在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”オルトレポ・パヴェーゼ ・モンテブォーノ 1991” リーノ・マガ

2007-05-31 06:56:47 | Lonbardia, Valle d'Aostaロンバルディア他
"Oltrepo' Pavese Montebuono 1991" Lino Maga -Lombardia
オルトレポ・パヴェーゼだからと言って甘く見てはいけない。品種はボナルダ。
1991年ヴィンテージという貴重な機会。
細かい粒で濁りが見える。また、グラスの底には澱が溜まる。「爪」は完全にガーネットだが、全体に明るいニュアンス、透明感のあるルビー色がきれいに残る。
香りはシンプルなのか、複雑なのか、一瞬わからない。酸、除光液などの揮発性物質volatileの香りが上がってくる。レッドベリー、レッドカランとなどの小さなベリー系の香り。ドライのスミレ、バラらしき香りも一瞬過ぎる。と思うと、赤コショウなどのスパイス、アニマル臭、土、芝、木、茎などつかみ所のない香りも出てくる。くさくもある。もちろんミネラル臭はたっぷり。
味は、一瞬タンニンかと思うが、タンニンではなく、酸のよう。酸がしっかり。ボディは中程度、後味は細く比較的長い。イナゴマメcarruba、栗粉のケーキcastagnaccioなど。
アルコール発酵後、瓶詰めし(つまりタンク熟成も樽熟成もなし)マロラティック発酵はボトル内で。
驚異的な「農民のワインvino da contadino」。(と言ったら、失礼だけど。。)当然、ビオ。

”キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ・イル・ポッジョ 1999 e 1982” カステッロ・モンサント

2007-05-30 19:35:28 | Toscana トスカーナ
"Chianti Classico Riserva Il Poggio 1999 e 1982" Castello Monsanto -Toscana
1999年ヴィンテージ。
やや透明感のあるガーネット色。スパイス、バルサム臭balsamico、土、きのこが出て、強さ良し、香りの持続性、複雑性大変良し。
味もきれいで、酸味がとても心地よい。ボディがほど良くマッチ。タンニンは細く繊細。後味も良く、熟成したワインの良さ、有り。
1982年ヴィンテージ。
「爪」はすっかりオレンジがかる。しかしツヤは良い。
香りもすっかり熟成香。かなり閉じていて、時間がかかる。ゆっくり、ゆっくり土、革、スパイス臭などが立ってくる。ダークな森の木の実のコンフィが、かくれんぼしながら時々参加。
口に含んだ時のインパクト有り。酸がきりっと引き立ち、後味がきれいに長く続く。
これだけ熟成したワインが好きか嫌いかは別として、昔の良さがしっとりと出ている1本。今のキャンティ(このワイナリーのものでも)の大半はこれだけもたないだろうと思うと残念。

”ランゲ・ロッソ・アルボリーナ 1997 e 1996” エリオ・アルターレ

2007-05-30 07:02:42 | Piemonte ピエモンテ
"Langhe Rosso Arborina 1997 e 1996" Elio Altare -Piemonte
モダン・バローロ旗手、アルターレのランゲ・ロッソ。品種はネッビオーロ。
1997年ヴィンテージ。
心持ちぼやっとしたにごりがあるが、光沢は大変良い。「爪」にガーネット色がはっきり見える。色の濃さ、程よくあり。
香りは甘酸っぱく、とても心地よい。一言で、きれい!フルーツの良く熟した甘さと酸味のバランスが良く、パフォーマンスあり。バリック使用が香りから伺える。収穫年より10年を経て、奥には、薬っぽさも出る。
味は、ボディは程よく、酸がきれいに出る。タンニンはだいぶまろやかになっている。後味のフルーツ臭がきれいで、持続性あり。
1996年ヴィンテージ。
たまたまなのか、澱がすごい。全体がガーネットがかる。
香りは閉じていて弱い。きれいだが、開くまでに時間がかかる。出てくると複雑性があり、森の木の実のコンフィ、バルサム臭balsamico、他、スパイス臭が感じられる。奥に臭みがあるが、全体に良く熟成している。
味はアタックがきれい。酸がきれいにワインを引き立てている。タンニンはまろやか。持続性の最後はやや消えるが、木が若干残る感があり。
どちらが良いかと言われると、ちょっと困る。1997年神話があるので絶対に1997年!何が何でも1997年!という人は多いだろう。たしかに今回は前者に軍配が上がるが、個人的には後者も捨てがたい。

”バローロ・チャボット・メンティン・ジネストラ 1990” ドメニコ・クレリコ

2007-05-29 07:46:51 | Piemonte ピエモンテ
"Barolo Ciabot Mentin Ginestra 1990" Domenico Clerico -Piemonte
おなじみドメニコおじさんのバローロ。品種はネッビオーロ100%。
色は、全体はまだガーネット色で、「爪」はオレンジ色。
香りは、最初は閉じていて、やや弱い。熟成香が出ているが、まだフルーツのコンフィの甘い香りが残っている。アニマル臭がかなりあり、他に汗、スモーク臭、きのこ、土、イナゴマメcarrubaなど。バルサム臭balsamico、カカオ、薬草の香りも出る。
味の強さよし。酸より塩味が結構あり、タンニンも、まろやかな中に僅かに渋みが残り、ボディはほぼ衰えていない。持続性もよく、バルサム臭、アニマル臭などが後味に残る。
もう少し早くに飲んでも良いかと思うが、熟成したワインがお好きな方には充分満足できる。(今回は)ドメニコおじさんに(一応)拍手!

”ソアーヴェ・ラ・ロッカ 1996 e 1989” ピエロパン

2007-05-29 07:20:31 | Veneto, Emilia Romagnaヴェネト、エミリア
"Soave La Rocca 1996 e 1989" Pieropan -Veneto
おなじみソアーヴェでは最も良いものの一つ。品種はガルガネガ。
1996年ヴィンテージは、黄金色を呈し、輝きがとてもよい。
ミネラルが際立ち、ゴムの匂い、木の香りに加え、熟したフルーツの香りがきれい。桃、柑橘のシロップ漬けなど。コショウなどのスパイス臭も感じられる。甘さの中に爽やかさが交錯し、熟成した香りが複雑に絡まる。
味はアタックが非常に良く、まろやかさの中にきりっとした酸がある。ミネラル、スモーク風の香りが広がり、味の強さ良し、持続性あり、大変エレガント。
10年を経て、品質はパーフェクト。ソアーヴェを10年置く人はめったにいないが、ぜひ5年程度は置いてから試しに飲んで欲しい。ソアーヴェも良い物は実は結構もつ、という実例。
1989年ヴィンテージは、輝きは決して衰えていない。
香りが開くまで時間がかかり、リンゴ・パイ、焼き菓子風の香り、何故か麹の匂いが出てくる。他、ハチミツ、熟したアプリコット、スパイス臭、そして、複雑さを増し、チーズ臭も出ている。
ぐっと辛口、酸が際立つ。熟成した落ち着きあり。
下り坂に入っているのはわかるが、よくぞここまでもった!と褒めてあげたいワイン。

”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 1998” ポッジョ・ディ・ソット

2007-05-28 07:07:04 | Toscana トスカーナ
"Brunello di Montalcino 1998" Poggio di Sotto -Toscana
ブルネッロでも名ワイナリーのもの。品種は、サンジョヴェーセ・グロッソ100%。
「爪」の周りが既にガーネット色を帯びている。全体にうっすらと透明感あり。
香りは、サクランボ、森の木の実のコンフィ、藁などの乾燥した草の匂い、スパイス臭、アニマル臭など。良い熟成の香りは出ているが、比較的分かりやすい香りで、期待した複雑性にはやや欠けるかもという感じ。ゆっくりと開いた香りは、その後は大きく変化しない。
味は、アルコールのインパクトが強い。ブルネッロは、どうしてもこうもボディがドンとしているのか、と感じさせる。もちろん、ブルネッロにボディを期待する場合、期待通りであるが、エレガントさを求めてしまうと期待を外す。酸もあるが、それより塩味が強く、タンニンはブルネッロらしい。香りにあるやや緑の風味が味わいの中にもあり、味の持続性は非常に良い。
熟成はスロヴェニア産のオークの大樽を使用。42ヶ月。
モダン・バローロ以来、ブルネッロもモダンになり過ぎの感がある中、伝統的なタイプのブルネッロ。

”ファロ 1998” パラーリ

2007-05-27 19:40:29 | Sicilia シチリア
"Faro 1998" Palari -Sicilia
シチリアの赤ワイン。品種は、土着品種のみでネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カプチーノ、ノチェーラ。
収穫年よりほぼ10年経ち、色はガーネット色を帯びている。
最初は香りが閉じていて、やや甘い香りがゆっくりと立ってくる。森の木の実のコンフィの香り、ドライ・フラワーの香りに加えて、スパイス臭、革、アニマル臭、ブロードの素の匂い、ポルチーニきのこなど、辛口の香りも出てくる。とてもよい複雑性で、エレガントで長さも充分。
味のインパクトは大変良い。シチリアのワインにもかかわらず、酸がきれいで、シチリアらしいボディも備え、申し分ない。後味は、再びエレガントな面が出てきて、長くデリケート。非常に良い熟成を経たワイン。
エノロゴDonato Lanati氏の手による、シチリア、メッシーナ産の名ワインの1本。
消滅しそうになっていた「DOC Faro」を見事復活させた。

”コッリオ・ピノ・グリジョ 2004” ダリオ・プリンチチ

2007-05-27 07:23:01 | Friuli フリウリ
"Collio Pinot Grigio 2004" Dario Princic -Friuli
ロゼに近いフリウリの白ワイン。品種はピノ・グリジョ100%。
イタリアを代表する白ワインの品種ピノ・グリジョは、白ぶどう品種ではなく赤ぶどう(灰色ぶどう)品種である。ピノ・グリジョのワインというと、ごく普通の白ワインが多いが、ごく稀に玉ねぎ色のものに出会う。このワインは、その数少ない「本物」の1本である。
色を出すには、当然ぶどうの皮を漬け込んでいる。赤ぶどうを使い、赤ワインのように漬け込みをし(8日間)色を出している。一見ロゼのようだが、よくあるロゼのようにきれいな桜色にはならない。漬け込みをして造ったピノ・グリジョは、まるでそれが合言葉であるかのように、必ず玉ねぎ色を呈している。
ビオ・ワインなので、色にはやや濁りが見られる。フィルター処理は当然していない。最初のインパクトはくさい。やはりビオ系ワインの特徴である。そして、甘いアメのような香りと、アプリコット、パン、スペック(燻製のハム)、やや煙たい香り、スパイス臭が交錯し、白ワインらしくない複雑性を帯びている。口に含んだ瞬間は優しく、ボディがしっかりとあり、酸と塩味がワインを引き立ててている。
なお、苗は、アメリカ産の苗を接木していない貴重なもの。(Pie di franco)
こういうピノ・グリジョを飲み始めると、普通のものが飲めなくなるのが怖い。

"トレッビアーノ・ダブルッツォ 1996” エドアルド・ヴァレンティーニ

2007-05-27 02:36:08 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Trebbiano d'Abruzzo 1996" Edoardo Valentini -Abruzzo
イタリアの神話的アブルッツォ州の白ワイン。品種はトレッビアーノ100%。
残念ながら保存状態が良くなかったようで、最高のコンディションではなかった。
ビオ系ワインにある臭みが最初のインパクト。すぐに炭化水素系idrocarburoの匂い、ミネラル臭、「海」の匂いがプンプンする。そして、キャベツ。まるで畑に立ってるよう。他は、玉ねぎ、ねぎ、ニンニク、茹でた肉、モルタデッラ、きのこの香り。もちろん、香草、スパイス臭も加わる。
と、書くと、なんだかすごくまずそうな感じになるが、その逆。これだけの複雑な香りを出せるのはさすがヴァレンティーニ。
味は、ビオらしくやさしい口当たり。酸が際立ち、ワインの背骨となっている。塩味もあり、味の強さ良好、ナッツの後味が長く残る。
収穫年より10年を経て、若い時にはない複雑性が出て非常に興味深い。しかし、保存状態によっては全く別のワインになっていること間違いなし。