在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ DOC

2007-12-31 07:10:15 | イタリア・ワインABC
Sangiovese di Romagna DOC
サンジョヴェーセと聞くと、まず思い浮かべるのがトスカーナ州だと思う。
しかし、サンジョヴェーゼはトスカーナ州だけのものではなく、イタリアで一番流布している品種である。
イタリア中で見られ、全イタリアのワイン用ブドウの畑栽培面積の10%ちょっとを占める。ということは、全部の畑の1割にサンジョヴェーゼが植えてあるということになり、よ~く考えると、これは結構すごい!
ちなみに、2位に来るのはシチリアの品種カタラット・ビアンコで6%強を占める。3位はトレッビアーノ・トスカーノが同じく6%代だが、わずかに劣る。そして、4%代で4位、5位となるのは、モンテプルチャーノとバルベーラ。(ただし、どれも減少方向にはある。)

さて、サンジョヴェーゼの2大産地というと、トスカーナ州とエミリア・ロマーニャ州である。今ではトスカーナの方が圧倒的に有名になってしまったが、ロマーニャでの歴史の方が古い。(と、ロマーニャの人たちは自慢する。)なお、サンジョヴェーゼは「ゼウス(ジュピターgiove)の血sangue」の意味。クローンが多い品種として知られているが、大きく「大grosso」と「小piccolo」の2つに分かれる。
実際はもっと複雑であるが、グロッソ(大)の代表がブルネッロ、ピッコロ(小)の代表がロマーニャのもの。ただし、ブルネッロは必ずグロッソ使用のことと規定があるが、他はそうではないので、ロマーニャでもグロッソを使うところは出てきている。

規定はサンジョヴェーゼを85%以上使用。
生産地は州の東側のロマーニャ地方。
4つのタイプがある。
① 辛口secco 最低アルコール度11.5% 収穫した年の12月1日以降発売 =一番一般的なタイプ。いかにも赤ワインらしい特徴のワイン。
② ノヴェッロNovello 最低アルコール度11% =ほんのわずか甘さを帯びるものが多い。
③ スーペリオーレsuperiore 最低アルコール度12% 翌年の4月1日以降発売 =このあたり以上で良いものがある。
④ リゼルヴァriserva 熟成期間2年以上

ピッコロ、グロッソと聞いて、ピッコロはなんとなく劣っているような、また、ブルネッロがあまりに有名なのでピッコロは影が薄いが、最近はピッコロが見直されている。小さくたって負けないんだい!という感じで、今後もぜひ頑張ってほしい。
また、ロマーニャのワインというと品質の優良なものが少なく、随分長く地味な感じだったが、今は「コンヴィート・ディ・ロマーニャConvito di Romagna」(7ワイナリーが参加)というグループが頑張っている。このあたりを中心として、とても良いものが多いので、ぜひ味わってみていただきたい。

アルバーナ・ディ・ロマーニャ DOCG

2007-12-30 18:02:47 | イタリア・ワインABC
 Albana di Romagna DOCG
一度記事にしたが、今度は規定を入れてちゃんと。
こんなDOCGだが、結構思い入れのあるものなのである。

いまでこそ白のDOCGは結構な数があるが、ずいぶん長い間、白と言うと、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ、アスティと、このアルバーナ・ディ・ロマーニャだけだった。それも、一番にDOCGになった白はこのアルバーナである。
ヴェルナッチャもアスティも、品質の良いものは多少あるとは言え、勘弁して~と言いたいワインが多く、アルバーナもご多分にもれず、という印象だった。
たしかに、アルバーナの辛口は、いくつかのワイナリーのものを除いて、ちょっとパスしたくなるものが多い。
しかし、デザートワイン、特にパッシート(収穫後、陰干しをしたブドウで造るワイン)は違う。全然違う。堂々と胸を張ってDOCG!と言えるものがあるのである。

エミリア・ロマーニャ州は、横に広がる形だが、西側がエミリア地方、東側がロマーニャ地方となる。
名前の通り、州の東側、ロマーニャ地方に生産地域がある。
品種は、これも名前の通り、アルバーナ100%。アルバーナという品種は、写真を見てみると良く分かるが、とにかく、だらーん、と縦に長い。そして、房がかなり大きい。良いワインができる品種の多くは、房が小さく、粒が締まっているが、それを念頭に入れると、残念ながら、これでDOCGワインを造るの??と疑いたくなる。しかし、そこで、やっぱりね、と思ってはいけない。確かに、辛口はお世辞でまあまあと言うが(ごめんなさい!)、パッシートには良いものが多々ある。つまり、アルバーナは意外や意外、陰干しに向いている品種なのである。
さて、アルバーナ・ディ・ロマーニャDOCGには以下の5つのタイプがある。
①  辛口secco 最低アルコール度12% =実際に、それほどアルコールの高くない、ほろ苦さのある、それと言って特徴のないワイン。
②  薄甘口amabile 最低アルコール度12.5% 残等分12~30g/l =やや甘口
③  甘口dolce 最低アルコール度12.5%(うち実際のアルコール度alcol effettivo 8.5%以上)残等分45~80g/l =結構甘口
④  パッシートpassito 最低アルコール度17% 陰干しは収穫の次の年の3月30日まで 陰干し後の糖分284g/l以上 翌年の9月1日以降の発売 =コハク色を帯びた黄金色で、良いものは、酸とのバランスが良い。
⑤  パッシート・リゼルヴァpassito riserva 最低アルコール度24%(うち実際のアルコール度alcol effettivo 4~11%)モストの段階で400g/l以上 翌年の12月1日以降の発売 =実際にはあまり見かけない。
イタリアの各協会が出すこういう規定を見ていて思うのは、チャート式にしてくれるとわかりやすいのになぁ、と思うことと、良く見ると、あれ?と思うことがあること。たとえば、残等分。残等分が35g/lだったら、②と③のどっちに入るんだろうなぁ。。。と深く考えないのがイタリア式。

いくつか良いワイナリーはあるが、ぜひ一度、ゼルビーナZerbinaのパッシート「スカッコマットScaccomatto」は試してほしい。チェス模様のラベルがトレードマーク。

アルタムーラのパン

2007-12-30 02:35:04 | もろもろの食べ物

Pane di Altamura -Puglia
日本人の中には、イタリアの主食はパスタだと誤解している人が多いが、それは大きな間違いである。では、主食は?と聞かれると、それはパン。
日本でご飯が欠かせないというのと同じように、イタリアでは、パンを切らせない。(と言っても、私は日本人なので、つい、買い忘れてしまうこともある。。)
イタリアのパンは、最近、だいぶ柔らかいパンが出てきて、昔と比べると随分変わってきたと思うが、基本的に日本でいう田舎風パンに近い。
大きくて、外側が固くて、重たくて、中はやわらかいが、しっかりした弾力があり、穴がぼつぼつと開いている。この手のパンは、やわらかい、ふわふわパンが好きな人には全く受けないが、味のあるパンが好きな人にはやめられない。
それでも、評判の良いパン屋とそうでないところがあり、イタリアのパンだからすべて美味しいとは言わない。

さて、異論はあると思うが、イタリアで最も美味しいと評判のパンは、プーリア州のアルタムーラのパンではないかと思う。
偶然であるが、我が家にアルタムーラの巨大なパンがごろごろと3つやってきた。(パンが歩いてきたわけではないが、偶然手に入れたので、やってきたというのがふさわしい状況である。)

アルタムーラは細長いプーリア州の北部、内陸にあり、世界遺産で有名なマテーラ(バジリカータ州)にごく近い。また、アルタムーラのパンは、れっきとしたDOP(Denominazione d’Origine Protetta)商品で、スローフードのプレシディオpresidio(保護食品)にも認定されている。重さは、2キロから5キロにもなるというかなり大きな円形のパンで、確かに、持つとどっしりした感じだ。パンだから、当然小麦作られているのだが、軟質小麦ではなく、二度挽き硬質小麦(セモリナ粉)を使用している。セモリナ粉は「黄金の小麦粉」と言われるが、その名前の通り色が黄色い。だから、アルタムーラのパンには、びっくりするほど色が黄色いものがある。
我が家にやってきたパンは(やってきたのだから、文句は言わないが)、DOP認定シールはなかったが、使われている材料は、前述の硬質小麦、塩、イースト、水となっている。DOPになると、さらに、小麦の品種の指定、塩は海塩を使用、出来るだけ薪を使った窯焼き(ガスもOK)など多くの規定が付く。また、形もぼてっと重なったごろっと丸い形のものと、「お坊さんの帽子」と言われる帽子型のものが基本の形である。


なお、アルタムーラのパンはかなり日持ちがする。そのまま置いておいても4-5日は十分美味しく食べられる。

”ネポムチェーノ 2003” カントリーナ

2007-12-28 06:17:56 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Nepomuceno 2003" Cantrina -Lombardia
ピノ・ネーロのデザートワインを造っているワイナリー、カントリーナのワインをもう1本紹介する。
これも、面白い。
品種はメルロー100%だが、このうち50%のブドウを30日間陰干しする。メルローを何も陰干ししなくても。。と思うのだが、ロンバルディアのブレッシャ近辺では、えー、この品種を陰干し??とびっくりすることが結構ある(ので、驚かないが。。。)。お隣の州で造られているアマローネにあやかっての造りなのかは知らない。。。
色は当然かなり濃い目のルビー色。ドライのバラ、赤と黒のコショウ、トウガラシ、プルーン、マラスカmarascaのコンフィ、タバコ(黒)、ナツメヤシが少し、トースト臭、燻製、インク、辛口チョコ、と結構複雑。
味は、ボディがどーんとあり、インパクトがある。アルコール15%だしで、結構熱い。タンニンもどーんと。そして、後味はトウガラシ風。

”エレティコ 2003” カントリーナ

2007-12-28 05:57:46 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Eretico 2003”Cantrina -Lombardia
世の中には変なワインが存在する。
いったい何を理由にそんなワインを造るのだろう?と思われるものが。
昔、日本の某ワイナリーが造っている(まだ造っているのだろうか?)メルローの白を飲んだ時にもちょっとびっくりしたが(これ、造るの結構大変なんですよ!と言っていた)、このワインほどではなかったと思う。
このワインは赤のデザートワインである。デザートワインは白が多いので、赤であることでまあまあ珍しいわけだが、品種がなんとピノ・ネーロ。
何も、ピノ・ネーロを使って甘いワインを造らなくても。。。と思うのは私だけではないと思う。。(そうでもない??)
でも、(幸い、と言っていいのか。。)そう悪くはない。
アルコール度は15%。
色は、ルビー色でかなり色が濃い。
香りは、アルコール度15%でもあるし、すぐに除光液の香り。その他の香りはちょっと閉じている。フルーツが出てくると、スミノミザクラvisciole、レッドベリー、ブルーベリーなどのコンフィ、緑の香りは草、木の香り、そこから生木風の香りのもある。
甘さは、そこほどきつくはない。そして、酸味はきれい。ボディがあり、アルコールが熱い。後味に、革、チョコなど。
ぶどう陰干し1か月半で醸造。リリースは2007年。だから、かなりの熟成期間を経ての発売となる。生産数はたったの1000ボトル。裏のラベルに、実験的生産、とある。
もう造られることがなければ、幻のワインとなるのかも。。。

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ DOCG

2007-12-26 18:25:41 | イタリア・ワインABC
Vermentino di Gallura DOCG -Sardegna
ガッルーラは町の名前ではなく、地方の名前である。
サルデニア島の北東部、最近、日本の女性雑誌でも時々取り上げられる高級避暑地(に「超」を付けたい。つまり、それくらい高級)エメラルド海岸のあるところである。つまり、生産地はそのあたり。
現在、サルデニア島(一つの州となっている)で唯一のDOCG。
品種は、名前からわかるようにヴェルメンティーノ。さて、ヴェルメンティーノがイタリアで主に栽培されているのは、このサルデニア島とトスカーナ州(海岸部)とリグリア州である。なんだか、一瞬テンデバラバラという感じだが、実は、見ようによっては繋がっている。
イタリアのド真ん中はウンブリア州ということになっているが、これは、海とサルデニア島を無視して見ているのがわかる。それも視界に入れると、真ん中はローマあたりになり、そのやや左に、サルデニア島、トスカーナ海岸部、リグリア州を囲んで大きなちょっと細長い輪ができる。その輪の真ん中はフランス領のコルシカ島になり、つまり、コルシカ島を中心にして、結構繋がっているのが納得できるのではないかと思う。
そう、ヴェルメンティーノは、スペインまでを含む、地中海の海岸線に多く流布しているのである。
言ったように、イタリアで多く見られるのはサルデニア島で、栽培面積の65%を占め、リグリア州が17.5%、トスカーナ州が14.5%となっている。
さて、サルデニア島では、ヴェルメンティーノは全島で栽培されている。そこで、ヴェルメンティーノ・ディ・サルデニアという名称があるが、これはDOCで、ガッルーラ地方での生産のものだけが、DOCGである。

品種はヴェルメンティーノで、95%以上使用のこと。なお、スーペリオーレもある。
ヘクタールあたりの最大収穫量は、10t。(スーペリオーレは9t)
最低アルコール度は、12%。(スーペリオーレは13%)
熟成期間、というより、最近は、発売開始日で記すことが多いので、翌年の1月15日以降、となっている。
特徴は、「やや緑がかった麦藁色。香りは結構デリケート。アルコール度が比較的高く、柔らかさがあり、ほろ苦さが残る。」となっている。
実際は、結構ボリュームのある白が多い。標高がそう高いわけではないし、海に近いし、そういう意味で、はっきりした、わかりやすいワインだと思う。香りは熟した柑橘などに、マッキア・メディテラネアmacchia mediterraneaと呼ばれる、緑と塩が混じった香りが必ずある。そして、味に、酸味は抑えられているが塩味がはっきりあえい、ほろ苦さが心地よい。
場所柄、魚に、それも夏の暑い時に食べる魚料理に合わせたいワインである。

安くておいしい筆頭はカンティーナ・ガッルーラCantina Galluraの「カナイリCanayli」だが、個人的には、ちょっと高いがカピケーラCapicheraのものが好きである。(DCGでなく、IGTにしているのが多いが。。)

マリリアーノのパネットーネ

2007-12-22 19:01:34 | もろもろの食べ物
Panettone di Pasquale Marigliano -Campania
パネットーネがこんなに美味しいものだったとは。びっくり、びっくり、いや~、本当にびっくり!
パネットーネとは、ミラノ発祥のイタリアを代表するクリスマスのお菓子である。大きなスポンジケーキみたいなもので、ころっと丸い形がかわいい。
でも、たいていのパネットーネは、お世辞にも美味しいとは言えない。
同じようなクリスマスのケーキに星の形の釣り鐘型のパンドーロがあるが、こちらは、結構ファンが多い。だんぜんこちらの方が人気がある。
パンドーロは卵をたっぷり使って、中は何も入っていないシンプルスポンジケーキ。粉砂糖をかけて食べる。
パネットーネは普通、ドライフルーツ、または、干しレーズンが入っている。ただでさえ、パサパサして、そこに、おいしくもないドライフルーツを細かく切ったものが入っていて、ひと切れ以上は勘弁して欲しい、と個人的に思っている。(それでも、たまにはなかなか美味しいものに出会うこともある。我が家の近くに、チョコチップ入りパネットーネを造っている有名なお菓子屋さんがあるが、これは美味しいので毎年買う。)
しかし、マリリアーノのパネットーネを食べた時、これはまるまるひとつ食べられる(かなり巨大だが)と思った。それくらい、美味しかったのである。
色がきれいな黄色。着色ではない。卵をふんだんに使っているのがわかる。穴あきチーズみたいに、ぼこぼこ穴が空いている。甘い香りがたち、食べるとふわふわとやわらかくて、ドライフルーツもやわらかく、味がある。上に乗っているアーモンドスライスにも香りがある。
こんなに美味しいパネットーネが世の中に存在していたとは!
作ってるのはどうせミラノあたり?と思ったら、なんと、ナポリだった。(ナポリの人、怒らないでください)も、それもヴェスヴィオのふもとの無名の場所。そして、造っている職人はまだ34歳。数々の賞を取っている。いや~、本当にびっくり。

”アユート 2005” トリンケロ

2007-12-22 02:46:13 | Piemonte ピエモンテ
“A-iuto! 2005” Trinchero -Piemonte
面白いワインである。
ピエモンテのアスティで、こんなワインを造っていることも、不思議である。
と言うか、トリンケロがこんなワインを造っていたなんて。(トリンケロはバルベーラが得意です。)
品種は、マルヴァジア、シャルドネ、アルネイス。品種も面白い。
色は、濃い目のコハク色で、かなりのつやがある。一瞬、ピノ・グリジョのロゼ版の変形?と思うが、香りが違う。
香りは、ドライの花、花は黄色い菊のような。フルーツは柑橘で、オレンジのシロップ漬けなど。甘い香りがあるが、マルヴァジアから来るのだと思われる。揮発性volatileの香り、ちょっと刺激的pungenteな香りもある。他に、ミネラル、除光液の香りなど。
味は、香りとよく同調している。かなりの辛口で、ボディがある。酸がきれいだが、柔らかさもある。そして、塩味が結構あり。白だが皮の漬け込みをしているので、そこからくるのか、タンニンの渋みを感じるくらい。
色も、香りも味も、どれもがsorpresa(びっくり)。実に面白いワインである。
ネーミングは、そのまま読めば、aiuto、つまり「助けて!」。でも、別に困っているわけではない。ヒサトさま、ご無沙汰してますが、お元気ですか?

”サッサイア 2006” アンジョリーノ・マウレ

2007-12-21 22:47:41 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
“Sassaia 2006” Angiolino Maule –Veneto
Angiolino Mauleは、La Biancaraというワイナリー名でも知られている。
ヴェネト州、ガンベッラーラにあるバリバリのビオ系ワイナリーである。
裏のラベルには、「亜硫酸を添加していないが、亜硫酸を含む」との、ごく正しい注意書きが書いてある。普通、亜硫酸を添加しなければ、それだけを記すが、確かに、添加しなくても、醸造の段階でおのずから生成されてしまう亜硫酸が、わずかだが存在している。それをご丁寧に語ったのである。まあ、わざわざ、言う(書く)必要はないよね、っていうのが大勢の意見だと思うが。。。(でも、この律儀さがマウレ氏なのだろう。)
他、裏ラベルにはノンフィルターとも記されている。(でも、これはたいして珍しくない。)
興味深いのは、火山性土質、と書いてあることである。ヴェネト州で火山性???と思うのだが、ヴェネト州でもガンベッラーラだけは、火山性土質なのだそうだ。

品種は、ソアーヴェの主力品種で知られるガルガネガが80%にトレッビアーノが20%。
色は黄金色。やや曇っているvelato。ビオでノンフィルターだから、それもあり。
香りは、色からも想像するに、少し古いワインだと思った。そうしたら、何と2006年ヴィンテージ。やっぱり、ビオは正攻法では太刀打ちできないところがあると実感。ややくさみあり。また、揮発酸volatileを感じる。蜂蜜、石膏風の香り、茹でた肉、白木、花などで、完全に澄んだ香りとは言い難い。(でも、悪くないので誤解のないように。)
味は、辛い。塩辛い。火山性、って記すはずだ、と思ったりして。でないと、どうしてこんなに辛いの??との疑問が解決できない。そして、白だが、皮の漬け込みmacerazioneをしているのでタンニンを感じる。ワインの果肉polpa、厚さなどがきれい。かなりの持続性があり、塩味と蜂蜜のまじった甘辛が余韻に残る。
これで12ユーロは悪くない。しかし、売っている数少ないエノテカ(酒屋)でも、すでにに品切れのところがあり、じゃあ直でと思っても、ワイナリーでも品切れだそうである。

”クレウス 2001” カンティーナ・テルラーノ

2007-12-20 22:46:36 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
“Kreuth 2001” Cantina Terlano –Alto Adige
アルト・アディジェはややこしい。ラベルが読みにくく、なんだかややこしい。
ドイツ語を話す地域なのである。
それも、日常的にドイツ語を話すので、道路標識も独・伊が併記されている。ラベルもしかり。
そして、面倒なのは、併記の際、ドイツ語の方が先に書かれている、または大きく書かれていることである。ラベルを見て、ええっと~、とイタリア語を探す。せめて、イタリア語を先に大きく書いてよね~、今はイタリアなんだからぁ、と思っているのは私だけではないと思う。
このワインは勝手にイタリア語読みした。「クレウス」。ドイツ人に聞くと、絶対に発音が違う!と言いかえされるような気がするが。。。

さて、このワインは今でも発売されているが、このヴィンテージを最後に、ワインが大きく変わってしまったという。確かに、今は木樽(大樽)を使っているようだが、このヴィンテージはステンレスのみの熟成。
品種は、シャルドネ100%。
いや~、きれい、が第一印象である。とにかく色がきれい。濃いめの麦藁色で、黄金に近い。そして、素晴らしい光沢。色もある程度あるので、きらきら星が光っているような印象を受ける、と言ったら、ちょっとオーバー??
香りも、再び、いや~、きれい。すぐにシャルドネとわかる香り。香りの強さがあり、フルーツがとにかくきれい。パイナップル、アプリコット、白桃のシロップ漬けなどが、みんな混じって、フルーツポンチのよう。そして、蜂蜜(mille fiori)とわずかに緑の香り。いかにもシャルドネらしい、溶けたバターの香りとナッツがしっかりあり、香りに隠れるが、ミネラル臭も強い。
味は、インパクトがしっかりある。北のワインなので、きれいな酸味もある。しかし、その酸味が隠れてしまうかと思うほど、塩辛い。チョ~辛い。(この塩辛さは、ワインの特徴なので悪くない。むしろ好ましい。誤解のないように。)香りと同じく、非常に澄んだ味で、後味も長い。

こういうシャルドネを飲むと、イタリアのシャルドネも決して悪くないじゃいない!と思う。

”バルバレスコ・サント・ステファノ 1990” カステッロ・ディ・ネイヴェ

2007-12-18 21:01:48 | Piemonte ピエモンテ
“Barbaresco S. Stefano 1990” Castello di Neive –Piemonte
バルバレスコの生産地域、ネイヴェ村で最も良いと言われるサント・ステファノの単一畑もの。このワイナリーは同じ畑にバルベーラも植えている。(このベルベーラもとても良いので、別の項を参照してください。)
畑の樹齢はかなりの部分が40年を占め、申し分ない。
バルバレスコなので、当然、品種は、ネッビオーロ100%。
色はきれいなガーネット色で、17年もたっているとは思えない色合い。
香りは、最初、かなり閉じている。やや、アルコールがたつ感じもあり。ややくさみがあるが、これが良い。(と言ったら、趣味が悪いとでも言われそう??)ミネラル臭、スパイス臭に、まだ花の香り、フルーツの香りが残っている。プルーン、サクランボ、ドライのバラなど。血、錆、コールタールの香りも混じるが、全体に澄んだ香りでとてもきれい。
味は、酸がきれい。タンニンはまだ感じるが、酸が勝り、塩味がある。ボディも程よくあり。持続性あり。後味は鉄、リコリース、ミント、アニスなど。
熟成は大樽のみ。17年たって、この味と香り。これぞバルバレスコの1本。

”サン・レオナルド” テヌータ・サン・レオナルド その2

2007-12-16 04:06:13 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
1993年ヴィンテージ。これもまたサン・レオナルドらしいヴィンテージ。色はとても奇麗なガーネット色。ほんのわずか、爪にオレンジ色が見える。香りに凝縮感compattoあり、複雑で、かなり良い。バルサム臭、キーナ、ミント、ユーカリ、香草、そして、柑橘系の香りが混じる。味は、やわらかく、ボディがあり、タンニンのまろやかさが良い。後味は期待通り。
1997年。神話的ヴィンテージ。でも、必ずしも良いとは限らない。また、長期熟成向きとは限らないので注意。色は、かなり凝縮感がある。濃いめのガーネット色。香りは、ユーカリがはっきり、それにフルーツの甘さがプラスされている。果肉carnisita’を感じるくらい。+バニラ、スパイス。味は、かなり複雑で、ボディとエレガントさの両方を兼ね備える。後味にフルーツが残り、とてもきれい。
2000年。色に凝縮感あり。ルビーとガーネットの中間色。香りは、なかなか良い複雑性が出ている。スミレ、プルーン、ブルーベリー、バニラ、香草など。味には広がりがあり、タンニンがエレガントで、後味も長い。
2001年。完全にフェリーニ氏に移行してからのヴィンテージ。色はかなり濃い目のルビー色。香りは、バニラとフルーツの甘さに、ユーカリ風の香りがほのかに感じる。スミレ、ラベンダー、カカオなど。味は、塩味がかなりあり、タンニンがきれい。
2004年。アンテプリマ(発売前)。色がかなり濃い。暗めのルビー色。香りは、まだ若過ぎ。ミネラル、熟したフルーツ、バルサム臭など。しかし、馬の汗風の香りもよぎる。味はボディあり、フレッシュ感ありで、若いのにタンニンに柔らかさがある。まあ、良くできている。
2000年、2001年を境に、エノロゴの交代と共にやはり変化が見られる。タキス氏が造っていた時もモダンだったが、フェニーニ氏になりさらにモダンになった感じ。また、国際色が増した感もある。まだワインが若いせいもあるとは思うが、タキス氏の時代の方が面白みがあったように思うのは間違いか。


”サン・レオナルド” テヌータ・サン・レオナルド その1

2007-12-14 23:17:53 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
"San Leonardo" Tenuta San Leonardo -Trentino
トレンティーノの有名ワイン、「神話的ワインmito」とも言われるサン・レオナルドを1985年から2004年まで16ヴィンテージ、縦に飲んだ。
もう7~8年前に一度、10ヴィンテージ位を飲んだことあるので、これで2度目である。
サン・レオナルドの初リリースは1982年。2000年までは、サッシカイアのエノロゴ(醸造家)ジャコモ・タキス氏が造っていた。その後は、やはり高名醸造家のカルロ・フェリーニ氏にバトンタッチされている。
品種は、カベルネ・ソーヴィニオン60%、カベルネ・フラン30%、メルロー10%のボルドータイプ。
いくつかのヴィンテージを紹介。
1985年ヴィンテージから。色はガーネット色で、爪がオレンジがかる。凝縮感、つやがあり、とてもきれいな色。香りは、良く熟成している感じが出ている。葉巻たばこ、キーナchinaにミント(サン・レオナルドの特徴的な香り)が加わる。タンニンはほとんど感じず、すっぱいくらいの酸味と、塩味。細くエレガントな感じ。
1986年。澱がかなりある。全体に堅い香り。味は果肉polpaの手ごたえ(歯ごたえ)があるが、持続性はやや短め。
1988年。サン・レオナルドらしいスタイルのヴィンテージ。確かに、これを飲むと、熟したサン・レオナルドはこうあるべき、というイメージが見えてくる。色はきれいなガーネット。とても良い複雑性があり、バルサム臭balsamicoにフルーツのコンフィの甘さが加わる。まだ若さが残っている感じ。味は、酸、塩味とタンニンのバランスがとても良い。ボディとエレガントさの両方を持つ。後味にまだフルーツが残るくらい。
1989年、1992年、1998年、2002年は生産していない。
1992年。最初から評価が低かったヴィンテージ。天候もあまり良くはなかった。でも、こういうヴィンテージこそどんな感じになっているか興味がある。色は、暗めのガーネット。香りは、全体に細いsnello感じ。ミネラル臭、アニマル臭(馬という感じ)、タバコなどで、エレガント言えばそうだが、香りは長くない。味も細めで力がない。後味も消えてしまう。

レストランの支払いは誰??

2007-12-12 17:52:44 | 行ってはいけない
昔、知り合いがやっているAというレストランに時々行っていた頃、お勘定をお願いするたびに、「今日は、誰が払うの?もし、君が払うのなら言ってよね。」と言われた。
「仕事だから、お客様が払うから。どうもありがとう。」と返していた。
ある時、この話を、家に帰ってイタリア人のダンナにした。
Aに行くたびに、いつも優しくそう言われる。私が友達と行って、自腹の時には、きっと安くしてくれるだろう、と。そうしたら、笑われた。ダンナ曰く、反対だよ、と。何が反対??と思ったが、つまり、それは、プライベートの時は、少し安くするかもしれないけれど、仕事なら、少しくらい高くてもいいじゃない、ということらしい。
ダンナもAの店主を知っている。なるほど、そう言われれば、そうかも。。と思うことも出てきた。
前にも書いたが、イタリアのレストランは、頼んだ合計額通りに行かなくても不思議じゃないし、お勘定とメニューをいちいち見比べたりしない。だから、少しくらい高い金額を請求しても、バレない確率の方が高いわけである。
もし、見比べて間違いを発見しても、店主に「いやー、間違えただけ、悪いねぁ、よく間違いを発見したねぇ、ありがとう、ありがとう。」などと言われれば(こういう場合、イタリア人はやたら饒舌になる)、それ以上責められない。
なるほど。以来、誰が払うの?とレストランに聞かれるたびに、どちらの意味で聞いているのだろう?と考えてから答えを言うようにしている。

日本語メニューとイタリア語メニュー

2007-12-11 00:02:17 | 行ってはいけない
少し前に、昔よく行っていたレストランの話題が出た。バルベリーニ広場近くの肉料理の美味しいレストランTである。
その頃は、仕事で随分使っていたのだが、ある時、ふっと気がついたことがある。
私はイタリア語のメニューの方がニュアンスがよくわかるので、必ずイタリア語のメニューを持ってきてもらう。日本の人には、日本語メニューがあれば、その方がわかりやすいから、レストランの人は気を利かせて持ってきてくれる。
それを見比べていたところ、何と値段が違ったのである。日本語メニューの方が高くなっている。日本語メニューの値段の方が安い場合は、値上げ後の書き直し忘れていると思われるのでかわいいものだが、日本語の方が高いということは、お金持ちニッポン人を狙った、悪質な仕業としか思えない。
また、イタリアのレストランの場合、他のページでも書いたが、頼んだ合計通りにいかないことが多い為、これだけ頼んでこの値段ならよし、という感じでチェックを見るのが普通である。いちいち頼んだものと照らし合わせない。(と、思う。もちろん、ちゃんと見るイタリア人はいると思うが、値段をはっきり覚えていない場合、お勘定の後に、もう一度メニューを頼むという格好悪いことになる。)
このレストランの場合、その少し前から、なんとなく値段が高くなっているような気がしていた。行くたびに、なんだか、なあなあな計算になっているような気がした。と、思っているところ、イタリア語メニューと日本語メニュの値段が違うことを発見。
当然、店主には文句を言い、それ以来、一度も行っていない。
でも、これはイタリアでは、きっと他でもあり得ることである。