在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Macaron di Pierre Herme'

2012-02-04 22:51:36 | もろもろの食べ物
イタリア人はマカロンを知らない。
もちろんみんなが知らないのではないが、よほどのお菓子好きでもない限り、マカロン??なにそれ~??と言う。
そして、ローマでマカロンが食べられるところは、まだごく数件である。
そのうちの1件、Cristalli di Zuccheroのマカロンはかなりおいしいが、でも、本場にはかなわないと思う。
残念ながら、いろいろな条件が合わないので、マカロンの食べ比べはしていないが、ぜひ、一度に何種も買い、テイスティングをしたいと思っている。

1年ちょっと前までは、個人的にマカロンは好きではなかった。だから、どこがおいしいの?と思う人の気持ちはわからないでもない。人工的(に見える)色、形はかわいいが、それだけ、そして、値段は安くはないし、おいしいがほれ込むほどではない。
ところが、ラディレのマカロンを食べて開眼してしまった。
頂き物で、ふーん・・・、という感じで手を付けたが、あれ~おいしいじゃない!
なんと一度に4つも食べてしまった。ある友人に言わせると、ラデュレのマカロンを4つも一気に食べるなんて贅沢は、普通はできないしやらないという。
(正確な値段を知らなかったこともある・・)
以来、マカロン大好きになり、そうなると、世界でも名だたるマカロンを食べたくなるのである。
エヴァンのマカロンをパリ土産で頂き、ミラノに行くとラドュレを買い、または買ってきてもらい、今回念願のエルメのマカロンを食べた。
さくさく、しっとり、おいしかった。
でも、どれが一番いいかと聞かれると困る。やっぱり、一度マカロン食べ比べという贅沢をしてみたい。ああ、マカロン食べにパリに行かなきゃ。

ドライミニトマトのオリーブオイル漬け

2012-01-26 10:18:30 | もろもろの食べ物
シチリアのミラベッラ・インバッカリという小さな町に仕事で行った。
日本の某市と文化交流を進めるための準備をしている町である。
市長との対談から学校訪問、そして、地域の特産の農業の畑の視察、特産品であるオリーブオイル搾油所など多数の場所を駆け足で訪問した。
そんな中、地域の特産物をオリーブオイルの瓶詰めに加工している、大変好感の持てる小さな会社を訪問した。
バルブーシャはもともと土地を持っている農家であったが、そこに小さな加工工場を建て、自分たちの畑で収穫したもののみをオリーブオイル漬けの瓶詰めに加工している。
特産のアーティチョーク、それをグリルしたもの(グリルの香りがとても香ばしい!)そして小さな小さなアーティチョーク(小さなものは高級品。個人的にはよだれが出ます・・・)、ドライミニトマト、近年地元の特産品のグリーンアスパラガス(オリーブオイル漬けは珍しい)、そして、トマトやピスタチオ、アーティチョークのパテなど、多数の商品を作っていた。
美味しいので、ローマでは手に入りますか?と聞いたら、北イタリア以外では売っていません、とのこと。
つまり、良いものを作り、多少高くてもその価値をわかってくれる人にのみ売る方針で(確かに、品質が良くても、高級品は南イタリアでは売りにくい)、また、ヨーロッパ、アメリカ、カナダなどにも輸出しているそうだ。
イタリアでは、こういったオリーブオイルの瓶詰めは決して珍しいわけではないが、高品質のものを自分たちで栽培から加工、販売まで全てを行うところはそう多いわけではない。

写真はドライミニトマトのオリーブオイル漬け。
見本にいただいたものでラベルは貼っていない。
オリガノの香りがイタリアらしい1品。

パスクアーレ・マリリアーノ -カンパーニア

2008-01-23 08:26:19 | もろもろの食べ物
Pasquale Marigliano -Campania
行きました。行きました。マリリアーノまで。はるばる。いやー、ナポリから決して遠いとは言わないけれど、近くはない。ヴェスヴィオの裏あたりは、仕事で行くと言えば行くのだが、お菓子屋を探して行ったのは初めて。ちょうど、ナポリのゴミ問題の真っただ中で、確かに、郊外へ行くとあるわ、あるわ、ゴミが。それはテレビで報道されるだけあるなかなかのものである。歩道がゴミの山に占領されている。町角という町角にゴミの山。ゴミをよけて、人間が車道を歩いて車にひかれたら、誰が悪いことになるんだろう?なんて、考えてしまった。
で、途中、若干道にも迷い、人にも聞いてたどり着いたマリリアーノ。この通りにある、というところまで来ても、えー、これって普通の住宅街! ちょっと奥まっていたせいもあって、見落とし、引き返し、住所を見て、ここだ!というところにたどりついた時には、びっくり。こんなパエーゼ(田舎)に、こんなにしゃれたお菓子屋さんが、どーして????と、?マークをいくつも付けてしまった。

店舗は小さいが、おしゃれで明るい。冷蔵庫には、種類は少ないが、ここはナポリ(それも郊外、はっきり言って田舎)とは思えない、おしゃれなケーキが並んでいる。そして、液晶テレビにDVD。得意のチョコ、有名なパネットーネの製造過程を、わかりやすくDVDにして流している。そして、ショーケースには、かわいいプチケーキがずらっと。そして、それはそれは美味しそうなカッサータなどなど。。まずいカッサータには目もくれないが、美味しそうなものには目がない。
しかし、あいにく、その時、死ぬほどお腹がいっぱいで、ケーキを見られる状態ではなかった。どうしようか、ここまで来て何も食べないなんて、と見ていたら、お店の人が、次から次にふるまってくれた。どうしよう~、もうなんにも入らないのに~。。
チョコ数種、ババ2種、パネットーネにカッサータを挟んだもの、などなど。。死ぬほどお腹がいっぱいなのに、おいしい。これでお腹がすいていたら!と思ってしまった。チョコはすべて美味しく、苦手なババは大変な美味だった。
これだけふるまってもらって手ぶらで帰るにも悪いし、もったいない話なので、少しは日持ちするチョコとプチケーキを10個程度購入。でも、ケーキはとうとう当日は食べられず、翌日の夜になってやっと食べられたのだが、それでも、かなり美味しかった。

次は絶対にお腹をすかせて行こう!と心に決め、ちょっと遠いけど、今度の冬にはパネットーネを直接買いに来ようかな、と思ったのでした。(写真は、箱の中におとなしく並んだチョコ。香りがとても良い。)

アルタムーラのパン

2007-12-30 02:35:04 | もろもろの食べ物

Pane di Altamura -Puglia
日本人の中には、イタリアの主食はパスタだと誤解している人が多いが、それは大きな間違いである。では、主食は?と聞かれると、それはパン。
日本でご飯が欠かせないというのと同じように、イタリアでは、パンを切らせない。(と言っても、私は日本人なので、つい、買い忘れてしまうこともある。。)
イタリアのパンは、最近、だいぶ柔らかいパンが出てきて、昔と比べると随分変わってきたと思うが、基本的に日本でいう田舎風パンに近い。
大きくて、外側が固くて、重たくて、中はやわらかいが、しっかりした弾力があり、穴がぼつぼつと開いている。この手のパンは、やわらかい、ふわふわパンが好きな人には全く受けないが、味のあるパンが好きな人にはやめられない。
それでも、評判の良いパン屋とそうでないところがあり、イタリアのパンだからすべて美味しいとは言わない。

さて、異論はあると思うが、イタリアで最も美味しいと評判のパンは、プーリア州のアルタムーラのパンではないかと思う。
偶然であるが、我が家にアルタムーラの巨大なパンがごろごろと3つやってきた。(パンが歩いてきたわけではないが、偶然手に入れたので、やってきたというのがふさわしい状況である。)

アルタムーラは細長いプーリア州の北部、内陸にあり、世界遺産で有名なマテーラ(バジリカータ州)にごく近い。また、アルタムーラのパンは、れっきとしたDOP(Denominazione d’Origine Protetta)商品で、スローフードのプレシディオpresidio(保護食品)にも認定されている。重さは、2キロから5キロにもなるというかなり大きな円形のパンで、確かに、持つとどっしりした感じだ。パンだから、当然小麦作られているのだが、軟質小麦ではなく、二度挽き硬質小麦(セモリナ粉)を使用している。セモリナ粉は「黄金の小麦粉」と言われるが、その名前の通り色が黄色い。だから、アルタムーラのパンには、びっくりするほど色が黄色いものがある。
我が家にやってきたパンは(やってきたのだから、文句は言わないが)、DOP認定シールはなかったが、使われている材料は、前述の硬質小麦、塩、イースト、水となっている。DOPになると、さらに、小麦の品種の指定、塩は海塩を使用、出来るだけ薪を使った窯焼き(ガスもOK)など多くの規定が付く。また、形もぼてっと重なったごろっと丸い形のものと、「お坊さんの帽子」と言われる帽子型のものが基本の形である。


なお、アルタムーラのパンはかなり日持ちがする。そのまま置いておいても4-5日は十分美味しく食べられる。

マリリアーノのパネットーネ

2007-12-22 19:01:34 | もろもろの食べ物
Panettone di Pasquale Marigliano -Campania
パネットーネがこんなに美味しいものだったとは。びっくり、びっくり、いや~、本当にびっくり!
パネットーネとは、ミラノ発祥のイタリアを代表するクリスマスのお菓子である。大きなスポンジケーキみたいなもので、ころっと丸い形がかわいい。
でも、たいていのパネットーネは、お世辞にも美味しいとは言えない。
同じようなクリスマスのケーキに星の形の釣り鐘型のパンドーロがあるが、こちらは、結構ファンが多い。だんぜんこちらの方が人気がある。
パンドーロは卵をたっぷり使って、中は何も入っていないシンプルスポンジケーキ。粉砂糖をかけて食べる。
パネットーネは普通、ドライフルーツ、または、干しレーズンが入っている。ただでさえ、パサパサして、そこに、おいしくもないドライフルーツを細かく切ったものが入っていて、ひと切れ以上は勘弁して欲しい、と個人的に思っている。(それでも、たまにはなかなか美味しいものに出会うこともある。我が家の近くに、チョコチップ入りパネットーネを造っている有名なお菓子屋さんがあるが、これは美味しいので毎年買う。)
しかし、マリリアーノのパネットーネを食べた時、これはまるまるひとつ食べられる(かなり巨大だが)と思った。それくらい、美味しかったのである。
色がきれいな黄色。着色ではない。卵をふんだんに使っているのがわかる。穴あきチーズみたいに、ぼこぼこ穴が空いている。甘い香りがたち、食べるとふわふわとやわらかくて、ドライフルーツもやわらかく、味がある。上に乗っているアーモンドスライスにも香りがある。
こんなに美味しいパネットーネが世の中に存在していたとは!
作ってるのはどうせミラノあたり?と思ったら、なんと、ナポリだった。(ナポリの人、怒らないでください)も、それもヴェスヴィオのふもとの無名の場所。そして、造っている職人はまだ34歳。数々の賞を取っている。いや~、本当にびっくり。