在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

ワインを語ろう 第5回目 マルケ州のワインの紹介

2021-10-27 19:09:26 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
マルケ州のワインの紹介





回数が前後してしまいましたが、こちらが5回目の記事、マルケ州のワインです。

日本の方にとってはちょっとマイナーな州ですが、ふらっと夏のバカンスに(海岸線がとても綺麗)、また、白ワインのとても美味しい州です。


マルケ州のワイン


マルケ州のワインのキーワードは

* 代表の品種は何と言っても、ヴェルディッキオ。
* 白と赤の生産量は、意外やほぼ半々。白ワインが有名だが、今は赤も注目度が高い。
* ややマイナーな州でもあるため、品質と価格のパフォーマンスが抜群に良い。

Palazzone; i vini 'atti a divenire' これからワインになるワインの試飲会

2018-10-27 12:30:07 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Atto a divenire



少し前だが、ウンブリアはオルヴィエートのワイナリーPalazzone主催の、変わった趣向の夕食、試飲会に参加した。

パラッツォーネは、友人のパオロがオーナーと非常に故意にしていて、お呼びがかかり、ローマからオルヴィエートまでの1時間ちょっとの道のりを、夕食の時間に合わせて車でトコトコ。

夕食後、ローマまで帰って来ないといけないので、一応控えて飲むとはいえ、日本では絶対にできない。

さて、変わった趣向というのは、パラッツォーネのオーナー、ジョヴァンニ氏が、昨年だか、友人と話をしていて話題に出たのを実現したのだそうだが、 これからワインになるワインの試飲。(なんじゃこっちゃ)
つまり、まだどのワインになるか、名称が決まっていないワインの試飲。



ワインは、食事のお皿に合わせて5種。
ースプマンテ・メトド・クラシコで、現在熟成中
ーこれからどうなるかわからない白ワイン
ー現在熟成中の白ワイン
ーこれからどうなるかわからない赤ワイン
ー発酵中の白ワイン



各ワインは、まだ濁りが残っていたり、糖分が感じられたり、色がまるでフルーツジュースだったり、酸味がピリッと来るのもあり、軽め、まだシンプルにフルーティさが突出していたり、とても面白かった。

ワイナリーを訪問すると、タンクからちょっと試飲させてくれることはよくあるが、ちょっと飲んですぐに捨ててしまう。
だから、 こうやってテーブルについて、食事と一緒に「真面目」に飲んだのは初めて。

食事も大変美味しく大満足。

そして、食後、ジョヴァンニ氏と数人で、開けてくれたバルバレスコを飲む。
アルビーノ・ロッカの2011年。

あーローマまで帰るのが面倒〜ここに泊まりたい〜(それは素敵な宿泊所も経営)
の夜だった。





バルバレスコの美しい色


Verdicchio di Matelica 2013 Collestefano

2018-06-09 20:47:13 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Verdicchio di Matelica 2013 Collestefano



値段が安くて美味しく、さらに本物のビオであると言うことも含めると、なんといってもダントツに良いのはこのコッレステファノ。

今時、10ユーロ程度で(最近は多少値上がりしているかも)この品質、この味わい、そして、本当に体に優しいビオ、と何もかもが揃ったワインはそうない。

マルケ州のヴェルディッキオは、大きく二つの地域に分かれるが、コッレステファノは、範囲が狭く、生鮮者数も少ないマテリカの方に位置する。
畑には草が生え、ぶどうの木が自然と共存してすくすくと育っている。
本物のビオ。



よく熟したレモン、グレープフルーツ、レモンの砂糖漬け、柑橘系の小さな花、サルヴィアなどの香草の香り、ミネラルに氷のような香りも含む。
おだやかで、全体が綺麗にまとまり、それは心地よい。
もう少し(いか、かなり)置いておけばイドロカルブーロが出るかも。。。ちょっと早く開けすぐたような気もしなくはない。
コッレステファノのワインは、非常に寿命が長いからである。

アタックは優しく、その後すぐに酸味が広がる。
コッレステファノの若いヴィンテージは、どうしても酸味が突出してしまうところがあるが、さすがに5年目になるので、まろやかさが酸味を若干打ち消し、酸味が少しは柔らかくなっている。
そして、ほのかな塩味。
余韻は長く、ヴェルディッキオにあるほろ苦さと、ミネラルと柑橘と香草と。。。全てが切れによくまとまり続く。+++++

あと5年置いておいても良かったのだが、と後悔したりもするが、それもワインの楽しみのうち。


Verdicchio di Matelica 2016 Monacesca

2018-02-18 00:49:56 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Verdicchio di Matelica 2016 Monacesca



マルコのところに最近入ってきたばかりのモナチェスカ。
グラス売り用に結構大量に購入したらしい。

ヴェルディッキオと言うと、ほとんどがカステッリ・ディ・イエージで、マテリカはごく少ない。
その少ないマテリカのワイナリーの一つがモナチェスカ。
ミルムが有名。

まだワインの勉強を始めた頃、ヴェルディッキオが好きになるきっかけのワインの一つがミルムだった。
時々購入し、なぜかうち1本がずっと残っていて、何年か前に、だいぶ古くなったミルムを開けたが、とても綺麗に熟成していた。

マルコが大量購入したのはヴェルディッキオの一番ベースのタイプ。

安くて、味良し。



色はかなり濃いめ。
最初はリンゴを思わせるようなフレッシュな感じもあるが、グラスを回すとすぐに綺麗に程よく熟したフルーツの香りに変わっていく。
シンプルすぎず、重たすぎず、程よい強さ、モダンすぎず、安定感のある香り。
アタックもしっかり、心地よいまろやかさを持ち、酸があるが、ヴェルディッキオのほろ苦さがすぐに隠してしまう感じがある。余韻の長さも申し分なく、満足感あり。
値段も考慮すると、満足感倍増。+++(+)

Verdicchio di Matelica Riserva Mirum 2000 Fattoria la Monacesca

2017-09-10 21:54:24 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Verdicchio di Mateloca Riserva Mirum 2000 Fattoria la Monacesca




だからワインは止められない。

ローマで大雨が降ったのでガレージを見に行った。
家の近くの広場の地下に造られている。
うちのガレージは、車の進入路のすぐ近くにあるので、まさかとは思うが、水が入っていたりしないか確認に行った。
夜半から降り始めた雨は、ローマでも地下鉄駅が浸水してしまうくらいすごい量になり、久しくガレージを使っていないので、泥棒に入られていないかも心配だった。
(家も2回、ガレージも2回泥棒に入られている)

排水がしっかりしているからか(イタリア語では、Meno male! と言う)ガレージは何ともなく、そこで、ふっとワインに目をやった。

うちにあるワインクーラーは180センチの高さだが、届いたその日にすでに満杯、入りきれないワインをガレージに置いている。
もちろん、すごく良いワインは置いていないし、数はそう多くはない。
そして、極端に古いワインばかり。

2回目に泥棒に入られた時は、何本かが犠牲になった。
目当てはもちろん車だが、ついでにワインも盗って行った。
テキトウに選んだとはすぐにわかったのだが、それでもまずまずのワインが何本か盗られていた。(赤ばかり)

そこで、盗まれる前に(笑)、何本か家に持っていくことにした。
7−8本をテキトウにセレクト。

家に帰ってボトルをきれいにすると、一番液面が下がっていたのがこれ。
肩のあたりまで来ている。ひえー
もうダメかなーと思い、思い切って今晩開けることにした。

ボトルの口は、漏れた液がこびりついて、ほぼ結晶化している。
ワインオープナーをそーーっとコルクに刺そうとしたら、スポーン。
あれー、コルクがドボッと落ちた。。。。。。
うわー、ワインにこびりついた結晶がワインに混じり、濁ってしまうかも?
しばしパニック。

しかし、とにかく一口。。。。。。

うまーーーーい
おいしーーーー
うわーーーーー
すごーーーーい

そこで慌ててデカンタしたのだが、いや、マジで美味しい。

劣化した感じは微塵もなく、つやのある見事な色合い。
蜂蜜。きれいに蜂蜜。 白ワインの熟成香が見事に出ている。
ドライフルーツ、スパイス。。。強さはやや控えめだが、かなり複雑。
一口飲むと。。。これまた美味しい。香りよりさらにいい。
柑橘のコンフィ、マーマレードの味がしたかと思うと蜂蜜、それもとてもきれいに。
程よい酸味がドライフルーツときれいに混じり、余韻が長い。
熟成白の醍醐味。

いやーー、少し前のStefano Bertiのサンジョヴェーゼにも驚いたが、今回もかなりの驚き。ワインが好きで良かったーと心から思った。++++++


Anima Umbra 2008 Arnaldo Caprai

2017-08-14 21:13:24 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Anima Umbra 2008 Arnaldo Caprai




カプライは、世界的に有名なウンブリアのワイナリー。
ウンブリアのワインの歴史の一端を担ったとも言える。
彼らのワインの、トップのものなら10年単位でとっておくことはあり得るが、ベースのものをとっているのは友人ティート(笑)



猛暑から、びっくりするくらい涼しくなったので赤でも、と開けたが、だいぶ冷やした。
(どのみちグラスに注いだ瞬間、温度はすぐ上がる)

若干アルコール臭が強く、熟成香がでているのだが、悪くない。
熟したサクランボからコンフィ、カカオ、チョコレートなどの香りが出始め、甘いスパイスなど、モダンな熟成香が出ている。
酸味ほどほど、重たさはなく、持続性も悪くない。
ちょっと冷やして、タンニンが出るくらいが丁度いい。
モダンなワインでも丁寧に造っていれば結構もつ。なかなか美味。
+++(+)

Verdicchio dei Castelli di Jesi Vigna di Gino 2015 Fattoria San Lorenzo

2017-02-17 11:05:39 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Verdicchio dei Castelli di Jesi Vigna di Gino 2015 Fattoria San Lorenzo



こちらが夕食に選んだワイン。
パオロとあーだこーだの相談の上、選んだもの。

なかなか良い小さなエノトラットリアで、ワインリストの数は少ないのだが、悪くないものが揃っている。

ヴァルディッキオは好きな品種であるのと、このワイナリーには以前行ったことがあり、結構好き。
小さな池にアヒルがいて、そのアヒルがワイナリー内を闊歩していたのを覚えている。
認証はないが、古くからのビオ。そして、多分ビオディナミ。

パオロ曰く、ちょっと甘すぎ、だが、これはベースに当たるはずで、そう甘くないはず、で決定。

ヴェルディッキオを選んだせいか、パオロとすっかり仲良くなっているオーナー氏が同じヴェルディッキオのビオディナミ(Chiaroro)を出してきて、のっけから、全く違うヴェルディッキオのビオ2種の試飲となった。

さて、ナタリーノ氏の造るサン・ロレンツォのワイン。
いくつかヴェルディッキオでワインを造っているので、飲み比べると面白い。



色は薄め、輝きが綺麗。
香りは、キアローロと比べるといたってフツウの香り。(笑)
小さな白い花、フルーツがほのかに香る中、ヴェルディッキらしいほろ苦さが感じられる。シンプルだが心地よい。
味も、アタックがきれいで、酸味が強くはない分まろやか、小さくまとまった軽やかさがある。
突然キアローロと比べることになってしまったので、こっちはベースだし、キアローロのような個性には当然欠けるが、食事中、飽きない良さがある。+++

Chiaroro 2013 Cameli Irene

2017-02-16 23:36:57 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Chiaroro 2013 Cameli Irene



友人パオロが夕食に誘ってくれた。このところパオロのお気に入りの小さなエノトラットリア(このところちょっと聞く新らしい造語)。
まだ比較的新しくて、ワインの品揃えがすごいわけではないが、なかなか良いものを揃えている。

魚が中心なので白が多い。
パオロも私も白ワインは結構好きなので白で良いのだが、二人で選ぶとなると結構、あーだこーだ。
結局選んだのは軽めのヴェルディッキオ。

ヴェルディッキオを選んだからか、もうすっかり友人になっているオーナーが、飲んでみて、と出してきたのが、これ。
これもヴェルディッキオで、ビオディナミだそう。
2日前に開栓したとのこと。



このワインは知らない。初めて。

ビオらしいかなり濃いめの色。
香りは、オーナー氏曰く、すぐにミントを感じたと言うが、ミント、ユーカリ、サルヴィア、そして、コルベッツォロのハチミツ風の香りが混じっている。微妙にスモーキーな香り。
思うより酸味が感じられない。マセレーションから来るタンニンをわずか感じる。余韻はまずまずの長さ。
全体に複雑なわけではないが、ビオによくある臭みがなく、安定した香り、飲みやすい。+++(+)

前菜のマグロのタルタルに実にぴったりだった。

Verdicchio di matelica riserva 2013 Maccagnano

2017-01-14 17:13:06 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Verdicchio di matelica riserva 2013 Maccagnano


ヴィニタリーで2度ほど縦飲みしている。
新しいヴィンテージで結構よかったもの。
20年記念ヴィンテージ。



熟したフルーツの香りはあるが、甘い香りより、ミネラルやスパイス、木質系の香りの方が立ち、キリッと出ている。緑の香りが強いヴェルディッキオと比べると、もっとしっかりタイプ。
アルコールはあるのだが、感じさせず、しっかりした味わい。まろやかさもあるのだが、それに加え、もう少ししっかりした印象。酸味はほどほど、ややほろ苦い感じがヴェルディッキオを思い出させる。そして、フルーツが再び余韻に出てくる。



個人的にはヴェルディッキオはかなり好きで、イタリアの白の土着品種のなかでもかなり好き。
なんとなく開けてみた1本。++++

今日は少し暖かいが、イタリア中、寒い。
ローマの自慢の噴水には氷柱ができていた日もある。
そこでこのところ家飲みが増えている。。。

Gaiospino 2005 Fattoria Coroncino

2016-11-06 21:42:12 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Gaiospino 2005 Fattoria Coroncino



コロンチーノは、マルケのワイナリーの中でもとてもよいワイナリーだと思う。
本当の自然派。つまり、最近多くなった、ニセのというと失礼だが、ちょっと疑わしい自然派が増えている中で、昔からの本当の自然派ワイナリーである。

あひるのラベルでおなじみだが、本当にかわいいアヒルがペタペタ歩いている。
(ガイオスピーノのラベルにはあひるは登場しないのが残念。かわいいのに〜)

ワインはたくさんあれども、気軽に飲めるワインばかりではなく、うーーんどうしよう、と一瞬迷ったが、ガイオスピーノを開けてみた。
これはずっと(なんとなく)ガレージに保管していたワイン。
(ワインクーラーが常にほとんど一杯状態であることもある)

さて、ガレージには何度か泥棒が入っているが、たいていの場合、ワインまでは盗んでいかない。しかし、最後に入られた時、1−2ケースが盗まれたことに気がついた。
まずまずのワインだったのでホッとしたのだが、ワインのことが何もわからないド素人の泥棒に飲まれていると思うとちょっと悔しい。

なぜかというと、バルバレスコやらペルゴレトルテなどはそのままになっているので、ワインのことがわかっている泥棒とは思えないからである。

ガイオスピーノも何故か盗まれずに残っていた。

ガレージは、当然ワインの保存には適していない場所なので、いい加減避難させないとと家に持ってきて、しばらくワインクーラーに鎮座していた。

少し前に開けた、やはり盗まれずに残ったバルバレスコがちょっと行き過ぎていた感があり、しまった、やっぱりガレージは保存にはマズイかも、と思って、ダメになっているかもと思い開けてみたのだが、こちらは非常に良くなっていた。


品種はマルケの土着品種、ヴェルディッキオ。個人的に大好きな品種。
イタリアの土着品種、白もいいよ〜、と思わせる品種。

色が輝くような黄金色。暖かい色合いで、まだ衰えは見せていない。
ここで期待。
よく熟したフルーツの香り、と言ってもべたっと甘くはない。ほろ苦さのあるマーマレード、ドライナッツの香り、スモーク臭など、かない複雑、そして、綺麗に熟した白ワインの風格が出ている。
味はまろやか、酸味はあるが、まろやかさが覆いかぶさっている。しかし、タンニンを思わせるほろ苦さとスモークを思わせる香りが非常にうまくマッチして、持続性がある。最初はまろやかで甘いイメージなのに、最後はキリッとした印象に変わる。++++(+)

白ワインでも10年以上経っても十分いける、というか、10年経って美味しい。
「白ワインを熟成させてから飲もう」運動(「白ワインをすぐに飲まない」運動でもいい)でも始まれば、ぜひ応援したいのだが。



今手に入るのは2013年。。。。しばらく置いてから飲んでね。

ファットリア・コロンチーノ / ヴェルディッキオ ガイオスピーノ [2013] Fattoria Coroncino / Verdicchio Gaiospino 750ml
ファットリア・コロンチーノ
ファットリア・コロンチーノ

Verdicchio di Matelica Vigneti B 2014 Belisario ヴェルディッキオ 2014 ベリサリオ

2016-03-16 00:40:03 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Verdicchio di Matelica Vigneti B 2014 Belisario
ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ ヴィニェーティB 2014 ベリサリオ



こちらがデルトーナに続いて、別の友人が開けたもう1本。
がらっと変わってヴェルディッキオ。
ヴェルディッキオはマルケ州のお家芸、これまた大好きな品種。(ワインを選ぶとき、選択に困ったら結構ヴェルディッキオを選ぶ。。)

さて、ラベルがとてもいい。ヴィニェートBのBはビオのBだそうだ。
ラベルは、全くなんの説明もなくて普通だが、それでも何かしらの説明があるとわかりやすい、手に取りやすい、印象に残りやすい。
逆に、バックラベルにくだくだと説明書きがあるワインがあるが、わかりやすくて嬉しい反面、長すぎてしつこかったり、また、字があまりに小さく読みにくかったりいろいろ。
このワインは、フロントラベルに実にシンプルでわかりやすく、そして印象的な説明書き。

  ヴェルディッキオのスタイル。個性ある偉大なる白ワイン。ビオは栽培の方法、ビオは畑の間を縫って歩く人たちの哲学。そこには、野ウサギやキジ、昆虫やちょうが飛び交っている。つまり、それがB(ビオ)の畑。

いいね~

色が2014年なのにかなり濃いめ。
そこで、どんと重たい感じを想像してしまうが、意外なことに酸味が綺麗で、しかし、尖った酸味ではなく、色からイメージしていた重たさもない。
ほんのりフルーツの香り、柑橘の香りが、最後、ほろ苦さと一緒になって、みかんの香りに感じた。
ヴェルディッキオは食事を引き立てるワインだと思うが、これは繊細さも持ち合わせていて、主張しすぎず、日本食にも合いそうな予感。

Palazzone Musco 2013 e gli altri vini パラッツォーネ

2015-10-24 22:17:51 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Palazzone パラッツォーネ
Musco 2013 e gli altri vini



パラッツォーネのジョヴァンニ氏自らローマに来てのラフな試飲会があった。
ワイナリーのあるオルヴィエートはローマから車で1時間もあれば着くところなので、ジョヴァンニ氏には時々お目にかかることはあるのだが、今回は新作ワイン「ムスコ」のお披露目も兼ねていたので行ってみた。
場所はローマの南、ちょっとはずれにあるミクソロジーにて。ミクソロジーとは何かと思ったのだが、エノテカではなく、カクテルを中心に教えている教室だった。明るく、設備はかなり整っているよう。なるほど、今はこんなところも造られているのかと結構感心。ワイン系の催しはリゼルヴァ・グランデを主催しているマルコ氏がオーガナイズしているらしい。立ち飲み、比較的時間が自由で、気さくな雰囲気、かしこまらなくていい。

一角にジョヴァンニ氏。かなりの人の入りだが、気さくにワインの説明をしながら自らグラスにワインを注いでいる。
パラッツオーネのワインは気取らない、気張らないところがいい。そんなところ、ジョヴァンニ氏の人柄が出ているような気がする。


Grek 2014 grechetto
軽く飲みやすいワインだが、きちんと造っていてそれなりの存在感がある。フィニッシュがややほろ苦いが、それも心地よい。夏はきりっと冷やして飲むとより美味しい。++

Tixe 2014 pinot grigio
そういえばピノ・グリジョを造っていた、と思い出した。中部イタリアではかなり珍しい。ティクセという読みになるのだろうが、反対から読むとEXITで、この方が覚えやすいような気もする。こういうユニークさは面白い。
ピノ・グリジョは一般には白ワインだが、これは玉ねぎの皮の色が付いたブラッシュ・ワイン。個人的には色のないピノ・グリジョより色のついたものの方が好み。6時間のマセラシオンとのこと。フリウリあたりのピノ・グリジョより色が濃く、香りにも味にも強さが出ている。これも最後はややほろ苦いが、心地よく続く感じ。+++

Terre Vineate 2014 Orvieto Classico Superiore
やや中途半端なワインだと思うが、造っている場所がオルヴィエートなのでオルヴィエート(ワイン)も当然造っている。オルヴィエートは、伝統的、歴史的に最もよく知られているイタリアワインの一つだが、安くて水のような、軽いというより薄いワインが多い。そんな中、これは2種あるうちの下のランクのものだが、丁寧に造っていて、数あるオルヴィエートの中では最も良いものの一つ。++(+)

Campo del Guardiano 2013 Orvieto Classico Superiore
これもオルヴィエートなのだが、オルヴィエートとして飲むより、普通のブレンドワインとして飲んだ方が良いような気がする。ジョヴァンニ氏も大好きというが、看板ワインと言えるワイン。やや濃いめの色調。黄色い花とフルーツの香りが綺麗に出ていて、複雑性は申し分ない。味は、まろやかなところに加わる酸味が味を引き締め、なかなかエレガント。とても美味しい。万人受けするタイプだし、料理は魚中心に幅広く合わせられるタイプのワイン。++++

Rosso 2014
軽くいたって飲みやすいワイン。夏に少し冷やして飲むのもいい。++

Piviere 2013 sangiovese
ロッソとアルマレオの中間的存在。 やや軽め、若飲みタイプのサンジョヴェーゼ。++(+)

Armalo 2013
色が濃く、魅力的な色。ややアルコールは上がるが、フルーツの香り、甘いスパイスと続き、味のインパクトも良く、ボディもあり、タンニンがかなりしっかり感じる。持続性も良い。地元の料理、イノシシなどの肉、キノコ、スパイスを使った料理にピッタリ。+++(+)

Musco 2013
これが噂の、というとオーバーだが、2年経ってリリースされたパラッツォーネの新作ワイン。新作、というのがふさわしいと思う。他のオルヴィエートと同じでプロカニコ主体。小さな洞窟のようなところで、昔使っていた縦型、手動の圧搾機を使い、木の樽で発酵、熟成は栗の木の樽、そして、ダミジャーナという大きなボトルも使い熟成。
50年前、おじいさんが造ってようなワインを造る、というコンセプトで造られたそう。当然、人口酵母は加えていない、自然の恵みそのままのワインである。
色はかなり濃く、綺麗な輝きがある。自然派ワインの香りだが、決して臭くはなく、自然そのものの香り。インパクトは優しいのだが、その後、タンニンがじわっと広がる。目をつぶって飲めば赤ワインかと間違えるだろう。酸味もある。まだまだ荒削り。2年経ってリリースされたが、これが1年、2年と経つうちにどんな変化をするかが楽しみ。
1500本程度の生産量とのこと。



5 verdicchio ヴェルディッキオ 5種

2015-06-01 19:39:33 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
ヴェルディッキオ5種@osteria dolce vino

Marche bianco Kypra 2013
Verdicchio dei Castelli di Jesi Capovolto 2013
Verdicchio dei Catselli di Jesi San Michele 2011 Bonci
Marche bianco Il Gentile
Verdicchio dei Castelli di Jesi 2012 Bucci



イタリアはマルケ州の土着品種、ヴェルディッキオをブラインドで飲もうという内輪の会。
マルケ出身の友人アンドレアが、まだ新しい自然派を含むワイナリーのワイン3種を飲むのに、一人で飲むより何人かで飲んだ方が良いということと伝統的ワイン(正確にはすでに有名ワイン)とを混ぜでブラインドで飲んだ方が良い、というのを掛け合わせて企画したもの。
なかなか面白い結果が出た。
適当に決めてあった順に沿って試飲。全員で5人だったが、アンドレア以外は5種のワインが何かは全く知らない。

1本目は、分が悪いという説と、分が良いという説があるが、どちらが結局は正しいのかはわからない。
2種のワインを試飲した時、例えばそれが実は同じワインだった場合でも、わりと多くの人が1本目を2本目より高く評価する、という説がある。
しかし、数種のワインの場合、普通の試飲会ではだんだん良いものにしていくのが常識なので、1本目のワインは大したワインではない、という先入観が働かないこともないと思う。
今回はブラインドだったので、前者の説の方が効いたのか、多くの人が1本目を高く評価した。
個人的にはまあまあの評価だったので結構驚いた。

評価は、これは美味しい、とするワインを+++
そこに達しない場合は+の数が少なくなり、最高数は決めていない。

5種は全てマルケのヴェルディッキオ。

Marche bianco Kypra 2013
ワイナリーの昔の香りが残っている、素晴らしい、とある人。
やや曇った香りで、個人的に好みの透き通った香りではない。悪くはないが、「昔のワイナリーの香り」は、イタリアで育った経験がないので分かり得ない部分がある。
しかし、私以外は全員賛同し、イタリア人にとっては、子供の頃を思い出す懐かしい香りがこういう香りなのだと改めて思った。
アタックは優しく、自然派だとすぐにわかる。酸があるが、それより塩味が勝り、ヴェルディッキオはこんなに塩味があったのか?と思わせるくらい。
余韻の長さは普通で、最後に塩味が残る。++(+)

Verdicchio dei Castello di Jesi Capovolto 2013
香りがわりと弱いのが残念。しかし、繊細な香りで、個人的に好みの香りでもある。
こちらは酸が結構残る。ワインだけでは酸が勝るが、食事にはよく合うだろうと思わせるワイン。++(+)

Verdicchio dei Catselli di Jesi San Michele 2011 Bonci
5種の中で一番色が濃く、自然派ではない伝統的(すでに歴史と経験のあるタイプ)だと思った。熟したフルーツがかなり心地よく、香りが甘い。かなりしっかりした味で、余韻も長く心地よい。Bucciがあると確信していたので最初はBucciかと思った。++++

Marche bianco Il Gentile
5種の中で一番色が薄い。かなり印象の強いワインの後だとなおさら影が薄くなってしまうのが残念。名前のように優しく、酸味が綺麗に残り、香りから自然派ワインだとすぐにわかるタイプ。(ただし、よくある臭みの強い自然派のようではない。)++

Verdicchio dei Castelli di Jesi 2012 Bucci
香りが透き通るように綺麗。花、フルーツ、そして緑の香りがほのかで、飽きない。すぐにこちらがBucciだろうと予想したが、幸い当たった。以前は、もう少し重たい印象、つまり3番目のワインのような印象があったが(そこで最初は3番目をBucciだと思った)、それがなくなって軽やかな印象も混じり、かなり良い、そして好みであることに、ブラインドで飲んで改めて思った。++++

なお、集まった場所はポルトゥエンセ地区の小さなエノテカ。
試飲後に食事をしたが、結構美味しい。
私が住んでいる所からは全く反対の地域なのだが、近くの人は通っても良いかと思うところ。Osteria Dolce Vino








Vini nel Mondo

2014-06-02 14:02:38 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Vini nel Mondo



ワインのグループにお誘いいただきスポレートまで行ってきた。
ウンブリア州のスポレートは文化的に非常に進んでいる町で、昔から「二つの世界」という名前(Festival dei due mondi)のフェスティバルをやっている。今年も6月の終わりから3週間程度行われ、演劇、コンサート、バレエ、ダンスなど、世界中からいろいろな団体が参加する。
それにちなんでか、ワインのイヴェントの名前はVini nel Mondo。
初めて行ってみたが、そこで、ウンブリア州のワインの友人アレシオに会った。
このフェルティバルは彼の発案で、その後、引き継がれていったとのこと。
アレシオはものすごく気さくな人だが、結構すごい人物だと思っている。
知識豊富、そして、かなりよいワインを扱っている。
ワインを造っているというのは初耳だが、彼が今回持ってきていたワインをいくつか、そして、その他、同じくウンブリアでワインを扱っているおじさん(ごめんなさい)と息が合い、そこでもいくつか試飲をした。
グループで行ったのでゆっくり食事を取り、午後は、アレシオお勧めのフランスワインの試飲会に参加し、全体に飲んだワインの数は少なかったがとてもよい一日になった。



試飲したワインのいくつか。



Avignonesi
Rosso di Montepulciano 2012 ++(+)
Vino Nobile di Montepulciano 2011 +++(+)
Grifi 2010 ++++
アヴィニョネージは老舗ワイナリーで、ワインの勉強を始めたころ、モンテプルチャーノの町にあるワイナリーを訪れ、貯蔵庫を見せてもらって、いくつかワインを試飲した懐かしい思い出がある。そのとき、当時は斬新ワインのひとつだったGrifiの「ハーフボトル」を1本買った。。。
最近はあまり見かけなくなって飲む機会が減り、久々に3種試飲したが、モダンとはいえ、モダン過ぎず、モダンが鼻につくこともなく、非常にきれいにできていて、悪くないね~と思った。某ワイナリーよりかなりいい。
個人的にはNobileの方が好きだが、まだスーパータスカン風が好きな人にはGrifiは受けると思う。ボディもあり、インパクトがよい。

Jucundius 2012 +++(+)
これが、アレシオが造っているというワイン。ラベルの写真を見るとわかるが、ぶどうの木がニレの木に引っ掛かっている。昔はこういう風にしている畑は結構あったというが、さすがに今はなかなか見られない。樹齢120年のぶどうの木が300本、1本につき35キロのぶどうが収穫できるという。それを待ちに待って収穫する。昨年の収穫は11月1日だったそう。これがワインになるとかなり変わったワインになる。色が濃く、ミネラル豊富、しかし、自然派ワインによくある臭い香りはほとんどない。品種はトレッビアーノなので、比較的ニュートラル、落ち着いた感じがよく出ている。ローマでは超有名老舗エノテカレストランRoscioliで飲めるというので是非一度飲んでみて欲しい。



Identita'2011 ++(+)
Duality 2011 +++(+)
フリウリのワイン。アレシオお勧めで、Identita‘は4種のブレンド。Dualityはソーヴィニオン100%。前者でもかなり特殊であるが、後者は非常に特殊。前者でもすでに、ミントやローズマリーなどのハーブの香りがきれいであるが、後者はさらにトマトの葉、タイムやユーカリなどの香りも加わり、まるで菜園かハーブ園にいるかのごときの香り。好き嫌いは分かれると思う。しかし、これもまた面白いワインなので、見かけることがあったら、ぜひ一度は飲んでみてほしい。



こちらのワインはアレシオの解説によるフランスワインの試飲会。




I vini senza solfiti

2013-05-18 10:04:57 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
亜硫酸を使わないワイン



自然派ワインがブームである。
ちょうど今日、アブルッツォのワインを試飲していて、あるワイナリーがトレッビアーノの売れ行きが激減、しかし、ペコリーノの売れ行きがすごく、アメリカなどで大人気、イタリアよりアメリカでペコリーノが飲める、と言っていたが、ペコリーノはここ数年の流行である。
そう、ワインは実に流行のある飲み物なのである。
そして、今は自然派ワインの大ブーム。
あちらこちらで、ニセモノ(笑)と本物の自然派ワインが造られている。

亜硫酸を使わないでワインを造る、とコタレッラ氏(リッカルド氏の方)が音頭を取ったワイナリーが26社。そのワインのお披露目試飲会があった。
有名どころから、あまり知られていないワイナリーまで、それぞれが1本から2本程度のワインを持参していた。
ほとんどのワインが2012年、そしてほとんど赤で、白は4種程度。
カプセルにWINE RESEARCH TEAMの名称が入っている。



まず、数の少ない白から飲んでみる。
どれもかなり酸が強い。亜硫酸を使わないと、その分、酸が必要になるのはわかるが、はっきり言ってすっぱい。もちろん、ほとんどが樽からの見本で、完成品ではないということ。しばらくして多少は落ち着くだろうと思うのだが、極端に酸味が強い。思わず顔をしかめるくらい。



赤に移る。
赤も全体に酸味が強く、フルーティーでノヴェッロ風の香りのもの、若干アニマル臭のあるもの、熟したフルーツとスパイスの香りに酸が混じるものなど、結構ばらばら。ただ、どうしても酸と香りのバランス、タンニンと酸のバランスが良くない。
2011年というのを出していたワイナリーがあって、2012年と比べて飲んでみた。結構差がある。2012年は酸味が強く、若さ、フレッシュさがあるが、2011年はだいぶ熟成が進んでいる感じで、普通のワインの1年違いよりは明らかに差が大きい。



他、ちょっとバランスが悪いと思うワイナリーと、まあ悪くないと思うワイナリーともろもろ。
ただ、どれも樽からのサンプルということで、あと少し様子は見る必要はあるだろう。
また、今回は1年目の生産であるが、何年か経験を経て行くうちに良いものになるかもしれない。

さて、余談だが、亜硫酸の話はおいておいて、イタリアの元首相ダレーマ氏のワイナリーのワインが初お披露目だったらしい。ウンブリアのワイナリーで、ご本人も登場。(最初の写真がsfide、D'Alema氏のワイン)
政治家がワイナリーのオーナーに、ということでちょっと物議を醸し出しているが、winememoryをプレゼントした時の対応は非常に紳士的であった。
その他、テレビに登場するジャーナリストなども含め有名人が結構顔を出していて、華やかな試飲会であった。