在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

”ノタルパナーロ 2001” タウリーノ

2008-11-03 18:02:46 | Puglia プーリア
“Notarpanaro 2001” Taurino –Puglia
いつも行くエノテカ(酒屋)のお買い得コーナーに置かれていた。仕入れたのに、なんとなく残ったんだろーなー。。
プーリアの地味なワイナリーだから、コレコレ!って買う人も少なく、誰かに推薦されないと買わないよねー。。
で、棚にあった何本かを買い占めた。
だって、今時2001年なんて手に入らないし、エノテカがちゃんと「保存」しててくれたのだから。
一緒にいた何人かは、もうダメじゃないー?とか、あの、マデイラがかった臭みが苦手なんだよねー、などとぬかすが、そんなのは聞く耳持たない。
それは、工業製品ワインにあてはまることで、タウリーノのようなワイナリーには当てはまらないからだ。

品種は、プーリアのおなじみ品種ネグロアマーロ。
色は、ガーネット色に、爪がオレンジを帯びている。きれいなつやがある。
香りは、一瞬甘い黒い小さなベリー系のコンフィの香りがするが、全体にスパイスが覆っている。血の香り(鉄分系の香り)が強い。それから、当然のようにアニマル臭、土の香り、キノコ、ブラッドオレンジ風が少し。熟成香が程よい複雑性を醸し出している。
普通の人は、血の香り、アニマル、キノコあたりで、もうダメなんだろうなー。。。と残念に思う。
味は、インパクトが優しい。優しすぎるくらい。時間がたってまろやかになっているせいもあるが。。タンニンは、ネグロアマーロだから、しっかりあったのが丸くなり、酸味がきれいに出ている。後味に、ほんの少しほろ苦さが出て、ネグロアマーロの特徴を感じさせる。

”カタパヌス 2006” ダルフォンソ・デル・ソルド

2008-02-27 01:24:49 | Puglia プーリア
“Catapanus 2006” D’Alfonso del Sordo -Puglia
エノテカで働いている友達が、安くて、美味しいってわけではないけど(かなり微妙な表現。。)、なかなかいいよ、と教えてくれたワイン。
品種はボンビーノ・ビアンコ。プーリアのである。アブルッツォ州に多い品種であるが、プーリア州は縦に細長く、ワイナリーは一番北の方に位置するので、隣の小さなモリーゼ州をまたぐと、そこはすぐにアブルッツォとなる。

色は、濃い目の麦藁色から黄金色に近い。ツヤがとても良い。
香りは、リンゴがすぐにはっきり。他、梨、洋梨、よく熟したフルーツの香り。梨は、日本を離れて久しいが長十朗のような感じか。そして、花はややドライ。シンプルで単純だが、なかなかきれい。若干つんとくる香りがあり、スパイス、フルーツのアメ、セロリ、牧草風の香りもよぎる。なんだか、てんでバラバラであるが。。
味は、一瞬甘い。アメ風である。そして、かなりのまろやかさもある。しかし、すぐに、苦味が出て甘さを打ち消してしまう。酸、塩味は良い。後味に、熟したフルーツと苦味とアルコールが残る。
確かに悪くないが、苦味が強いのが気になる。それも、甘さと苦さが交互に出る感じで、統一性がないというか。。でも、5ユーロもしないと聞くと許せる。5ユーロ以下でこの味なら悪くない。あまりの物価高に、5ユーロ以下ではなかなか良いワインがない現状は悲しい。。

”スム 2001” アカデミア・デイ・ラチェーミ

2007-11-28 17:30:27 | Puglia プーリア
“Sum Torre Guaceto 2001” Accademia dei Racemi -Puglia
面白いワインだった。
ラベルは見たことがあるが、飲んだことがあるかないか記憶にない。今まで気に留めなかったワインであることは間違いない。
プーリア州のワインで、値段が安くて美味しいとの評価で、その昔、有名だった「フェッリネFelline」を造っているワイナリーである。これも、それほど値段の高くないワインのはずである。しかし、それがこんなに美味しいとは。と言っても、美味しいの意味は、素晴らしく良くできているワイン、最高の評価のワイン、というのではない。これほど完璧な状態でワインを飲めるとは、良く考えてみるとなかなか珍しい。まさにパーフェクトな飲み頃だった。
品種は、スッスマニエロ100%。最近は、本当に面白い土着品種が復活している。
色は、ガーネット色で、爪はオレンジがかる。なるほど、インゲン豆fagioloの色に近い感じ。やや透明感が全体にある。
香りは、腐葉土が出ている。そして、スパイス臭。とてもよく熟している。やや臭みのある熟成香だが、その臭みがとても良い。よく熟しています、と語っているよう。プルーンのコンフィ、サクランボの一種marasca、ニガヨモギrbarbaro、バルサム臭、ヨード臭、野菜臭、ミネラル、などなど。果肉の豊かさが香りからも感じる。
味に、やはり厚みがある。やわらかく、酸がほどよくあり、塩味もある。全てが非常にバランスよく存在している。タンニンもエレガント。ボディがありながら、控え目なところもあり、後味の持続性が良い。
幸せを与えてくれるワインは、高いワイン、有名なワインだけではない、ということを教えてくれたワインである。
ところで、試飲はマグナムボトルから。これほどの美味しさは、マグナムならではだと思う。大きなボトルの中でゆったりと過ごせて、ワインもきっと幸せだったのかも。


”ヴィーニャ・フラミニオ 2004” ヴァッローネ

2007-10-28 06:19:42 | Puglia プーリア
“Vigna Flaminio 2004” Vallone -Puglia
隠れた名品(隠れてない??)“グラティッチャイアGraticciaia”(ネグロアマーロ100%)を造るワイナリー。グラティッチャイアは、干したブドウで造る辛口赤ワイン。アマローネに似ているが、アマローネは室内で干し、グラティッチャイアは外でも干すところが違う。南イタリアでは、まだ、ブドウを外に干すところが結構残っている。
そんなわけで、グラティッチャイアは、当然値段が張るし(それでも40ユーロ前後。さすが、プーリア!)生産量も少ないが(25000本)、それ以外のワインは生産量も多く、10ユーロ以下と、嬉しいプーリア値段(?)である。しかし、決して悪くない。
ワイナリーは、細長いプーリア州の、だいぶ南に位置するレッチェにある。
品種は、プーリアの土着品種ネグロアマーロ70%、アブルッツォ州で特に有名なモンテプルチャーノ20%、マルヴァジア・ネーラ10%(普通のマルヴァジアは白だが、これは黒ブドウ)。
色は、濃い目のガーネット色で、つやがとても良い。
香りは、よく熟したフルーツがきれい。サクランボ、ブルーベリー、プルーンなど。そして、ドライの花の香りとスパイス臭。スパイスは、甘い香りと辛い香りがうまく絡む。香りの奥には腐葉土もある。革、カカオなどがもう少しで出てきそうな感じ。ロゼにもあったが、アルコールがやや立つ感じがある。
味は、プーリアらしく、ボディがある。熟したフルーツが甘くまろやかな感じ、しかし、そこに、アニマル臭的な南イタリアらしい臭みとカカオなどのほろ苦さが混じる。味は強く、持続性も良い。熱い感じが、南イタリアを充分感じさせる。
余談だが、ネグロアマーロという、イタリアではこのところかなり人気のロック・ポップスグループがある。何でネグロアマーロ?というと、プーリア州出身だからだそうだ。とても良いネーミングだと思う。おかげで、品種ネグロアマーロの知名度もぐっと上がった。品種ネグロアマーロがお好きな方は、ぜひ、ネグロアマーロを聴きながら飲んでください。


”ロザート・ヴィーニャ・フラミニオ 2005” ヴァッローネ

2007-10-28 05:54:06 | Puglia プーリア
 “Rosato Vigna Flaminio 2005” Vallone -Puglia
ちょっとややこしいが、赤と同じ名前のロゼ。イタリアにはロゼはあまり多くはないが、プーリア州のロゼは全国的に有名。明るいきれいなバラ色で、白と赤の中間的存在で、夏の肉料理、冬は魚料理に合わせても良い。
品種は、赤と同じで、比率も同じ。つまり、ネグロアマーロ70%、モンテプルチャーノ20%、マルヴァジア・ネーラ10%。
色は、濃い目の玉ネギ色を明るくした感じ。プーリアに多い明るいバラ色と比べると、落ち着いた色調。
香りは、フルーツ臭がきれいに立つ。イチゴ、レッドベリー、サクランボに花の香りが混じり、プーリアらしい華やかさのある香り。アルコールがやや出る感じあり。シンプルだが、とても好感が持てる。
味は、プーリアらしく、ロゼなのに結構ボディがある。フルーツの香りが口の中に広がる。
酸はほどよく、塩味が効いている。アルコールの熱さが後味に出る。持続性まずまず。