在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Foradori 4 teroldego フォラドーリ 4種

2015-02-10 20:03:20 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
Foradori 2013
Sgarzon 2012
Morei 2012
Granato 2011
Frodatori フォラドーリ



フォラドーリのワインの夕食にお誘いいただいた。
フォラドーリは白ワインも造っているが、テロルデゴ4種に的を絞って、4種の飲み比べ、そして、それに合わせたメニューの夕食という趣向である。
テロルデゴに的を絞った趣向はかなり良い。この手の食事会は、最初は白、そして赤、という風に、ワイナリーの展望を紹介するケースが多く、もちろんそれも悪くはないのだが、それでは、ワインも美味しい、食事も美味しい、で終わってしまう。
もちろんワインも食事もただ美味しければ良いのかもしれないが、それではもったいない。
せっかくなら、やはり何かを比較したいものである。
ちょうど良い具合にフォラドーリはテロルデゴを4種造っている。というか、赤はテロルデゴのみである。そこで、白はおいておいて、赤4種の試飲。

企画はカンポ・ディ・フィオリのすぐ近くにあるL’Angolo Divinoのマッシモ、30人弱の参加である。
L’Angolo Divinoはカンポの広場からすぐ近く、広場はある意味どうしようもない、客引きを頻繁にやっているレストランやカフェの多いところだが、ちょっと離れるとなかなか良いところがいくつかある。そのうちの一つ、超真面目なマッシモ氏の経営、広場からわずか1分、良いロケーションである。
店内は木をふんだんに使い、おしゃれ。この場合のおしゃれは、モダンという意味ではなく、ワイン好きにとってのおしゃれという意味。有名ワインの本物の木箱をテーブルや店内の装飾にふんだんに使い、ワイン好きにとってはたまらない。
自然派ワインを多く取り揃えているが、有名どころワインも欠かしていない。
ワインを買うだけでも、ちょっと一杯飲むだけでも、そして、軽く食事もできて便利な場所である。

フォラドーリは北イタリア、トレンティーノの、超有名、大御所ワイナリーの一つである。
そして、正真正銘ビオディナミ、15年前からということで、イタリアではかなり古い。念のため、ビオロジックではない。
自然派ワイン、それもビオディナミのワインというと、臭いワインが多いが、フォラドーリのワインは全く臭くない。つまり、自然派ワインだから臭いとか、自然派ワインは臭い、などの認識は正しくないことがわかる。
そして、一部のワインにアンフォラを使用している。



造っているワインは白2種、トレンティーノのクラシックな品種、ノズィオーラと、マンゾーニを使ったもの。
赤は4種、全てテロルデゴで、オーナー女史エリザベッタのテロルデゴへの愛着がうかがえる。単一品種とはいえ、そのクローンは現在は15種ほどになるとのこと。



Foradori (2013?) +++
昔、それはしょっちゅう飲んだワイン。あのころはワイン評価本がそんなにたくさんあったわけではなく、みんなガンベロを見ていた。ガンベロが出していた、トレ・ビッキエーリとは別に、品質と値段のバランスの良いワイン(qualita’ - prezzo)を挙げた雑誌を出していたが、その常連だったワイン。安くて抜群に美味しかった。
今も美味しいのだが、残念な事にあまり値段は安くはなくなってしまった。
色が明るく、濃いめで輝きがあり、とても魅力的な色。よく熟したフルーツがふくよかで、甘いスパイス、辛めのスパイスがほんのり混じり、とても心地よい。味のインパクトはやわらかく、まろやかさと酸味のバランスがよく、まとまりがある。


Sgarzon 2012 +++(+)
アンフォラ使用。アンフォラで6ヶ月の熟成。写真を見ると、アンフォラはグラヴネルのように埋めてあるのではなく、カンティーナに置いてある。現在120のアンフォラがあるそう。
香りも味もやや酸味が立つ。酸味のあるさくらんぼ、次の Moreiと比べて、血の香りがやや少ない。味も酸味が勝り、余韻にも残り、透明感があるのだが、ふくよかさに欠け、やや細身の印象。
Morei 2012 ++++
同じく、アンフォラ6ヶ月。畑が違う以外、Sgarzonと同じように造っているとのこと。この比較が面白い。どちらも標高250m、若干向きは違うというが、 Sgarzonは粘土に砂が混じる。片やMoreiは粘土に石が混じる。あとは造り方は同じでこの違い。非常に面白い。
血の香りが非常に強く、より複雑でふくよか、フルーツの香り。よりバランスが取れている。味のインパクトがよく、余韻に、酸味とともにほろ甘い感じが残る。




Granato 2011 +++++
3つの畑を混ぜたもの。色が再び若く、明るくなり、綺麗なルビー色。熟したフルーツに、ややアルコール漬けのものも混じる。より複雑で、奥にわずかグルーンの香りが全体を引き締めている。タンニンがまろやかで、甘いくらいのフルーツの余韻がとても心地よい。まだ若く、あと5年以上たって飲みたい。






5 schippettino + Barolo Chinato Cappellano スキオペッティーノ5種+カペッラーノ

2015-02-05 13:41:22 | Friuli フリウリ
schiopettino スキオペッティーノ5種
Ronchi di Cialla 2009
Bressan 2007 x2
Dario Coos 2013??
Gigante 2010??

Barolo Chinato Cappellano カペッラーノ



ああ、ワインのことをイタリア語で書くとやはりすぐに反応が来てしまう。
すべてのワインのことをよく書きたいがそうはいかない。
ただ飲むのでもいいのだが、自分のメモ的目的も含めて評価をすることもある。
評価なんて関係なく、美味しい!(または、まずっ!)とか言って飲んでいるだけが幸せなのだろうが、そうはいかないのが職業病みたいなもの。

いつもの「サロン」Il Vinaiettoでなぜか突然schioppettinoの夕べとなった。
原因はschioppettino2本を持ち込んだ奴がいたからである。

+++でかなりよい。あとはプラス、マイナス。



Ronchi di Cialla +++
まず開けたのはCialla。これは持ち込み。モダンな感じが出ていて、重たすぎず、バランスがとてもよい。香りの強さも良く、フルーツとスパイスのバランスが良く、味もインパクトがあり、納得の味。このままでもいいが、肉料理にぴったり合うワイン。万人に受けそうなワインで個人的には好み。

Bressan 1本目 ++++(ただし、自然派好きでない人には++かも)
これも持ち込み。少し前(数週間前)にも飲んでいるのであるが、かなり個性的。フルーツの香りに青い香り、スパイスの香りが覆いかぶさるよう。バルサミコ、いろいろな香草、そして、オリエンタルスパイス。酸味がきれいで余韻も長く、個性的。自然派ワインが好きでない人には受けないと思うが、個人的には個性に評価を置いて好きである。

Dario Coos ++
これは持ち込みではない。なお、グラス売りようにすでに開いていたもの。ブレッサンの後であることもあるのだが(できるだけ前後のワインに左右されないように気をつけてはいるが)どうしても影が薄くなってしまった。品種の個性はある。色も濃いし、よく熟したフルーツに程よい酸味、味も決して悪くないのだが、持続性が劣ってしまう。これだけで飲んでいると決して悪くないワインなのだが。

Gigante +++
これも持ち込みではない。グラス売り用ではないので開けた。これはちょっと驚き。ジガンテのスキオペッティーノはあまり記憶にないのだが、なかなかいい。Ciallaを一回り小さくしたくらい。ただ、値段は安くなるはずなので、だとしたら結構買いかもしれないと思う。新しい発見。

Bressan 2本目 +++++
正確には3本目。持ち込み。
なぜか、何を思い立ったのか、2本目を買いに行った。2005年を探しに行ったのかもしれない。ただし当然売り切れ、なぜかまた2007年を買ってきた。ところが、これがわずか、ほんのわずかコルク臭だったのである。普通の人は絶対に気がつかないくらいであったが、取り替えに行く、と行って、3本目を持って戻って来た。(ごめんなさい~)
で、この3本目がかなり良かったのである。基本的には1本目であったような緑の香り、オリエンタルスパイスがベースなのだが、緑の香りがやや弱く、その分フルーティー、としてスパイシーな香りが際立ち、そこに透明感とエレガントさ、若干の軽やかさが加わり、いいね~と。ただしかなり個性的なので、好みは大きく分かれ、好きでない人も多いかも知れない。



余談が加わると、その後のお開きはCappellanoのBarolo Chinato。個人的にバローロキナートはあまり好きではないのであまり飲まないが、カッペッラーノのだけは別。これは実に芸術的なバローロキナートだと思っている。
複雑な香りと味、甘すぎないくらいの口当たり。こういうワインは評価なし。ただ飲むだけのものである。至福。