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化学物質過敏症被害に補償

2007年08月22日 | 借地借家の法律知識
 塗装工事で鼻がツーンとした経験があるでしょう。ペンキを薄める為にに使われている溶剤(シンナー等)が、刺激臭を発生し目が痛んだり咳き込んだりし、中毒症状を起す場合があります。

 Uさんは賃貸集合住宅の2階に住んでいました。ある日の夕食時突然階下の部屋で塗装工事が始まり、猛烈な刺激臭が部屋に充満し嘔吐を伴う症状が起きたのです。早速「中止」を申し入れましたが無視され、塗装工事は続行されました。Uさんは翌日総合病院に駆け込み「化学物質過敏症」と診断され、「現職への就労困難・転居の必要」を言い渡されました。

 その集合住宅の一部は、一流と云われているA社が社宅として借り上げたものでした。A社の社員Bは新たに入居する事になり、塗装を友人の塗装人Cに発注市今回の事故を起したのでした。そこでUさんA社・社員B・塗装人Cに「謝罪と治療費・転居費用・慰謝料」を請求しました。

 大企業A社は「当社は無関係」。社員Bは「適正な医療費は支払う用意あり」。塗装人C「何時もの塗装工事と同じだ、中毒などと云い掛かりだ」。A社労務担当D「会社から関わるなと指示されているが、友人として解決に努力する」でした。

 交渉の途中で労務Dは所在不明隣、社員bと塗装人Cは「塗装が原因であることは認めるが金が無い。でる所に出て争う」と言い出す始末です。Uさんは仕方なく裁判を決意しました。裁判には、A社の顧問弁護士が東京から毎回やって来ます。金が無いと云いながら弁護士費用には惜しみなく使う神経には腹が立ちました。

 最終的には、金額では満足するものではありませんでしたが、相手側が非を認めた事・裁判の早期解決の為に和解に応ずる事としました。

 しかし、怪しからんのは和解に「A社は無関係」を条件とした事です。会社の労働者確保の為の社宅制度で会社が賃貸借したものですから、会社に管理責任が有りますが、全く反省の態度は無く、被害者には金銭的・精神的被害を与え、入居した労働者にだけ責任を押し付けるルール無き企業倫理に改めて義憤を感じた事件でした。

 アスベストと同じで、最近の建築材料・工法には有害なものが多いですから、日頃から充分な注意が必要です。



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