在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Terre di San Leonardo 2009 Tenuta San Leonardo テッレ・ディ・サン・レオナルド 2009

2016-09-28 09:27:27 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
Terre di San Leonardo 2009 Tenuta San Leonardo



日本から帰ってしばらく、なぜか、柔らかーーーいワインに続けて当たった。
ワインは自分で選ぶこともあるし、選べないこともあるのだが、立て続けにどうしてこんなに柔らかいワインに当たるのだろう、と珍しく思った。

ある友人がある国の大使館に勤めていて、嬉しいことに年に数回いろいろなものを免税価格で購入できる。
ワインは、もともと値段があってないものだから、すごく安いわけではないし、第一、選択の幅が狭すぎで(とってもメジャーなワインが中心)お願いすることはあまりないのだが、少し前に数本お願いしてみた。

ヴィンテージは在庫であるもの、というのも面白い。
何年のヴィンテージが来るか???

サン・レオナルドはメジャー、モダンで、国際的すぎるきらいはあるが、まあまあ好きなワイン。
つまり、あれば喜んで飲むワインなので、リストにあった、そのサードクラスワイン、テッレの方をお願いしてみた。

届いたのは2009年。
サン・レオナルドの2009年ならともかくテッレの方で2009年とは、人によっては怒るよね〜(免税価格だから怒れない。。。)と思いつつ。

その時にある在庫が来るからね〜と友人に言われていたとはいえ、2009年とは。
誰も買う人がいないからか、大量に購入していたのか???(笑)

しばらくワインクーラーに入れておいて、そういえば、テッレの少し古いのがあったよね、と思い出し、でも、こんなに古いとは忘れていて、とにかく取り出し、ラベルを見て、あちゃー。こんなに古かったっけ??

取り出したこともあり、開栓。

品種は、ボルドータイプのブレンド。

色は見事に綺麗。光沢があり、全く衰えのない色合い。ガーネット以上の進んだ色は全く見えない。
まだ、綺麗に熟したフルーツの香りに甘いスパイス、まだ花の香りの余韻がある。
甘いワイン(糖分ではなく)が好きな人、酸味のあるワインが苦手な人、華やかなワインが好きな人、これぞワインよ〜という雰囲気が好きな人にはぴったり。
一口。。。。舌がとろけそうなほど甘かった。。。。(つまり、柔らかかった)
質の良いタンニンが見事に柔なくなり、酸味がもともと多くはないのを覆い隠し、まあ、柔らかい。

こちらの頭まで一瞬、ふわっ、とろっ、と溶けそうになった。+++(+)




日本で今売っているのでも2012年。
しかし、あと数年は問題なくもつということでもある。。。。
(保存はちゃんとしてくださいね)


サン レオナルド テッレ ディ サン レオナルド 2012 赤 750ml SAN LEONARDO TERRE DI SAN LEONARDO.375
サン レオナルド テッレ ディ サン レオナルド
サン レオナルド テッレ ディ サン レオナルド

Ribolla gialla 2010 Klenec Medana

2016-09-25 12:22:12 | Friuli フリウリ
正確にはスロベニア
Ribolla gialla 2010 Klenec Medana



友人のルカが久々に家で何か開けよう、と言うので、私は1本持参、そして、彼のカンティーナから何かを選ぼうということになった。

私の持参したワインは、(自画自賛ではないが)それはそれは素晴らしかったステファノ・ベルティのエミリア・ロマーニャのサンジョヴェーゼ。
いたって普通のワインなのだが、大変気に入っていて、絶対にこれは素晴らしいものになると確信していた。
とは言え、さすがに15年も経つと不安になっていたワイン。

ルカならダメになっていたとしても、何持ってきたの??とは絶対に言わないので、一か八か持って行ったのである。

ルカの方も、マイナーなワインを数本選んでくれていて、中から、多分知らない?いや、飲んだことがあるかもしれないがよく覚えていないワインを選んだ。
バリバリのビオワイン。

ビオワインはかなり飲んでいるとは思うが、マイナーな物も多く、また、試飲会で飲んだだけだと、ラベルも名前も覚えていないことが多い。
ビオの有名ワイン、また、それはそれは特徴があるというものは別にして、やはり残念ながら覚えきれない。

さて、そこで、ラベルを見たことがあるような気がしないでもないが、というワインにした。

これで、赤と白、1本づつ。



ビオ、バリバリのビオと言うが、なるほど、色は濃い。マセレーションをかなり長くしているというのがわかる。
香りは、バリバリビオに良くあるアニマル臭、野菜臭などはしない。ひと嗅ぎですぐにビオだとわかるが、落ち着きのある綺麗な香りで、ミネラル臭が強い。
辛口の真面目な、まっすぐな香り。そして、タンニンがあるね〜とわかる。思うより複雑で、香りの変化が早い。
味も酸味が極端に強いわけではなく、程よい程度、そして、タンニンを感じる。持続性は申し分ない。
その後何時間かたっても、赤もそうだったのであるが、全く衰えることなく、素晴らしい複雑さと持続性を保っていた。++++(+)

その後赤ワインを試飲し、また白に戻ったわけだが、赤の後でも、全然見劣りしなかった。
何度も白と赤を行き来しする。
どちらもいい。
そして、どちらも全く色あせることがない。
こちら(白)を飲むとこちらのワインの特徴や良さが際立ち、あちら(赤)のワインを飲むとあちらの良さと特徴が感じられ。。。
全然共通点のない2本のワインだったのだが、不思議な調和を醸し出していた。

こういうところがワインの楽しみ。
だからワインはやめられない。

ローマの空港内のサッカーゲーム airportmatch

2016-09-24 16:25:33 | もろもろ、つれづれ
イタリア人もたまには頭がいいよね。
って言ってもアメリカあたりの発案のような気がするが(違う??)、この夏から空港内にサッカーゲームがお目見えした。荷物受け取りターンテーブルのあるあたりである。



まあ、誰の発想かはともかく、日本ではありえないように思う。
荷物が早く出てくるから、サッカーゲームなんてしている暇はないし、設置台数が少ないと、日本では、取り合い、不公平とクレームが上がるかも。。。。?

本当は、こんなもの設置するより、荷物を早く出せるように工夫してよね!と言いたいのだが、待っている間に、ゲームでもしててください、という趣向。

遊んでいる人はほとんど見ないが、一度、荷物はすでにでてきた風の若者たちが遊んでいた。
国際線、国内線、どちらにもわずか数台だが、設置されている。

数年前、ローマの主要駅の一つ、ティブルティーナ駅にピアノがお目見えした。
その後、この空港にも、最初は出発ロビー、そして、今では到着ロビーにも1台置いてある。

これは、結構弾いている人を見かける。
ポップスからクラシックまで。
女性が弾いているのはあまり見かけないが、男性は頻繁に見かける。

そうして、今度はサッカーゲームの出現。

これなら、荷物がなかなか出てこなくても、多少気がまぎれるかも?
バカンスの時期だと、フライトが重なり、未だに荷物が出てくるまでに1時間近くかかるのがイタリア。。。。。

いや、やっぱり、こんなものを設置するより、早く出す方を考えてよね!と、本当は怒りたくなる。

Villa Cafaggio 6 vini Chianti Classico ecc. ヴィッラ・カファッジョ 6種

2016-09-24 12:06:48 | Toscana トスカーナ
パンツァーノにある黄金の盆地

Chianti Classico 2013
Chianti Classico Riserva 2012
Chianti Classico Riserva Basilica Solatio 2011
Chianti Classico Basilica San Martino 2011
Basilica del Pruneto 2010
Basilica del Cortaccio 2011





コンカ・ドーロ(黄金の盆地)と呼ばれる土地はイタリアにいくつかあるが、パンツァーノにもコンカ・ドーロがある。
パンツァーノは、キャンティ・クラシコのほぼ中心にあたる、おそらく最も良い地域である。
グレーヴェ・イン・キャンティの南側の一角で、やや別格的存在。
キャンティ・クラシコでキャンティ・クラシコ協会を作っているが、パンツァーノはその地域だけで、パンツァーノワイン生産者組合というのを作っている。
約90%がビオを選択していて、ヨーロッパでは、最初のビオ・ワインの生産地域になるところなのだそうである。

最近はワインツアーも流行りのようで、リクエストがあれば喜んでご一緒させていただいているが、今回はど素人の方々の少し大きめのグループ。

ちょうど南イタリアのプーリアのワイナリー見学というのもあったのだが、こちらはちょうど日にちが重なり、残念ながらご案内できなかった。ごめんなさい。

さて、今回訪れたヴィッラ・カファッジョは、非常に丁寧にテイスティングの用意をしてくださっていた。
ど素人相手だと、立っての試飲、食事と一緒に試飲など(それも気さくでいいのだが)を用意するところが多いなか、ここは実にきちんと用意してくださっていた。

全員ゆったりの着席で、白いシートの上には一人一人、ちゃんとしたグラスが2種、ワインもちゃんと捨てられるように、そして、クラッカーが用意。

造っているワインが6種、そこで、2種づつを比較していきましょう、という趣旨。
1種づつ出されてもうまい具合の比較にはならないし、6種いっぺんに出さられたら混乱するので2種がちょうど良い。

キャンティ・クラシコのベースとリゼルヴァ。
クリュのキャンティ・クラシコ2種。
そしてクリュのメルローとカベルネ。

完璧な組み合わせ。

反応は、同じワインでこんなに違うんだ、とか、こっちの方が好みとか、あれも良かったけれどこれもいいとか、安いワインが好みだぁ、と笑っていたり、やっぱり高いワインは美味しいね〜という人もいたり。

おそらくほとんどの人が人生で初めての本格的なワインの試飲。

捨てちゃうの〜??モッタイナイ〜と言いながら全部飲みきる人がいたりしたが、だんだんと、色の違いや香りの違いや味わいの違いを感じていってくださる。

こうやってワイン好きの底辺を広げられることが嬉しい。

さて、Villa Cafaggioのワインはとてもきれい。
綺麗すぎて、変わったワインが好きな人にはおもしろくないかもしれないが、とにかく綺麗なので、素人でも、玄人でも受ける。



Chianti Classico 2013
まあ見事、と言えるきれいさ、かわいらしさ、欠点がない。花の香り、フルーツの香りが綺麗に華やかに、でも恥じらいも含む感じで上がってくる。酸味もタンニンもあるが、フルーツのふくよかさが隠し、かなり心地よい。ベースワインでこれ。お見事。++++

Chianti Classico Riserva 2012
色にわずかガーネット以上のものが見え、香りにはわずかアニマルの手前が出ていて、やや進んだ感じがある。こちらが好みの人もいるが、リゼルヴァだから美味しいよね、ということはない。しかし、スパイシーな料理、煮込み系の料理にはこちらの方が合うと思う。あとは飲み方次第。+++



Chianti Classico Riserva Basilica Solatio 2011
2011年とは感じないくらいの色、香り、味わい。明るく綺麗な色、まだ花の香りもわずか含む中、ミネラルがしっかり感じられ、程よいスパイス臭が混じり、落ち着きも見え、エレガントでもしっかりした味わい。香りも味わいも複雑で長い。個人的に最も好みだった。サンジョヴェーゼ100%を大樽で熟成。+++++

Chianti Classico Basilica San Martino 2011
一瞬、おお、いいね〜と思う。甘さが出ていて、惑わされそうになる。こちらが好みという人も多く、華やかで存在感を見せている。ただ、しばらくするとややその甘さに飽きてくる部分がないわけでもない。しかし、これも見事な、ややモダンなキャンティ。サンジョヴェーゼ85%(伝統)に国際品臭のカベルネ・ソーヴィニオンとフラン(モダン)を合わせてバリックでの熟成。++++(+)



Basilica del Pruneto 2010
こちらはメルロー100%。最後の2種はキャンティから離れての試飲。
色も綺麗、メルローらしい甘さと柔らかさ、華やかさがうまくまとまっている。心地よく飲みやすい。++++(+)

Basilica del Cortaccio 2011
カベルネ・ソーヴィニオン100%。
色はカベルネらしく濃く、しかしまだ明るい色調。香りもドンとした部分が出てきて、しかし、緑の香りはほのか程度で、カベルネのグリーンが綺麗に隠れている。味わいもしっかり、威厳が出ていて、タンニンの存在感あり、女性的なメルローに対して男性的。++++









Sangiovese di Romagna Superiore Calisto 2001 Stefano Berti

2016-09-21 11:08:34 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
Sangiovese di Romagna Superiore Calisto 2001 Stefano Berti



少し前に光栄にもNHKの番組に出演させていただき、ローマのワインのブロッガーです、と紹介されたのだが(といっても、本人はまだ番組を見ていない。。。)、夏はなんだがせわしなく、ブログを書くのがばたっと途絶えてしまった。

書きたい記事はたくさんあるのだが、いかんせん、時間が取れない。
しかし、夏も終わりに近づき、重い腰を上げてそろそろ。。。。

さて、時間系列をほぼ逆行するような気がするが、まずは、数日前に飲んだワインから。

本当に驚かせてくれるワイン、というのは存在するが、これは、超高級価格、品質のワインである場合もあるだろうが、そうでない場合もある。
いや、超高級有名ワインの場合は、美味しくて当たり前だから、本当には驚かないかもしれない。

このワインには、ここまで驚いたワインはそう多くはないだろう、と思うくらい驚かされた。

まだソムリエ協会発行の某ワイン年間の一部を執筆していた頃、担当の地域は毎年変わるのだが、エミリア・ロマーニャの一部を担当することになった。
そこで、エミリア・ロマーニャのワインをほぼ制覇、とまではいかないが、かなり飲み込んだ。
幸い(笑)ランブルスコは担当ではなかったので飲まなかったが、サンジョヴェーゼ、アルバーナ。。。。

ちょっとマイナーなエミリア・ロマーニャ州にも、有名、高品質ワイナリーはある。
その有名どころを押しのけて、個人的に非常に気に入ったワイナリーがこのワイナリーである。

購入したのか、いただいたか、いや、たぶん、年鑑本の試飲の際にサンプルが2本づつ来るのでその余りだったか、今ではもう覚えていない。

そう、15年前のヴィンテージ、15年近くが経ったのである。

何年も取っておこうとは思ったワインである。
そこで、ワインクーラーにいつもすやすやと寝ていた。

しかし、こんなに長く取っておこうとは思っていなかった。

そこで、数年前から、開けよう、開けようと思いつつ、なんとなく時期を逃していた。
ある時から、もういい加減にダメになっているような気がして、開けるのをためらうようにもなった。

ずーーーーーーっと前、ワイン通と称する人たちの集まりに、かなり熟成した白を持って行ったら、こんなに経ってる白、飲めないよね〜、という人がいたのである。個人的には熟成された白は好きだし、どんなにダメになっていても勉強になるので嬉しいのだが、美味しいワイン(安全圏のワイン)だけを飲みたい人もいるんだぁ、勉強になると微塵も考えない人もいるんだぁ、とある意味開眼だったのである。
そのワインは決してダメになってはいなかったのだが、よく熟成していた。
以来、ワインを持参する時はちょっとトラウマ。

そこで、このワインは(ワインクーラーにまだ他にもあるのだが。。)ある頃から、友人とは一緒には開けられないワインとなった。

ところが、友人のルカは、そういうことがわかる人である。
そこで、何か持っていくことにした時、ちょっと迷ったがこれにしてみた。
もしもダメになってたらごめんね、と。

さて、ルカが選んだのは白ワイン、そこでそちらを先に開け、その後でこちらを開けた。
ドキドキ。ドキドキ。

コルクはパーフェクト。
スクリューがしっかり入り、割れもせずしっかりと抜け、ブショネでもなかった、(ほっ)そして。。。。。。。。信じられないくらい素晴らしい味わいだったのである。

15年。それも、エミリア・ロマーニャのサンジョヴェーゼが15年たって、素晴らしいワインになっている。
まだ生き生きとしている香り、そして、その後、2時間以上たっても全く衰えを見せなかった。むしろ、ますます広がりが増しているくらいだった。
そして、タンニンは丸くなっているとはいえ、存在感を失ってはいず、ビロードのように心地よい。
タンニンが丸くなっている分、甘みを感じるが、酸もほのかに残り、甘さと、まろやかさと、タンニンと酸味とが絶妙なバランス。

驚き。

見事。

ルカも驚いている。私もこんなに驚いたのは久しぶりくらいに驚いた。
そして、その驚きがその後数時間続いた。

ステファノ・ベルティ。感動。感謝。