在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”フローレ・フィオルドゥーヴァ 2006” マリーザ・クオモ

2009-01-22 08:31:40 | Campania カンパーニア
"Furore Fiorduva 2006" Marisa Cuomo
もうすっかり前のことになってしまったが、去年のクリスマス、正確にはイブには何を飲もうか?と思い、これに決めた。
イタリアのイブは、魚を食べる。
イタリアにいるアメリカ人は七面鳥か鳥料理を食べるそうだが、イタリア人は食べない。というより、24日は、肉を口にしてはいけない日なのである。
夜中の12時にキリストが生まれるので、それまで、断食(?)的意味があると言ってもよいのだろう。

だから、ワインは白。
本当は、あと少なくとも1年は取っておきたいワインだったので、もったいないかも、と思いつつ。。
親しい友人がお礼にとくれた、とてもうれしいワインである。
だから、ちょっと早いけれど、こういうおめでたい機会にぜひと思い直し、開けることにした。

一番最初、このワイナリーが話題になったときは、???と思った。
どこのワイン?なんて品種?誰が造ってるの?え~、あんなとこで造ってるの??
そう、あんなところで造っているワインなのである。

最近話題になっているアマルフィ海岸の、アマルフィの町の先にあるフローレで造っている。
あの辺りには仕事でよく行く。
海岸線が一番切れ込んで切るところで、日本語に訳すと狂乱ヶ谷という意味になる。
一番条件の悪いところのような気がするが、そこにワイナリー?ぶどう畑??
それが、あるのである。
畑はすごーい傾斜で、手入れも、収穫も、それは大変。
品種も、わけがわからないといった方が良いくらいの無名の品種。
かなり変な品種もある。
このワインは、フェニーレ30%、ジネストラ30%、リポリ40%と、聞いたこともない品種ばかりである。

しかし、ワインは美味しい。
色は黄金に近い麦藁色でとてもきれいなつやがある。
香りが甘く、とても魅力的。柑橘系の花、柑橘系のフルーツ、シロップ漬けなど、とにかく心地よい。
ボディもしっかしていて、適度な酸に心地よいまろやかさ、塩味が最後にしっかりきく感じで、持続性もあり。
とにかく最後まで気持のよいワインである。

もうだいぶ前になるが、縦飲みをしているのでそちらもご紹介したい。

”ファランギーナ 2006” アンティカ・ペドゥム

2008-10-07 02:49:21 | Campania カンパーニア
“Falanghina 2006” Antica Pedum –Campania

ベネヴェントのファランギーナとラベルに書いてある。
ごくごく普通のワイン。
こういうごく普通のワインを飲むことは珍しい。
(ただし、決して贅沢をしているわけではありません。)
まあ、少し前に、何年振り(!)かでコルヴォを飲んだけど。。。
イタリア人の友達が持ってきてくれたワイン。

色は、薄めだが、きれいな麦藁色。
香りは弱いが、それでもちゃんと出てくる。よこらしょっと、という感じ。
花やフルーツがもっと欲しいが、アルコールがもわっと上がって来るわけでもないところが好感が持てる。
アルコール度は12℃。そういう意味では、とにかくアルコール度を上げなきゃ!と変に誤解しているものより良いと思える。
厭味な香りもない。
とにかく平凡な香り、柑橘の混じった白いフルーツという、取り立てて特徴のない香りだが、このレベルにしては全体に好感が持てる。
味は、酸味がちょっと強すぎな感じだが(若干修正されているような。。)、渋みも最後に残るが、食べ物と一緒だとあまり気にならない程度。
もちろん味は消えるし、最後はアルコールと渋みが残る。
でも、このレベルなら良しとしよう。

”ドンナルーナ・フィアーノ 2004” デ・コンチリス

2008-06-25 02:31:36 | Campania カンパーニア
“Donnaluna Fiano 2007” De Conciliis -Campania
まだかなり若いドンナルーナ。
赤と白があるが、赤はアリアニコ、白はフィアーノで造っている。
デ・コンチリスは、昔、ワイナリーを何度か訪れたことがある。
その前、初めてワインを飲んだ時は、カンパーニア州のワインと言うと、赤も白も、内陸のアヴェッリーノあたりが最も良いワインの産地だと思っていたから、こんな海の近くで、どーして??とちょっと不思議だった。
(かなりの観光地であるナポリにはカプリやイスキアのワインが結構あり、海の近くでもワインをたくさん造っているイメージはあるが、いくつかのワイナリーを除いて、ご愛敬。。の味。)
確かに海からは数キロの距離でかなり近いけど、標高が高い。
ワイナリーのある手前にはペストゥム(パエストゥムと呼ぶのではないのでご注意)の遺跡があり、だだっ広い平地になっているが、その平地が終わったら、ぐんぐん上に上がっていく。
ワイナリーは標高数百メートルだったと思う。チレント半島の景色がとてもきれいなところ。

品種はフィアーノ100%。
色は、ちょっと濃いめの麦藁色。つやがとてもきれい。
香りは、柑橘系がとてもきれい。アマルフィ海岸でとれるシトロン(とても大きくて直径20㎝はあると思う)のような香り。そして、黄桃と白桃、香草の香りがほんのり、そしてスパイス臭が出てきそうな気配。ある程度の華やかさがあり、モダンで、しかし、堅実さは備えている。
味は、まだ若いので酸味がきれい。そして、ちょうど良いボディがあり、酸味がまずまずあり、味の強さよし、持続性も申し分ない。レモンかシトロンかという柑橘系の後味がとても心地よい。

今は、スプマンテも含めて結構な数のワインをリリースしているが、当時はまだ数が少なかった。
確か、2度目位に訪れた時、ジョウロを使って、手作業でボトル詰めをしていた。
ナイマだったか、デザート・ワインだったか、もうだいぶ前のことなので覚えていないが、「本数が少ないから(500本くらいと言っていたような。。)手でやってるんだよ~」とブルーノ氏。
ある意味で消えてほしくない光景だと思った。

”モンテヴェトラーノ 2005” モンテヴェトラーノ

2008-05-19 23:34:27 | Campania カンパーニア
“Montevetrano 2005” Montevetrano –Campania
ちょっと久しぶりに飲んだ。
以前は、まだ値段も安かったので、結構頻繁に飲んだし、ちょっと古いヴィンテージも気軽に飲めた。
でも、最近は、大きく値上がりはしていないとは言え、50ユーロという値段だと、他を買います、って状態になったので(好みが変わったのが一番の原因か??)、飲む機会が減ってしまった。
その昔、まだワインがあまり知られていなかったころ、カンパーニャ州で、サレルノにすごいワインがあるんだよ~、とレストランのソムリエが言っていたころが懐かしい。
まだ、ローマでほとんど手に入らなかったころ、ナポリのエノテカ(酒屋)で探したものだ。

で、久しぶりに飲んでみると、私が変わったのか、ワインが変わったのか?
ワインは、相変わらず、ガンベロの「3ビッキエーリ」、イタリア・ソムリエ協会の「ぶどう5房」を総なめしている感じで、Civilta’ del Bereの統計による「今年のワイン」(通常、5本から9本程度)の中にもほとんど毎年エントリーしている。
でも、飲んだ時期が悪かったのか、決して悪いわけではないが、ワインがかなり閉じていた。短い時間で試飲したのだが、ほとんど閉じたままだった。
グラスを回し、回し、ぐるぐると。そして、やっと香りが出てくる。
とにかく、乳酸の香りが強く、本来の香りはかなり重たい。

品種は、カベルネ・ソーヴィニオン60%、メルロー30%、アリアニコ10%。
醸造家は、かの有名なリッカルド・コタレッラ氏。
色は濃い目のルビー色。
香りは、きれいに熟した森の木の実、ブルーベリー、桑の実moraなど、スパイスは、リコリースに甘いタバコなど。バルサム臭、ミネラル臭もあるのだろうが、よくわからない。。。
味は、程よいインパクトに、酸味とタンニンがきれいに混じり、強さとエレガントさのり両方を持っている。後味は、きれいで長く、カカオなどが出てくる。
しかし、以前より印象が薄いと言っては罰が当たるだろうか。。。
まあ、飲んだ時期も悪かったと思う。あと数年待った方が良かったかも。。

”ピエトラカルダ 2006””クティッツィ 2006””カンパナーロ 2006” フェウディ白3種

2007-11-15 02:20:05 | Campania カンパーニア
"Pietracalda 2006"
"Cutizzi 2006"
"Campanaro 2006" Feudi di San Gregorio -Campania
カンパーニア州の白の3大品種と言えば、ファランギーナ、グレコ、フィアーノであるが、フェウディはこの3つのベースワインを造っている。
これは、グレコとフィアーノを使った、上級クラスのもの。

まず、ピエトラカルダ。品種は、フィアーノ。
色は、やや濃い目くらいの麦わら色。
香りは、花の香りがきれい。一瞬華やかというか、派手なくらい。そして、若干化粧くささが感じる。
味は、その華やかさを期待していると、または味も何かどーんと来るのでは?と思っていると若干拍子抜け。最後にややアルコールが残るが、全体に良く造っている。
香りが良いので、良い香り大好き!という人には受けると思う。

次に、クティッツィ。品種はグレコ。
色は、黄金色に近い。
香りに、木がすぐに出てくる。決して重たくはないので、樽香が好きな人には良いかも。柑橘系、ビタミン、スパイス、ミネラルなど。
味は、同じく木がすぐに感じられるが、ボディもあり、強さも良く、ナッツ風の後味が残る。

最後に、カンパナーロ。品種はフィアーノとグレコが50%ずつ。
色は、やや濃い目の麦わら色。つやがとても良い。
香りは、デリケートな花の香り、ジャスミンなどの香りにミネラルが混じりとてもきれい。他は、柑橘、シトロン、ナポリのオレンジなど。澄んだ香り、程よく複雑で、主張の中に落ち着きがあり、心地良い。
味は、ボディがあり、強さも良く、まろやかさがきれい。酸味もちゃんとあり、味を支えている。最後にフルーツの香りがきれいに残る。

”フェウディ・ドゥブル・スプマンテ” 3種 フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ

2007-11-14 17:59:44 | Campania カンパーニア
"Dubl Falanghina Metodo Classico 2005"
"Dubl Aglianico Metodo Classico 2005"
"Dubl Greco Metodo Classico 2004" Feudi di San Gregorio -Campania

ナポリのあるカンパーニア州にはよく行くのに、よく飲むのに、何故か、これが初めて登場のカンパーニア州のワインとなってしまった。
さて、ご存知フェウディのスプマンテ3種。メトド・クラシコはシャンペンと同じ方式で造ったもの。つまり、瓶内2次発酵方式。

まず、ファランギーナ。18ヶ月の熟成。
色は、濃い目の麦わら色。泡は細かいがすぐに消える感じ。
香りは、ちょっと堅い感じが一瞬。堅めパンの耳に少し煙たい香りもある。しかし、これは、一番最初の試飲だし、私が洗ったグラスではないので、グラスのせいかもしれない。他は、グレープフルーツの皮などの苦味が立つ。
味は、やや苦味があるが、泡が優しく、それを打ち消す感じ。しかし、最後にほろ苦さは残る。決して、邪魔とは言わないが。。

次は、アリアニコで造った、ロゼ。
色は、落ち着いた色合いの濃い目の桜色という感じか。明るくてきれいな色に、わ~きれい、と思った時代もあるが、今はこういう落ち着いた色合いの方が人気があると思う。
香りは。。。ない、ほとんど、ない。(これを指摘していたのは私だけではない。まあ、温度が低かった、ということにしましょう。)
全体に小さくまとまってる感じ。これでも値段が安ければ良いのだけど。。。
でも、アリアニコでロゼ・シャンパン(スプマンテ)を造るという心意気は大いに買いたい。

最後に、グレコ。24ヶ月の熟成。
色は、緑がかった薄めの黄金色。つやがとても良い。泡はとても細かいが最後には消えかかっていた。
香りはきれい。とても澄んでいて、パンの白い部分、シトロン、白い花、ニワトコsambucoなど。
味の強さもよく、長さも程よくあり、泡が優しく口の中ではじけ、最後の残るほろ苦さがとても心地良い。
3種の中では、最も良い。

なお、写真はグレコのもので、ロゼは、瓶が無色。きれいな色がとても魅力的。