在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Contrada 2010 e Passopisciaro 2010 -Passopisciaro

2012-09-19 20:38:24 | Sicilia シチリア
”コントラーダ2010””パッソピッシャーロ2010" パッソピッシャーロ -シチリア州

ご存知、フランケッティ氏のシチリア、エトナのワイン。
トスカーナのは高くて飲めない!という方は、とりあえずこちらをどうぞ。
シチリアワインなので手軽に飲めます。


パッソピッシャーロ
透明感のあるルビーに淵はガーネット色。
フルーツの香りがとてもきれいで、森の木の実、木いちご、小さないちごに小さな葉っぱがついている感じ。ほんのりバルサム臭に、奥にエトナの土の香り。
割と柔らかめで、アルコールを若干感じる。タンニンがやや荒削りで歯茎にしみる感じがあるが、フレッシュ感はとてもよく、持続性は当然だが良い。(89点)

コントラーダ
色合いは同じだが、だいぶ濃い目になる。
熟したフルーツがとてもふくよかで、グラフィティ、鉄、若干の若木と共に感じる。複雑でとても良い。
かなり主張のあるワインで、ボディがしっかり、エクストラクトがあり、フレッシュ。タンニンがきれい、強さ、長さ申し分なし。当然のごとく、個性あり。(91点)

Contrada 2010 e Passopisciaro 2010 di Passopisciaro(Sicilia):
Famosi vini di Mr Franchetti.

Passopisciaro 2010:
colore rubino tenue con unghia granato, luminoso.
Piccoli frutti di bosco, fragoline, leggero balsamico, in fondo terra dell'Etna.
L'impressione abbastanza moderno, tannini ancora ruvidi, buona freschezza e PAI lunga(89/100)
Contrada 2010:
colore piu' scuro ma sempre trasparente e molto luminoso.
Bel fruttato, frutta matura, visciole e frutti di bosco, grafiti, ferro, lieve nota legnosa, intenso e molto buono bagaglio olfattivo.
L'attacco di buona impressione, strutturato, tannini accesi e di qualita', certamente intenso e PAI molto lunga(91/100)


Vignaioli dell'Etna

2012-09-16 22:53:53 | Sicilia シチリア
”ヴィナイオーリ・デッレトナ”エトナのワイン屋 -シチリア州

友人、ティツィアーナがローマでオーガナイズした試飲会。
ティツィアーナは自然派ワインの試飲会を主に手がけているが、エトナの試飲会は初の試み。
9月15日、16日と2日に渡ってローマで開催された。


参加ワイナリーは約15社。
赤、白、ロゼ、と、ワインの数でいうと50種が軽く超えていた。
有名どころではTasca d'Almerita、Passopisciaro、Benantiなどが出ていた。
変わったところでは、標高950mの畑で造っているワイン、フィロキセラの被害を受けていない、樹齢100年を超えるぶどうの樹から造ったワインなどが面白かった。
樹齢100年は写真をたくさん見せてくれたが、アルベレッロ式、しかし、高さが2mにもなるそうで、アルベローネ(大きな木の意味)だね、という感じ、かなりの密植なので本数を聞いたら、ヘクタールあたり8500本かそれ以上になるそう。これじゃあ、ブドウ畑の林??と想った。1本あたりの収穫量は、小さなぶどうの房を1つしか付けない極端な樹から、4キロもの収穫が出来る元気な樹までさまざま、平均すると1キロなのだそうだ。
フィロキセラの被害がない樹はイタリアに、まだあるが少ない。
モンブランの上、そして、ピエモンテに一部。
フィロキセラの被害がないと100年も生きるのであった。素晴らしい生命力。

Vignaioli dell'Etna:
una manifestazione organizzata dalla bravissima amica Tiziana Gallo.
Hanno partecipato circa 15 aziende, tra cui c'erano la Tasca d'Almerita, Passopisciaro, Benanti ecc.
Alcuni vini particolari da citare sono:
un vino prodotto all'altezza di 950 m s.l.m.
un altro prodotto dalle viti di eta' di piu' di 100 anni...! Alberello ma saranno "alberoni", alta 2 m, fittissimi, piu' di 8500 piante a ettaro, media 1 kg a pianta(minimo un grappolino al massimo 4 kg ca.).
In piu' da notare: certamente le viti NON sono attaccate dalla filossera!!

3 vini (2 bianchi e 1 rosso) di Barone di Villagrande

2012-06-12 01:56:31 | Sicilia シチリア
バローネ・ディ・ヴィッラグランデ 3種 -シチリア州
Etna Bianco Superiore 2011
Fiore 2010
Sciara 2008

やっと少し元気になってきました。
訪問したワイナリーの対応があまりに感じ良かったのもあります。
この前の試飲の後の腹痛、胃痛、吐き気のトラウマがあったのですが、何とか食べられました。美味しくワインも飲めました。良かった~!
そこで、久しぶりにテイスティング。

白2種、赤2種、デザートワイン1種のうち、メモしたのは白2種と赤1種。

Etna Bianco Superiore 2011
品種はカリカンテ100%。
色は麦わら色で、輝きがある。
香りは洋梨、マルメロ、エニシダなどの黄色い花の香り(畑の周りにはエニシダがいっぱい)、ニワトコの香りが少し、そして、ほんのり緑の香り、ミネラルたっぷり。ちょっと塩辛いかな、ちょっと苦味があるかな、と思わせるくらい。
味は、予想通り塩辛い。でも、この塩辛だが、暑い日、地元の料理にとてもよく合う。そしてゆっくり酸味が出てくる。
ややアルコールが残る感じがあるが、持続性はまずまず。
冷やして飲むのに、ちょうど良い。(84点)


Fiore 2010
品種はカリカンテ90%に、シャルドネを10%混ぜている。
黄金色に近い。
緑の香り、緑のりんごの香りが一瞬感じられ、とてもエレガントな印象。そして、スパイス、ミネラル、香草、ニワトコ、黄色の花、ミントなど、良い複雑性が出ている。樽を使っているが、香りがエレガントな印象なせいか、前面に樽香が出て邪魔をする感じではない。ただし、じわじわっと、温度が温まるのと一緒に出てくる。
味の方は樽をすぐに感じる。ボディがあり、甘くて柔らかい口当たり。酸とのバランスがよく、持続性も良く、とても心地良い印象。(88点)


Sciara 2008
品種はメルローが中心で、80%、残りはネレッロ。
濃いめのルビー色。
香りは、ミネラルが豊富で、鉄、血などの香り。もちろん、フルーツ、バルサム臭、リコリース、スターアニス、葉巻タバコなどの香りもある。若いのに、落ち着いた香り。
味は、タンニンがやや渋い。持続性はまずまずで、コショウ、バルサム臭、革など、スパイスの香りが後味に残る。(86点)


Etna Bianco Superiore 2011
Carricante in purezza. Paglierino. Pera, mela cotogna, ginestra, sambuca, un tocco verde e minerale. Al palate piacevole sapidita’ e discreta PAI(84/100)
Fiore 2010
Carricante 90% e Chardonnay 10%. Tendente a dorato. Elegante con i sentori verdi, speziatura, erbe aromatic, sambuca, fiori gialli, menta, ampio bagaglio olfattivo. In bocca si nota subito legno, morbido, ottimo equilibrio con la freschezza. Molto piacevole(88/100)
Sciara 2008
Principalmente Merlot e il resto Nerello. Rubino. Pienamente minerale, ferro, sangue, furutta matura, nota balsamica, liquirizia, anice stellato, cigaro, buona complessita’. In bocca una leggera astringenza dei tannini, discrete PAI, rimane speziatura al retrogusto(86/100)


Barone di Villagrande

2012-06-12 01:05:52 | Sicilia シチリア
バローネ・ディ・ヴィッラグランデ -シチリア州

シチリアで訪れたエトナのワイナリー。
カターニャから入り、車で1時間弱。
エトナ山、標高700mのミロという町にある。
山の東側の斜面に面しているので、海まで一面に見渡せる景色がそれはきれい。

ワイナリーの創設はなんと1727年。半端じゃない歴史を持つ。
そして、1980年に現在のカンティーナを造った時に、画期的なことをあした、と言う。
それは、それまで白ぶどうと黒ぶどうを混ぜて一つのワインを造るのが当たり前だったのを、白ワインと赤ワインの醸造に分けたと。
今では考えられない話。。。


味のある建物、ゆったりした空間、美味しい空気、加えてみんな感じが良く、非常に良い訪問だった。
小さな、まだ米粒にもなっていない大きさの実を付けた可愛いぶどうの房、ちょっとモダンなデザインの畑、房、葉っぱがバランス良く、健康に、すくすくと育っている。
栽培品種は4種。白のほとんどはカリカンテで、僅かシャルドネを植えている。黒ぶどうは、ほとんどがネレッロで、一部、メルローがある。1989年からecocertの認可をとっている昔からの自然派。
歴史的な大きな樽。この辺りは栗の木の森があり、栗の木で造られている。そして、ネレッロが栗の木ととても相性が良いと言う。こういうところ、自然はうまくできているなぁ、と思う。

大変美味しい昼食を振る舞って頂いた。
景色をつまみに、そして、何種類もの前菜、パスタ、シンプルながら素材の良いメイン、豊富な付け合わせ、そしてデザート、カフェ。
ワインはどんどん開けてくれる。
デザートワインも含めて、全部で5種。
そして、みんなにこやかに対応してくれて、とても気持ちの良い訪問だった。
ぜひぜひまた来たい、と思えるほど、本当にみんなの対応が素敵だったのである。

試飲は続きで。

Ho visitato l'azienda vinicola Barone di Villagrande sull'Etna a 700 m s.l.m..
L'azienda fondata nel 1727(!!), e' storica, produce dei vini bianchi, rossi e rosati con principalente i vitigni autoctoni della zona; carricante e nerello.
Ci ha condotto l’intera visita il sig. Marco , la decima (!) generazione della famiglia.
Bellissimo panorama, ottima accoglienza, un pranzo piu' che genuino, abbiamo trascorso una piacevolissima giornata.


Siccagno -Occhipinti 2009

2012-05-06 00:34:37 | Sicilia シチリア
“シッカーニョ”オッキピンティ2009 -シチリア州

品種はネロ・ダーヴォラ。自然派ワイン。
色は若干透明感のあるルビー色。
香りは、心持ち緑の香り、スミレ、バラなどの花の香りに、酸味のあるフルーツの香りが加わる。
一口目は優しく、その後酸味が増し、タンニンは繊細で、割と長く続く。(87点)

Siccagno di Occhipinti 2009:
Nero d’Avola e vino naturale.
Bel colore rubino e luminoso. Al naso viola, rosa, visciole, piccoli frutti di bosco, freschi, mirtillo, nota verde, pepe rosa, tostatura e buona complessita’. In bocca generoso all’inizio, freschezza gradevole, tannini fini e buona PAI(87/100)



Enoteca Buozoni e Porta del Vento MIra - Marco Sferlazzo

2012-04-19 11:22:50 | Sicilia シチリア
ローマのエノテカでどこが一番良いかと言われると、私はBulzoniだと思っている。
個人的にひいきのところもあるし、大きなところ、品揃えの良いところ、市中心で便利なところ、超有名どころを中心(ほぼ、のみ(笑))に揃えているところなどいろいろあるが、とにかく個人的に一番だと思っている。
Alessandro氏は3代目ということで、今は兄弟で経営しているが、とにかくbravoである。そして、彼のテイスティング能力が素晴らしいのは有名である。
彼もすっかり落ち着いて、風格が出てきたような気がするが、初めて、ワインを購入にではなく「飲みに」行った。


こういった老舗のエノテカは、カステッリ・ロマーニあたりから大樽で運ばれてくるワインを大きなガラス容器(ダミジャーノ)に入れて売っていた。容器はその場で買ってもいいし、家から持ってきてもいい。3リットルとか5リットルなどの大きなもので、家族消費用、1週間もあればすっかりなくなってしまうような時代だった。よき、懐かしい時代。
さて、以前は、ちょっといいワイン、有名どころ、または面白いワインを探したければBulzoniに行けばあるよ、と言われたものだが、今は、すっかり自然派ワインを中心に揃えている。
以前は、小さなカウンターで立ち飲みができるだけだったが、今は、店内にいくつかテーブルを置いて、座って飲んでつまめるようになっている。
ワインに囲まれ、美味しいワインを飲む幸せなひと時ほど好きなものはない。どんなに高級なレストラン、エレガントなレストランより、ワインに取り囲まれているだけで幸せ・・・(素敵な人と一緒ならもっといいのだが・・・はぁ~ため息・・・)
店内のボトルも飲めるが、グラスでも飲める。グラスのセレクションは、全て自然派ワインである。そして1杯の値段がとても安い。自然派ワインを少しでも飲んで親しんでもらいたい、というコンセプトなのだそうである。
さて、スプマンテ2種の中からシチリアのものを選んだ。ついこの前、シチリアのスプマンテってあったっけ?と疑問に思ったが、ここで解決。シャルマー6ヶ月以上だそうである。
品種はカタラット。

写真のようにかなり濃い目の色。琥珀色をしている。
熟したフルーツを超えて、ドライ、そしてナッツなどが出ている。自然派です、というインパクト。普通の人には、すっぱい香りだね~となるかもしれない。すっかりドライになっている花、藁、ミネラル、スパイスなど。
酸味がきれい。しかし、添加されたワインにあるきつい酸味ではなく、やさしい、心地よい酸味。タンニンを感じるくらいで、スパイス、タロッコの皮、何故かほんのりサーディンなどがほろ苦さと共に残るのでした。そう長くはないが、そんなことはどうでもいい。(ビオ好き85点、ビオ嫌い81点)


Nero d'Avola -Cusmano 2010

2012-04-07 00:42:19 | Sicilia シチリア
“ネロ・ダーヴォラ”クスマーノ2010 –シチリア州

昔はクスマーノは良く飲んだ。
Noa‘(Nero d'Avola, Merlot, Cabernet Sauvignon)が出たときは、ほお、と思ったものだ。
それからSagana(Nero d'Avola 100%)。
シチリアというとドゥーカとタスカ、そこにプラネータが出てきて、ドンナフガータがあるとはいえ、それだけ??という時代があったものだ。(ちょっとオーバーですみません・・・)
そこにクスマーノやらパラーリやらベナンティやらいろいろ出てきて、なにせ、南イタリアのワインは安いので良く買った。
同じレベルで北のものを探すと、確実にかなり高い。だから、気軽なお呼ばれなどによく持参したものだ。
ずいぶんモダンなワインが好きだった時代があるんだぁ、と懐かしく思ってしまう。

クスマーノも(は、ではない)飲まなくなって久しい。
どのボトルを開けでも同じ味(極端だが)、よく言えばブレがなく安心、しかし、ワクワク感がない。どうでもよい食事のときはそれでもいいが、そうでなければ、このワクワク感が欲しい。これがワインの醍醐味だと思う。
開ける前のドキドキ、一口飲んだときの幸せ、時間がたって変化する喜び。
これがあるから、ワインはやめられない・・・

色はガーネット色。
スパイス、熟したフルーツとコンフィ、ドライの花、土っぽい香り、黒いタバコ、リコリース、革、丁子など。香りは良くできているが、ごく普通の広がりと持続性。
ボディがあり、酸味がきれいだが、タンニンがほろ苦い。持続性はまあまあ。このクラスのワインにしてはお値段お得、非常によくできていると思う。(82点)


Regaleali -Tasca D'Armerita 2010

2012-01-23 11:49:30 | Sicilia シチリア
“レガレアーリ”タスカ・ダルメリータ 2010 -シチリア州

観光客しか入らないレストランに行った。
ワインも込みのメニューである。
赤と白、カステッリ・ロマーニのワインがすでにテーブルに置かれていた。
席に着いたときはすでにコルクが半分閉められた状態(つまり、半分開いているということ・・)だったから、大樽から移したんだろうな~
テキトウに赤を飲んでみる。ひえ~
一緒にいた方たちは、さすがに、普段はもう少し良いワインを飲んでいる人たちなので、別に料金を払って他を頼みましょう、となった。良かった~
ワインリストなどと言うものがあるはずはなく、白を頼んだら、ボトルを3種そのままテーブルに持ってきた。
(こういうスタイルは昔はよくあったなぁ、とちょっと懐かしい。)
3本のうち2本は、これまたひえ~というワインで、即却下。
つまり選択肢は一つ、久しぶりにレガレアーリを飲んだのである。
シチリアから帰ってきたばかりで、ローマでレガレアーリとはご愛嬌でした。

シチリアと言えば、コルヴォ、そしてレガレアーリ。
シチリアは、DOCの名前より、ワイナリーの名前より、というかそんなことはどうでもよく、シチリアワイン=コルヴォとレガレアーリだった。
コルヴォもレガレアーリも、その昔はよく飲んだものだ。

テイスティングは・・・(何も考えずに飲んだ・・)
色 可
香り 可
味 可
普段飲みのワインとしては悪くないし、よくできている。(よく造っている、が正しい)
タスカのワインは好きだし、久しぶりのレガレアーリも決して悪くはないのでした。

”ドゥーカ・エンリコ 1984から” ドゥーカ・ディ・サラパルータ

2008-10-05 05:29:13 | Sicilia シチリア
“Duca Enrico 1984~” Duca di Salaparuta –Sicilia

シチリアの歴史的名ワイン。
シチリア、良いワイン、結構高い、昔から有名、となると、一般的にはすぐにプラネタを思い浮かべる人が多いような気がする。
でも、プラネタよりもっと歴史の古いワイナリー&ワインである。

イタリアに来たばかりの時、シチリアワインは安くて美味しいとすぐに教わった。
コルヴォとレガレアーリである。
ワイナリーの名前なんか知らなくても、品種がなんであろうともシチリアワインというとこの2つだった。特に、コルヴォがカラスという名前で覚えやすいからか、より人気があったと思う。(実は、最近、何年振りか知らないが、コルヴォのロゼを飲んだ。ロゼもあるのである。)
そのコルヴォのワイナリー、ドゥーカ・ディ・サラパルータは、ワイナリーの名前そのものより「コルヴォのワイナリー」と言った方が分かりやすいかも知れない。
コルヴォはリリースされているものの中で一番安いワインであるが、トップワインがドゥーカ・エンリコである。

今ではワインに詳しくなくてもその名前を知らない人はいないかのように広まってしまったシチリアの土着品種、ネロ・ダーヴォラだけで造っている。
ネロ・ダーヴォラ100%は、今は当たり前だが、その頃は狂人的だっただろう。
それは、1984年。初リリースの年である。
これだけ古いネロ・ダーヴォラ100%のワインを飲むことはめったにない。
ネロ・ダーヴォラはどれくらい持つ品種ですか?と聞かれても、これを飲んでなければ答えられないと思うくらいだ。

さて、その1984年。
格付けはヴィーノ・ダ・ターヴォラ。となると、スーパー・タスカンならぬスーパー・シチリアンだったと言っていいかもしれない??
色はガーネット色で、爪は完全にオレンジ色。つやはとても良い。
香りは、やや閉じているが、熟成香が徐々に出てくる。フルーツのコンフィ、ドライ、ミネラル臭、チョコ、カカオ、腐葉土など。ややシンプルで、香の変化は小さい。
当然柔らかいが、タンニンはまだ感じられるが、やや粉っぽいか。酸がきれいに出て、かなり塩辛い。この塩辛さと埃っぽさが残る感じ。
思ったより良い。あまり過度な期待をしていなかったからかもしれないが。

1987年
すぐにマデイラ臭があり、香りはあまり強くない。土、ほこり、アニマルの臭み、肉、ブロード(コンソメ)、酢キャベツ(なんてある?)、タバコ、アスファルトなど。
この香りで、もうダメだね、行っちゃってるね、と単純に判断する人が周りに若干名いた。うーん。。そう簡単に判断しないでほしい。。確かに、一見、マイナス要素しかないかも知れないが、古いワインは新しいワインと同じに判断してはいけないと思う。
味は酸がかなりあり、若干の渋みが残る。そこに、マラスカ(チェリーの一種)が加わるような感じもあり、細くまあまあ続く。
香りより味の方が良いワインかと思う。

1990年
かなり澱がある。色は濃いめ。
香りがすぐに消えてしまう。そして、アルコールが立つ。変化が小さいが、そこに、ミネラル臭、黒い森の木の実のコンフィ、マラスカ、土など。
ボディもあり、インパクトは思ったほど悪くないが、塩味と酸、アルコールの熱さがやや残る感じ。

1993年
これも澱が結構ある。
香りはまずまずの強さで、熟成香がきれいに出ている。チョコ、リコリース、プルーン、ミネラル臭、土など。
酸がきれいで、塩辛さも良い。後味がやや細い感じがするが、きれい。

1997年
良い複雑性が出ている。ふくよかな感じで、サクランボ、ブラックチェリーのコンフィ、タバコ、ミネラル臭、燻製の香り(fume')、火打石など。
インパクトも良く、柔らかさがあり、酸がきれいに支えている感じがある。タンニンも質が良く、後味に残るスパイス臭がとてもきれい。

2000年
ここから、がらっと変わったワインになってしまった。
99年までは大樽とバリックの両方を使っているが、00年からはバリックのみ。
となると、個人的には興味がとたんに薄れてしまう。
香りに緑、若木がある。フレッシュなプルーン、スモモ、花など、酸味がきれいでスパイスはタバコ、チョコ、そして、香草。
味は、酸がきれいに残り、エレガントな感じでタンニンもきれい。酸とタンニンのバランスが取れている。塩味の残る後味がとても心地よい。

このあと2002年、2004年と試飲したが、メモする気にならなかった。
良く出来ているし、美味しいし、良いのだが、優等生的な良さになってしまって、ヴィンテージごとと楽しみが薄れてしまっている感じ。。。


”サンタ・チェチリア 2005” プラネタ

2008-07-15 02:59:36 | Sicilia シチリア
“Santa Cecilia 2005” Planeta-Sicilia
昔はよく飲んだプラネタのワイン。彗星のごとく現れ、90年代のシチリアワインを背負ってたったワイナリーだと思う。
それまでのシチリアワインというと、スーパーで売っているだけの安くておいしいワインというイメージがあった。
安くておいしいのは大歓迎だが、所詮その程度という感じで、シチリアワインに敬意を表するという感じはなかったと思う。
そこに現れたプラネタ。北のワインに比べるとはるかに安く嬉しいが、シチリアワインとすると当時は破格値段であった。
最初に出たのはシャルドネとメルロー。話題になったのはもちろん、毎年ほぼ交互にガンベロなどの賞を取っていたと思う。
その後、ワインのラインナップも少しずつ増え、そうしているうちに、イタリアでシチリアの土着品種メロ・ダーヴォが大流行りになった。
そして、生まれたサンタ・チェチリア。

品種はネロ・ダーヴォラ100%。
色は濃いめ、かなりきれいなルビー色。
香りは、ふくよかでモダン。シチリアの明るさ、太陽、風にインターナショナル路線が入っている。熟した森の木の実のフルーツの香りが豊かで、甘いトースト臭、甘いスパイス臭があり、ネロ・ダーヴォラに良くある土っぽさもあるが、かなり隠れた感じに仕上がっている。シチリアワインらしく、アルコールが豊か。
味は、インパクトがあり、ボディがあり、申し分なさそうだが、酸っぱい。最初から酸がぱっと出て、じわっと残り、味は長いのだが、最後まで酸っぱさが残る。心地よいほろ苦さもあるが、やはり酸っぱい。シチリアだし、補酸されてるんだろうな~。。。と。
シャルドネにも不自然な酸味が残るし、まあ、仕方ないかも。。。


”ネローリ” グッチョーネ

2008-03-10 23:06:25 | Sicilia シチリア
“Neroli” Guccione -Sicilia
パレルモ近く、素晴らしい聖堂で有名なモンレアーレにあるワイナリー。
ボトルにヴィンテージの記載がなかったが、おそらく2005年?
品種はネロ・ダーヴォラ。
色は、青っぽさが残る感じの明るいルビー色。やや透明感があり、つやがあり、魅力的な色。
香りは、熟したフルーツの香りがとてもきれい。若さが出ている。サクランボ、レッドベリー、ブルーベリーなど、小さな森の木の実。花の香りもきれいで、小さなバラの感じ。最初はやや単調な感じかと思うが、とても澄んだ香りで申し分ない。ゆっくりと変化したあとは、甘いスパイス、アニマル、カフェ、そして、赤身の肉風の香りも出てくる。
味も若さがあり、結構酸味が出ている。ボディは普通で、シチリアにしてはやや物足りないくらいか。タンニンもさほどきつくないが、最後にほんのり渋みが出てくる感じ後味に残る。また、余韻の酸がきれい。
全体に好感の持てるワイン。

ビーニのワイン3種

2008-02-28 04:50:13 | Sicilia シチリア
ちょっとは知られたビーニBiniのワイン。(と言っても、自然派ワインの好きな人たちの間だけであるが。。)見たところ、TripleAのワイナリーのリストには載っていない??ようであるが、それ並みである。
ビーニはパンテッレリア島でカッペリ(ケッパー)の生産者をしている。セッラギアにある。パンテッレリア島は、シチリアのかなり南に位置する小さな島。でも、ワインの生産では有名な島である。(ご存じサルヴァトーレ・ムラーナが有名)
ビーニ氏の生まれはトスカーナ、育ちはミラノとのこと。最近(一部で)流行りと言えなくはないが、アンフォラanfora(素焼の壺)でワインを造る。
それを3種飲んだ。
なお、ラベルの写真は忘れたのではなく、貼ってなかったのでした。

① “Serraghia Rosso Carignano 2007”
品種はカリニャーノ。サルデニア島でよく見る品種である。それが、また何故シチリアの果てのパンテッレリアに??
色は、まだ赤紫がかったルビー色。香りは、甘く、よく熟したフルーツの香りで、できたて新鮮ワインの香りvinosoがある。花、ケッパー(生産しているとワインに移るのか??なまじ、嘘とは言えない)、やや湿気を含んだ紙の香り、魚の香り(頭がおかしいとは思わないでください。。)、アニマル臭など。味は、甘く、新鮮ワインの香りと、熟したフルーツの香りが広がる。すでに柔らかさ、というか優しさを含む。後味も良い。
② “Moscato 2007”
品種はモスカート。
色は、濃い目の黄金色で、コハク色に近い。つやがとても良い。香りは、甘く熟した柑橘、蜂蜜、ドライの花などで、とても良い複雑性がある。味も程よく甘く、ボディもあり、酸とのバランスが良い。かなりピリピリ来る感覚が面白い。ナッツ風の味もある。
③ “Zibibbo 2007”
品種は、モスカート・ディ・パンテッレリア、地元でズィビッボという。シチリアに多い品種で、特に、パンテッレリアで有名。つまり、②もモスカートだから、名前は違うが、同じ品種ということになる。しかし、全然違うワインになっている。
フィルターなしで、色は、完全に曇っている。麦藁色から黄金色。香りは、ふくよか。かなり臭いと言える。臭い中に、桃、柑橘、デリケートな柑橘の花の香りが混じる。そして、ミネラル臭。モスカートだから、もっと甘くて良い感じなのに、あまり甘い香りではない。で、味は、完全に辛口。ヴァッレ・ダオスタ州で、辛口モスカートを造るが、それに似て、香りと味がアンバランス。しかし、何とも言えないモスカートの甘さが残る。そして、後味に鉄分か、チーズを思わせる味。
と、書くと、まずそ~!と思う方がいると思いますが、そんなことはありません。とても美味しいです。

こういう、体に優しいワインは嬉しい。(ちょっと臭いけど。。)


”ネーロイブレオ 2001” グルフィ

2008-01-04 03:24:29 | Sicilia シチリア
“Nerojbleo 2001” Gulfi –Sicilia
ネロ・ダーヴォラが得意の、良く健闘しているワイナリー。
ネロ・ダーヴォラは、数年前、実に流行った品種である。一時期、イタリア人が、猫も杓子も、という感じで飲んでいた。おかげで、これがネロ・ダーヴォラ??というものも現れたが、グルフィのものはいつでも安心して飲める。
マグナムボトルだったので、普通のボトルとは感じが違うかもしれない。
品種はネロ・ダーヴォラ100%。
色はルビー色。ガーネットが見え始めくらい。つやがあり、きれい。
香りは、若干のくさみがある。(でも、決して悪いわけではない。)リコリース、栗のハチミツ、赤土、革、バルサム臭、松脂、アーモンド、キャベツ、インク、イワシ、チョコ、錆、鉄分などなど。でも、決して悪くないので誤解のないように。ネロ・ダーヴォラは、もともと土っぽい香りが結構あるが、それが熟してくるとこんな感じになるの?という感じ。
酸がきれいで、程よい塩味もある。ボディがあり、タンニンもまだちゃんとある感じ。味の強さ、持続性ともに良い。後味にブラックチェリーとチョコ。

”ネレッロ・マスカレーゼ 2000” ベナンティ

2008-01-03 19:07:36 | Sicilia シチリア
“Nerello Mascalese 2000” Benanti -Sicilia
今では、すっかりシチリアを代表するワイナリーになってしまったベナンティ。
ラベルには、エトナ山の風景を描いたもの、バッカスらしき太った子供がどーんと樽の上に座った、なんとなく微笑ましいものなどがあるが、この単一品種monovitignoシリーズは、ぐっと地味なラベル。
ワイナリーの畑は、パンテッレリア島、チェリートマトで有名なシラクーサ近辺のパキーノpachinoにもあるが、エトナ周辺が生産の主力。エトナ山は、今でも時々お騒がせしている活火山だから、これぞ火山性土質、気候という代表である。また、ネレッロ・マスカレーゼはエトナ周辺でその特徴を最大限に発揮する。
シチリアは、夏は当然暑いが、夜になると、気温がぐっと下がる。標高が高ければ、その差、30℃にもなることがあるというのだから、結構すごい。エトナ山の畑は、高いところで1000mにもなり、標高の高さ、土質からフィロキセラの被害がなかった場所でもあり、ベナンティに限らず、エトナ周辺のワイリーは今後も注目されると思う。

品種は、名前の通り、ネレッロ・マスカレーゼ100%。
色は、ルビー色からガーネットに変わるところという感じ。全体にやや透明感があり、きれいな優しい色。
香りは、やや臭みがある。ダイオウrabarbaro、ヨード、黒鉛grafiti。そして、森の木の実のコンフィが混じる。他、コショウ、革、リコリース、バルサム臭、土など。繊細さを持つが、複雑性もまずまず。
味は、かなり塩辛い。もちろん、きれいな酸もあるが、ミネラルたっぷりなのが感じられる。タンニンが一瞬隠れるくらいだが、そのあとは、しっかりしたタンニンの渋みも出てくる。最後にほろ苦さがきれいに出る。

”セッラ・デッラ・コンテッサ 2003” ベナンティ

2007-10-10 06:40:21 | Sicilia シチリア
“Serra della Contessa 2003” Benanti –Sicilia
品種は、ネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョ。
19世紀にワイン界の歴史を大きく動かした(それも悪い方向へ)のは、ブドウネアブラムシ、つまりフィロキセラである。イタリアにもフィロキセラはやってきたので、フランスほどではないにしても被害は大きかった。しかし、未だに、フィロキセラに侵されていないブドウの樹がわずかだか残っている。エトナ山も、その高度ゆえ、フィロキセラがやって来なかった場所の一つである。このワインは、エトナ山の、樹齢75年から100年の畑の、フィロキセラに侵されていないブドウの樹から採れるブドウで造っている。
色は濃い目のルビー色。色に深みがある。
香りは、森の木の実のコンフィ、ドライのスミレ、やや甘い感じがパイプタバコ、アニス、リコリースなど。そして、ミネラル臭が奥にある。なかなか良い奥行きを感じる。
味は、インパクトがある。甘いくらいで、まろやかさを感じる。Grassoと言う感じ。タンニンは若いが柔らかく、味の強さ良し、持続性も充分ある。シチリアのワインだしで、当然ボディがあり、後味が甘く心地良い。