在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”サッシカイア 1990” テヌータ・サン・グイド

2007-06-28 22:13:29 | Toscana トスカーナ
"Sassicaia 1990" Tenuta San Guido -Toscana
かの有名なサッシカイア。現代イタリアのワインの歴史を作ったサッシカイア。現在のイタリアワイン界をある方向に確実に持っていったサッシカイア。個人的には好きなワインの1本であるし、サッシカイアの生みの親、エノロゴ(醸造家)ジャコモ・タキス氏は心から素晴らしい人物だと思っている。特に、人間性が素晴らしい。
1990年だから、約17年経っていることになる。一般に、イタリアワインはフランスワインほどもたないと言われるが、1990年は良いヴィンテージだった。試飲したワインは個人所有のものだが、かなりのワイン愛好家なので、保存状態は悪くないはず。ラベル保護にちゃんとラップが巻いてあった。(日本人みたい!なんて言ったら怒られるか、いや、喜ばれるかも知れない。。)なお、1990年ヴィンテージを飲むのは2度目。1度目は、もうずいぶん昔で、さすが90年、と思ったのをうっすらと覚えている。
品種はカベルネ・ソーヴィニオン主体。
色にはやや濁りが見られる。色は濃い目で、ルビー色の面影を残しながら、全体がガーネット色に変化している。
香りは、熟成香がきれいに感じられる。プルーン、土、バルサム臭balsamico。そして、なんとなく奈良漬け風の香りがあったり。(日本人にしかわからないよね~。)やや酸が立つ。奥には緑の香りが控える。全体に、やや単純。大変良いワインだとはわかるが、香りの変化があまり見られない。香りの広がりがもう少し欲しい、と期待するからいけないのか。。。
味は、酸が目立つ。タンニンはだいぶ丸くなっていて、酸に隠れてしまうくらい。味の強さよし。最後はとてもきれいだが、どうしても、あとちょっとのところで余韻が消えてしまう。
サッシカイアはこうあるべき、という期待がいけないのか、良いワインだとはわかっても、感動emozioneを与えてくれるものではなく、ちょっぴり残念。

DOCG ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ

2007-06-25 19:53:40 | イタリア・ワインABC
DOCG Valtellina Superiore -Lombardia
ミラノのあるロンバルディア州のDOCG。イタリアでも最も北にあるワイン生産地の一つとなる。コモ湖に流れるアッダ川が、ちょうど真横に流れているあたり、ソンドリオを中心として、生産範囲は一部、川の南側もあるが、ほとんどが川の北側を占めている。川に沿っているので、生産地域も東西に細長い。
地理的にアルプスの南側となるので、標高が高く、400mくらいはあり、600mに達するところもある。当然、完全な大陸性気候。
以前、まだDOCだった頃、DOCヴァルッテリーナの名前で、大きく分けると、
・ヴァルッテリーナ いわゆるノーマル赤ワイン+スフォルツァート
・ヴァルッテリーナ・スーペリオーレ
・スーペリオーレのソットゾーナsottozona(地域名)付き
があった。
それがバラバラになり、DOCGに格上げされたのはスフォルツァートとスーペリオーレ+ソットゾーナ付き。ノーマル赤ワインはDOCヴァルテッリーナ・ロッソという名前になった。
スフォルツァートに付いては、完全に別のDOCGになっているので別の機会に言及するが、干したぶどうで造った辛口赤ワイン。

ぶどう品種は、バローロ、バルバレスコと同じ、おなじみネッビオーロ。しかし、ネッビオーロが名前を変えて、この地域ではキアヴェンナスカと言う。一般には100%で造るが、規定では90%以上となっているので、他のぶどうを混ぜることも出来る。
ソットゾーナの付いていないタダのスーペリーレにもリゼルヴァはあるが、ソットゾーネの付いているものにもリゼルヴァがある。
そこで、ワイナリーによっては、実に多くの、それも似たようなワインを造っているところがある。と言うより、意外に多い。
ソットゾーネでものすごく大きな違いがあるわけではなので、ソットゾーネごとの違いよりワイナリーごとの違いの方が大きい。
以下は、DOCの時は4つだったのが5つに増えたソットゾーネ。
・マロッジャ Maroggia 新しく増えたもの
・サッセッラ Sassella
・グルメッロ Grumello
・インフェルノInferno
・ヴァルジェッラ Valgella
インフェルノは地獄という意味だが、夏は特に暑いというところから来ている名前。
そして、ソットゾーネではないが、スイス国境内でボトル詰めされたものには、スタガファッスリStagafassliの名称を付けることができる。スイスは近いのだ。それと、この地域の面白いのは、一見赤ワインしか造っていないようなイメージがあるが、結構白ワインも造っている。中に、ネッビオーロの白、ネッビオーロのスプマンテなんてのがあったりして、ちょっとご愛嬌だが、面白い。

”モンテプルチャーノ・ダブルッツォ 1995 e 1990” エドアルド・ヴァレンティーニ

2007-06-23 02:15:11 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
 "Montepulciano d'Abruzzo 1995 e 1990" Edoardo Valentini -Abruzzo
これこそ神話的miticoワイン。アブルッツォの名品。品種はモンテプルチャーノ100%。
1995年ヴィンテージ。
色はガーネット色。濃い目の色合い。透明感あり、濁り、澱はなし。
香りは、フルーツの香りが甘酸っぱい。スパイス臭の他、煮詰めた香りcotto、マデイラ化した香りもほんのり感じる。
味の強さ良し。ボディある。タンニンまだ若さを感じるくらい。後味にチョコを感じる。
1990年ヴィンテージ。
やや濁りが見える。色はガーネット色。濃い目の色合い。
1995年と比べて、濁り以外、色は大きく変わっていないよう。
香りは、1995年より閉じている。煮詰めた香りcottoは栗の感じに出ている。フルーツの香りも残る。他、ミネラル臭、カフェ、キナchina、タバコ、ブイヨンbrodoなどの他、一瞬、納豆風の香りを感じる。(日本人にしかわからないよね~。)開くまでにかなり時間がかかり、複雑で、わかりにくいワイン。
味は、アタックに一瞬甘さあり。ボディあり。酸がかくれるくらいの塩味、果肉の厚さcarnosita’を感じる。味の強さ、奥行き、持続性ありで、最後は、インク、バルサム臭balsamicoなどが残る。
1990年の方が複雑でわかりにくい。しかし、面白さがある。


”レ・ペルゴレ・トルテ 1992” モンテヴェルティーネ

2007-06-22 07:16:28 | Toscana トスカーナ
 "Le Pergole Torte 1992" Montevertine -Toscana
ファンの多いモンテヴェルティーネのペルゴレ・トルテ。神話的存在miticoとも言えるくらい。毎年、雰囲気は似ているがラベルの絵が違うのも特徴的。限りなく自然に造られているワインでもある。1992年は残念ながらあまり良くない年。品種はサンジョヴェーゼ100%。
澱がある。色は、透明感のあるやや薄めのガーネット色。爪はガーネットよりさらに進んでいる感じ。
香りは、インパクトとしてはきれい。スパイスが優しく感じられ、熟した~コンフィの赤い木の実、革、プルーン、日本人には梅とも思える香り、土、バルサム臭balsamicoなどがある。他、チョークを思わせる香り、殺虫剤(と言ったら怒られそう。。)も一瞬感じる。しかし、変化が止まる。どうして??と言いたい。
味は、酸がかなりある。ちょっとすっぱいくらい。しかし、かえってエレガントさが出ている。タンニンはかなり丸くなっていて、絹のなめらかさsetosoあり。味の強さ良し、長さも良いが、最後にややアルコールが残る感じ、ほんの少し苦味が残る感じあり。
1992年だからもたないのか。決して悪くないが、期待が大きいと外れてしまうのか。ちょっと残念。


”ルガーナ・イ・フラーティ 1996” カ・デイ・フラーティ

2007-06-21 15:56:15 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Lugana I Frati 1996" Ca' dei Frati -Lombardia
ガルダ湖周辺の大量生産ワイナリー。白がほとんどで、値段お手頃。ルガーナ、つまりトレッビアーノ・ディ・ルガーナ(品種)でスプマンテを含むいくつかのワインを造っている。その中でも、これは安いランクに入り、イタリアでは8ユーロ程度。だから、incredibile(びっくり)!!
トレッビアーノ・ディ・ルガーナはトレッビアーノの中では最も良いとは言え、たかが(ちょっと失礼だが。。)トレッビアーノ。それが、10年以上たっても、resistere(耐える)なんて。。
色は、黄金色に近い。10年以上を経ているのでもちろんこの色。つやがそれはきれいで輝きがある。
香りは、甘い。よく熟したフルーツ、アプリコット、柑橘系、ナッツの香りもあるが、甘い感じ。木苺、レッドベリーなどの赤い木の実の香りも感じられるのは珍しい。他に蜂蜜、香草、白コショウなどが僅かにある。香りの変化はそれほど大きくはないが、止まっているわけではない。ひたすらきれい。
味は、口に含んだ時、同じくきれいな印象。酸がある。同時に、甘さがふくよかな感じになり、味の強さも程よくある。木、ナッツなどが後味に残り、塩味もある。後味がやや細いが、長くきれい。
とにかく、全体に甘くきれいな印象。10年以上経ているとはちょっと思えない感じがある。たまたまこのボトルだったからとは思いたくない。安いワインでもこれだけもつものがあるという好例のひとつ。

”アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ 2004”2種 ヴィッラ・モンテレオーネ

2007-06-18 06:15:17 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
"Amarone della Valpolicella 2004"x2 Villa Monteleone -Veneto
純粋培養酵母の検分。何故2種か。それは、
1.自然酵母のみを使ったナチュラルなもの
2.純粋培養酵母を使ったもの
だからである。ワインは同じもので、タンクよりの採取。

品種はコルヴィーナとロンディネッラ。
色は、
1.まだ完成品に至っていないというのに、既にガーネット色。やや透明感があり、きれい。爪の色は薄い。
2.濃い目のルビー色。爪まで色が出ている。かなり深みあり。
* 色で既に違いが見られ、とても同じワインとは思えない。自然の酵母のみの方が酸化が速いよう。
香りは、
1.フルーツが優しい。甘辛両方のスパイス、タバコ、奥には土。香りは2より抑えられた感じで、どちらかと言うと細く長い。やや揮発性の香りvolatileあり。
2.最初、閉じている。甘酸っぱく、サクランボの一種visciole、黒い木の実などが感じられる。強さと持続性は良い。スパイスはコショウなど。他に土。アルコールややあり。適度な深みあるが、香の変化が1に比べて乏しい。
* 香りも若干の共通性はあるが、自然酵母の方が酸化が進んでいる感じ。優しさがとても心地良いのが1、アマローネらしい感じは2。
味は、
1.じわっと甘さが出る。アルコールはやや強い。後味が、香りと同じく細く長い。アルコールの強さがアマローネらしさを感じさせるが、全体にらしくない優しさがある。
2.アルコールあり。フルーツがきれいに広がる。最初甘い感じで、そのうち苦味に移る。塩味かなりあり。ボリュームを感じるが、それぞれの成分がバラバラな感じ。最後に苦味がやや残る。
* アマローネらしいと言えば2。1も、アルコールの強さなどに表れているとは言え、何かがちょっと違う。1は、じっくり優しく変化するが、2は、変化が少ない。最初はインパクトが良いが、だんだんと飽きてくる。

私は個人的に自然酵母の方に軍配をあげたい。優しさ、心地よさ、適度な変化があり、飽きない。純粋培養酵母の方は、非常に良く出来ていて、パフォーマンスありで最初は良いが、どうしても途中で飽きてくる感があるのは否定できない。
純粋培養酵母を使うか否か。リスクを考えると使う方向に行き、そのせいだけではないが、巷には北のでも南のでも同じような味わいのワインが多い。悲しい事実である。まあ、(適度に)美味しければイイって考えもあるけど。。

オリーブオイル考

2007-06-15 06:08:46 | オリーブ・オイル
オリーブ・オイルのテイスティングは簡単なようで難しい。でも、難しいようでいて簡単でもある。
つい、ワインのテイスティングを比べてしまうが、とにかく、オリーブオイルのテイスティングで大切なのは欠点があるかを見る(利く)こと。
ワインも、きっとかつてはそうだっただろうと思うが、昨今、欠点のあるものが少なくなった。イタリアのスーパーで見られる紙パック入りのでも、適当に、うまいと思う味に造っている。そう、そういう風に造っているのであり、修正しているのであって(色や酸やタンニンを)、自然の恵みで出来た訳ではない。でも、ブラインドテイスティングでは、まさか1リットル1ユーロちょっととは思わない人も出てくるだろう。
しかし、オリーブオイルにはまだ欠点が多い。発酵臭、酸化臭、澱臭、メタル臭、そして、オリーブバエ臭などなど、実に多くの欠点が見られる(利かれる)。まず、これら、欠点があるかを探すことから始まるのがオリーブオイルのテイスティングである。微妙な香りの場合、よくわからなかったり、勘違いしたり、意見が大きく食い違ったりしてくる。簡単なようで難しいのはこの辺にある。
そして、その後、香り、味の強さ別にわけ、見ていく。ワインほど複雑ではないので、この辺りはそれほど難しくない。香りの強いオイルに評価を高くしたり、デリケートなオイルの評価を低く下げたりしないことも大切である。
数が多くなってくると、いくら吐き出しても、どうしてもお腹に溜まる。そして、トイレに駆け込む回数が増えるのオリーブオイルテイスティングのは困った点である。


ちょっと息抜き 1

2007-06-14 01:28:58 | もろもろ、つれづれ
少し前に、ローマのソムリエ協会主催のブルゴーニュ・ワインの試飲会があった。
予定より参加ワイナリー数が減って寂しい~時が時々あるが、今回は◎のお得感があった。
入場料がタダな上に、ブルゴーニュの赤、白が60ほど揃っていた。参加ワイナリーは15社ほどだったが、各社が平均4種位のワインを持って来ていて、こういう試飲会が頻繁にあればいいのにが率直な感想。
でも、タダのせいで、人は多かったが。
さて、会場で会ったイタリア人の話。
ところで、ブルゴーニュというと、ご存知、赤の品種はピノ・ノワール(イタリア語でピノ・ネーロ)、白の品種はシャルドネと決まっている。(もちろん、赤でガメ、白でアリゴテもあるが、副次的品種。)
「サービスするソムリエが、お客さんに、品種は?って聞かれて、ピノ・ネーロと答えたら、また?他の品種はないの?と聞かれたそうだ。」
この人はいったい何を飲みたかったのだろうか??
カベルネ(ボルドーの品種)かネッビオーロ(バローロの品種)か。。
それから、展示用にしていたボトルが盗まれたとな。ドロボー

DOCG アルバーナ・ディ・ロマーニャ -エミリア・ロマーニャ

2007-06-13 08:13:22 | イタリア・ワインABC
DOCG Albana di Romagna -Emilia Romagna
DOCGである。それも一番最初の白のDOCGである。
さて、エミリア・ロマーニャ州は横に長い。食通の町、食い倒れの町は州の左側、エミリア地方に集中している。その代表がパルマで、生ハム、それより美味しい(?)クラテッロ、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズの産地で、ヨダレが出そうな町である。また、周辺にはバルサミコ酢の産地、モデナとレッジョ・エミリアもある。しかし、ワインはと言うと、エミリア地方の特産は何と言ってもランブルスコ。安い発泡性の赤ワインでしかなく、お世辞にも味わい深いとは言えない。。(イタリアのコカコーラと言った人もいる。。注:私ではありません。)天はニ物を与えないのか、と思ったりして。
隣、つまり、右側はロマーニャ地方。食べ物に関しては負けてしまうが(と言っても、イタリアでも最も良いオリーブオイルの産地、ブリシゲッラはこちら側)、ワインはこちらの方が断然イイ。
で、アルバーナ・ディ・ロマーニャ。産地は、F1で有名なイモラからチェセーナまでとかなり広い。品種はアルバーナ100%。アルバーナは、やたらひょろっと長いぶどうで、これで、DOCGワインができるの?と思わせてしまう。確かに辛口バージョンは、いくつかのワイナリーのものを除いて、お世辞にも美味しいとは言えない。。でも、安くて、きりりとした酸味がご愛嬌と思おう。
DOCGアルバーナには薄甘口、甘口バージョンもある。これも、いくつかを除いて、まあまあの出来。確かに酸味と糖分のバランスは程よく取れているが、という感じ。
アルバーナが本領を発揮するのはパッシート。遅摘み、それも貴腐が付いたり付かなかったり、収穫後の陰干しをしたりといろいろな造り方はあるが、美味しい。また、非常にレベルの高い素晴らしいものもある。アルバーナの酸味と糖分のバランスが見事に取れ、デザートに、チーズに、濃厚なものは食後の瞑想用にお勧め。日本では、デザートワインが敬遠されているのが非常に残念。ぜひ、試して欲しい。
辛口を飲んでるだけでは他のDOCGから村八分にされそうな感じはあるが、パッシートで完全に面目回復。

DOC ルガーナ -ロンバルディア(+ヴェネト)

2007-06-12 07:30:51 | イタリア・ワインABC
DOC Lugana -Lombardia(+Veneto)
ガルダ湖を挟んで東側はヴェネト州、西側はロンバルディア州。そのガルダ湖の南、湖に沿っていて、ロンバルディア州+一部がヴェネト州にもかかっている、つまり2州にまたがったDOC。生産地域は非常に小さい。湖に沿い、平野になっているので、標高はかなり低い。また、湖があるせいで気候が温暖な為(ガルダ湖周辺では、オリーブの樹の北限をほぼ超えているにもかかわらず良く育つ)、ぶどうは良く育つが、残念ながら温度差が大きいわけではないので、品質の良いワインにはなりにくい。
そんな中で健闘している白がルガーナ。なお、ルガーナは一帯地域の平野の名前。品種は白ぶどう品種のトレッビアーノ・ディ・ルガーナ(またはトレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ、トレッビアーノ・ヴェロネーゼなどと呼ばれる)を90%以上使用となっている。トレッビアーノは、ほぼイタリア中、あちこちにあるが、微妙にタイプが違う。一応、一般的に、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェが最も品質が良いと言われている。また、最近の研究ではマルケ州に流布しているヴェルディッキオに近いとか?
トレッビアーノ自体が地味で、酸味が強いだけの没個性、ニュートラル品種なので(ちょっと言い過ぎ??失礼。。)出来上がったワインも当然、大多数はかなり平凡。それでも、他のトレッビアーノ種主体のワインと比べると、なかなかいけるのが分かるだろう。
白、白のスーペリオーレ、スプマンテがある。スーペリオーレは、アルコール度がノーマルタイプよりやや高め、熟成期間1年以上という規定が加わる。スプマンテはシャルマー方式とクラシコ方式の両方があり、クラシコ方式で造られたものの方が当然良い。一般的な白は、かなり薄い色合いのものから、木樽で熟成された黄金色のものまであり、木樽熟成の中にはトレッビアーノが負けてしまい、木の香りプンプンのものまである。なお、スプマンテも含めて、いろいろなタイプのルガーナをリリースしているワイナリーが多い。ところで、トレッビアーノがいくら酸が強いとは言え、標高が低いので、補酸をしてあるのか、やたらすっぱい、どれを飲んでも同じ酸、というワイナリーのものもある。
一般的に値段が安く、飲み易いし、柑橘系の香りに若干ミネラルの香りが加わり、日本料理にも合いそう。今日は暑いので軽めの白、みんなでわいわいがやがや飲もう!という日にお勧め。

”ズィビッボ・ディ・パンテッレリア・セッラギア 2005" ビーニ

2007-06-11 08:15:33 | Sicilia シチリア
"Zibibbo di Pantelleria Serragghia 2005" Gabrio e Giotto Bini -Sicilia
アンフォラ(素焼きの壷)で発酵させた超ビオワイン。品種はズィビッボ、つまりモスカート。
シチリア島のさらに南、ここはほとんどアフリカ?という場所に位置する小さな島、パンテッレリア。辛口白もさっぱりして良いが、モスカートで造ったデザート・ワインが特に有名。イタリアのデザート・ワインの中でも名品がいくつか造られている。
色は明るみを帯びた黄金色からコハク色がかる。
香りは、アルコール度数の高いデザートワインなので、当然、甘い香りが広がる。柑橘系の香りが強い。良く熟したもの、シロップ漬けなど。他に、ビオらしい香り。ミネラルと塩salamastro、アンチョビ、海、ケッパー(パンテッレリア島の特産)、アンモニア臭も少し。
味は、甘いが、塩味が強い。甘さ、酸、塩味が一体化している。柑橘、特にグレープフルーツ風の味残り、最後にモスカートらしい苦味も出る。
アンフォラはローマ時代からある素焼きの壷。素焼きだから、蒸発も速い。空気の流通が激しいから、どことなく酸化臭がまとわりつく感じになる。醸造にアンフォラを使うワイナリーがイタリアにはいくつかあるが、有名なところで同じシチリアのCOS、フリウリの大御所グラヴネルがある。まあ、一度は試してみて欲しい。

”ジョルジョ・プリモ 1995” ラ・マッサ

2007-06-10 16:31:07 | Toscana トスカーナ
"Giorgio Primo 1995" La Massa -Toscana
今はIgtワインになったが、まだキャンティ・クラシコだった時代のもの。今とはブレンドが違う。品種はサンジョヴェーゼ75%、メルロー25%。
色はガーネット。程よい色の濃さ。澱がやや見える感じあり。
香りは、フルーツのコンフィがあるが、他、ミネラル臭が強い。なんとなく塩昆布風の香りもする。(日本人にしかわからないが。。)辛口スパイス臭、バルサム臭balsamico、リコリースの木そのものなど。奥にはやや臭みがあり、革、アニマル臭などもある。アルコール臭が時々鼻につく。
味は、タンニンがまろやかになっているので酸が際立つ。アルコールが強い。味の強さは申し分なく、後味に酸がきれいに残る。
こういう偉大なワインの1本が、10年以上を経て、良くなっていると思うのは当たり前のことで、だから期待してしまう。期待される方が酷で、決して悪くはないし、きれいにまとまり、ちゃんと熟成しているが、感動が少ない。。
それにしても、トスカーナはアルコールがどうしても強い。。

”バルベーラ・ダスティ・ラ・ボリオーナ 1995” スカルパ

2007-06-10 16:10:10 | Piemonte ピエモンテ
"Barbera d'Asti Superiore La Bogliona 1995" Scarpa -Piemonte
スカルパはイタリア語で一足(片方)の靴の意味。バローロ、バルバレスコ、ネッビオーロも造っているが、バルベーラ、ルケなどのちょっと地味系(?)が得意な伝統的ワイナリー。150年の歴史を持つ。
品種は、バルベーラ。こういう、小粒できらっと光るワイナリーのワインが10年以上の時を経て、どうなっているかは興味深いところ。いったいどれだけもつのか。。
色は薄く、ガーネット色。爪にははっきりオレンジ色が見えている。熟成かなり進んでいる感じ。
香りは、まるで野菜畑に立ったよう。土、ドライトマト、キノコ、黒オリーブ、アニマル臭など。と書くと、何?と思うかも知れないが、熟成がきれいに進んでいる。こういう正統派伝統的ワインの進む道をちゃんと行っている感じで、どこかの、フルーツのコンフィが残っているけど、なんだかすぐに消えてしまう高級ワインと比べると、こちらの方が、優しく、香りの複雑性、持続性があり良い。
味は、酸が際立つ。タンニンはまろやかになってほとんど感じない。香りで感じたものが、酸と一緒に、味、後味に残る。持続性あり。
こういうワインを受け付けない人は別だが、小さな発見、と言う感じ。

”マグマ 2002” フランク・コーネリッセン

2007-06-09 06:48:25 | Sicilia シチリア
"Magma 2002" Frank Cornelissen -Sicilia
エトナ火山で造られる超ビオワイン。品種はネレッロ・マスカレーゼ。
色は暗めのガーネット色。やや透明感あり、爪の部分はかなり薄め。澱、濁りがある。1時間の間に、色がレンガ色、オレンジ色に変化。グラスの中でこれだけ色が変化するワインは他にないだろう。非常に興味深い。
香りは、ビオらしい臭みがある。かなり複雑。薬、ビタミン剤、カフェ、リコリース、干レーズン、スパイス臭、肉、木、煙、マデイラ風、栗、土、オリーブの漬け汁salamoiaなどなど、あげたらきりがない。これだけ次から次に不思議な香りが出てくるワインもそうないはず。
味は、ボディあり、まろやかさ程よく、マデイラ風の後味残り、塩味あり。最後やや渋みあり。持続性まずまず。
それは興味深いワイン。ワインとは何か?つまりは農産物であり、自然の恵みであり、おそらく神からの授かり物であり(無宗教でなければ。。)、良いものを創りあげようとする人間のパッションの一つの表現であったりするのではないか、を体験できるワイン。好きか嫌いかはともかく、こういうワインが存在するということは肯定すべき。

”コスタ・デル・ヴェント-ティモラッソ 1996” ヴィニェーティ・マッサ

2007-06-08 05:43:59 | Piemonte ピエモンテ
"Costa del Vento -Timorasso 1996" Vigneti Massa -Piemonte
イタリアで話題のティモラッソ。ティモラッソの中では最も良いものの1本。品種はティモラッソ100%。
2004年を以前テイスティングした時は、ステンレス・タンクのみなのに、ミネラルが強く、樽っぽい香りが混じるのを感じた。それが8年たつと。。(もちろんヴィンテージは違うが。。)
濃い目の黄金色で、つや良し。
香りはかなりふくよか。強さ良く、ナッツの香りあり。熟したフルーツ、ドライフルーツ、スパイス臭、柑橘のコンフィ、ニワトコsambucoなど。香りの変化あり。
味はインパクト強く、ボディあり、アルコールあり。ピーナッツバター風、グリセリンが口にまとわりつく感じ。酸ほど良く、塩味強し。後味はかなり長いが、最後の苦味が気になる。アルコールから来るような、酸化から来るような、かなり気になる苦味。そして、最後、ナッツ、チーズ、ガルム(魚ベースのローマ時代の調味料)風の後味残る。
ふくよかで、大胆で、かなり良いかと思いきや、残念なのは、苦味。どうしても気になる。そして、しばらくすると香りの変化がとまり、その後の劣化は速かった。
2004年は明らかに若過ぎたが、リリース後、3-5年以内に飲むのが理想的なのかもしれない。