在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”ファランギーナ 2006” アンティカ・ペドゥム

2008-10-07 02:49:21 | Campania カンパーニア
“Falanghina 2006” Antica Pedum –Campania

ベネヴェントのファランギーナとラベルに書いてある。
ごくごく普通のワイン。
こういうごく普通のワインを飲むことは珍しい。
(ただし、決して贅沢をしているわけではありません。)
まあ、少し前に、何年振り(!)かでコルヴォを飲んだけど。。。
イタリア人の友達が持ってきてくれたワイン。

色は、薄めだが、きれいな麦藁色。
香りは弱いが、それでもちゃんと出てくる。よこらしょっと、という感じ。
花やフルーツがもっと欲しいが、アルコールがもわっと上がって来るわけでもないところが好感が持てる。
アルコール度は12℃。そういう意味では、とにかくアルコール度を上げなきゃ!と変に誤解しているものより良いと思える。
厭味な香りもない。
とにかく平凡な香り、柑橘の混じった白いフルーツという、取り立てて特徴のない香りだが、このレベルにしては全体に好感が持てる。
味は、酸味がちょっと強すぎな感じだが(若干修正されているような。。)、渋みも最後に残るが、食べ物と一緒だとあまり気にならない程度。
もちろん味は消えるし、最後はアルコールと渋みが残る。
でも、このレベルなら良しとしよう。

”ロッソ 2006””ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2003” コンティ・コスタンティ

2008-10-06 16:59:10 | Piemonte ピエモンテ
“Rosso di Montalcino 2006
“Brunello di Montalcino 2003” Conti Costanti –Toscana

モンタルチーノに1711年よりあるワイナリー。現在で6代目だそうな。
しかし、かなり地味かもしれない。
派手な宣伝はしないし、ラベルも地味だし、そのラベルを見て、あ、あれかぁ、とぼんやり思いだすくらいである。
だから、あまり意識して飲んだことはない。(ごめんなさい。。)
悪くなかったよねー、程度の印象。
でも、飲んでみるとなかなか良い。

ロッソの方は、アルコールが強く、除光液の香りがぷんぷんで、そういうところはモンタルチーノのワインらしいとも言えるのだが、ちょっと強すぎ。良く熟した森の木の実、甘いスパイスの香りがきれい。やや単純だが、ふくよかで、トスカーナのマンマを思い出す。
味も良いのだが、アルコールが残ってしまう。タンニンがドーンと出て、そこに酸が加わり、まあ、これがモンタルチーノよね、という感じ。

ブルネッロは、若いなりに、落着きとブルネッロらしい強さとが出ている。
ドライの花、森の木の実のコンフィにタバコ、リコリースなどのスパイス、香草、バルサム臭など。程よく複雑で、好感が持てる。
味もブルネッロらしいインパクト、ボディ。そして、まだ若いが品の良いタンニンときれいな酸味が混じり、後味も長く続く。
トノーと大樽を使用し、伝統的な造り手。

一緒に飲んでいた、ワインは大好き、でも素人、というイタリア人は、ロッソの方がいいと言っていた。日頃ワインを飲みなれない人にはロッソの方が受けるのだろう。。

ローマの暴力バー

2008-10-05 07:25:07 | 行ってはいけない
Piano bar - zona di via veneto Roma

一番引っかからないと思われた人たちが引っかかってしまった。
ヨーロッパにもう10回以上来ている人、ヨーロッパで添乗ができるくらいヨーロッパのことを知っている人、英語の堪能な人。。。
その昔は、確かに多かった。有名だった。良く引っかかったものだ。
いまどきは、その数がだいぶ少なくなったと思うのだが、それでもまだ残っていたのね~。。。

だいたい2-3人くらいで歩いている観光客が狙われるようだが、その中に女性がいるとだいたい対象外となる。
もちろん、例外はあるので、女性がいても引っかかったというケースはあるだろう。
しかし、私はその例外にひっかかったことはないので、暴力バーに行ったこともないし、声をかけられた場面にいたこともない。。。
だいたいが、翌日になって、どの辺で、どんな風に、どんな感じの人に引っかかり、どの辺に行ったか、の話を聞くくらいである。
話を聞いて想像するしかない。。
しかし、今回は、幸いというか、ローマの地理にかなり詳しい人がいたので、話を聞いた後、実地検分をさせていただいた。

引っかかったのは、バルベリーニ広場。
バールや夜まで開いている食料品店(こんな時間まで開いているところがあるとは。。。地元の人も知らなかったりして。。)をなんとなくうろうろしていると、身なりのいい初老の自称ブラジル人に声をかけられたという。
特に目的もなくぶらついていたから良くなかったのか、英語はできるし、話し込んでしまったという。
一杯どうか、という誘いに、ちょっとはおかしいと思いつつ、つい乗ってしまう。。。
行った場所は、ベネト通りの裏、有名な高級中華のマンダリンのある通りの、昔からあるピアノ・バー&ナイト・クラブ、カローセル。
赤いネオンで、ピアノ・バーと書いてある。
階段を少し降りていく地下構造だそうだ。

すぐにシャンペンが出てきて、ロシア&東欧諸国の女性が出てきて、これはやばい、帰りましょうとなるまで、ほんの15分かそこらだったそうだが、お勘定は一人500ユーロ弱。3人で1500ユーロ弱となり、カードで払うことになる。
カードのサインをごまかそうなんてのはできず、しっかりカードの裏のサインと同じように書けと言われたそう。

いやー、気を付けてください。男性の方。
暴力バーに行ってはいけないのは当たり前ですが、それより前に、道をきかれても、両替してくれと言われても(一頃流行った。来たばかりでお金がないから両替してくれという手)、絶対に話し込んではいけないのです。

カフェ・ド・パリで、感じの良いウェイターがカードをくれたので安心して行ったら暴力バーだった、という例もあります。
タクシーの運転手さんが紹介してくれたところがそうだった、という例も。
良ーく見ると、確かに、ベネト通り裏手はなんだか怪しそうなピアノ・バーやらナイト・クラブがちらほらあるし、どうもこういう人が怪しいのか?という感じの中年~初老の何気ない独り歩き男性がちらほら歩いています。
どうか、引っかからないように、十分ご注意ください。

”ドゥーカ・エンリコ 1984から” ドゥーカ・ディ・サラパルータ

2008-10-05 05:29:13 | Sicilia シチリア
“Duca Enrico 1984~” Duca di Salaparuta –Sicilia

シチリアの歴史的名ワイン。
シチリア、良いワイン、結構高い、昔から有名、となると、一般的にはすぐにプラネタを思い浮かべる人が多いような気がする。
でも、プラネタよりもっと歴史の古いワイナリー&ワインである。

イタリアに来たばかりの時、シチリアワインは安くて美味しいとすぐに教わった。
コルヴォとレガレアーリである。
ワイナリーの名前なんか知らなくても、品種がなんであろうともシチリアワインというとこの2つだった。特に、コルヴォがカラスという名前で覚えやすいからか、より人気があったと思う。(実は、最近、何年振りか知らないが、コルヴォのロゼを飲んだ。ロゼもあるのである。)
そのコルヴォのワイナリー、ドゥーカ・ディ・サラパルータは、ワイナリーの名前そのものより「コルヴォのワイナリー」と言った方が分かりやすいかも知れない。
コルヴォはリリースされているものの中で一番安いワインであるが、トップワインがドゥーカ・エンリコである。

今ではワインに詳しくなくてもその名前を知らない人はいないかのように広まってしまったシチリアの土着品種、ネロ・ダーヴォラだけで造っている。
ネロ・ダーヴォラ100%は、今は当たり前だが、その頃は狂人的だっただろう。
それは、1984年。初リリースの年である。
これだけ古いネロ・ダーヴォラ100%のワインを飲むことはめったにない。
ネロ・ダーヴォラはどれくらい持つ品種ですか?と聞かれても、これを飲んでなければ答えられないと思うくらいだ。

さて、その1984年。
格付けはヴィーノ・ダ・ターヴォラ。となると、スーパー・タスカンならぬスーパー・シチリアンだったと言っていいかもしれない??
色はガーネット色で、爪は完全にオレンジ色。つやはとても良い。
香りは、やや閉じているが、熟成香が徐々に出てくる。フルーツのコンフィ、ドライ、ミネラル臭、チョコ、カカオ、腐葉土など。ややシンプルで、香の変化は小さい。
当然柔らかいが、タンニンはまだ感じられるが、やや粉っぽいか。酸がきれいに出て、かなり塩辛い。この塩辛さと埃っぽさが残る感じ。
思ったより良い。あまり過度な期待をしていなかったからかもしれないが。

1987年
すぐにマデイラ臭があり、香りはあまり強くない。土、ほこり、アニマルの臭み、肉、ブロード(コンソメ)、酢キャベツ(なんてある?)、タバコ、アスファルトなど。
この香りで、もうダメだね、行っちゃってるね、と単純に判断する人が周りに若干名いた。うーん。。そう簡単に判断しないでほしい。。確かに、一見、マイナス要素しかないかも知れないが、古いワインは新しいワインと同じに判断してはいけないと思う。
味は酸がかなりあり、若干の渋みが残る。そこに、マラスカ(チェリーの一種)が加わるような感じもあり、細くまあまあ続く。
香りより味の方が良いワインかと思う。

1990年
かなり澱がある。色は濃いめ。
香りがすぐに消えてしまう。そして、アルコールが立つ。変化が小さいが、そこに、ミネラル臭、黒い森の木の実のコンフィ、マラスカ、土など。
ボディもあり、インパクトは思ったほど悪くないが、塩味と酸、アルコールの熱さがやや残る感じ。

1993年
これも澱が結構ある。
香りはまずまずの強さで、熟成香がきれいに出ている。チョコ、リコリース、プルーン、ミネラル臭、土など。
酸がきれいで、塩辛さも良い。後味がやや細い感じがするが、きれい。

1997年
良い複雑性が出ている。ふくよかな感じで、サクランボ、ブラックチェリーのコンフィ、タバコ、ミネラル臭、燻製の香り(fume')、火打石など。
インパクトも良く、柔らかさがあり、酸がきれいに支えている感じがある。タンニンも質が良く、後味に残るスパイス臭がとてもきれい。

2000年
ここから、がらっと変わったワインになってしまった。
99年までは大樽とバリックの両方を使っているが、00年からはバリックのみ。
となると、個人的には興味がとたんに薄れてしまう。
香りに緑、若木がある。フレッシュなプルーン、スモモ、花など、酸味がきれいでスパイスはタバコ、チョコ、そして、香草。
味は、酸がきれいに残り、エレガントな感じでタンニンもきれい。酸とタンニンのバランスが取れている。塩味の残る後味がとても心地よい。

このあと2002年、2004年と試飲したが、メモする気にならなかった。
良く出来ているし、美味しいし、良いのだが、優等生的な良さになってしまって、ヴィンテージごとと楽しみが薄れてしまっている感じ。。。


”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ポッジョ・ドーリア ” シルヴィオ・ナルディ 3

2008-10-04 00:12:53 | Toscana トスカーナ
“Brunello di Montalcino Poggio Doria 2003, 2004, 2005 e 2006” Silvio Nardi –Toscana

未発売のワイン。
2003年から造り始めたというが、2003年ヴィンテージは満足のいくものではなく、リリースしないとのこと。そこで、初ヴィンテージが2004年になるうえ、これぞ、という状態になってから出したいようで、お披露目は2010年か2011年になる予定とのこと。
モンタルチーノの西側の畑のブドウを使用。火山性+砂+石灰の混じったとても変わった土質とのこと。
完全なアンテプリマで、4ヴィンテージを試飲。

2003年
発売されないヴィンテージ。確かにわかる。しかし、この程度で堂々と胸を張ってリリースしているワイナリーが他にたくさんあるんだろうなぁ。。
アルコールが出過ぎで、香が短く、全体に弱い。
するっと入りすぎで酸味が強い。細く、最後は消えてしまい、ほろ苦さが残る。
しかし、繰り返すが、これで同堂とリリースするところはあるのだろう。。。

2004年
スミレ、赤い森の木の実、タバコ、バルサム臭など。フルーツがきれいで、若さが感じられる。
甘いくらいの柔らかさ。タンニンと酸のバランスは良いが、それさえも甘さに隠れる感じ。最後は、フルーツとチョコ風が残る。

2005年
スミレとバラのドライにスパイスがきれい。桑の実、バルサム臭、タバコ、革、クミンなどにミントが加わる。
インパクト良く、柔らかさが出ている。タンニンもまろやかで、酸がきれい。ふくよかで、かなり心地よい後味。若過ぎだが、フルーツの果肉とスパイスが混じった感じがきれいに残る。

2006年
当然若いので、フルーツが前面に出る。フルーツキャンディー、バニラなどに赤コショウなどのスパイスが混じる。エレガントさもあり、期待できる。
味もエレガントで、フルーツがきれい。タンニンもエレガントで酸味がきれいに全体を支えている。後味も長く、最後の印象がとても良い。

ここでもやっぱり2006年がダントツでした。

”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・マナキアーラ” シルヴィオ・ナルディ 2

2008-10-03 05:28:17 | Toscana トスカーナ
“Brunello di Montalcino Manachiara 2003, 2004, 2005 e 2006” Silvio Nardi –Toscana

ご存じ、アメリカ人にも人気のあるマナキアーラ。
モンタルチーノに所有している西と東の畑のうち、東側の畑のブドウを使用。

2003年
きれいなガーネット色。
アニマルの臭みが出ている。フルーツはコンフィ風、スパイスが良く出ていて、タバコ、ビャクシンginepro、バルサム臭、革、そして、ミントの香りもある。
甘いくらいの柔らかさ。アルコールがやや強く、後味にも残る感じがある。タンニンはまだ若く、マナキアーラらしく質が良い。

2004年
赤いフルーツがきれいで、かわいい感じ。スミレ、バラ、赤コショウなど。
するっと入る感じありで、酸味があり、タンニンがやや細い。フルーツが残る感じがきれいだが、マナキアーラにしては、最後が消えてしまう。

2005年
濃いめの色合い。
バニラ風の甘さに、タバコ、チョコなどが加わり、フルーツの果肉を感じるふくよかさあり。
かなり柔らかく、甘いくらい。しかし、タンニンがしっかりあるので、甘苦い感じで、バルサム臭、カカオなどが残る。酸がやや隠れてしまっているのが惜しい。最初は良くても、最後は飽きてしまうかも。

2006年
かなり濃いめの色。
バニラが出て甘い。ふくよかで、スミレ、サクランボ、プルーン、桑の実、甘いスパイス、革など、複雑で印象が良い。ただし、何故か、そんな中、梅茶漬けが食べたくなったが。。
インパクトも良く、柔らかくきれい。
タンニンの質は良く、酸も適度にあり、エレガントさと強さを持つ。後味も長く、マナキアーラの満足感あり。

やはり一番良いのは2006年。圧倒的に良い。

”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ” シルヴィオ・ナルディ 1

2008-10-03 05:23:13 | Toscana トスカーナ
“Brunello di Montalcino 2003, 2004, 2005 e 2006” Silvio Nardi -Toscana

アンテプリマ(未発売)も含めて12種の試飲だった。
ヴィンテージが同じだったので、ヴィンテージごとの違いが良くわかる試飲となった。

ベースのブルネッロで、いくつかの畑のものをブレンドしている。でも、値段がブルネッロにしては比較的安いのが嬉しい。

2003年
色は明るいガーネットできれい。
香りは、やや弱く、熟したフルーツに、スパイス、タバコ、そして、アニマル、革、などのくさみが混じる。ミント風のピリッとした感じも加わり、チョコの片鱗が見られる。
タンニンはあるのだが、柔らかく、酸が少なめ。もうすこし、きりっとした感じが欲しい。。
後味はかなり塩辛く、タンニンの渋みがやや残る感じ。

2004年
2003年とガラッと変わり、酸味が出る。ややシンプルだが、エレガントさが出ている。赤い森の木の実、スミレ、赤コショウなど。奥にあるスパイス、ブルネッロらしい臭みがきれい。
しかし、味は、ややするっと入りすぎ。酸がきれいで全体に細い印象。フルーツと酸味の後味が残る。

2005年
色は濃いめ。
バルサム臭、スミレ、スパイス、タバコ、丁子、ブラックチェリー、ブラッドオレンジ、黒の森の木の実など、なかなか複雑。
インパクトが良い。タンニンと酸のバランスがよく取れていて、塩味がしっかり残る。
ただし、後に試飲するマナキアーラと比べると、全体的に小さくまとまっている。

2006年
アンテプリマもいいところで、かなり若い。新酒風の香りvinosita’があるくらい。バニラの甘さが出る。良く熟したフルーツ、サクランボ、森の木の実、シナモンなどの甘いスパイス、そして、こちらもブラッドオレンジ風の香りあり。
甘いくらいの口当たり。若いし、タンニンはしっかりあるが、それより甘さが立ち、すでに柔らかく感じる。後味には酸味もあり、エレガントな面も見せる。

ヴィンテージとしては2006年が最も良い。