在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

カニーナ・ディ・ロマーニャ DOC

2008-01-28 19:45:05 | イタリア・ワインABC
Cagnina di Romagna DOC –Emilia Romagna
イタリアは、赤のデザートワインがかなり造られている国だと思う。
デザートワインというと白、というイメージが一般にあるのではないかと思うが、イタリアでは各地で甘い赤ワインに出会う。意外とこのあたりに、日本のワインの火付け役となった「赤玉ポートワイン」の起源があったりして。。(名前がポートだし、違うと思うが。。)

さて、「DOCカニーナ」も赤のデザートワイン。本当になんてことのないワインであるが。。品種は、レフォスコrefosco。フリウリ、ヴェネトにも見られる品種で、地理的に繋がっていると解釈して良いだろう。レフォスコは少なくとも85%使用で、他の品種を混ぜても良い。なお、レフォスコを地元ではテッラーノterranoと呼ぶので、そうなるとフリウリの「DOCカルソCarso」の品種の一つであることを思い出すと思う。(ただし、こっちは辛口ワイン)
名前にロマーニャが付いているので、州の東側のフォルリ、ラヴェンナあたりが生産地。
最低アルコール11%
最低残糖分は40g/l
きれいなルビー色、やや紫がかり、いかにもワインらしい(グレープジュース的と言ったらちょっと怒られてしまうか??)ほどほどに甘いワイン。

”カニーナ・ディ・ロマーニャ 2003” ファットリア・カメローネ(マラビーニ)

2008-01-28 19:41:22 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
"Cagnina di Romagna 2003" Fattoria Camerone(Marabini) -Emilia Romagna
今はちょうどカーニバルの季節である。カーニバルとこのワインの関係は、カーニバルの時期に食べるお菓子フラッペ。またはキャッケレと呼ばれるお菓子を自分で揚げて食べるのに、何かちょうど良いワインがないかと思ったからである。
そして、ちょうど、その前に春巻きを含む中華系の料理を考えていたから、それなら、少し甘いワインもいいかもね、と思った。こちらは、春巻きは醤油、酢、ラー油で食べるとは限らず、スイートサワーソースも普及しているのである。
結果的に、中華のスイートサワーソースにこのワインはまずまず(個人的には中華にはビールが良いかなぁ)、甘口ワインが好きな人には良いと思ったが(日本では、食事用のワインリストに何故かモスカート・ダスティがあったりするから、そういうワインを飲む人には)、フラッペには結構合ったと思う。

もう何年かうちに眠っていたワインの1本。でも、保存状態は良いので、思ったより美味しかった。(というより、もうダメなら捨てようと思っていたのだが。。)
品種はレフォスコ。地元名でテッラーノ。
色は、明るいルビー色。バラ色という感じ。もっと若い時は紫がかっていたのだろうが、それが取れて、きれいなルビーになっている。
香りは、いちご、それも、いちごの種のよう、そして、レッドベリー、サクランボ。いちごの種の青っぽさ、革を思わせる苦みを含んだ香り、薬草風の匂いも混じる。最初はひたすらいかにも「ワインらしい香り」だったと思うが、やや落ち着きが出てきた感じか。ただし、完全にきれいな香りとは言えない部分がある。
味は、程よい甘さが心地よい。アルコール度9%で、軽めで、ベタベタした感じでないのが嬉しい。酸はあるが、あまり感じるほどではなく、どちらかというと最後に渋みが残るのが気になる。
まあ、こんなもんでしょ、という感じ。

ローマのタクシーの定価  なに、これ~???

2008-01-25 07:25:29 | もろもろ、つれづれ
Tariffa Taxi -ROMA !!
このところ、タクシー料金の改定があった。それを機会にあるローマの大手タクシー会社が、各国語でのパンフレットを作ったのだと思う。タクシーに乗ったら、運転手がくれた。「日本語でも書いてあるよ」と自慢げに言いながら。
で、見てびっくり!なに、これ~

最初の「定価」に始まり、日本語じゃあ「一律料金」だよね~。。くらいで驚いちゃいけない。
次の、ローマの市民会館~フィウミチーノ空港までで、またもや???
ローマに市民会館なんてないよ~「市中心部~空港」でしょ~。。。
そして、その下に、「40ヨーロッパ」「40ヨーロッパ」っていったいな~に???もしかしたら、「ユーロ」って意味???

どーして、こうなるのか??
どうやって間違えると、こういう翻訳になるのか??
うーん。。。ちょっとやそっとでは、間違えることができない間違いだよね~。。
で、気が付いた。これは、今流行りのインターネットの自動翻訳を使ったのだ、と。

だから、ROMA CENTRO(中心部)が、ローマ・センターになり、つまり「市民会館」。
EURO(ユーロ)が「ヨーロッパ」になるんだぁ。。。と。
まあ、正しいって言えば正しくもあるのだけれど。。。

しかし、ここまで来ると、なんだか、あんまりかわいそうで、タクシー会社に教えてあげるのも悪いような気がするなぁ。。。

トレッビアーノ・ダブルッツォ 2種 マロラッティカなし/あり

2008-01-24 02:28:30 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Trebbiano d’Abruzzo 2006” マロラッティカなしヴァージョン
“Trebbiano d’Abruzzo 2006” マロラッティカありヴァージョン Giuliano Pettinella –Abruzzo
手書きラベルの自家製ワイン、トレッビアーノ2種。造っている人は隣のマルケ州在住。
2種は同じ年、同じ畑、同じ品種で造り方だけが違う。
こういう比較は何にも増して面白い。

① マロラッティカなしヴァージョン
色は黄金色。②とほぼ同じ色合い。透明感あり、輝きが実にきれい。
香りは、最初、ぱっと開くが、すでに熟香が強く出ている。ミネラル臭が強く、野菜系の臭み、香草、アニマル臭、ドライフルーツ、スパイス臭などかなり辛口の香り。香りの変化はおとなしく、最後は、ちょっと枯れた感じにもなる。
味は、かなり酸がある。非常に辛口の印象。ミネラルが刺激的pungente。細いが、後味は結構長く続く。
香りより味の方が良いタイプのワイン。

② マロラッティカありヴァージョン
色は、①とほぼ同じの黄金色。
香りは、最初はちょっと閉じ気味だが、だんだんと開いてくる。心地よい甘い香り。とても同じ品種で同じ畑、同じ年とは思えない。
煮たリンゴ、黄色の花、熟したフルーツ、コンフェッティconfettiのような甘い香り、そして、ミルク味の飴、樹脂を含んだ木の香り。ミルクの飴はマロラッティカだし、木の香りは、木樽熟成だとはっきりわかる。
味は、インパクトがかなり強い。木がすぐに出てくる。まろやかさがあり、酸はだいぶ抑えられている。後味は、最後がやや消える感じで、わずかだがほろ苦さが出る。
味より香りの方が良いタイプのワイン。

これで元が同じなんだから、信じられない。

パスクアーレ・マリリアーノ -カンパーニア

2008-01-23 08:26:19 | もろもろの食べ物
Pasquale Marigliano -Campania
行きました。行きました。マリリアーノまで。はるばる。いやー、ナポリから決して遠いとは言わないけれど、近くはない。ヴェスヴィオの裏あたりは、仕事で行くと言えば行くのだが、お菓子屋を探して行ったのは初めて。ちょうど、ナポリのゴミ問題の真っただ中で、確かに、郊外へ行くとあるわ、あるわ、ゴミが。それはテレビで報道されるだけあるなかなかのものである。歩道がゴミの山に占領されている。町角という町角にゴミの山。ゴミをよけて、人間が車道を歩いて車にひかれたら、誰が悪いことになるんだろう?なんて、考えてしまった。
で、途中、若干道にも迷い、人にも聞いてたどり着いたマリリアーノ。この通りにある、というところまで来ても、えー、これって普通の住宅街! ちょっと奥まっていたせいもあって、見落とし、引き返し、住所を見て、ここだ!というところにたどりついた時には、びっくり。こんなパエーゼ(田舎)に、こんなにしゃれたお菓子屋さんが、どーして????と、?マークをいくつも付けてしまった。

店舗は小さいが、おしゃれで明るい。冷蔵庫には、種類は少ないが、ここはナポリ(それも郊外、はっきり言って田舎)とは思えない、おしゃれなケーキが並んでいる。そして、液晶テレビにDVD。得意のチョコ、有名なパネットーネの製造過程を、わかりやすくDVDにして流している。そして、ショーケースには、かわいいプチケーキがずらっと。そして、それはそれは美味しそうなカッサータなどなど。。まずいカッサータには目もくれないが、美味しそうなものには目がない。
しかし、あいにく、その時、死ぬほどお腹がいっぱいで、ケーキを見られる状態ではなかった。どうしようか、ここまで来て何も食べないなんて、と見ていたら、お店の人が、次から次にふるまってくれた。どうしよう~、もうなんにも入らないのに~。。
チョコ数種、ババ2種、パネットーネにカッサータを挟んだもの、などなど。。死ぬほどお腹がいっぱいなのに、おいしい。これでお腹がすいていたら!と思ってしまった。チョコはすべて美味しく、苦手なババは大変な美味だった。
これだけふるまってもらって手ぶらで帰るにも悪いし、もったいない話なので、少しは日持ちするチョコとプチケーキを10個程度購入。でも、ケーキはとうとう当日は食べられず、翌日の夜になってやっと食べられたのだが、それでも、かなり美味しかった。

次は絶対にお腹をすかせて行こう!と心に決め、ちょっと遠いけど、今度の冬にはパネットーネを直接買いに来ようかな、と思ったのでした。(写真は、箱の中におとなしく並んだチョコ。香りがとても良い。)

トマトソース煮の新鮮な驚き

2008-01-22 17:47:40 | レストラン
先日、住宅街の中にある、ごくごく普通のレストランに何気なく入る機会があった。
ワインが好きだと、当然料理も気になり、せっかくなら美味しいものが食べたいということになる。すると、レストラン評価本にも目を通すようになるし、まずまずの評価のところには行ってみたくなる。(評価がかなり高いところは、たいていフレンチイタリアンで、一度食べるとちょっと飽きてしまう。また、値段が高過ぎで、そう簡単には行けない。)
だから、ここに行きたい、という前触れもなく、知らないところに何気なく入ることは、私にとってはかなり珍しい。

で、これが良かった。新鮮な驚きだった。
魚のトマトソース煮が出てきたのだが(オーダーを人に任せたので、何を頼んだか知らなかった)、懐かしい味だった。というのは、よーく考えてみると、最近は、これぞトマト!という感じで煮込んでいるものが少なくなってきたような気がするからだ。

昔、ボンゴレ・スパを頼むと、赤rossoか白biancoか?と聞かれたものだ。赤を頼むと、こてこてトマトソースにボンゴレがいっぱい入っていた。しかし、チェリートマトが普及してからは、マッキャートmacchiato(まだらの意味、またはロゼと呼ぶ)と言われるのが主流となり、こてこてトマトのボンゴレ・ロッソにお目にかかれなくなってきたのである。トマトお得意のナポリに行ってもそうだから、ちょっと残念。(自分で作るっきゃないね)

で、運ばれてきたお皿を見ると。魚がこてこてトマトソースで煮てあった。ムール貝も一緒に煮てあり、トーストも添えてある。新鮮な魚なら、トマトで味をごまかすことしないよ、というかも知れないが、他のお皿から想像するに、そういうごまかしではないのがわかる。魚に、トマトの味がしみ込み、うーん、うまい。残ったソースは、持って帰って茹でたパスタと和えたい、と思ったくらい。(さすがにそれはできないが。。。)

パスタも美味しかったし、近所の人たちが気取らず入る、ごく普通のレストラン。たまにはこういうところもいいね~。。

”ピノ・ビアンコ””トカイ・フリウラーノ” 2006 トロス

2008-01-20 09:40:36 | Friuli フリウリ
“Pinot Bianco 2006”
“Tocai Friulano 2006” Toros –Friuli
トロスは、何年か前、初めて飲んだ時(あれは、第1回目のスーパーホワイトだったような気がする。。)ちょっとしたショックを受けた。香り、コク、ボディが見事に表現されている。そして、確かトカイだったか。。ステンレスしか使ってない、と言う。ステンレスだけで、よく、どうして、ここまでの味が出せるのだろう。。。とひとりで考え込んでしまった。
造っているフランコ氏も素晴らしい人物だと思う。こういう人が造っているなら、と納得。

ピノ・ビアンコ
華やかな香りが立つ。白い花、黄色い花(エニシダginestra)、熟したフルーツなどがそれはきれい。香りにうっとりしていると、味はかなりのボディがあり、ちょっと塩辛いくらいミネラルが出てくる。魅力的な甘い香りに隠れてしまっているが、確かに、香りの奥にはミネラル臭がある。そして、アルコール度もかなりあるのだが(ラベルは14%)こちらも隠れてしまい、それほどとは思わない。あれ、そんなにあったの?という感じ。後味がとても心地よい。
トカイ
堂々たる味と香り。トカイの個性がきれいに表現されている。ニワトコsambuca風のやや臭みを帯びた香りは、花とミネラルが混じったのではないかと思う。香りに奥行きがあり、複雑で、きれいに変化を見せる。味は、ボディあり、コクあり、酸味と塩味が見事に一体化している。後味が長く、さすが、の一言。

もっと軽いワインがいいよね、という人には重すぎるかもしれない。しかし、ハレの日の白ワインとしてはお勧め。そして、これだけの質なのに、20ユーロ弱という価格はお見事。

”ピノ・グリジョ””トカイ・フリウラーノ””ソーヴィニオン” 2006 ファンティネル

2008-01-20 08:15:04 | Friuli フリウリ
“Pinot Grigio Sant’Helena 2006”
“Tocai Friulano Sant’Helena 2006”
“Sauvignon Sant’Helena 2006” Fantinel -Friuli
生産数が結構多い大手なので、気にして飲んだことはなかった。
でも、決して悪くない、が感想。
ただし、値段はちょっと高いかも。(15ユーロ位)もう少し安かったら、かなりのお得感ありなのだけど。
以下、3種、全てステンレスのみ。

ピノグリから。
香りがとても良い。熟したフルーツの香りとほんのり緑の香りが主張し過ぎず、やや控えめに立つ。柔らかさと酸のバランスが良く、後味がとても心地よい。
トカイ。
最初、ニュートラルな感じだが、次にミネラル臭が出てくる。味にもかなり塩辛さが出て、酸味が隠れてしまうか、というくらい。
ソーヴィニオン。
緑の香りがきれい。猫のおしっこ風ではない、すっきり、澄んだ緑の香り。そして、ここにもミネラル臭がかなりあり、まずまずの「風格」を漂わせている感じ。ボディがあり、酸と塩味が広がる。

こんどの日曜日はスーパーホワイト♪

2008-01-17 08:10:56 | もろもろ、つれづれ
Super Whites -Friuli
今度の日曜日、つまり1月20日にスーパーホワイトの試飲会がある。
一番最初から参加しているが、もう6、7回目だろうか?
スーパーホワイト(正確には、ホワイツ)は、かなり規模の大きいフリウリ白の試飲会。今年は70社がご自慢の白を数種持って参加。全部飲むのは無理、という数である。
ただ、最近は、酒を飲みに来ただけの飲兵衛も多いので、参加をやめたワイナリーはあるが、まだ有名どころが一堂に会して、に近い雰囲気がある。

ポリフェノールの効用以来、絶対赤が好き!という人が多いが、私は個人的に、白も大好きである。
それも、フリウリの白は大大大好き♪
もし、ローマにいたら、都合がついたら、ぜひ、行きましょう。
15時から、ヒルトン・ホテルです。入場料 15ユーロなり。
いるから、声をかけてくださいね。

トレッビアーノ・ダブルッツォ DOC

2008-01-17 07:56:01 | イタリア・ワインABC
Tebbiamo d’Abruzzo DOC –Abruzzo
アブルッツォ州というと、赤はモンテプルチャーノ、白はトレッビアーノと決まっている。意外と国際的品種が少ない。イタリアにシャルドネ、カベルネが蔓延した時、おそらく出遅れたアブルッツォのような州は、しかし、それは本当に幸いしたと思う。国際的品種に飽きて土着品種に注目しだした時、トレッビアーノにも光が当たってきた。
しかし、トレッビアーノをイタリアの土着品種と言うのは間違っている。何故なら、フランスにもあるからである。それも、フランスのコニャック、アルマニャックの主要品種で、フランスではウニ・ブランと呼ばれている。
さて、トレッビアーノは、かなりクローンの多い品種の一つである。そこで、トレッビアーノ・ディ・ナントカというのが非常に多い。そして、それらすべてを含めると、イタリアでは、北でも南でも栽培されているのがわかる。(白ぶどう品種としては、かなり栽培面積の多い品種の一つである。)
そして、お世辞にも良い品種とは言えない。(この品種から、どうして美味しいコニャック、アルマニャックができるのが理解しにくいといったら、怒られてしまうか。。)

アブルッツォ州のDOCトレッビアーノ・ダブルッツォの品種は、トレッビアーノ・ダブルッツォTrebbiano d’Abruzzo、別名をボンビーノ・ビアンコBombino Biancoと呼ばれる。やや緑がかった麦藁色、デリケートな香り、まずまずの酸味を持ったあまり特徴のないワインができる。または、同じトレッビアーノでも、トスカーノTrebbiano Toscanoを使うことができ、それぞれ、15%まで他の品種を混ぜることが許可されている。
最低アルコール度は11%。収穫の翌年の1月1日より発売ができる。
何といっても群を抜いて良いのはヴァレンティーニValentiniのものである。これはすぐに飲んだらもったいない。白ワインはすぐに飲んだ方が良いというのは一般論で、ある種のワインには当てはまらないが、このヴァレンティーニのトレッビアーノもである。ぜひ数年以上、大切においてから飲んでほしい。

モンテプルチャーノ・ダブルッツォ DOC/コッリーネ・テラマーネ DOCG

2008-01-16 07:48:36 | イタリア・ワインABC
Montepulciano d’Abruzzo DOC
Montepulciano d’Abruzzo Colline Teramane DOCG -Abruzzo

モンテプルチャーノは、このところ、ちょっと注目されている品種である。
DOCだったのが、一部、切り離されてDOCGに変わり、生産者も今とばかりに宣伝に力を入れている。
ところで、モンテプルチャーノと言うと、トスカーナにあるヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノの産地、モンテプルチャーノを思い浮かべることの方が先ではないかと思う。ややこしいが、同じ名前でも、一つは村の名前、もう一つは品種の名前である。何も同じ名前にしなくても良いのではないかと思うが。。
ワインの方のモンテプルチャーノ、略してヴィーノ・ノービレと呼ぶが、これは、サンジョヴェーゼ(地元の名前でプルニョーロ・ジャンティーレ)を使うので、品種のモンテプルチャーノは関係がない。
品種のモンテプルチャーノは、アブルッツォ州を代表する品種で、トスカーナとはあまり縁がない。しかし、もともと、モンテプルチャーノからもたらされた品種だ、という説があり、その辺からモンテプルチャーノという名前が付いたとも言われている。
その時、もうちょっと考えて、違う名前にしてくれたら良かったのに。

① DOCの方の規定から。
赤とチェラスオーロ(ロゼ)がある。
モンテプルチャーノの使用、最低85%。
・ ロッソRosso 最低アルコール度12%、翌年の3月1日以降販売できる。熟成期間が2年以上(うち9か月は木樽)になるとリゼルヴァRiserva(アルコール12.5%以上)と名乗れる。
・ チェラスオーロCerasuolo チェラスオーロはサクランボの一種。その色、香りに似ているという感じで付けられ。最低アルコール度12%。翌年の1月1日以降販売できる。

ソットゾーナsottozona(さらにこまかい特定の地域)が二つある。
・ “Casauria o Terre di Casauria“ モンテプルチャーノの使用100%。最低アルコール度13%。最低熟成期間18か月(うち9か月木樽)、リゼルヴァはアルコール13.5%以上、30か月以上(うち9か月木樽)。どちらも6カ月以上のボトル熟成。
・ “Terre dei Vestini” アルコールのみが違って、最低12.5%。リゼルヴァで13%以上。他の規定は同じ。

② DOCGの規定
名前の通り、アブルッツォ州の北部にあるテーラモ周辺のもので、DOCの範囲からみるととても小さい。そして、当然規定を満たしているものを指す。
赤のみでチェラスオーロはない。
モンテプルチャーノを最低90%使用のこと。サンジョヴェーセを10%まで加えても良い。
最低アルコール度は12.5%。最低熟成期間は11月1日から起算して2年(うち木樽は1年以上)。リゼルヴァは3年(うち木樽は1年以上)。6カ月以上のボトル熟成。

モンテプルチャーノと言うと、何といってもトップはヴァレンティーニValentiniであろう。
右に出るものはいないと思う。最近はすっかり有名になったワイナリー、エミディオ・ペペEmidio Pepeもモンテプルチャーノを造っているワイナリーである。イタリアン・ビオの代表選手の一人で、今だに足踏みでワインを造っているのと、熟成をすべてボトルで行ってしまうというのが特徴的な、実に面白いワイナリーである。
他、優良な大手というと筆頭はマシャレッリmasciarelliだろう。やや面白みには欠けるが、良くできている。

”トゥデーリ 2003” テヌーテ・デットーリ

2008-01-15 00:33:21 | Sardegna サルデニア
“Tuderi 2003” Tenute Dettori -Sardegna
今、日本でも話題のデットーリのワイン。
生産者のアレッサンドロ氏は素晴らしい人物だと思う。
記念すべき日(と言っても、ただの誕生日)に、あるレストラン(正確にはトラットリア)へ行った。初めてのところで、行ってみると、壁には、ずらっと、なかなか良いワインが並べてある。
こちらの誕生日は、奢ってもらえない。誕生日を迎える人がみんなに奢るのである。だから、値段ほどほど、でも、これという日に飲みたいワイン、これという日に飲んだ!と思い出したくなるワインはないか、と探していたら、あった。嬉しいことに、レストランなのに、エノテカ(酒屋)で買う値段とほとんど変わらない。(信じられない!)
で、即、注文。
幸せである。自分の年齢を考えると悲しさが過ぎるが。。。それに、好きなら買って自分の家で飲めばいいじゃん!と思わなくもないが、レストランで、人の作った美味しい料理と一緒に好きなワインを飲めるというのは幸せである。

品種はカンノナウ100%。
色がきれい。レストランの、上からのスポットに照らされ、それは美しい色合いである。ノンフィルターワインの為、やや曇りがあるが、最初はほとんど透明で、赤くきれいなプルーン(Santa Rosa種)の色。だんだんと細かい粒子が増えてきて、透明感がなくなり、グラスの中で、何とも言えない深い色合いを呈してくる。(とても魅力的なマニキュアの色のよう。。)
香りは、自然と太陽と海と土とアレッサンドロ。熟した小さな木の実、スパイス、花、血、こころもち野菜、梅とシソなどなど。奥行のある、実に魅力的な香り。
口に含むと、フルーツの香りなどがふわっと広がり、次にアルコールが出てきて、サルデニアの暑い夏を感じさせる。そこに、酸がきれいにハーモニーをなし、優しい後味がきれいに残る。木イチゴの香りがふっと出てくる。
14.5%のアルコールとは思えない優しさ。骨があり、主張があり、しかし、人を思いやる心をもった魅力的な男性のようなワイン。ワインは造る人に似るのだろう。

余談だが、こういうワインを飲むと、「年鑑本の評価」なんてどうでも良いと思えてくる。イタリアで、彼のワインに最高の評価をつける団体はもちろんあるが、絶対に最高評価をつけない団体もあるからである。

”アリエス・ペコリーノ 2006” チャヴォリッヒ(でいいのか??)

2008-01-14 03:21:07 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Aries Pecorino 2006” Ciavolich -Abruzzo
色は、とてもきれいな黄金色。まさに、オーロジャッロoro gialloという感じ。
香りは、すぐに熟した柑橘系の香りがはっきりと感じられ、ナポリのオレンジが熟したがコンフィに近い感じ。最初は単純な香りかと思ったが、しばらくすると、他にいろいろ出てくる。若干サルビアのような緑の香り、ミネラル臭、白コショウなど。香りの強さも良いし、なかなか面白い香りである。
味は、かなり塩辛い。そして、酸味もある。ボディも良い。ミネラルが結構あり、味の強さよく、持続性もまずまず。ほろ苦さが後味に残る。
ペコリーノは、最近少し名前が出るようになった、主にアブルッツォ州に見られる土着品種。ペーコラが羊という意味だから、羊っぽいというより(ぶどうが羊っぽいわけがない!)羊臭いような香りがあるか?というところあたりから命名されたのではないかと推測できる。このところ、イタリアも国際的品種に飽きて、土着品種がだいぶ見直されているが、誰も注目しなかった品種に注目するワイナリーが全国に現われているのは嬉しい限りである。
ペコリーノは、かなり古い品種で、もともとの起源はお隣のマルケ州だが、本来、適当に他の品種にブレンドして使う程度の品種であった。ペコリーノだけでワインを造ろうなんて人が現れなかったのだと思う。この春に訪れた同じくアブルッツォのワイナリーカタルディ・マドンナ(別項参照)もそうだが、最近、ぼちぼち、こういう面白い試みに挑戦するワイナリーがでてきたのは嬉しい。
ところで、もともと単一品種で造るつもりのなかった品種は、普通に造ったら、当たり前だが、あまり良いものにはならない。ペコリーノも、柑橘系の香りを含む、酸味の強い、ほろ苦さの残るある意味で平凡な品種のようである。しかし、収穫量をかなり抑え、丁寧に造ると、これだけ色が濃くなるし、味と香りにコクがでてくる。
というわけで、期待していなかった分、良かったということもあるが、実に面白いワインであった。

サグランティーノ・ディ・モンテファルコ DOCG -ウンブリア

2008-01-13 06:21:54 | イタリア・ワインABC
Sagrantino di Montefalco DOCG –Umbria
正式名称は2つある。
モンテファルコ・サグランティーノMontefalco Sagrantinoまたはサグランティーノ・ディ・モンテファルコSagrantino di Montefalco。
品種は、サグランティーノでモンテファルコが村の名前である。ウンブリア州にある、最近、訪れる人も多い、聖者サン・フランチェスコで有名なアッシジから近いところにある。
今でこそ、国際的品種に飽きてきたイタリア人が、あちこちに埋もれている、または、絶滅しそうなイタリアの土着品種を救おうとやっきになっているが、それを考えるとサグランティーノはその元祖の一つと言えるのではないかと思う。
サグランティーノは収量の少ない、また不安定な品種である。となると、誰も見向きもしないという時期があった。それを救って、今のようにここまでにしたのはカプライの努力が大きい。そこで、今ではカプライ以外で良いワイナリーがかなり出てきているが、一時は、サグランティーノ=カプライという感じだったと、ちょっとオーバーだが言えないこともないと思う。
さて、サグランティーノは、そういう訳で、ウンブリア州のモンテファルコの土着品種である。色素の濃い、苦みのある品種である。ワインと言うと、苦味の強いタイプは苦手、という人は多いが、たまには、タンニンがどーんと効いて、そして、苦味があるタイプを好む人がいる。そういう人には、このサグランティーノは適している。

生産地域はモンテファルコ村とその周辺。
使用できるのはサグランティーノ(黒ぶどう)のみ(100%)。
辛口seccoとパッシートpassitoがある。もちろん、どちらもDOCG。
辛口は、色がかなり濃い(透明感がないくらい)、アルコール度の高い、タンニンのあるワインが一般的。最低アルコールが13度と、最低量でもかなり高め。最低熟成期間は30カ月で、うち木樽での熟成は最低12カ月。
パッシートは「干す」という意味で、つまりデザートワインである。絶滅の危機の前、つまり歴史的には、甘いワインだったというので、本当は辛口バージョンの方が、新製品だったということになる。サグランティーノは干すのに向いている品種。最低アルコール度14.5%、最低熟成期間30カ月。濃いめの赤でしっかりした甘口の、デザートに合わせるより瞑想用の方が適しているかもしれないワイン。
代表的なものにアーノルド・カプライArnaldo Capraiの“25年25 anni”とノーマルヴァージョンがあるが、ビオで面白いのは、パオロ・ベアPaolo Beaのもの。

”ネーロイブレオ 2001” グルフィ

2008-01-04 03:24:29 | Sicilia シチリア
“Nerojbleo 2001” Gulfi –Sicilia
ネロ・ダーヴォラが得意の、良く健闘しているワイナリー。
ネロ・ダーヴォラは、数年前、実に流行った品種である。一時期、イタリア人が、猫も杓子も、という感じで飲んでいた。おかげで、これがネロ・ダーヴォラ??というものも現れたが、グルフィのものはいつでも安心して飲める。
マグナムボトルだったので、普通のボトルとは感じが違うかもしれない。
品種はネロ・ダーヴォラ100%。
色はルビー色。ガーネットが見え始めくらい。つやがあり、きれい。
香りは、若干のくさみがある。(でも、決して悪いわけではない。)リコリース、栗のハチミツ、赤土、革、バルサム臭、松脂、アーモンド、キャベツ、インク、イワシ、チョコ、錆、鉄分などなど。でも、決して悪くないので誤解のないように。ネロ・ダーヴォラは、もともと土っぽい香りが結構あるが、それが熟してくるとこんな感じになるの?という感じ。
酸がきれいで、程よい塩味もある。ボディがあり、タンニンもまだちゃんとある感じ。味の強さ、持続性ともに良い。後味にブラックチェリーとチョコ。