在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”バローロ 1967 シルバーラベル” フォンタナフレッダ

2009-10-25 18:56:11 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo 1967 etichetta argento” Fontanafredda –Piemonte(点数8.5+)

いくつかの畑のブレンド。まだシングルクリュにそれほど趣がおかれていなかった時代である。
澱は当然ある。42年たっているからね~。意外なほど色の濃さがあり、暗めのガーネット風にレンガ色の縁取り。
革、スパイス、腐葉土、濡れた毛皮、ミント(酸を感じさせる)、バルサム臭、ミネラルなど。
味は、するっと入り、優しい感じ、というか、若干弱い感じを見せる。酸はあるが際立つほどではなく全体を支えているのが心地よい。42年たって、ワインそのものの個性がやや衰えている感じがあるが、まだ現役。

“バローロ・ラ・ローザ 2001~1974” フォンタナフレッダ

2009-10-25 18:37:04 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo La Rosa 2001-1974” Fontanafredda -Piemonte
バローロとは言え、フォンタナフレッダならまあいいか(行かなくてもいいか、の意味)、と思ったのだが、1967年ヴィンテージから出るということで、タダだし、行ってみた。
プロモーションCD、社名入りペン、かわいいイラスト入りパンフレットなどお土産もたくさんで、さすが大手は違う!という感じであった。

ワインも10種の縦飲みで、一番古い67年ものは、クリュではなく畑のブレンド、その他、1974年からはラ・ローザのクリュである。(さすが、大手は違う!)

古いものから先に飲むか、新しいものから先に飲むか、意見が分かれるところであるが、AISのやり方は、一応古いものからということになっている。
個人的には新しいものからの方が好きだが、今回は、フォンタナフレッダの希望で新しいヴィンテージからの試飲となった。

ラ・ローザ(バラ)という畑の名前からもわかるように、全体にドーンとした貫禄あるバローロではない。どちらかというと優しい感じで、それはそれでよいのだが、どどーん、という感じを期待している人は期待を裏切られてしまうかもしれない。しかし、どどーん、にはカベルネが混ざっていたりして、これを期待されても本当は違うんだけど…と苦笑してしまうこともある。
それと、フォンタナフレッダくらいの大手になると、ボトルごとの違いが出ては困る。そこで、個性を前面に出すより安定も求めている感じもうかがえた。

さて、2001年から。(点数8.5)
甘さが前面に出て、優しく女性的なバローロ。花と、特にフルーツの甘さが際立つ。しばらくするときれいなミント風の酸が混じる。スパイス、ミネラル、鉄などもあるのだが、全てが甘い香りに消されてしまう感じ。
タンニンも優しい。インパクトも甘く(残糖分ではない)意外に塩味が強く、また残る。アルコールではない熱さが心地よく伝わる。

2000年(点数8+)
かなり閉じている。がらっとかわって男性的で、そういう意味ではバローロらしい。スパイスが出てきていて、熟したフルーツに加え、チョコ、バルサム臭、黒タバコ、ミネラル、鉄など。
タンニンも感じるし塩味もあるが、酸が際立ち、酸に隠れてしまう。持続性はやや短い。

1999年(点数9+)
酸味が香りにあり、他、野菜(怒られてしまう??)、アニマル、腐葉土など。柑橘オレンジの香りもあり、他は、ドライの花、リコリース、タバコなど。
味に酸味がきれいに出てエレガントだが、同時にバローロの強さ、たくましさも出ている。タンニンの質がとても良いのが舌触りからうかがえ、持続性もとてもよい。
良いね~という年。

1998年(点数8)
やや閉じた感じ。腐葉土、そしてキノコが出始めている。一瞬、梅、きゅうりなど、と言ったら怒られそ~。他に鉄、スパイスなどあるが、変化が弱い。
味も鉄をやや感じるくらい。タンニンは悪くないのだが、全体に個性に欠ける感じがあり、後味も短いきらいがある。

1997年(点数9‐)
開きが早く、かおりがぶわっと出る。腐葉土、金属的な香り、ザクロ、カフェなど、良く熟した香りが出ている。
タンニンは甘いくらいで、最初は魅力的な甘さを帯びていただろということがわかる。ただ、なんだか、タンニンの渇きを余計に感じる。熱さというのではなく、舌が渇く感じが強い。アルコールも十分あり、ボディも十分あり、ふくよかで、97年神話という感じ。
しかし、個人的には97年のものは過大評価はしたくない。どうもエレガントさに欠けるきらいがあるからだ。                                                     

1996年(点数9+)
最初は良い年だとは思わなかったというびっくりの年だが、96年のバローロには驚かされるものが多い。
エレガントな熟成香がきれいに出ている。アニマル、スパイス、ラバルバロrabarbaro、バルサム臭、プルーン、腐葉土などなど。変化もよく、全体にきれいにまとまっている。
酸が際立ち、最後まできれいに続くので飽きさせない。ボディも申し分なく、タンニンの長い寿命を感じさせる。あと5年、10年してぜひ味わってみたいワインである。

1990年(点数9.5)
90年は良い年である。良いものは約20年近くたってとても魅力的である。
96年もおそらく同じだろうと思うが、この6年の違いを考慮すると、比べた時、90年に軍配が上がってしまう。ただし、マグナムボトルだったが…

さすがに澱が見え始めている。
良く熟して、タバコの香りがきれい。スパイス、オレンジの皮、腐葉土などで、思うよりかおりが強く、また非常に良い複雑性がある。
タンニン、酸、塩味のバランスがとても良く、持続性があり、スパイスの香りがきれいに続く。90年とは思えないダイナミックさ。強さ、エレガント、ボリューム、豊潤さなどを兼ね備える。
また飲みたいヴィンテージ。

1982年(点数8.5)
澱あり。
閉じている。その後、アニマル、毛皮、ブラッドオレンジ、コールタールなどが出てくる。
酸っぱいくらいの酸があり、タンニンが珍しく渋みを帯びる。持続性はまあまあ。

1974年(点数9+)
35年の歳月に拍手したい。ラ・ローザのクリュの最初の発売年だそうだ。
まだ生まれてなかった人もいるよね~(私は生れていたが…)
ブロード、キノコ、トリュフ、キーナ、コールタール、腐葉土、イオウ風、ラバルバロ、丁子、タバコなどなんでもあり。
味のインパクトは、きれいという感じ。エレガントで、それが長~く続く。


トレニタリアの列車の座席

2009-10-22 00:19:01 | もろもろ、つれづれ
お客様を列車の席にご案内した。
2等の客車、7号車の75と76番。

ヨーロッパは、袋小路式の駅に入ると、当然だが、機関車を付け替えるなりして(または、運転手が席を交代する)、反対向きに出発する。
だから、それが何度も繰り返され、1号車がどっちにあるか、つまり先頭か最後尾か、わからない。
最近、つい最近、駅の表示板に「1号車は先頭」などの表示がでるようになったので、良いが、今までは、列車が入るまでわからなかった。
(テルミニ駅には、列車番号ごとの案内の看板があったが、正しいとは限らなかったので、ないも同然だったと言える)

で、たとえば、1号車が最後尾とする。次に2号車、3号車…と並び、自分の車両に着く、乗り込む。
たいていは、そのまま、素直に、10番台の席、20番台の席…と並ぶはずだが、これは未だにわからない。
つまり、4号車の10番台の席とすると、3号車に近い方にあるのか、5号車に近い方にあるのか、これは未だにわからないのである。
ちゃんと並べてくれればいいのに、と思うのは日本人だけだろうか…

さて、件のお客様の席へ着いた。
反対側を見て、笑ってしまった。
10番台、20番台…と並び、つまり、60番台、70番台、80番台…とあるのに、反対側は、60番台、80番台、70番台となっていた。
つまり、明らかに、最初にシールを張るとき、70番台と80番台を間違えて貼ったのである。
信じられない!日本なら、クレームが上がるより前にちゃんと貼りなおすだろに、そのままになっているのである。

家族連れ4人が来た。通路をはさんでの4席が彼らの席である。
そう、通路をはさんで、だったのだが、1列ずれて、小さい子供もいたのにかなり不便そうだった。
直せばいいのに、と思ったは私だけだろうか。

トレニイタリアは、席がない(存在しない)ことも多々あり、本当にいろいろな貴重な話題を提供してくれるのである。

ボルゲリのワイン 5種

2009-10-21 23:36:03 | Toscana トスカーナ
5 vini di Bolgheri -Toscana

お待ちかね、試飲会の季節になりました~。
ボルゲリ・ワイン協会主催の試飲会は、立ち飲みとセミナーとの2種で、立ち飲みの方は、サッシカイアとオルネッライアまで出ているという豪華なもの。さすがお金持ち!は違う。
ただし、私はセミナーに出ている間に、両ワインとも飲み損ねてしまった…

“カンポ・アル・マーレ2007”カンポ・アル・マーレ(点数7)
“Campo al Mare 2007” Campo al Mare –Toscana
メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニオン20%、カベルネ・フラン15%、プティ・ヴェルド5%
香りの深みはまあまあで、やや変化に乏しい。最初の印象はよいのだが、しばらくすると飽きてくる感じ。フルーツ(サクランボ、森の木の実)、花の香りでとてもきれいで、アメを含む甘い感じがとても心地よい。
味はアルコールがやや強すぎかも。しかし、ボルゲリに期待するボディがちゃんとあって、タンニンは思ったよりまろやで、期待を裏切らない面がある。最後に塩味が心地よい程度に残る。

“ルイ・ホーラ 2007”カッチャ・アル・ピアノ(点数5.5)
“Ruit Hora 2007” Caccia al Piano -Toscana
ワイン名の発音は正しくないかもしれない…
メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニオン32%、シラー8%
香りにアルコールが上がる感じがあり、そのせいで香りが弱い。グラスを回してやっと出てくる。フルーツと花の香りがあるが、全体的に印象が弱い。
こういうワインの前にして、生産者が同席しているとき、司会者は苦労する…何て言って褒めたらよいのか…その苦労がよーく分かりました。
タンニンは渋さがある上にアルコールがある。酸がかなりある感じは良いが、味が消えてしまったあと、どうしてもアルコールの熱さだけが残ってしまう。

“カンポ・アル・フィーコ2006”イ・ルオーギ(点数7.5+)
“Campo al Fico 2007” I Luoghi –Toscana
カベルネ・ソーヴィニオン80%、カベルネ・フラン20%
木の香りが強く、好きな人にはかなり良い。深見もなかなか良く、バニラの甘さ、花とフルーツの甘さがとにかく心地よい。印象のとても良いワイン。スパイスも出ているが、同じく甘く、緑の香りがほとんどない印象。モダンでインターナショナルを目指したワインだと思う。
味のインパクトもよく、甘く、程よいボディ、タンニンの質もよく、塩味がかなり強い。持続性もあり全体に良い印象。

“グアルダ・ボスキ2006”レ・フォルナチェッレ(点数7.5)
“Guardaboschi 2006” Le Fornacelle –Toscana
メルロー40%、カベルネ・ソーヴィニオン30%、カベルネ・フラン30%
やや緑の香りが強く(カベルネ・フランから来ている感じ)、その分、エレガントな印象。
花、酸味を含むフルーツ、実bacche、新しい革、ミネラルなど、深見もあり面白い。
味のインパクトに優しさがあるが、ちゃんとボディがある。塩味がかなりあり、長く残る。

“サパイオ2006”ポーデレ・サパイオ(点数8.5+)
“Sapaio 2006” Podere Sapaio –Toscana
カベルネ・ソーヴィニオン55%、カベルネ・フラン25%、メルロー10%、プティ・ヴェルド10%
ボルゲリのワインは当然色がみんな濃いめだが、これは特に濃い。
甘い香り、甘いスモークの香りがある。香りの強さもあり、長さも申し分ない。変化もあり飽きない。良く熟したフルーツ(赤と黒)、トースト、甘いカラメル、タバコ、パイプタバコ、バルサム臭、リコリースなどの奥に緑の香りがほんのり漂う。
味のインパクトもよく、ボディは期待通り、タンニンの質もよく特にさんとのバランスが大変良い。長く熟成できるタイプ。数年を経てから飲んでみたいと思った。

しかし、後でベースワインの方を飲んでみたが、こちらはタンニンにやや渋みが感じられ、普通だった…

“グァド・アル・タッソ2006”グァド・アル・タッソ(点数8.5おまけで+)
“Guad al Tasso 2006” Guad al Tasso –Toscana
カベルネ・ソーヴィニオン65%、メルロー30%、シラー5%
最初の印象は閉じている。そのせいか弱い。しかし、ゆっくり出てくるので良しとしよう。小さな森の木の実、花、実bacche酸がきれいでエレガント。ボルゲリの海岸線にたくさんある緑の茂みmacchia mediterraneaの香りなど、緑の香りがきれいに混じる。
味に優しさがあり、酸と塩味がちょうどよいくらいに感じられ、味の方もエレガント。もちろん、持続性はあるが、こんなに優しかったかしら?と思ってしまう。個人的に優しいワインは好きだし、良いとして、しかし、期待している人は期待を裏切られるのでは?と。

“イ・カスターニ2006”ミケーレ・サッタ(点数9.5)
“I Castagni 2006” Michele Satta –Toscana
カベルネ・ソーヴィニオン70%、シラー20%、テロルデゴ10%
緑がきれいで断然エレガント。深見と味の変化があり、その辺は大御所であり、ワイン造りを心から愛しているものとしてさすが。香りから、好きな人からもらった美しく嬉しい花束を思い出す。今咲いている花、薔薇、スミレ、緑が新鮮な茎、生けた花瓶の水の香り。香りを美しいと表現したくなる。
味も当然よく、酸味がきれいで、タンニンの質は当たり前によく、エレガント、心地良く、洗練されている。