在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

ローマの新米タクシー運転手

2008-02-29 16:42:05 | もろもろ、つれづれ
去年、ローマで、ずいぶん大がかりなタクシーのストライキを何度かやった。庶民はたいして困らないが、観光客、出張者などは困っただろう。
料金もだが、タクシーの許可枠を広げるのに反対ということで、今回は、本当に派手なストだった。
しかし、イタリアではどんなストをやっても、結局はあまり効き目がなく、今年になって確かに料金はしっかり上がったが、台数は確実に増えた。
つまり、以前は、客がタクシーを待つ状態も多かったのに、今はタクシーが客を待つ状態になっている。運転手にとってはそれだけ待ち時間が増えたわけだから、いくら料金が値上げされたとはいえ、収入は減ったかもしれない。

そして、確実に若い、つまり新しい運転手が増えた。まだ(?)まじめで、料金をぼろうとはしない。(というより、ぼるテクニックをまだ身につけていない、という方が正しいかも知れない。)
少し前に、友達がタクシーに乗ったら、「携帯でちょっと話をしてる間に道に迷われて、あっちこっちと指示した。でも最後、少し割り引いてもらったけどね」と言ったので、「いまどきはそんな運転手がいるの?へ~」と話したものだが、立て続けに、「そんな」運転手に出くわした。
一人は、あれ?っと思っているうちに曲がらなくていい角を曲がり、大通りのみを確実に進み、おかげで渋滞にはまり、降りるときに、「どこどこを通ったら、渋滞にはまらないし、近道なのよ」と降りる時に教えてあげた。
もう一人は、ナビをしっかり見ている。まあ、迷われるよりはいいけど。。
それから、「ボク、今日3日目」という運転手に当たった時には、「これからいろいろ大変だと思うけどがんばってね~」と励ましてあげた。
そして、あと一人は、行先を告げた後、「心配しなくていいからね~」と言う。何を心配する必要があるのか??と思っていたら、おもむろに電話をかけ始めた。こっちのタクシーの運転手はしょっちゅう携帯でくだらない話をしている。だから別に普通のことなのだが、こちらはイタリア語が分かる。先輩に、しっかりと道を聞いていた。そういうことだったのか~。。行先は近場、有名観光地だったにこうだから、毎回電話してるんだろうな~。郊外だったら何回かけるのかな~。。と思ってしまった。

運転手にタクシーの台数を聞いてみると、5000台だったのが、既に7500台、そして最終的には8000台になるらしい。つまり、3人に一人は少なくとも新米運転手ということになる。

ビーニのワイン3種

2008-02-28 04:50:13 | Sicilia シチリア
ちょっとは知られたビーニBiniのワイン。(と言っても、自然派ワインの好きな人たちの間だけであるが。。)見たところ、TripleAのワイナリーのリストには載っていない??ようであるが、それ並みである。
ビーニはパンテッレリア島でカッペリ(ケッパー)の生産者をしている。セッラギアにある。パンテッレリア島は、シチリアのかなり南に位置する小さな島。でも、ワインの生産では有名な島である。(ご存じサルヴァトーレ・ムラーナが有名)
ビーニ氏の生まれはトスカーナ、育ちはミラノとのこと。最近(一部で)流行りと言えなくはないが、アンフォラanfora(素焼の壺)でワインを造る。
それを3種飲んだ。
なお、ラベルの写真は忘れたのではなく、貼ってなかったのでした。

① “Serraghia Rosso Carignano 2007”
品種はカリニャーノ。サルデニア島でよく見る品種である。それが、また何故シチリアの果てのパンテッレリアに??
色は、まだ赤紫がかったルビー色。香りは、甘く、よく熟したフルーツの香りで、できたて新鮮ワインの香りvinosoがある。花、ケッパー(生産しているとワインに移るのか??なまじ、嘘とは言えない)、やや湿気を含んだ紙の香り、魚の香り(頭がおかしいとは思わないでください。。)、アニマル臭など。味は、甘く、新鮮ワインの香りと、熟したフルーツの香りが広がる。すでに柔らかさ、というか優しさを含む。後味も良い。
② “Moscato 2007”
品種はモスカート。
色は、濃い目の黄金色で、コハク色に近い。つやがとても良い。香りは、甘く熟した柑橘、蜂蜜、ドライの花などで、とても良い複雑性がある。味も程よく甘く、ボディもあり、酸とのバランスが良い。かなりピリピリ来る感覚が面白い。ナッツ風の味もある。
③ “Zibibbo 2007”
品種は、モスカート・ディ・パンテッレリア、地元でズィビッボという。シチリアに多い品種で、特に、パンテッレリアで有名。つまり、②もモスカートだから、名前は違うが、同じ品種ということになる。しかし、全然違うワインになっている。
フィルターなしで、色は、完全に曇っている。麦藁色から黄金色。香りは、ふくよか。かなり臭いと言える。臭い中に、桃、柑橘、デリケートな柑橘の花の香りが混じる。そして、ミネラル臭。モスカートだから、もっと甘くて良い感じなのに、あまり甘い香りではない。で、味は、完全に辛口。ヴァッレ・ダオスタ州で、辛口モスカートを造るが、それに似て、香りと味がアンバランス。しかし、何とも言えないモスカートの甘さが残る。そして、後味に鉄分か、チーズを思わせる味。
と、書くと、まずそ~!と思う方がいると思いますが、そんなことはありません。とても美味しいです。

こういう、体に優しいワインは嬉しい。(ちょっと臭いけど。。)


面白い試飲会

2008-02-28 03:43:23 | もろもろ、つれづれ
S.S氏の主宰する試飲会は面白い。テーマはだいたい決まっているが、今回、テーマの決まっていない6回コースに参加している。
試飲会にはタダのものもあるが、一般に安くない。だから、たいていの人はテーマを見て、時にはワインまで見て、調べて、参加するかしないかを決める。だから、今回のように、テーマがない(わからない)試飲会に参加しようと思う人は少ないので、いつもよりは参加者が少ない。
しかし、面白い。本当に面白い。第1回目は、講義が始まって、すぐにテーマを教えてくれた。2回目は、テーマは自分たちで発見すること、と言われた。第3回目もテーマがわからず、みんな、このワインはなんだ??とシチリア?ヴェネト?バジリカータあたり?とドキドキだったのだが、なんとテーマは「自家製ワイン」。ふたを開けてみると、8本のうち、5本までが流通していない自家製のワインだった。
出てくるワインは必ずブラインド。そして、1本1本飲んでいくのではなく、まず、いくつかのテーマに分けた、テーマごとのワインの色を比較、香りを比較、味を比較と、比較しながら飲み込んでいく。そこに、いいコメントも悪いコメントも混じる。
商業路線まっしぐらの有名大手協会の試飲会とは根本が違って、実に面白い。


”ヴェルテッリーナ・スーペリオーレ・ヴァルジェッラ 2001” ファイ

2008-02-27 01:28:37 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
“Valtellina Superiore Valgella 2001” Fay –Lombardia
購入後、かなり長く保存しておいた1本。良い味になっていると嬉しいと思って開けたが、期待を裏切らなかった。
品種はネッビオーロ100%。バローロと同じ品種のロンバルディア版。地元名でキアヴェンナスカという。
色はガーネット色で爪がややオレンジかがる。全体にきれいに透明感があり、ツヤがきれい。
香りに良い熟成が出ている。革、熟したフルーツの香り、森の木の実、ブラックチェリーなど。カラメルっぽい香り、アメのような甘さ、スパイス臭がきれい。
味は、インパクトがきれいで、十分なボディがある。そして、とても柔らかい。まだ酸がきれいで、程よい塩味があり、タンニンも感じるが、きれいにまろやかさが出ている。後味も心地よい。
ピエモンテのネッビオーロと違って、気取らず飲みやすく、日常消費用にはぴったり。

”カタパヌス 2006” ダルフォンソ・デル・ソルド

2008-02-27 01:24:49 | Puglia プーリア
“Catapanus 2006” D’Alfonso del Sordo -Puglia
エノテカで働いている友達が、安くて、美味しいってわけではないけど(かなり微妙な表現。。)、なかなかいいよ、と教えてくれたワイン。
品種はボンビーノ・ビアンコ。プーリアのである。アブルッツォ州に多い品種であるが、プーリア州は縦に細長く、ワイナリーは一番北の方に位置するので、隣の小さなモリーゼ州をまたぐと、そこはすぐにアブルッツォとなる。

色は、濃い目の麦藁色から黄金色に近い。ツヤがとても良い。
香りは、リンゴがすぐにはっきり。他、梨、洋梨、よく熟したフルーツの香り。梨は、日本を離れて久しいが長十朗のような感じか。そして、花はややドライ。シンプルで単純だが、なかなかきれい。若干つんとくる香りがあり、スパイス、フルーツのアメ、セロリ、牧草風の香りもよぎる。なんだか、てんでバラバラであるが。。
味は、一瞬甘い。アメ風である。そして、かなりのまろやかさもある。しかし、すぐに、苦味が出て甘さを打ち消してしまう。酸、塩味は良い。後味に、熟したフルーツと苦味とアルコールが残る。
確かに悪くないが、苦味が強いのが気になる。それも、甘さと苦さが交互に出る感じで、統一性がないというか。。でも、5ユーロもしないと聞くと許せる。5ユーロ以下でこの味なら悪くない。あまりの物価高に、5ユーロ以下ではなかなか良いワインがない現状は悲しい。。

某ソムリエ協会の試験などなど。。お久しぶりです。

2008-02-23 08:38:38 | もろもろ、つれづれ
このところ、プライベートが落ち着かないので、さぼっています。
そんな中でも閲覧してくださる方には、心から感謝します。ありがとうございます

さて、昨日、イタリア某ソムリエ協会の試験がありました。
約1年3か月のコースを終え、筆記試験を終え、いよいよ最後の口頭試験で、コルシスタ(コースに通っている人)はみんな緊張。
こちら、試験をする方は、朝から缶詰で試験をします。
とても優秀な人もいるし、ぎりぎりの人もいるし、残念ながら落とさなければいけない人もいて、こちらまで悲しくなる瞬間もあったり。。
学生や、仕事を持っている人、失業して仕事を探しに来た人、そして、レストラン関係の業界の人などいろいろです。
面白いのは、業界の人間が必ずしも優秀とは限らないということ。
意外な学生が優秀だったり、電気関係の仕事をしてるというのに、ちゃんと質問に答えられたり。。
丸一日、かなり疲れますが、新しいソムリエの誕生の瞬間に付き合えるのは嬉しいことです。
(3度目の試験というW氏も、今回は見事に勉強の成果を見せて無事合格! とても嬉しかったです。)

このところの試飲のレポートがたまっているし、またぼちぼち再開をと思っていますので、ぜひ、またお付き合いください。
A presto !


面倒くさがり屋のイタリア人

2008-02-02 01:28:02 | もろもろ、つれづれ
テルミニ駅で切符を買うのに並んでいた。列はそれほど長くはなかったが、進み方がかなり遅いのはすぐにわかった。
それでも、もっとひどい時もあるから、これくらいならまだマシかも、と思っているところ、小学生の子供を連れたアフリカ人の女の人が、私の二人前にすっと割り込んできた。あまりの見事さに、みんな一瞬あっけにとられるくらい、見事な割り込み方だった。
あまり見事なので、すぐに文句を言いだす人はおらず、しばらくして、その割り込みをあまりにも正当化しようとしているオーラが、大きな体から出ていた為、さすがに、私も含め3人で抗議した。そうしたら、その前にいた4人グループと一緒なの、と悪びれず、本当にずうずうしくも言い放った。その4人組は外国人(東欧あたりか)なので、言葉は全く通じない。4人組の順番がきたあと、堂々と、次は私よね!と、列の一番前を陣取っている。
彼女の順番が来た。ここでも全く悪びれず、堂々と、そして、後ろの人に出し抜かれないように、と巨体をゆさっと揺らしたかと思うと、一瞬後には、空いたカウンターに向かってダッシュ(見事!)していた。
ここで、カウンターの職員の一人が異変に気づき、彼女の割り込みが暴露された形になった。しかし、それでも、本人は全く動じない。
それから、1分後、その職員の鶴の一声。コンナヤツ、さっさと終わらせてお引き取り願おうじゃないか!
それを聞いて、これぞイタリア!と思った。面倒くさいことは、たとえ正しくなくても避けて通るに限る。早く終わらせてしまうに限る。
これがドイツ人なら、きっとこうはいかない、本気で怒るだろうなぁ(正義に立ち向かう!)、日本人ならかなり抗議するだろうなぁ、と思ったが。。。
という訳で、思わぬところで、「面倒くさがりやのイタリア人」を再認識してしまったのであった。個人的には、正しいことはもっとちゃんと主張してよね~と言いたかったが。。。