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ルネ・ヴァンダール氏の本からです。
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私は数多くのユニークな友人知人に恵まれていますが、Oさんも
その一人です。
Oさんときたら、独身生活の一方の極地のような状態でした。
読み終えた漫画の山。
狭い部屋を横切ってぶら下がる洗濯物。
壁いっぱいの探偵小説と、埃だらけの不思議な蒐集品。
歯磨きのコップをゆすいで飲ませてくれる美味しいコーヒー。
外で会うと渋い英国紳士のようなお洒落をした人なのですが、
彼の住処はまるで中世の錬金術師の仕事場のようでした。
そのOさんが一頃、彼の言葉によれば断末魔の練習に凝って
いました。
漫画の山の間に倒れて、手足をバタバタさせ、ウワワなどと
言うのです。
随分長い間の練習の成果があって、とても上手くなったと
落ち着いて話すのです。
自信に満ちて、計画通りに自分の人生を生きている人なのです。
30歳を過ぎてから、前に途中で退学した大学をやり直して
卒御するぞ、と宣言しました。
一流の一匹狼ですから、卒業証書には世間一般の執着は
ないのです。
自分の遺産で学校にいくのもいいもんだよ、とか、学生が
僕に教授と間違えて挨拶するよとか言いながら、二度目の学校
生活を心からエンジョイしていました。
そのまま独身主義を通すのかと思っていましたら、そのうちに
穏やかな奥さんをもらって、東京の郊外に家を建て、独身時代とは
別人のように、きちんと片付いた家で、日曜大工を楽しんで
家具を作ったり、上手い手つきで赤ちゃんを風呂に入れたりして
います。
コーヒーもこの頃は、ウェッジウッドのセットで飲ませてくれます。
もちろん彼の業界での堂々たる一匹狼ぶりは、ますます見事です。
断末魔の練習をしてみたら、独力で自分の道を築いていく自信が
つくのでしょう。
死ぬ事を飼いならしてしまうようなものですから。
そして充実した生命感を日々新たにする事が出来るのですから。
是非キミもやってみて下さい。
自分の部屋で、今自分が死んでしまう、と想像して御覧なさい。
自分の今日までの人生を振り返ってみて下さい。
しようと思っていて出来なかった事が、どれほど多い事か感じられる
でしょう。
そんな風にして自分が残りの時間、つまり本当に死ぬ日までの
間に何を為すべきか、考えてみるのです。
当然限りある時間に、何が大事で、何が大事ではないかをよく考えて、
優先順位をつけていかねばならないはずです。
自分が人生に望むのは何か。断末魔の練習をしながら考えて
御覧なさい。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
同氏の体系の中ではまた別に「仮死の秘法」という、死んだ真似をして
出来る限り「死」と対面する方法が教えられており、昔は
十代の少女達を読者対象とした本の中でもそれが紹介されて
いましたが、とにかく「自己の死を思い実感する」という事が重視
されているようです。
21世紀の現在、特に「死」を連想させるものを必死に避けようとする
傾向が日本やアメリカの中でも見受けられますが、反対に自分が
生きているという実感も社会の中でまた希薄になりつつあるようにも
感じます。
ルネ・ヴァンダール氏の本からです。
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私は数多くのユニークな友人知人に恵まれていますが、Oさんも
その一人です。
Oさんときたら、独身生活の一方の極地のような状態でした。
読み終えた漫画の山。
狭い部屋を横切ってぶら下がる洗濯物。
壁いっぱいの探偵小説と、埃だらけの不思議な蒐集品。
歯磨きのコップをゆすいで飲ませてくれる美味しいコーヒー。
外で会うと渋い英国紳士のようなお洒落をした人なのですが、
彼の住処はまるで中世の錬金術師の仕事場のようでした。
そのOさんが一頃、彼の言葉によれば断末魔の練習に凝って
いました。
漫画の山の間に倒れて、手足をバタバタさせ、ウワワなどと
言うのです。
随分長い間の練習の成果があって、とても上手くなったと
落ち着いて話すのです。
自信に満ちて、計画通りに自分の人生を生きている人なのです。
30歳を過ぎてから、前に途中で退学した大学をやり直して
卒御するぞ、と宣言しました。
一流の一匹狼ですから、卒業証書には世間一般の執着は
ないのです。
自分の遺産で学校にいくのもいいもんだよ、とか、学生が
僕に教授と間違えて挨拶するよとか言いながら、二度目の学校
生活を心からエンジョイしていました。
そのまま独身主義を通すのかと思っていましたら、そのうちに
穏やかな奥さんをもらって、東京の郊外に家を建て、独身時代とは
別人のように、きちんと片付いた家で、日曜大工を楽しんで
家具を作ったり、上手い手つきで赤ちゃんを風呂に入れたりして
います。
コーヒーもこの頃は、ウェッジウッドのセットで飲ませてくれます。
もちろん彼の業界での堂々たる一匹狼ぶりは、ますます見事です。
断末魔の練習をしてみたら、独力で自分の道を築いていく自信が
つくのでしょう。
死ぬ事を飼いならしてしまうようなものですから。
そして充実した生命感を日々新たにする事が出来るのですから。
是非キミもやってみて下さい。
自分の部屋で、今自分が死んでしまう、と想像して御覧なさい。
自分の今日までの人生を振り返ってみて下さい。
しようと思っていて出来なかった事が、どれほど多い事か感じられる
でしょう。
そんな風にして自分が残りの時間、つまり本当に死ぬ日までの
間に何を為すべきか、考えてみるのです。
当然限りある時間に、何が大事で、何が大事ではないかをよく考えて、
優先順位をつけていかねばならないはずです。
自分が人生に望むのは何か。断末魔の練習をしながら考えて
御覧なさい。
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同氏の体系の中ではまた別に「仮死の秘法」という、死んだ真似をして
出来る限り「死」と対面する方法が教えられており、昔は
十代の少女達を読者対象とした本の中でもそれが紹介されて
いましたが、とにかく「自己の死を思い実感する」という事が重視
されているようです。
21世紀の現在、特に「死」を連想させるものを必死に避けようとする
傾向が日本やアメリカの中でも見受けられますが、反対に自分が
生きているという実感も社会の中でまた希薄になりつつあるようにも
感じます。