Ａ 消費者契約法で無効となる不当な条項とは何ですか

Ａ　◎不当条項とは
　事業者は、不特定多数の消費者を相手に迅速・画一的に処理しなければならないため、一定の文言が記載された契約書類を用意し、これを前提に消費者と契約を結ぶことがほとんどです。
　ところが、事業者が一方的に作成した契約条項は、えてして事業者に有利な内容となりがちです。他方、消費者がその事業者との契約締結を望んだ場合、自分に不利益な契約条項を拒絶することは事実上困難でしょう。
　そこで、消費者契約法は、一定の範囲で消費者に不利益な条項の効力を否定することにしました（８条～１０条）。これが「不当条項」です。

　◎事業者の損害賠償責任を免除する条項（８条）
　事業者が契約を履行する際に、事業者側に過失があったり、提供する目的物に欠陥があるなどの理由で、事業者が消費者に生じた損害を賠償しなければならないことがあります。そのため、事業者はあらかじめ契約書に「事業者が追うことになる損害賠償責任を免除する」と定める例が見受けられます。しかし、消費者に損害が生じているのに、これをもっぱら消費者の負担とするのは、あまりに不当です。そこで、消費者契約法は、一定の範囲で、このような条項は無効だとしたのです。

　◎消費者が負担する損害賠償の予約や違約金を定める条項（９条）
　契約が解除されたり、消費者が期日までに契約を履行しなかったりすると、契約の履行を前提に準備していた事業者には一定の損害が生じます。そこで、事業者はあらかじめ契約書に「キャンセル料」「違約金」「遅延損害金」などの名目で消費者が負担すべき金額を定めておくことがあります。しかし、これらの条項は事業者が一方的に定めるため、実際に事業者に生じた損害をはるかに上回る金額が設定されるなど、事業者に不当に利する結果となりがちです。そこで、消費者契約法は、一定の範囲を超える損害賠償の予約や違約金の定めを無効としました。

　◎消費者の利益を一方的に害する条項（１０条）
　たとえば、「消費者からの解除を認めない」といった条項や、「消費者に本来認められている権利行使を一定の期間に限定する」といった条項が考えられます。こういった条項を無効としたのが１０条です。１０条は、包括的な規定で、どのような条項が「消費者の利益を一方的に害する条項」にあたるのかは、今後の課題となっています。


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