在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”ロッソ・ディ・ヴァルテッリーナ 2004” アル・ペ・ペ

2007-09-27 16:48:52 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
 "Rosso di Valtellina 2004" AR.PE.PE -Lombardia
知る人は知っているワイナリー。知らない人は知らない。(当たり前。。)知らない人の方が圧倒的であるが。しかし、自然派ワインに興味のある方はぜひ知って欲しい。
ヴェルテッリーナは、バローロ、バルバレスコと同じ品種、ネッビオーロを使っているのに、残念ながらちょっと地味な感じがする。でも、なかなか良いものもある。ちょっと珍しいものもある。変わったものもある。これは、変わったものの代表というべきか。
ヴァルテッリーナ・スーペリオーレではない。だから、DOC。(DOCGではない。)品種は、当然ネッビオーロ100%。大樽での熟成3ヶ月。
色が、とにかく薄い。全体がガーネット色で、爪に透明感があり、凝縮感の好きな人、凝縮感がないとね~、という人には、ここでまず大きなペケが付くだろう。でも、ネッビオーロは色素が少ないし、ワイナリーの一番下のランクのベースワイン、10ユーロもしない値段、という条件で凝縮感を期待するということは、別なタイプのワインを期待しているということになる。(つまり、この手のワインを飲まない。)
香りは、熟成香がきれい。しかし、アルコールがかなり立つ。他の香りが隠れてしまうくらい。生のプルーン、レッドベリーなどのフルーツ臭もあるが、アルコール漬けsotto spirito風。そして、野菜系、ミネストラの香り、革、腐葉土、鉄分の香りferro、インクなどなど。適度な複雑性を持つ。
味は、酸が最初に立ち、ちょっとすっぱいくらい。アルコールがある分、ボディを感じる。タンニンもあるが、やや渋いかも。そして、結構塩味があり、味の強さはほどほどだが、後味が意外なことに結構長い。
こういうワインを良いと言うか、良くないと言うかは意見の分かれるところだと思う。
これはベースワインなので、値段が安い分、限界が見えるような気がするが、次は上級クラスワインにトライ。本当の評価はそれからである。
ところで、最近話題のアブルッツォ州の自然派ワイナリー、エミディオ・ペペとは全く違うので、お間違えなきよう。。。(ある人は、あ、これが有名なぺぺのワインね!と言った。。)

”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2001” ビオンディ・サンティ

2007-09-26 04:33:19 | Toscana トスカーナ
“ Brunello di Montalcino 2001” Biondi Santi -Toscana
ブルネッロと言えばビオンディ・サンティという時代は終わったが、ブルネッロを生み、ブルネッロの歴史を作り、今でも伝統を堅く守っているワイナリーと言ったらビオンディ・サンティ以外ない。
かなり昔、ワイナリーを訪れたことがあるが、当時は、モダン、ステンレス、バリックなどの言葉がワインの品質の証のような時代だったこともあり、なんだか時代錯誤的な印象を持った。しかし、その後、伝統、セメントタンク、大樽などの言葉が汚名を挽回し、無事に復活したが、ビオンディ・サンティはこれらのどれも守り続けた。
ビオンディ・サンティのブルネッロは、いまだに、セメントタンクでの発酵、大樽のみの熟成36ヶ月である。
品種は、当然、ブルネッロ。つまり、サンジョヴェーゼ・グロッソ100%。
このブルネッロは、既に2回飲んだ。2001年は、トスカーナは当たり年である。
色は、薄め、ガーネット色で、昨年は爪のオレンジ色はまだ出ていなかったが、今回はうっすらと縁がオレンジがかる。透明感良しで、光沢がきれい。
香りは、かなり厳しい香り。堅い印象。タバコ(黒)、プルーン、腐葉土、などの香りに加え、柑橘系が混じり、柑橘の皮、柑橘系の木のような香りもある。もちろん、閉じてはいるが、香りの強さはさほどでもなく、エレガント系。香りの変化はやや少ない感じがする。昨年は、フルーツの香りが比較的強かったが、今回はスパイス系が強い。
味は、酸がすぐに出る。そして、タンニン。ボディはほどほどで、今時のブルネッロに比べるとちょっと弱い感じ。タンニンの印象がやや弱く、味の強さがほどほどで、後味がやや細めに続く。昨年は、タンニンがエレガントだが、もう少ししっかりしていた印象。
1年でやや変化が見られるのが面白い。

ローマのタクシー

2007-09-25 17:34:49 | 行ってはいけない
行ってはいけないのとは違うが、ローマのタクシーは要注意である。
私が同乗していても、ごまかそうとする、ぼろうとすることが度々ある。つまり、言葉のわからない、土地勘のない日本人観光客の場合、相当ぼられているのだと思う。
特にひどいのが、空港。当たり前だが、空港と言うところは、初めてのところだと、人を不安にさせる要素を持っているような気がする。どこの空港もシステムは似ているはずなのに(インフォメーションがあって、タクシー乗り場があって、などなど)、知らない駅に降り立つのより、人を不安にさせるのではないかと思う。そこに付け入るのがご存知白タク。白タクと言っても、必ずしも「普通」の車がやっているとは限らず、タクシーの看板をつけた正規の車もやっている。荷物を受け取って出ると、どこからか必ず「タクシー?」と呼びかけてくる人がいるが、これは白タクなので、絶対に無視して欲しい。空港から中心街まで40ユーロの均一料金だが、へたをすると倍取られることもある。
ところで、この前、テルミニ駅から歩いて3分のホテルに行くのに、荷物があった為タクシーを使ったお客様がいた。高齢であったし、足が悪かったので、3分でも荷物を持っては歩けない状況だった。50ユーロを出して、なんと20ユーロしかお釣をくれなかったと言う。
さらに、次の日、タクシーに乗った時、夕方で町は混み始め、なかなかタクシーがつかまらない状況になった。やっと乗り込んだタクシーであるが、前のイスをわざと変に倒して(運転手を含めて6人乗りというちょっと特殊な構造)、メーターを後ろからみえないようにしている。案の定、メーターを動かしてはおらず、せいぜい7ユーロ程度の距離を、「20ユーロと言いたいが、俺は良心的なので、10ユーロでいい。他の運転手なら、この場合、20ユーロくれと言う。」と言いだした。あまりのアホらしい理論にあきれたが、こういうときに観光客は仕方なく払うのだろう。
また、ちょっと細かいが、ローマ市内のタリフは「1」なのに、「2」(環状道路の外のタリフ)で走らす手口も多い。メーターの仕様によっては、タリフの表示がよくわからない場合もあるところが観光客には痛い。しかし、これだけで30%upになってしまうので注意だ。
実にいろいろな手口があるのである。どうぞ皆さま、気をつけてください。


”バローロ・クラシコ 2001” ジャコモ・ボルゴーニョ

2007-09-23 05:28:57 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo Classico 2001” Giacomo Borgogno –Piemonte
このところ、バローロというと、伝統的ワイナリーばかり飲んでいる。これで偏見を持ってはいけない、つまり、モダンバローロを過小評価してはいけないと思うが、やはり伝統的バローロは良い。
品種は当然、ネッビオーロ100%。
2001年というのに、澱がかなり見られる。昨今ノンフィルターのワインは巷に多くあれども、疑ってはいけないのだろうが、本当にノンフィルター?と思わせるものもあり、それらと比べると、これは正真正銘のノンフィルターである。(ノンフィルターと明記するだけで、なんだか、自然、有機栽培などのイメージにつなげてしまいやすくなるところを突いている気がする。)色はバローロらしく薄め、ガーネット色で、爪はオレンジがかる。最近は色の濃いバローロも出現しているが(当然モダンバローロに多い)、これが本来のバローロの色である。
香りは、予想通り、かなり閉じている。だんだんと出てくるが、プルーンの香りに、栗を思わせる香りが混じる。他にスミレ、スパイス、タバコ(黒)、リコリース、バルサム臭balsamicoなどの香り。かなり複雑で、時間と共に大きく変化していく。
味は、酸がきれいで、また、タンニンとバランスがよく取れている。ボディあり。エレガントで、結構塩辛く、後味がやや細めだが、長くきれいに残る。
さすが、ボルゴーニョ。発酵はステンレスだが、熟成はセメントタンクと大樽。


”バローロ・カシーナ・フランチャ 1997” ジャコモ・コンテルノ

2007-09-22 06:27:09 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo Cascina Francia 1997” Giacomo Conterno –Piemonte
イタリアのワインの王様バローロ。最初はとっつきにくいというか、その本当の良さがわかりにくいが、イタリアワインの世界に入ってくると、やはりバローロはバローロ、となる。近年は、かなりモダンなバローロが出て、伝統的バローロは押される形になったが、やはり究極は伝統的なものだろう。伝統的バローロを古臭い、という人がいるかも知れないが、決してそんなことはない。決して飽きることがない。
バローロなので、品種は当然ネッビオーロ100%。
色は全体がガーネット色で、爪はオレンジ色がかる。バローロは色素が濃くないので、透明感あり。おかげで光沢が良い。
香りは、一瞬、梅の香り。そして、かなり甘い。しかし、べたっとした甘さではなく、上品でほのかな心地よい甘さである。他は、バルサム臭balsamico、スパイス臭、腐葉土が出て、そこに、カモミールのような香りとミント風の刺激がやや混じる。
味は、ボディがあり、酸がきれい。ボディは、ブルネッロのようなどーんとしたものではなく、いかにもバローロらしい上品さを伴う。タンニンがエレガントで、質が良い。味の強さも程よく、後味が心地よく、長く続く。とてもきれい。
1997年はかなり暑かったので、これだけ甘い感じが出ているのだろうか。
。。。1996年が飲みたい。

テルミニ駅近くのMDZホテル

2007-09-21 20:27:54 | 行ってはいけない
これはかなり前の話である。
しかし、相当悪質だと思うので、取り上げておきたい。
アテンドの仕事で、テルミニ駅近くのMDZホテルに行った。MDZホテルは駅の南側、大通りに面していて、昔は大変格式のあるホテルで有名だった。アポの時間よりかなり早めに着いたので、ロビーで座って待っていた。
そこへ、いかにも個人旅行という日本人のカップルが、チェックアウトの為に荷物を持って降りてきて、普通に「チェックアウトプリーズ」と言った。すると、レセプションにいたやや年配のホテルの人が、突然、英語で「One mineral water 3 euro!」と叫ぶように言った。水など飲んでいない二人は、片言の英語でなんとか「飲んでいませんよ、間違いです」と言おうと努力をしていたが、ホテルの人はわざと無視し、有無を言わさぬ感じで同じ言葉を繰り返すばかり。数回、立て続けに、それも叫ぶように言われ、あきらめたカップルは、仕方なくお金を払ってホテルを後にした。そして、その後、ホテルの人が同僚と、「やったぞ、山分けだ」と話していた会話が、私にはしっかり聞こえてしまった。
今でもこの従業員がいるかはわからないが(まだ、いるだろうなぁ。。)、この人は、こういうことを、従順な日本人個人旅行客向けに日常的にやっているらしい様子が伺えて、本当にイタリアが悲しくなった。それに、たったの3ユーロ!それも二人で山分けだし。。なんとセコイ!

”フラッチャネッロ 1999” フォントーディ

2007-09-19 21:42:38 | Toscana トスカーナ
 “Flaccianello 1999” Fontodi –Toscana
フォンタッローロ1998と一緒に飲んだので、そちらも参照して欲しい。
十字架マークで印象的なラベルで、こちらも有名、同じくベルナベイ氏の作品。品種もサンジョヴェーゼ100%で、フォンタッローロと同じ。
余談だが、フェルジナにフォントーディ、フォンタッローロとフラッチャネッロ、どうしてこうもFばかりで始まるのだろう。ややこしい。。。
で、なんとなく似ている印象がある上、共通点の多い2つの有名ワインの古いヴィンテージを比べるのは面白い。
色は、ルビーがかった色が残るガーネット色。濃さも良く、つやも良い。
香りは揮発性volatileが多い。一瞬、スダチ風の香りを感じたのは気のせいだろう。。ドライのスミレ、スパイス、タバコ(葉巻、黒)、アニマル臭などに加え、カカオ、カフェ、チョコなど次々に香りが出てくる。緑の香りもほのかにあり、ビャクシンの実(と言うのだろうか?gineproのこと)などの香りもある。複雑性があり、香りに変化があり、大変良い。
味は、まろやかさがとてもきれいに出ている。ボディあり。酸もきれいで、後味も心地良い。いかにも、優等生ワインが良く熟成しました、という感じ。
それが良いか、悪いかは別として、フラッチャネッロの方に、完全に軍配があがった。

”フォンタッローロ 1998” フェルジナ

2007-09-19 21:37:36 | Toscana トスカーナ
 “Fontalloro 1998” Felsina –Toscana
今さら語ることもないくらい有名なワインの1本。イタリアを代表する醸造家ベルナベイ氏の作品の一つ。ワイナリーは、広い敷地に、割合こじんまりした醸造施設で意外だったが、とても清潔で、丁寧な造りをしているのが伺えた。フェルジナはオリーブ・オイルも美味しい。すでに他界してしまったが、イタリアを代表する食ジャーナリスト、ヴェロネッリ氏の哲学(というとオーバーか。。)に賛同して造ったもので、全て単一品種、種なしで搾油したもの。
今回は、フラッチャネッロ1999と一緒に飲んだ。
品種はサンジョヴェーゼ100%。
色は、まだルビーの色調が残るくらいのガーネット色。割と濃い目。
香りは、かなり閉じている。しばらくして少しずつ出てくるが、かなりの熟成臭。そして、すぐにサンジョヴェーゼとわかる特徴的な香り。革、タバコ(葉巻、黒)、アニマル。そして、サンジョヴェーゼらしい臭みがあり、馬の汗、キノコ、土の香りも感じられる。香りの変化、まずまずありで、単調ではない。
味は、酸がちょっときつく、すっぱいくらいでもある。サンジョヴェーゼらしいボディがある。タンニンはまろやかになっているはずだが、最後に苦味が残る。ちょっと気になる位の苦味である。これは、タンニンの質がやや劣ることから来るのか??
フラッチャネッロと比べると、残念ながらこちらの方が劣る結果となった。もちろん、1年とは言え、ヴィンテージが違うし、保存状態も違うし、単純に比べられないとは思うが。。


”ピン 1997” ラ・スピネッタ

2007-09-18 05:35:30 | Piemonte ピエモンテ
 “Pin 1997” La Spinetta –Piemonte
まさに飛ぶ鳥も落とす勢いのラ・スピネッタ。最初はモスカートの生産から始まり、バルバレスコ、バローロと、出せば大当たりで、すっかりピエモンテの大御所ワイナリーになってしまった。ここまで来ると、個人的には飽きてくるが、優良生産者には変わりない。数年前、バローロの醸造所に行ったことがあるが、お高いお値段の回転式水平型発酵槽がずら~っと並び、思わず、おー!と驚嘆したものである。また、ラ・スピネッタのワインはラベルにサイの絵が描かれ、一度見たら覚えやすい。(ただし、ピンにはサイの絵はなし)
さて、今のピンはネッビオーロとバルベーラのブレンド(65%、35%)で出来ているが、昔は、カベルネ・ソーヴィニオンが混じっていた。比率は、50%、25%、25%。つまり、昔は、ピエモンテの味に国際的品種が香り付けされていたような感じだった。(ピエモンテ版スーパーワイン的??)
色は、まだ澱はなく、きれいなガーネット色で、やや濃い目なくらい。
香りは、熟成がはっきり出ている。土が強く、また、ちょっとほこりっぽさもある。キノコ、腐葉土、鉄分、そして、こころもち緑の香り。
味は、ピンの強さ、ボディがしっかりあり。酸がきれいで、タンニンもまだ感じられる。ほのかにフルーツ臭が残り、持続性も良い。
香りより味の方が良い。ピンらしい個性が10年たっても出ている。
個人的には、カベルネの混じっている昔のピンの方が面白かったのではないかと思う。

”ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ 1997” ヴァルディピアッタ

2007-09-16 22:36:12 | Toscana トスカーナ
"Vino Nobile di Montepulciano 1997" Tenuta Valdipiatta -Toscana
モンテプルチャーノは、モンタルチーノの陰にやや隠れる感じで、良いものもあるのにもったいないと思う。ブルネッロと同時にイタリア最初のDOCGに認定されたとは言え、大きく差を付けられてしまった。しかし、ブルネッロより軽めで飲みやすく、値段も良心的なので、もっと愛されて良いワインだと思う。
ヴァルディピアッタは、中堅どころ。堅実に良いものを造っているワイナリー。
品種は、サンジョヴェーゼが中心だが、カナイオーロが少し混じっている。
澱がかなりある。10年経っているのでこれもあり。色はガーネット色で、濃い目。やや曇った感じで、濁りも見える。
香りは、よく熟している香りが漂う。黒オリーブ、インク、土、ややほこりっぽさもあり、スパイス臭が強い。バルサム臭balsamico、ダイオウrabarbaro、カフェ、ダークチョコなど。アルコールがやや立ち、ミント風の香りもほのかに混じる。
味はなかなか良い。タンニンがまだ感じられ、酸とのバランスがまだとれている。ボディあり。後味も悪くなく、持続性もまずまず。

”サン・ピエトロ” チェターラ -カンパーニア

2007-09-11 00:48:36 | レストラン
“S. Pietoro” Cetara –Campania
最近人気のアマルフィ海岸の、サレルノから入って比較的近いチェターラの町にある。アマルフィ海岸も奥(先)の方に行こうと思うと、季節はずれなら良いが、夏はそれは大変な渋滞があり、時間が全く読めなくなる。しかし、チェターラあたりまでなら道は比較的広く、そう遠く感じない。
この夏、行ったら、すぐに、この前日本の雑誌の取材があった、とオーナーのフランチェスコ氏が言った。雑誌の名前を覚えていない、と言っていたが、日本の週刊誌の広告で見た7月発売の「T」のようである。(私はまだ見ていない。)
このレストランは、ガルムGarum(またの名をColatura di alici)で有名である。ローマ時代に使われた調味料、魚を発酵させて作った醤油のようなものであり、日本のしょっつるに近いものだと思う。今時、ガルムを使うことはないし、手に入らないし、ガルムの名前を知っているイタリア人も少ない。しかし、このチェターラの町にはガルムを製造販売している店が2軒ほどあり、ガルムを使った料理を出すこのレストランがあり、チェターラと言えば、ガルムではちょっと知られた町になった。
さて、この手のレストランは、メニューを見て決めるのではなく(何度も言っているが、メニューは一度も見たことがない)シェフと話をして決めることになる。ガルムは、麦のスープの味付けに使われたり、その他の料理に香り付けとして使われる。やや魚くさく、かなり塩辛いが、味付け、香り付けにはとても面白い。
昔は、料理は美味しいが、全体に味付けが辛いまた、ややムラがあると思っていたが、ここ数年、非常に良くなっている。
アマルフィの特産、レモンの葉を使った料理などもあり、地元の食材をうまく取り入れている。また、変わったものでは、デザートにナス(野菜のナスである)のチョコレート煮(とでも言うのであろうか。。)があるが、決して奇想天外なメニューではなく、地元で古くからあるデザートだとのことである。ワインも良いものが手頃な値段で揃っていて、安心して飲める。
なお、夏は、外のテラスで食べられ、暑い夜にとても気持ちが良い。しかし、一見レストランの敷地内に見えるテラスは、公共の「通り道」でもあり、食べている人の間を通行人が通っている。こういうところも、いかにもイタリアの田舎らしく面白い。

”フラスカーティ・フィロナルディ 2005” ヴィッラ・シモーネ

2007-09-10 16:05:24 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Frascati Superiore Vigneto Filonardi 2005” Villa Simone -Lazio
ローマの近郊の一番のワイン産地というと、なんと言ってもフラスカーティである。ローマの南東に位置する丘陵地帯で、ワインの名前にもなっている。ワインはと言うと、ぽてっとした瓶、色の薄い、少し発泡が残るような、がぶ飲みできる安酒のイメージがある。このイメージが邪魔して、なかなか高級感が出ないが、それでも少しずつ、良いものが出ている。このワインもフラスカーティであるが、ベースのものではなく、単一畑のものだ。
フラスカーティは、いろいろな品種を混ぜて造る。そこで、品種は、マルヴァジア・デル・ラツィオ、マルヴァジア・ディ・カンディア、トレッビアーノ、グレケットのブレンド。
色は、普通のフラスカーティよりやや濃い目で、光沢がきれい。
香りは、熟した黄桃の香り、花の香りがきれい。香りの強さは良い。そして、やや緑の香りがある。
味は、白にしては結構ボディがあり、アルコールを感じる。酸味がきれいだが、同時にややほろ苦さも広がる。
普通のフラスカーティに比べると、ややはっきりした主張のあるタイプである。
なお、このワイナリーのオーナーは、ローマ市内で酒屋を経営している。バチカンより近い、カブール広場にある「エノテカ・コスタンティーニEnoteca Costantini」で(ちょっと名の知れたレストラン「イル・シンポズィオIl Simposio」も併設している)、ローマにある酒屋の中でも、品揃えがとても良いところの一つである。また、ワイナリーは、ローマ~ナポリの高速のすぐ脇にあり、ナポリからローマに向かうと、ローマに着く少し手前、右側に「Villa Simone」の看板が立っているのが見える。

”イル・ブーコ” ソレント -カンパーニア

2007-09-09 19:08:46 | レストラン
“Il Buco” Sorrento –Campania
もう何年も前、ここは穴場だ、と思っていたら、今ではミシュランの星付きになってしまった。値段もそれ相当に高くなってしまったが、それでもまだ、大都市の星付きレストランとは比較にならない。
ただし、せっかくソレントに来たのだから、海の見えるレストランで、と思うとここには行けない。ソレントの中心のタッソ広場よりすぐというロケーションであるが、ブーコ(穴)という名前の通り、カマボコ型天井の、蔵の中に入るような、穴の中という感じで景色はない。しかし、よく見れば面白い感じだし、大きなレストランではなく、気配りがされている感じが良く出ている。
料理は、創作系。しかし、海の幸をうまく使っている。決して気取り過ぎず、温かみが残る。テーブルセッティングにも優しさ、暖かさ、清潔さが出ていて、肩肘張らずに食事ができる。ワインもとても良いものが揃っていて、安心して飲める。まだ全国レベルでは知られていないカンパーニア州のワインも多いので、ソムリエと話しながら、面白いワインを選ぶことも可能である。
ソレント滞在で、確実に美味しいものを食べたい場合、ミシュランの星付きに一度は行ってみたいが予算が気になる場合、ぜひお勧めしたいレストランである。

”ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・カナイリ 2005” カンティーナ・ガッルーラ

2007-09-08 16:23:12 | Sardegna サルデニア
"Vermentino di Gallura Superiore Canayli 2005” Cantina Gallura -Sardegna
ガンベロ・ロッソが、安くて(昔は15000リラ以下。今は確か12ユーロ以下だったと思う)美味しいワインをまとめて推薦している。秋になると1冊の雑誌になって、本屋にも出回る。これはその常連ワインでもあり、また、全国ベスト・スリーの中にも選ばれたことのあるワインである。つまり、安い。しかし、その昔は5000リラ程度(つまり2,5ユーロ)だったのに、今は10ユーロ近くなっている。ユーロ導入後5年は経っているとは言え、イタリアの値上がり(便乗値上げも多い)には本当にあきれる。
品種はヴェルメンティーノ100%。
色は平均的な麦わら色。光沢が良い。
香りは、甘く熟した柑橘系の香りがあるのだが、なんだかとても、化粧品の香りが強く、おしろいくさかった。レストランだったので、最初はグラスの洗い方に問題があるかと思ったくらいだ。ふわっとして、しなだれかかるような甘さである。そして、花の香り。なんとなく菊の香りを思い出したが。。他、ヴェルメンティーノらしくミネラル臭、ほんのり緑がかった香りも奥にある。
味は、酸がきれい。ボディも程よくある。強さも良いし、長さも適度にある。何故か、いちご、野いちごの香りを感じる。若干ほろ苦いが、それが野いちごの種の味のようであった。全体にまとまって、ずいぶん高くなったとは言え、この値段ならやはりお得感のあるワインである。ただし、個人的に味の好みが変わったのか、ちょっと人工的、つまり、造りましたよ、という力みが強く、飲んでいて若干の疲れを感じた。

スペイン広場近くの小さなPバール

2007-09-08 04:35:32 | 行ってはいけない
スペイン広場に向かって右、ちょうどラコステの向かいあたりの角に、昔から小さなバールがある。名前は、Pバール。
ちょうど角で、アイスクリームのショーウィンドーが小さいけれど華やかで、つい、食べて見たくなる感じだ。
地元の人間は、スペイン広場近くで美味しいアイスクリームが食べられるところはないと知っているので、食べようとは思わないが、アイスクリームをなめているシーンが印象的なオードリー・ヘップバーンのローマの休日の映画の影響か、スペイン広場に行くとアイスクリームが食べたくなるのが観光客の一般的傾向のようである。
さて、これは、親しいドライバーから聞いた話である。
あるアメリカ人の夫婦がこのバールでアイスクリームを注文した。なんと、2つで22ユーロも取られたそうだ。どうもこれはおかしいのではないか(当たり前だぁ)と、車に戻った時にドライバーに話し、頭にきたドライバーがバールに交渉に行った。ところが、このバールは実に巧妙なことをしていたのである。
お客がお金を払った時に、バールは6ユーロのレシートを渡していた。つまり、6ユーロのレシートを受け取ったことで、22ユーロ払ったことは証明できず、訴えることもできないという。
日本人はここまで騙されることはないかも知れないが、それにしても、こういうバールには絶対に行ってはいけないのである。