在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

タストヴァン

2008-05-28 00:11:32 | もろもろ、つれづれ
Tastevin
クリスタルのタストヴァンをいただいた。
(誰からというのは内緒だが、イタリア・ソムリエ協会がらみである。)
銀メッキのものは、家に結構ある。職業的にソムリエをしていないから使わないので、もう真っ黒になっているが。。
(ちなみに、洗うには歯磨き粉が効く。)
で、見慣れているものではあるが、さすがに、クリスタルというのはとてもうれしい。
きらきらしてきれいで、ここに赤ワインを入れると、もっときれい。
赤ワインの色も輝くようで、一人で喜んでしまう。

”コッリオ・ビアンコ・フォサリン 2006” ロンコ・デイ・タッシ

2008-05-27 00:54:56 | Friuli フリウリ
“Collio Bianco Fosarin 2006” Ronco dei Tassi –Friuli
値段は安い(15ユーロ)のに、ガンベロのトレビッキエーリとイタリアソムリエ協会のブドウ5房を取っている。
なるほど、非常によく出来ている。
品種は、ピノ・ビアンコ50%、トカイ・フリウラーノ35%、マルヴァジア15%のブレンド。
色は、きれいな麦藁色で、つやがとても良い。
香りは、花の香りがとてもきれい。そして、白いフルーツのコンポストのようである。リンゴ、洋梨、白桃などがとてもきれいに熟している感じにミネラルが奥の方に混じる。
味は、まろやかさがよく出ていて、ボディも良い。酸味がきちんとあり、味の強さ、持続性がとても良い。
前から良いワイナリーではあったが、このところ非常に良い感じで、目が離せないワイナリー。

”バローロ・プラポー 2004” エットーレ・ジェルマーノ

2008-05-23 01:12:52 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo Prapo’ 2004” Ettore Germano -Piemonte
色は、やや薄めのルビー色で、爪にはガーネットが出始めている。
香りは、immediato(ダイレクト、という感じ)、バラ、スミレのドライの香りがきれいに出ている。そして、サクランボ、キルシュの香りがとても心地良い。赤コショウなど、スパイスが繊細な感じで加わり、やや錆びた金属的な香りが混じる。最初から適度に華やかで、香の変化はあまり大きくない。しかし、全体にかなりきれい。
味は、ボディがあり、アルコールもある。(バローロなのに15%を超えている)
インパクトが強く、アルコールがドンと出て、アルコールの熱さがやや残る感じ。最後はカカオ的なほろ苦さがある。
香りの方が良いかも。
香りはとても心地よく、かわいらしく、甘さがあり、適度に華やかで、バローロにしては取っ付きやすく、バローロを飲みなれていない人でも受けそうな感じ。味も悪くないが、ちょっとアルコールが強いのが気になる。でも、バローロにインパクトを求めるにはとても良い。
あと数年したらどうなるかは楽しみ。

”バローロ・ファレット・ディ・セッラルンガ・ダルバ 2004” ブルーノ・ジャコーザ

2008-05-22 16:57:11 | Piemonte ピエモンテ
“Barolo Falletto di Serralunga d’Alba 2004” Bruno Giacosa -Piemonte
色は、バローロらしい、透明感のあるきれいなルビー~ガーネット色。
香りは、だいぶ閉じている。ちょっとくさいが、よくあるアニマル系の香ではなく、薬草系の香り。そして、花の香りはドライのバラ、ビタミン剤の香り(肝油ドロップの香り、なんて、今の人は知らないよね~)、ブラッドオレンジの香り、そして、そこから来るというが、スイカの香り。最初は、スイカだと気が付かなかったが(これは何だ??と思っていた)確かにスイカ。そして、しばらくすると、梅の香がしてきた。カリカリ小梅の香り。
もちろん、スパイス臭もミネラルもある。
味は、やはり、オレンジ、薬草、ビタミン剤が出る。インパクトは甘いくらいで、酸とタンニンは、文句なくきれいでエレガント。
こういうワインを飲むと、いいね~。。!という状態になる。
でも、慾を言えば、あと5年はたって飲みたかった!
(写真は撮らせてもらえないので、ラベルの写真はありません。。。)

”ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ” コッレステファノ

2008-05-21 00:18:12 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Verdicchio di Matelica” Collestefano –Marche
別の項で案内したコッレステファノのヴェルディッキオ。
アルザス風の造り、つまりイタリアのワインとはだいぶ離れている感じで、やや軽め+エレガント。
酸味が苦手な人には酸っぱいくらいなのが特徴。
アルコールは、どれも12.5度程度で、いまどきのイタリアワインにしては低い方である。

2007年
暑い年で、収穫がかなり早かったと言う。
色は薄く、やや緑がかる。
香りは、とてもエレガントなミネラル臭。そして、柑橘。レモン、シトロン、香草など。香りがきれいに透き通っている。布で言うと、シフォンのよう。
味は、予想通り酸味がかなり強く、塩味も強い。後味が長くエレガントで、とてもきれい。これだけ酸味があると、ブラインドではアルト・アディジェと間違えそうなくらい。

2006年
色は相変わらず薄い。
香りはやや閉じているが、ミネラル臭が強く、火打石が出始めている感じで、とても良い。
レモン、シトロンは、同じくある。
味は、酸味が強く、塩味が隠れるくらい。かなりエレガント。
これだけのきれいな酸味があると、かなり長く持つだろうと予想される。
こういうワインを5年後、10年後飲んでみたいものだと思う。
後でわかったのだが、ガンベロのトレ・ビッキエーリを取っている。
現地で6ユーロ足らずの値段だが、これでもトレ・ビッキエーリは取れるのだ、と思うと嬉しい。(。。トレ・ビッキエーリだけが良いわけではありません。念のため)

2005年
色がやや濃いめになる。
香りにかなり落着きが出る。甘い香草、柑橘、ミネラルなど。
味は、酸と塩味と年齢のバランスが取れてきているような気がする。
持続性ありで、エレガント。

2004年
色はやや濃いめ。
香りにidrocarburoが出て、きれい。柑橘に、香草、そして、スパイスっぽさが混じるようになる。
口当たりがとても良い。そして、持続性も良い。本当にきれいなワインである。
バランスの良い年であるが、なるほど良いし、また、3年ちょっと経過して、飲みごろに入る感じ。

2002年
雨、雨、雨の年だった。今思い出しても、寒かった~!と震えるくらい寒い夏だった。
収穫はかなりずれこみ、11月に入ってだと言う。
色は、薄めの黄金色で緑がかる。
香りは、最初、ちょっと還元臭があった。エレガントで、細め、優しく、かなりの透明感を持つ。Idrocarburo、火打石、香草、おなじみ柑橘など。
味は、酸がかなり強い。ほんの僅かの残糖がある(2-3g)と言うが、酸で糖が隠れる、または、糖が酸を少しは抑えてもこれだけの酸がある、という感じ。
細く、長く、繊細で、シトロンが残るきれいに残り続く。

”バルバレスコ・リゼルヴァ・サント・ステファノ 2003” カステッロ・ディ・ネイヴェ

2008-05-20 01:28:11 | Piemonte ピエモンテ
“Barbaresco Riseva Santo Stefano 2003” Castello di Neive – Piemonte
少し前に90年を飲んでいる。(別の項を参照してください。)
素晴らしい味わいだった。
今度は2003年。もう少し控え目かと思ったが、2003年がかなり暑い年だったせいか、ストレートな感じで出ている。

品種は当然ネッビオーロ100%。
色は薄い。ネッビオーロだから、当たり前。色調は、ルビーからガーネットに変化を始めたところという感じ。
香りは、もう少し閉じているかと思ったら、かなりふわっと出てくる。熟したフルーツの香りとスパイス、タバコ、革、アニマルなどが交互に出て、印象が良い。
味も結構ストレートに感じられ、フルーツとスパイスがきれいに広がる。かなりボディがあり、若干アルコールが強いのが気にならないでもないが。後味の持続性も良い。
今頃から飲み頃である。個人的にはあと3年程度は待ちたいが、今飲んでも十分楽しめる。
伝統的なワインも少しずつ変化しているのだろう。まあ、それも良いことと思う。
90年ほどは持たないかもと思うが、10年後、15年後に開けて、答えを見つけたい。

”インフェリ 2005” マラミエロ

2008-05-20 01:24:49 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Inferi 2004” Marramiero -Abruzzo
アブルッツォのモンテプルチャーノ。
名前は、「冥界」の意味。
色は、かなり濃いめ。やや暗めの色調のルビー色で、爪には青紫がかった感じが残る。グラスを回すと色がはっきり見えて、いわゆる「macchia bicchiere」(グラスに色が付くという感じ?)である。
香りは、とてもふくよかでgrazzo(太っている、という訳ではなく、おおらかというかんじ?)的である。熟した黒いフルーツ、つまり、桑の実moraなどの森の木の実、バニラ、甘いリコリースのアメ、パイプタバコ、トースト臭、そして、モンテプルチャーノらしく土っぽい香り。
味は、インパクトがかなりある。最初にどーんと来る。加えてボディがすごい。酸はちゃんとあるし、タンニンもしっかりあるが、とにかくアルコールが強い。後味は、程よく長く、最後に残るほろ苦さは心地よい。
「冥界」という名前の通り(なのかは別だが)、インパクトのあるワイン。
インパクトのあるワインの好きな人、ワインにはインパクトがあるべきという人には、とても良いワイン。アブルッツォのワインに共通していいるが、値段がさほど高くないのも嬉しい。

”モンテヴェトラーノ 2005” モンテヴェトラーノ

2008-05-19 23:34:27 | Campania カンパーニア
“Montevetrano 2005” Montevetrano –Campania
ちょっと久しぶりに飲んだ。
以前は、まだ値段も安かったので、結構頻繁に飲んだし、ちょっと古いヴィンテージも気軽に飲めた。
でも、最近は、大きく値上がりはしていないとは言え、50ユーロという値段だと、他を買います、って状態になったので(好みが変わったのが一番の原因か??)、飲む機会が減ってしまった。
その昔、まだワインがあまり知られていなかったころ、カンパーニャ州で、サレルノにすごいワインがあるんだよ~、とレストランのソムリエが言っていたころが懐かしい。
まだ、ローマでほとんど手に入らなかったころ、ナポリのエノテカ(酒屋)で探したものだ。

で、久しぶりに飲んでみると、私が変わったのか、ワインが変わったのか?
ワインは、相変わらず、ガンベロの「3ビッキエーリ」、イタリア・ソムリエ協会の「ぶどう5房」を総なめしている感じで、Civilta’ del Bereの統計による「今年のワイン」(通常、5本から9本程度)の中にもほとんど毎年エントリーしている。
でも、飲んだ時期が悪かったのか、決して悪いわけではないが、ワインがかなり閉じていた。短い時間で試飲したのだが、ほとんど閉じたままだった。
グラスを回し、回し、ぐるぐると。そして、やっと香りが出てくる。
とにかく、乳酸の香りが強く、本来の香りはかなり重たい。

品種は、カベルネ・ソーヴィニオン60%、メルロー30%、アリアニコ10%。
醸造家は、かの有名なリッカルド・コタレッラ氏。
色は濃い目のルビー色。
香りは、きれいに熟した森の木の実、ブルーベリー、桑の実moraなど、スパイスは、リコリースに甘いタバコなど。バルサム臭、ミネラル臭もあるのだろうが、よくわからない。。。
味は、程よいインパクトに、酸味とタンニンがきれいに混じり、強さとエレガントさのり両方を持っている。後味は、きれいで長く、カカオなどが出てくる。
しかし、以前より印象が薄いと言っては罰が当たるだろうか。。。
まあ、飲んだ時期も悪かったと思う。あと数年待った方が良かったかも。。

”ピノ・ネーロ 2005” フランツ・ハス

2008-05-19 22:40:29 | Trentino Alto Adige アルト・アディジェ
“Pinot Nero 2005” Franz Haas –Alto Adige
トレンティーノ・アルト・アディジェの非常に良いワイナリーの一つであるハスは、個人的に好きなワイナリー。
ところで、イタリアでは、トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、トレンティーノとアルト・アディジェを分けて考えるのが普通である。
何故かと言うと、かなりドイツの影響の強いアルト・アディジェとヴェネトの影響の強いトレンティーノを一緒くたにしてはいけないからである。
だから、正確には、ハスは北のアルト・アディジェのワイナリーである。

アルト・アディジェでの日常会話にはドイツ語が使われる。イタリア語ではない。彼らは、イタリア語を「外国語」として話すのである。
一般に、ワインのラベルの標記でも、ドイツ語がイタリア語より先に書かれる。

さて、イタリアには良いピノ・ネーロは少ない。
ハスは、その少ない良いピノ・ネーロの1本を造っている。
それが、「Schweizer」(正確になんと読むかは知らない!)だが、2005年はこちらのベースしか造っていない。
しかし、このベースでも大変良い出来である。
優しい色合い。
可愛くまとまった木イチゴ、森の木の実の香り。加えて、ミネラル臭、あまいスパイス系の香り。
優しい口当たり。フルーツがきれいに広がり、北のワインらしく程よい酸味、心地よい後味。
年を取るほど、こういう優しいワインが好きになっていく。
こういうワインが増えてほしいものである。

コッレステファノ

2008-05-14 22:19:22 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Collestefano -Marche
ヴェルディッキオと言うと、カステッリ・ディ・イエージが有名だが、マテリカもある。
マテリカの方が生産範囲が狭くなり、またかなり内陸に位置するので、その分デリケートなワインとなる。
両者を比べると、マテリカの方が、ぶどうの成長が3週間くらい遅いのだそうだ。
そのマテリカにワイナリー、コッレステファノがある。
夫婦二人で経営していて、本当に小さなワイナリーである。造っているワインはヴェルディッキオ1種のみ。
しかし、経営者の夫の方は、長くアルザスで勉強したという経験を持つ。そのせいか、イタリアワインらしくないワインである。

最近のイタリアワインはアルコール度が高過ぎて、と彼は言うが(確かに私もあまりの高アルコール度には時々閉口する)、それほどアルコール度の高くない飲みやすいワインを造りたい思って造っている。
なるほど、アルコール度12.5度程度で、いまどきのイタリアワインにしてはだいぶ低い。
(これからも、アルコール度を抑えたワインを造りたいという人が出てきて欲しいものである。)
そして、ビオ。自然な選択である。畑には適度に草が茂り、小さな花が咲き、ブドウと自然が共存しているのが確認できた。

それから、造り方が面白い。
発酵させた後、すぐにボトルに詰め、ボトルのみで熟成させている。
少し違うが、アブルッツォの有名なビオワインを造っているエミディオ・ペペEmidio Pepeも、ステンレスや樽の熟成を一切せず、すぐにボトルに詰め、ボトル熟のみとしているところは共通するかもしれない。
どうして、そういう造り方をしてるのか?と聞いてみたら、昔は、みんなこんな造り方だったんだよ、と。確かに、日本ではワイン造りの長い伝統はないが、イタリアでは、ブドウの樹を持っていれば、また、持っていなくでも、ワイン用のブドウを買って、適当に自家製ワインを造っていた。そんな時代は確かに、発酵が終わったら、ボトルに詰めておいておいたのだろう。そして、飲むまでは自然にボトル熟となる。
出来上がったワインは、非常に酸味の強い、爽やかでいてやさしいワインであった。
まだ隠れたところに、こんなに良いワインが眠っているなんて。
そして信じられないほど値段が安い。現地で買って5ユーロである。
(縦型試飲をしたので、それについては、また。)

サン・ピエトロ寺院のトイレ番

2008-05-09 18:46:50 | もろもろ、つれづれ
ローマでの観光で、欠かせないところにサン・ピエトロ寺院がある。
教会内部の見学を終えて、一番便利なトイレは教会向って左のインフォメーション近くにあるトイレだろう。
空いていれば別だが、ここには「トイレ番」がいる。
このトイレ番がどうしようもない。
男性は列を作ることはないが、女性はたまに長い列になることがある。
で、どんなに混んでいるのかと思って入ると、がら~ん、としている。
だから、全く意味のないトイレ番なのである。

お掃除おばさんが兼ねているのだが、2人出ると2人入れ、3人出ると3人入れ、というように入場整理をしている。
しかし、おしゃべり好きのイタリア人のこと。たまに友達なんかがきておしゃべりしてると、出た人を見ていないことがある。
そうすると、当然だが、「今3人出た!入れてくれ!」と抗議しても、本人が見ていないから要求は却下される。
また、男女がいっしょくたになってまとめて出ると、正確な人数が数えられないのか、4人出たのに3人しか入れてくれないこともある。
これも抗議してもダメ。一般人のことは信用しない。
ここでは「アタシの言うことを聞くのよ!でなきゃ、入れてあげないからね!」という命令調のオーラが出ている。

それにしても、入口からトイレまで、結構長い廊下を歩く。
その廊下を歩いている人数、手を洗っている人、お化粧を直している人の人数などを単純計算して、どのように入場制限をしたら良いかなどを考えられない。
本当に、(一般の)イタリア人は実に頭が悪いのである。
ま、頭が良ければ、トイレ掃除はしていないのだろう。。。

という訳で、急ぐ方は、教会入口手前にあるトイレの利用をお勧めします。

パンツァネッロ ”キャンティ・クラシコ””イル・マヌツィオ”他

2008-05-05 15:09:16 | Toscana トスカーナ
Panzanello -Toscana
"Chianti Classico","Il Manuzio"ed altri
キャンティの新しいワイナリーはもういいかげん飽和状態かと思っていたが、まだまだあった。
イタリアでは全く聞いたことのないワイナリーだったが、訪問したのは、日本からいらした方の希望だったからである。
あらかじめHPを見ていたので、悪くないじゃん、と予測はしていたが、なるほどなかなか良い。
ワイナリーはまだ一部工事中という感じで、畑も、植えたばかりのところ、これから植えるところもある。
1995年創設ということで、かなり新しい。
オーナーはローマの人で、お父さん(またはおじいさん??メモを取っていないので良く覚えていません)の畑をこうやって継ぐことにしたけど、結構大変なんだよ~と。
畑はビオで、発酵に酵母の添加はしない。
ヘクタール当たりの収穫量を極端に抑えている。(看板ワインで2,5t)
トップワインは全部新樽を使用、それ以外は旧樽を使用。
輸出が80%。
うーん。。ローマには流通してない訳だ。

キャンティは、エノ・トゥーリズモが盛んなので、ワイナリーを簡単に見学している間にも、試飲している間にも結構人が訪ねてくる。
名前も知らないワイナリーにこれだけ人が来るということは、あそこ、なかなかいいよ、と、人の紹介がだいぶあるのだろう。
造っているワインは、白が1種に赤が3種。
ただし、白は、マレンマ(もう少し、海に近いあたり)で、友達が造っているものとのこと。変なブレンドで、グリッロとソーヴィニオン。シチリアに多いグリッロをどうしてトスカーナで??と聞いたら、造ってるのがすっごく変わったやつなんだよ~、と。
ソーヴィニオンの緑と、グリッロのミネラル、まろやかさが、なんだか交互に出てくる、面白い白だった。
キャンティとリゼルヴァはかなりしっかりした造りで、丁寧で、とても好感が持てる。全体にモダンだか、モダン過ぎず良い。香りも良いし、クリーンだし、それでいてボディはあるし、万人に受けそう。
看板ワイン“イル・マヌツィオ”は、スーパータスカン、とワイナリー自ら呼ぶように(久しぶりに聞いた。死語になっているかと思ったが、まだ、生きてた~)ご自慢のワイン。
新樽100%で、樽好きには良いと思う。若干の還元臭の後、よく熟したフルーツ、そして、スモーキーな香りが調和している。(2003年はメルローを2%ブレンド。)
なるほどね、という感じ。
キャンティは平均よりちょっと高いが、看板ワインは20ユーロ代で、かなりお得な値段。 これならいいかも。

それから、面白かったのがグラッパ。なぜかピンク色をしている。
樽熟のグラッパでもピンクにはならない。どうして?と聞いたら、熟成用の樽の中を洗うのをすっかり忘れていて、できたら、ワインがほんの少し混じり、ピンク色になっていた、と。(おかげで、イル・マヌツィオの香りの混じるグラッパ)
以来気に入って、これからも造る、と言っている。
ワインでも何でも世の中の多くのものが偶然の産物だと思うが、これから、この手のグラッパが流行るかも知れない。
蒸留所は、面白有名オーナーのいるチェントペルチェントCentopercentoだし。

そして、このところキャンティとその周辺を車で結構走ったが、新しい畑の多いこと。(樹が小さい上に密植だからすぐわかる)
キャンティもまだまだ奥が深いのでした。

ボンチ

2008-05-02 07:17:10 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Bonci -Marche
ちょうど泊まっていた村(町paese)の近くにある、かなり大きなワイナリー。
もちろん、イタリアソムリエ協会の評価本ドゥエミラヴィーニDuemilaviniで最高の数の「ぶどう5房」を獲得しているワインもあるので、友人がアポを取っていてくれたのだが。
ある意味でとても興味深かった。
コロンチーノと比べると、かなり対照的。

斜面を利用しているので、地下にあたるカンティーナ部分はかなり大きく、ずらずらっとセメントタンクが並ぶ。
個人的にはセメントタンクには反対ではない。というより、セメントタンクを見ると好感が持てる。コロンチーノでも幾つか使っていたが、無機的なステンレスタンクよりよっぽど面白いと思う。
一時期、セメントタンクでは良いワインできないという説がまかり通っていたころ、大きくて、ゴミに出すのが大変なのか、ワイナリーの庭に、撤去されたタンクがゴロゴロ置いてあった。(コロンチーノにも2つ、かなり古いのが置いてあった。)
その説を信じず、大切に使っていた人は、今になって得をしたと思う。
しかし、ボンチは、そういう規模ではなく、タンクがすらずらっと。本当にずらずらっと。お見事。一瞬、昔見たフォンタナ・カンディダを思い出した。
ここまでだとちょっとありすぎかなぁ。。
(フォンタナ・カンディダは一列に並び、ボンチはコの字型に並ぶところは違うなぁ、とくだらないことを思い出した。)
オーナーの説明によると、40年前の設備で、その頃はステンレスタンクが高く、セメントタンクという選択をした、とのこと。

ボンチは、典型的な昔からあるワイナリーだと思う。
リリースするワインが多いし、多種多彩である。
スプマンテから、デザートワインまで、値段の高いものから安いものまで、多彩なニーズに答える。
赤もあるが、やはりメインは白で、当然ヴェルディッキオ。同じ品種のワインを、なにもそこまで多種造らなくてもと思っても、クラシカルなワイナリーは、きっとニーズに答える方を選択するのだろう。

試飲はスプマンテから。
合格点、という感じ。
白ワインは、ベースのベースは飛ばして、上級クラスからにする。
かなりクラシカルな味で、可もなく不可もなくという感じで、ややクリーンさに欠ける気がしなくもない。(厭味な香りがあるのではないのだが、透明感に欠ける感じ)
「レ・カーセ」と「ピエトローニ」が看板ワインだが、どちらも、適当にソムリエ協会、ガンベロ・ロッソで高評価を得ている。
確かに悪くないのではあるが、個性の主張が少ない感じがある。
面白かったのは、「サン・ミケーレ」の古いヴィンテージを開けてくれたこと。
最初に登場したのが1999年。最初の1本は、コルク臭が付いていた。2本目も、あまり良い状態とは言えない。コルクではないが、香は全体に弱いし、味もすぐに消える。香りで、完全に駄目になっていると言った人もいる。確かに、マデイラっぽい香りがかなり混じっている。自然派ワインを飲んでいると、マデイラ臭にはかなりの確率で出会うので、そこまでひどいと、オーナーを前にしては言いたくなかったが。。
さて、次が、1994年。これも、1999年ほどではないにしてもマデイラ臭が強い。
そして、最後に1993年。これは結構良かった。
という訳で、コロンチーノなどの特別なワイナリーを除いて、ごく一般の、それでも良いワイナリーと言われるところのヴェルディッキオの寿命は、5年程度なのだと推測するにいたった。
。。。以上が実証でき、非常に興味深かったのである。

写真は、ワイナリーの下に広がる畑。

ファットリア・コロンチーノ

2008-05-01 03:20:52 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Fattoria Coroncino -Marche
前から行きたいと思っていたコロンチーノ。
オーナーのルーチョ氏は、ちょっと噂には聞いていたけど、とても面白い人(personaggio!!)だった。
ローマ生まれのローマ育ち。だから、今でもマルケでは異邦人だそうだ。
バールでのおしゃべりが嫌いで、全くイタリア人らしくないと言ってもいいくらい。
イタリアの、特に男性は、それも年齢を増すごとに、バールでの(くだらない)おしゃべりが「生き甲斐」かと思っていたら、そうじゃない人もいるということにちょっと驚き、でもさらに、そうじゃないことを豪語するイタリア人がいることにかなりの驚きだった。
(私は女だからか、バールでのたまのおしゃべりはいいとしても、これが毎日じゃあちょっとね~って思う。。。)

ワイナリーは、表の看板があるだけで、看板がなきゃ、ワイナリーだってことは絶対にわからない。地味な看板を見逃すと、きっと見つからない。
(ワイナリーは、外にステンレスタンクを出しているところも多く、そんな場合は遠くからでも一目瞭然。)
到着後、なんとなく、ここかぁ。。と思いながら、みんな、まわりをうろうろしていると、突然、ルーチョ氏がメガホンを持って建物の2階から登場。今すぐ降りるぞぉ、と。
やっぱり、personaggio!

そんなルーチョ氏の手入れしている畑のうち、ガイオスピーノの畑を見たが(ワイナリーのある場所からはかなり離れていた)、とてもよく手入れが行き届いている。ビオではないが、肥料は与えず、できるだけ自然の方法を目指している。こだわりの人であった。

発酵はセメントタンクも使用。もちろんステンレスも。かなり小さなワイナリーで意外。

試飲は食事をしながらで、次から次にワインが出てくる。
できるだけ、食べ物の味で試飲の邪魔をさせないように気を使う。
ベースのイル・バッコを縦型でかなりの数を試飲、そして、もちろんガイオスピーノ・フメまで行くのだが、本当に楽しく有意義なひと時でした。

最後は、イタリアの政治の話。バールでのおしゃべりは好きでないにしても、政治の話はやっぱり好きなのでした。
写真は、ワイナリー。