供託とは,供託者が供託物(金銭,有価証券振替国債等)を国家機関である供
託所に提出してその管理を委ね,供託所を通じて,被供託者に受領させることに
より,一定の法律上の目的を達成しようとする制度です。
供託は,法令に供託を義務付けまたは許容する規定がなければすることはでき
ません。これを定めた法令の条文(供託根拠法令)は,民法,民事訴訟法,民事
執行法等,非常に多くのものがあります。
供託は,供託物の種類により,金銭供託,有価証券供託,その他の物の供託及
び振替国債供託に大別されます。また,供託によって達成しようとする目的,す
なわち供託原因により大別すると,次のとおりです。
1 弁済供託(根拠規定民法第494条)
金銭その他の財産の給付を目的とする債務を負担している債務者が,その債
務を履行しようとしても,債権者が受領を拒んだり,債権者の住所不明により
その受領ができなかったり,あるいは債権者が死亡し,その相続人が不明であ
る等債務者の過失によらないで債権者を確知できない等の理由により,その債
務の履行ができないときに,債務の目的物を供託所に供託することによって,
債務を免れることができます。
2 保証供託
(1) 営業保証供託(根拠規定宅地建物取引業法第25条,割賦販売法第16
条,旅行業法第7条等)
営業保証供託は,営業者がその営業活動により生ずる債務ないし損害を担
保するためにする供託です。
宅地建物取引業,割賦販売業,旅行業等取引の相手方が不特定多数で取引
活動も広範かつ煩雑であって,取引の相手方に対し,取引上の損害を与える
おそれのある営業については,その業務開始に際して,それぞれの法令に定
められた一定の金銭等の供託が義務付けられています。これは,その営業活
動に伴って債権を取得する債権者や損害を被る被害者を保護するために設け
られている制度といえます。
(2) 裁判上の保証供託(根拠規定民事訴訟法第75条第1項,民事執行法第
10条第6項,民事保全法第14条第1項等)
訴えの提起,強制執行の停止若しくは続行,仮差押え,仮処分の執行又は
取消し等当事者の訴訟行為又は裁判上の処分に関連して,当事者は,自己の
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負担とされる訴訟費用の支払を担保し,又は自己の訴訟行為により相手方に
生ずる損害等を担保するため,担保の提供を要求されることがあります。
3 執行供託(根拠規定民事執行法第156条第1項,第2項等)
従業員の給与が差し押さえられた場合等のように,金銭債権について裁判所
から差押命令の送達を受けた場合,当該金銭債権の債務者(以下「第三債務者」
といいます。)は,その金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができ
ます。
また,同一の金銭債権について重複して差押命令の送達を受けた場合には,
第三債務者は金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければなりません。
これらの供託を執行供託といいますが,これらの供託がされると,裁判所に
よる配当手続が開始され,配当表が作成されて各債権者に配当額の支払が行わ
れることとなります。
4 没取供託
法の目的を実現するために,一定の金銭等を供託させ,一定の事由が生じた
ときは,供託物に対する供託者の所有権を取り上げて,これを国家に帰属させ
ることとする供託をいいます。
例えば,公職選挙法第92条による公職の立候補のためにする供託がありま
すが,これは,立候補の濫用防止のため,候補者が一定の得票数に満たなかっ
た場合や,途中で立候補を辞退した場合に,国又は地方公共団体がその供託金
を没取するとするものです。
5 保管供託
目的物の散逸を防止するため,供託物そのものの保全を目的としてされる供
託をいいます。
例えば,銀行,保険会社等の業績が悪化して,資産状態が不良となった場合
に,その財産の散逸を防止するため,監督官庁が当該銀行等に財産の供託を命
ずる場合の供託がこれに当たります(銀行法第26条等)。
供託された供託物は,供託者である銀行等が破産すれば,破産管財人によっ
て供託物の取戻しがされ,破産財団に組み入れられ,銀行等の債権者の債権へ
の弁済に充当されることになりますから,前記の弁済供託又は保証供託の機能
を有するものといえます。
借地借家の賃貸トラブルのご相談は
東京多摩借地借家人組合
一人で悩まず 042〈526〉1094
託所に提出してその管理を委ね,供託所を通じて,被供託者に受領させることに
より,一定の法律上の目的を達成しようとする制度です。
供託は,法令に供託を義務付けまたは許容する規定がなければすることはでき
ません。これを定めた法令の条文(供託根拠法令)は,民法,民事訴訟法,民事
執行法等,非常に多くのものがあります。
供託は,供託物の種類により,金銭供託,有価証券供託,その他の物の供託及
び振替国債供託に大別されます。また,供託によって達成しようとする目的,す
なわち供託原因により大別すると,次のとおりです。
1 弁済供託(根拠規定民法第494条)
金銭その他の財産の給付を目的とする債務を負担している債務者が,その債
務を履行しようとしても,債権者が受領を拒んだり,債権者の住所不明により
その受領ができなかったり,あるいは債権者が死亡し,その相続人が不明であ
る等債務者の過失によらないで債権者を確知できない等の理由により,その債
務の履行ができないときに,債務の目的物を供託所に供託することによって,
債務を免れることができます。
2 保証供託
(1) 営業保証供託(根拠規定宅地建物取引業法第25条,割賦販売法第16
条,旅行業法第7条等)
営業保証供託は,営業者がその営業活動により生ずる債務ないし損害を担
保するためにする供託です。
宅地建物取引業,割賦販売業,旅行業等取引の相手方が不特定多数で取引
活動も広範かつ煩雑であって,取引の相手方に対し,取引上の損害を与える
おそれのある営業については,その業務開始に際して,それぞれの法令に定
められた一定の金銭等の供託が義務付けられています。これは,その営業活
動に伴って債権を取得する債権者や損害を被る被害者を保護するために設け
られている制度といえます。
(2) 裁判上の保証供託(根拠規定民事訴訟法第75条第1項,民事執行法第
10条第6項,民事保全法第14条第1項等)
訴えの提起,強制執行の停止若しくは続行,仮差押え,仮処分の執行又は
取消し等当事者の訴訟行為又は裁判上の処分に関連して,当事者は,自己の
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負担とされる訴訟費用の支払を担保し,又は自己の訴訟行為により相手方に
生ずる損害等を担保するため,担保の提供を要求されることがあります。
3 執行供託(根拠規定民事執行法第156条第1項,第2項等)
従業員の給与が差し押さえられた場合等のように,金銭債権について裁判所
から差押命令の送達を受けた場合,当該金銭債権の債務者(以下「第三債務者」
といいます。)は,その金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができ
ます。
また,同一の金銭債権について重複して差押命令の送達を受けた場合には,
第三債務者は金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければなりません。
これらの供託を執行供託といいますが,これらの供託がされると,裁判所に
よる配当手続が開始され,配当表が作成されて各債権者に配当額の支払が行わ
れることとなります。
4 没取供託
法の目的を実現するために,一定の金銭等を供託させ,一定の事由が生じた
ときは,供託物に対する供託者の所有権を取り上げて,これを国家に帰属させ
ることとする供託をいいます。
例えば,公職選挙法第92条による公職の立候補のためにする供託がありま
すが,これは,立候補の濫用防止のため,候補者が一定の得票数に満たなかっ
た場合や,途中で立候補を辞退した場合に,国又は地方公共団体がその供託金
を没取するとするものです。
5 保管供託
目的物の散逸を防止するため,供託物そのものの保全を目的としてされる供
託をいいます。
例えば,銀行,保険会社等の業績が悪化して,資産状態が不良となった場合
に,その財産の散逸を防止するため,監督官庁が当該銀行等に財産の供託を命
ずる場合の供託がこれに当たります(銀行法第26条等)。
供託された供託物は,供託者である銀行等が破産すれば,破産管財人によっ
て供託物の取戻しがされ,破産財団に組み入れられ,銀行等の債権者の債権へ
の弁済に充当されることになりますから,前記の弁済供託又は保証供託の機能
を有するものといえます。
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