰色の現実から抜け出すには、早くそうした空っぽさを見抜き、
自分の足元から出発する他ない事に転換出来るかどうかに
かかっています。
こうしてドロシーは、もう灰色になる事のない脳みそと心と勇気を
持って、明るい故郷に帰ったのでした。
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