『住宅政策のどこが問題かー持家社会の次を展望する』(光文社新書)の著書の平山洋介神戸大学院教授の講演(NPO法人建築ネットワーク主催)が昨年11月都内で行なわれた。平山教授の説明によると、首都圏でピーク時に7000万円弱の住宅価格は、現在4000万円以下に下落し、世帯収入は低下しているにもかかわらず住宅・土地の負債残高は増加し、持家取得が資産形成と結ぶつかなくなってきているという。
平山教授は、日本では戦後一貫して保守主義の住宅政策がとられ、持家や家族を持つ中間層を優遇・援助し、中間層を円の中に誘導する政策を続けてきたが、その反面、円の中心部から外部の個人や賃貸住宅に対しては政策の対象から除外してきたと指摘。また、グループ主義で企業に所属していれば社宅、家賃補助、住宅融資、年功賃金など手厚い住宅保障があったと強調。
しかし、持家政策は破綻し持家を持てない単身者や非正規雇用が増加し、低所得の賃貸住宅居住者は低家賃の木造賃貸住宅が減少する中で、家賃が大きな負担になっている。さらに、家賃保証会社の台頭によって追い出し被害が増加し、民間賃貸住宅の居住の不安定化がすすんでいる。
平成20年の住宅統計調査によると持家61・2%に対し、公営住宅が4・1%、UR・公社住宅が1・8%、民間賃貸住宅27・1%で、公共住宅が6%弱と少ない。その公共住宅も削減されストックが減少している。フランスでは日本の公共住宅に匹敵する低家賃の社会住宅が17%を占め、オランダでは実に3割以上が良質の賃貸住宅・社会住宅が占め、所得に応じて家賃補助がヨーロッパの先進国では当然のごとく実施されている。
景気対策のための住宅政策ではなく、賃貸住宅居住者への家賃補助や単身者の公営住宅入居資格の拡充と公営住宅の建設の促進など、住宅保障を中心に据えた住宅政策の転換こそが求められている。
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