Viva la sposa 花嫁万歳
監督 アスカーニオ・チェレスティーニ
面白いといえば面白かった。なかなかよくできていると思った。外国人が多い上映会の中で(東洋人は私だけ)受けていたので、外国人に受けないというわけでもない。しかし、私が日本人であるからか、どちらかというと昔からフランス系の映画が好きだからか、個人的にはまずまずの評価である。
現在のイタリア映画、つまりヴィスコンティやフェリー二のいた頃のイタリア映画ではなく、最近のイタリア映画のイメージの映画のような気がした。
全体にあまり受けなかった前々回の「ア・ビッガー・スプラッシュ」、意外なことにかなり評価の高かった前回の「アリアンナ」と比較する。
アリアンナは非常に地味、改革の余地がある作品だが、心に残る。
ア・ビッガー・スプラッシュにはイタリア人の好きなはちゃめちゃな感じがなく、平坦にストーリーが流れていく。
主人公は監督でもある。劇場の演技派俳優とのことで、演技は実にうまい。ぶつぶつ、だらだらと独り言も含め言う感じは、映画の中の役だけではなく、自身もそうだと上映後の会見の中で見て取れたが、はまっていて見事である。
主演女優は大好きなアルバが演じているが、主人公の一人勝ち的なストーリーなので、出番も少なく、彼女の素晴らしい演技があまり見れなかったのは残念。
主人公のニコラは大酒呑み、ローマ郊外に住み、ローマ郊外のやや非条理的な日常が描かれる。彼と常に一緒にいる少年は、たぶん彼の子供かもしれないが、父親はわからず、母親は全然若くないのだが、娼婦を仕事にしていて、友人である。ニコラに惹かれているのはアルバ演じるソフィア。ローマ郊外の、汚いローマ語を見事に話す。
友人も含めて、携帯をわざとバイクにぶつけてはした金を揺すったり、車に火をつけて保険金をだまし取ったり、何時ぞやの映画のように銀行強盗はしないものの、みんな必死に生きている。
ここで主人公演じる監督の演技が見事で、見ていて同情すら湧くくらい。
ただ、人を間違って轢いてしまっても大事にならず終わるとか、娼婦が思い余ってヒモを殺してしまってもなんともならないとか、結構クエスチョンマークが出た。しかし、笑って過ごし、見事な演技に集中し、あまり深く考えないようにしたほうがいい。
ところで、今から7年前にジュゼッペ・ウーヴァの事件というのが北イタリアで起こっている。友人と酔っ払って道路で若干いたずらをしただけなのに、軍隊警察に連行され、ひどい暴行を受け、翌日死亡したという事件である。
会見中もウーヴァの話が水分出たが、このエピソードを描きたかったという思惑があるように感じた。
それは、監督自身も小さな盗みをして警察のお世話になったことがある、ということもあるようだ。
そして、タイトル。なぜ花嫁万歳なのかというと、主人公のエピソードにわずか交わるところも出てくるが、所々で、ウェディングドレスを着たアメリカ人がローマ市内、観光名所を徘徊しているのが出てくる。
自由の象徴、ファンタジーの象徴などなどいろいろ言われているようで、監督はいろいろな解釈を楽しんでいるよう。
撮影中、街中で、特に東洋人(日本人も含む)が大勢セルフィーしていたと楽しそうに語った。
しかし、考えてみる。ドレスを着て一人で(花婿はなし)町を徘徊する女性がいれば、精神病医行きだが、これも深く考えてはいけない。
という、はちゃめちゃなストーリーが織り交ざった、若干お涙頂戴、全体に愉快な話だが、とにかく主役監督の演技が見事なので退屈させない。
こういうところがイタリア人に受けるのだと思う。
なお、主人公のニコラが大酒呑みと言っても、飲んでいるのはサンブーカ。蒸留酒にアニスやニワトコ、香草などを混ぜたやや甘いリキュールで、これをビンごとガブ飲みする。ローマ近郊の町で生産され、いかにもローマ的なリキュールである。だから取り上げということだが、本当は全然好きじゃなんだけど、との話に笑い。
それから全編に出てくるオンボロ車(最初は白で途中から赤)は自分の車とのこと。こういうエピソードまで聞けてしまうのがこの上映会の醍醐味。
監督 アスカーニオ・チェレスティーニ
面白いといえば面白かった。なかなかよくできていると思った。外国人が多い上映会の中で(東洋人は私だけ)受けていたので、外国人に受けないというわけでもない。しかし、私が日本人であるからか、どちらかというと昔からフランス系の映画が好きだからか、個人的にはまずまずの評価である。
現在のイタリア映画、つまりヴィスコンティやフェリー二のいた頃のイタリア映画ではなく、最近のイタリア映画のイメージの映画のような気がした。
全体にあまり受けなかった前々回の「ア・ビッガー・スプラッシュ」、意外なことにかなり評価の高かった前回の「アリアンナ」と比較する。
アリアンナは非常に地味、改革の余地がある作品だが、心に残る。
ア・ビッガー・スプラッシュにはイタリア人の好きなはちゃめちゃな感じがなく、平坦にストーリーが流れていく。
主人公は監督でもある。劇場の演技派俳優とのことで、演技は実にうまい。ぶつぶつ、だらだらと独り言も含め言う感じは、映画の中の役だけではなく、自身もそうだと上映後の会見の中で見て取れたが、はまっていて見事である。
主演女優は大好きなアルバが演じているが、主人公の一人勝ち的なストーリーなので、出番も少なく、彼女の素晴らしい演技があまり見れなかったのは残念。
主人公のニコラは大酒呑み、ローマ郊外に住み、ローマ郊外のやや非条理的な日常が描かれる。彼と常に一緒にいる少年は、たぶん彼の子供かもしれないが、父親はわからず、母親は全然若くないのだが、娼婦を仕事にしていて、友人である。ニコラに惹かれているのはアルバ演じるソフィア。ローマ郊外の、汚いローマ語を見事に話す。
友人も含めて、携帯をわざとバイクにぶつけてはした金を揺すったり、車に火をつけて保険金をだまし取ったり、何時ぞやの映画のように銀行強盗はしないものの、みんな必死に生きている。
ここで主人公演じる監督の演技が見事で、見ていて同情すら湧くくらい。
ただ、人を間違って轢いてしまっても大事にならず終わるとか、娼婦が思い余ってヒモを殺してしまってもなんともならないとか、結構クエスチョンマークが出た。しかし、笑って過ごし、見事な演技に集中し、あまり深く考えないようにしたほうがいい。
ところで、今から7年前にジュゼッペ・ウーヴァの事件というのが北イタリアで起こっている。友人と酔っ払って道路で若干いたずらをしただけなのに、軍隊警察に連行され、ひどい暴行を受け、翌日死亡したという事件である。
会見中もウーヴァの話が水分出たが、このエピソードを描きたかったという思惑があるように感じた。
それは、監督自身も小さな盗みをして警察のお世話になったことがある、ということもあるようだ。
そして、タイトル。なぜ花嫁万歳なのかというと、主人公のエピソードにわずか交わるところも出てくるが、所々で、ウェディングドレスを着たアメリカ人がローマ市内、観光名所を徘徊しているのが出てくる。
自由の象徴、ファンタジーの象徴などなどいろいろ言われているようで、監督はいろいろな解釈を楽しんでいるよう。
撮影中、街中で、特に東洋人(日本人も含む)が大勢セルフィーしていたと楽しそうに語った。
しかし、考えてみる。ドレスを着て一人で(花婿はなし)町を徘徊する女性がいれば、精神病医行きだが、これも深く考えてはいけない。
という、はちゃめちゃなストーリーが織り交ざった、若干お涙頂戴、全体に愉快な話だが、とにかく主役監督の演技が見事なので退屈させない。
こういうところがイタリア人に受けるのだと思う。
なお、主人公のニコラが大酒呑みと言っても、飲んでいるのはサンブーカ。蒸留酒にアニスやニワトコ、香草などを混ぜたやや甘いリキュールで、これをビンごとガブ飲みする。ローマ近郊の町で生産され、いかにもローマ的なリキュールである。だから取り上げということだが、本当は全然好きじゃなんだけど、との話に笑い。
それから全編に出てくるオンボロ車(最初は白で途中から赤)は自分の車とのこと。こういうエピソードまで聞けてしまうのがこの上映会の醍醐味。