在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Bacco -Bari

2012-03-14 03:02:57 | レストラン
レストラン”バッコ”バーリ -プーリア州

バーリのレストランで文句なく一番と言えるレストランである。
レストランのクライエントの一人に招待された。
最初は、寿司を食べに日本食レストランにしようという話が出ていたのだが、結局寿司ではなく同じ(同じではないが…)生のものをということで、急遽こちらになった。
お腹があまり空いてはいなかったので、軽めの予定で行った。
しかし、よく食べる人と行ったので(イタリア人は本当によく食べる)結構すごいことになった。

生3種。
2番目と3番目はウニ、カキ、コッツェ(それも黒い普通のカラス貝ではない地元の味と香りのあるもの)、エビ(数種)、イカ(2種)、そして、貝殻部分がふにゃっと柔らかい貝(トリュフと言ったようだが、一般的なものと全く違う、これまた地元でしか食べられない貝)などなど書ききれないほどが2つの山になって出てきた。
しかし、圧巻は1皿目の生の魚のお味見。
まるでチーズのように時計回りに食べるようになっている。
真ん中の赤エビを含め、10種はあった。スズキやら、マグロ数種やら、ああ、数がありすぎ、そして美味しすぎてもう覚えていない。
触感、味、香りの違いを堪能できる1品。
どれも小さく薄くきってあって、オリーブオイルと塩(ものによってはショウガが添えてあった)で食べるところが刺身の盛り合わせとは大きく違う。そして、しょうゆではないので、魚本来の味の違いがよくわかる。

そして、小さなダッテリーニとコッツェのパスタ。超塩辛いが、コッツェの持っている海の塩味がそのまま出ている1品で、その後のウニパスタもよかったが、素敵な1品であった。

この格のレストランでは、特にイタリア人や友人と一緒のときは写真を撮りたくないので、写真なしです。


ヴィーニャ・デル・マーレ   (モノポリ)

2009-06-16 17:04:35 | レストラン
迷宮の町、モノポリで入ったレストラン。(正確にはトラットリア)
光栄にも、オーナーが迎えに来てくれた!

さて、メニューを見ると、何故かプリモから始まっている。
あれ?前菜は?と思う。
レストランの名前(海のぶどう畑)通り、海の幸の前菜などなど~を期待していたのに。そして、プリモの後に、サラミ系のお皿の明記がいくつかある。
何もここまで来てサラミなんて、とは思ったけれど、これしかないから、頼む。
それから、お勧めを聞いてそれを中心に注文する。

メニューを見ていた時、オーナーがテーブルにやってきて、どかっと一緒に座る。
一緒に座って、おしゃべりをしながら注文を取るのが好きなようだ。他のテーブルでも同じようにどかっと座っていた。
だから、わからないメニューを聞いたり、お勧めを聞いたり、レストランの由来を聞いたりがとてもしやすくて嬉しい。

彼は北の出身で、コックの彼女が地元の人。そこで、北のものと南の魚をとてもうまく合わせている。だから、前菜風にサラミがあるんだぁ、と納得。
そして、ラルドも含めて、サラミは全て絶品だった。
パンがわりに持ってきた、エミリア・ロマーニャのピアディーナも、なにもプーリアに来てまで、と最初は思ったのだったが、これまた絶品だった。

そして、プリモ。
写真は、イカ墨のクレープで包んだ魚介類。
真っ黒なクレープ。薄いクレープで、ごろごろした魚介をうまく包んでしまうことに感心。
中は新鮮なイカや海老がごろんと入っていて、プリモを食べているというよりメインを食べている感覚。
もう一品も、メインも良かったが、このプリモが一番インパクトがあった。

ワインは、昼だし、魚中心だし、白がいい、と思ったら、ワインリストのページを何度めくっても、プーリアの白がない。
どうして?と聞くと、プーリアに白ワインがあるか?と聞く。そりゃあ、赤ワインの方が多いけれど、ないわけはない。
オーナーいわく、良い物がないから扱ってない、という。
じゃあ、プーリア名物のロゼでも、というと、ロゼも一つしか置いていないという。

なるほど。食にも、ワインにも、メニュー構成にも、お店の雰囲気にも、とにかくこだわりが見えるトラットリアなのでした。
また行きたい!

”ラ・トッレ・ディ・ニッケ” アレッツォ -トスカーナ

2008-04-07 01:22:47 | レストラン
"La Torre di Gnicche" Arezzo -Toscana
アレッツォは、日本でも話題になったイタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の町である。
トスカーナにあるが、高速(1号線)の右にあるせいか(あんまり関係ない??)、比較的ウンブリアに近いせいか、あれ?トスカーナだっけ?ウンブリアじゃなかった?と言う人もいなくはない。
トスカーナは、フィレンツェをはじめとして、あまりに有名どころ満載という感じなので、可哀そうだが、アレッツォで既に、「ややマイナー都市(観光地)」のグループに入ってしまうような気がする。
しかし、とてもきれいな町である。

かくいう私も、長くアレッツォには行ったことがなかった。
初めて言ったのは3年くらい前。友達のMちゃん(今はアフリカ在。元気かな~)がいいとこでしたよ~、「ライフ・イズ・ビューティフル」の撮影の町なんですよ~、と教えてくれた。
映画は、何度見ても泣けるすばらしい映画だと思う。監督、主演のロベルト・ベニーニ氏はオスカーも受賞したが、間違いなく「イタリア映画界の才能ある人物の一人」である。
その彼の出身地がアレッツォ(近郊)。当たり前だが、カンパネリズモ(おらが村一番!)のイタリア人は、どこの町が一番好きですか?と聞かれると、答えは決まっていて、もちろん自分の故郷なのである。
だから、ベニーニが最も好きな町はアレッツォだし、そのアレッツォを映画の撮影に使った。
アレッツォの町を歩いていると、時々、映画の写真、場面のセリフ入りの看板が見つかる。全部で9つあり(だったと思う)、撮影で使われた広場、町角、劇場、小学校前などに立っている。
このワインバーの入り口のすぐ隣も映画の撮影に使われていて、その向かいに看板が立っている。

で、ワインバーの方はというと、ここではイーゾレ・エ・オレーナのキャンティを飲んだから、そこでもちょっと書いたが、小さなお店で、テーブルは7つ位しかない。四角い部屋の白い壁に、ずらっとワインが並べられている。
暖かい日で、ちょっとのどが渇いていたので、ビールで始めたい気もしたが、一応聞いてみるとビールはないと言う。(ワインバーでビールなんて!という人もいるかもしれないが、最近はとても面白いビールを置いているところも出てきたから、決して失礼ではないのである。場合によっては、とても良い出物に出会える)で、ワインリストをお願いすると、ない、と言う。壁に置いてあるのを見てね、と。ワインバーでワインリストがないのも面白いが、小さなスペースなのでこれで十分なのだろう。
ワインは地域別に分けられていて、やはりトスカーナのものが多い。しかし、北のもの、南のものも、ちらっと見た限りではなかなか良い品揃えである。(人が座っていると、じろじろ見るわけにいかないよね~。。。)ボトルにわかりやすく値段が張ってあって、直接ワインを見ながら選べる。

料理の方は、チーズを使った料理が多いが、セコンド(メイン)の中に、グリフィという聞いたこともないメニューがあった。トスカーナは、仕事でもプライベートでも何十回と行っているが、聞いたことがない。面白いものには、できる範囲で(よほど変なものでなければ)挑戦してみたい。何かと聞くと、牛のほほ肉の煮込みだという。かなりボリュームのある料理。出てきたのは、小さなお皿に入った美味しそうな煮込み。量はやや少なめだが、これくらいがちょうどいい。ゼラチン質のプリンとした触感と、良く煮込んだ肉の柔らかさが絶妙であった。
日本だとマッシュポテトなどと一緒に食べるのだろうが、こちらでは、トスカーナの塩なしパンと一緒に食べる。冬の寒い時、お腹が空いている時にはとても嬉しい一品だと思った。
ところで、今では、牛のほほと言うと結構高級系部位に入るのかもしれないが、近郊の市の中心地アレッツォで、余りものの部位を使って作り始めたのが起源というから、もともとはピアット・ポーヴェロ(貧しい農民の料理)に入る。また、グリフィとしてメニューに載るのはアレッツォだけとのこと。つまり、典型的なアレッツォ料理ということになる。
なお、前日に食べていたので、ハム、サラミ頼まなかったが、間違いなく品質の良いものを出すと思う。
テーブルにさりげなく置いて行ったオリーブオイルも、地元のものでとても美味しかった。(こういうところで、酸化してしまってるオリーブオイルができてたら興ざめだが、結構あり得る。。)
トスカーナ典型的料理リボッリータも美味しかった。
こういう、シンプルでも質の良いものをさらっと出す感じがとても良い。
もちろん値段も安くて嬉しい。

トマトソース煮の新鮮な驚き

2008-01-22 17:47:40 | レストラン
先日、住宅街の中にある、ごくごく普通のレストランに何気なく入る機会があった。
ワインが好きだと、当然料理も気になり、せっかくなら美味しいものが食べたいということになる。すると、レストラン評価本にも目を通すようになるし、まずまずの評価のところには行ってみたくなる。(評価がかなり高いところは、たいていフレンチイタリアンで、一度食べるとちょっと飽きてしまう。また、値段が高過ぎで、そう簡単には行けない。)
だから、ここに行きたい、という前触れもなく、知らないところに何気なく入ることは、私にとってはかなり珍しい。

で、これが良かった。新鮮な驚きだった。
魚のトマトソース煮が出てきたのだが(オーダーを人に任せたので、何を頼んだか知らなかった)、懐かしい味だった。というのは、よーく考えてみると、最近は、これぞトマト!という感じで煮込んでいるものが少なくなってきたような気がするからだ。

昔、ボンゴレ・スパを頼むと、赤rossoか白biancoか?と聞かれたものだ。赤を頼むと、こてこてトマトソースにボンゴレがいっぱい入っていた。しかし、チェリートマトが普及してからは、マッキャートmacchiato(まだらの意味、またはロゼと呼ぶ)と言われるのが主流となり、こてこてトマトのボンゴレ・ロッソにお目にかかれなくなってきたのである。トマトお得意のナポリに行ってもそうだから、ちょっと残念。(自分で作るっきゃないね)

で、運ばれてきたお皿を見ると。魚がこてこてトマトソースで煮てあった。ムール貝も一緒に煮てあり、トーストも添えてある。新鮮な魚なら、トマトで味をごまかすことしないよ、というかも知れないが、他のお皿から想像するに、そういうごまかしではないのがわかる。魚に、トマトの味がしみ込み、うーん、うまい。残ったソースは、持って帰って茹でたパスタと和えたい、と思ったくらい。(さすがにそれはできないが。。。)

パスタも美味しかったし、近所の人たちが気取らず入る、ごく普通のレストラン。たまにはこういうところもいいね~。。

ミシュラン東京3つ星

2007-11-20 00:13:55 | レストラン
ミシュラン東京が出たのですね。
ミシュランの評価が絶対ではないし、どのレストランのそればかりを狙う、という状態になっては困りますが、好きなレストラン、ひいきのレストランが3つ星に輝くというのは大変嬉しいことです。
大・大・大好きと声を大きくして言いたい、お寿司やさん「すきや橋 次郎」が3つ星に輝いていました。本当に素晴らしいお店だと思うので、評価に納得です
でも、これを機会に、じゃあ、行ってみようか!という人が増えたら困るのですが。。(私が困ってもしょうがないけれど。。


”サン・ピエトロ” チェターラ -カンパーニア

2007-09-11 00:48:36 | レストラン
“S. Pietoro” Cetara –Campania
最近人気のアマルフィ海岸の、サレルノから入って比較的近いチェターラの町にある。アマルフィ海岸も奥(先)の方に行こうと思うと、季節はずれなら良いが、夏はそれは大変な渋滞があり、時間が全く読めなくなる。しかし、チェターラあたりまでなら道は比較的広く、そう遠く感じない。
この夏、行ったら、すぐに、この前日本の雑誌の取材があった、とオーナーのフランチェスコ氏が言った。雑誌の名前を覚えていない、と言っていたが、日本の週刊誌の広告で見た7月発売の「T」のようである。(私はまだ見ていない。)
このレストランは、ガルムGarum(またの名をColatura di alici)で有名である。ローマ時代に使われた調味料、魚を発酵させて作った醤油のようなものであり、日本のしょっつるに近いものだと思う。今時、ガルムを使うことはないし、手に入らないし、ガルムの名前を知っているイタリア人も少ない。しかし、このチェターラの町にはガルムを製造販売している店が2軒ほどあり、ガルムを使った料理を出すこのレストランがあり、チェターラと言えば、ガルムではちょっと知られた町になった。
さて、この手のレストランは、メニューを見て決めるのではなく(何度も言っているが、メニューは一度も見たことがない)シェフと話をして決めることになる。ガルムは、麦のスープの味付けに使われたり、その他の料理に香り付けとして使われる。やや魚くさく、かなり塩辛いが、味付け、香り付けにはとても面白い。
昔は、料理は美味しいが、全体に味付けが辛いまた、ややムラがあると思っていたが、ここ数年、非常に良くなっている。
アマルフィの特産、レモンの葉を使った料理などもあり、地元の食材をうまく取り入れている。また、変わったものでは、デザートにナス(野菜のナスである)のチョコレート煮(とでも言うのであろうか。。)があるが、決して奇想天外なメニューではなく、地元で古くからあるデザートだとのことである。ワインも良いものが手頃な値段で揃っていて、安心して飲める。
なお、夏は、外のテラスで食べられ、暑い夜にとても気持ちが良い。しかし、一見レストランの敷地内に見えるテラスは、公共の「通り道」でもあり、食べている人の間を通行人が通っている。こういうところも、いかにもイタリアの田舎らしく面白い。

”イル・ブーコ” ソレント -カンパーニア

2007-09-09 19:08:46 | レストラン
“Il Buco” Sorrento –Campania
もう何年も前、ここは穴場だ、と思っていたら、今ではミシュランの星付きになってしまった。値段もそれ相当に高くなってしまったが、それでもまだ、大都市の星付きレストランとは比較にならない。
ただし、せっかくソレントに来たのだから、海の見えるレストランで、と思うとここには行けない。ソレントの中心のタッソ広場よりすぐというロケーションであるが、ブーコ(穴)という名前の通り、カマボコ型天井の、蔵の中に入るような、穴の中という感じで景色はない。しかし、よく見れば面白い感じだし、大きなレストランではなく、気配りがされている感じが良く出ている。
料理は、創作系。しかし、海の幸をうまく使っている。決して気取り過ぎず、温かみが残る。テーブルセッティングにも優しさ、暖かさ、清潔さが出ていて、肩肘張らずに食事ができる。ワインもとても良いものが揃っていて、安心して飲める。まだ全国レベルでは知られていないカンパーニア州のワインも多いので、ソムリエと話しながら、面白いワインを選ぶことも可能である。
ソレント滞在で、確実に美味しいものを食べたい場合、ミシュランの星付きに一度は行ってみたいが予算が気になる場合、ぜひお勧めしたいレストランである。

”カミネット・ドーロ”ボローニャ -エミリア・ロマーニャ

2007-09-05 07:50:27 | レストラン
”Caminetto d’Oro” Bologna –Emilia Romagna
ボローニャは、食通の町である。というより、エミリア・ロマーニャ州全体が食通の地域と言っても良いかも知れない。生ハムで有名な、食い倒れの町と言っても過言でないパルマも同じ州にある。
ボローニャは、多少雨が降っていても傘があまりいらない町である。ポルティコと呼ばれる、2階が張り出した造りが多いので、下はオープンなアーケード街のようになり、雨の時も、また、暑い夏も日よけになって嬉しい。
ボローニャに夜に着いて、簡単に食べられるところは、と言うことで探したので、もう少しトラットリア風、つまりカジュアルな感じかと思ったら、とてもおしゃれなレストランだった。シンプルモダンで、清潔で雰囲気はとても良い。
メニューもボローニャ伝統料理と言うより、創作系が多く、しかし、肉の美味しい地域らしく、ポルペッテ(肉団子)をはじめ、どれもが美味しかった。おしゃれ、シンプル、良い素材、一工夫、が合言葉のよう。中でも、タルタルにマスタードの粒が出てきて、これをゴリゴリすってかける。マスタードと言っても粒だから、特に辛い訳でもなく、ほのかにピリッと感じる程度、香り付け程度である。しかし、ほんのりマスタードの香りというのが良く、ローマに帰ってすぐに、食料品店でマスタードの粒を買った。以来、家で、サラダや肉料理などにゴリゴリやっていて、他にももっと工夫したいと思っている。

”ラ・ロカンダ・ディ・アリア” カストロヴィッラリ -カラブリア

2007-09-04 01:10:33 | レストラン
 "La Locanda di Alia" Castrovillari -Calabria
カラブリアの一番北の方、コセンツァ県のカストロヴィッラリという小さな町のはずれにある。
サレルノ-レッジョの高速からそう離れていないので、行こうと思えば行けなくはないが、それより以前にカラブリアまでいくのが大変である。しかし、カラブリアでは最も良いレストランであることは間違いがないし、イタリアの全レストランを網羅した(とまでいうと言い過ぎか。。)ランキング”チヴィルタ・デル・ベーレCivilta' del bere”でも、2007年、堂々107位に位置している。
いくつかのワインのところでも書いたが、ピヌッチョ氏とガエターノ氏兄弟の経営で、敷地内に小さなプールがあり、奥の離れは宿泊施設になっている。田舎風の、こじんまりとしたシンプルデザインだが、アクセントに適度に壁画が描かれていてかわいい。
レストランの方は、ゆったりした造りで、客席はそう多くはない。場所が場所だしで、そうかしこまる必要がないのが嬉しい。メニューは創作系新イタリア料理だが、素材が非常に良い。そして、カラブリアという土地を意識し、土地の素材を十二分に使っている。これが食べたいんだけど、と言っても、既にピヌッチョ氏の頭の中では、一つの流れがあり、それもいいけど、これなんかどうか、と言われているうちに、いつの間にかその流れの上に乗っていることになる。
ワインも、カラブリアにしては(と言ったら失礼だが)、とても良い品揃え。美味しい料理、ゆったりした空間(夏は外で食べられる)、美味しいワイン、楽しい会話、ここではそれらが一通り揃う。なお、地元の伝統的食後酒のバラ水他、何種類もあるカラフルな色の手造り食後酒も甘いが美味しい。

”ラ・カヴェヤ” ピエトラヴァイラーノ -カンパーニア

2007-09-03 05:15:19 | レストラン
"La Caveja" Pietravairano -Campania
食通の愛読レストラン年鑑に、ガンベロ・ロッソの「リストランティ・ディタリアristoranti d'italia」があり、毎年年末に翌年号が発行される。
評価は、100点満点の点数制(点に合わせてフォークの数が最高3つまで付く)をとっているが、上位に食い込んでいるのは、必ずと言っていいほど創作系新イタリア料理のレストランである。そして、ワインバー、トラットリアとなると、比較のしようがないというところから、点数なしの紹介だけにとどまっていた。しかし、うまく考えたもので、ここ数年、ワインバーとトラットリアを、点数なし、「フォーク」ならぬ「エビ」で評価することとし、非常に受けている。エビの最高数は3つ。2007年は全国に星の数ほどあるワインバー、トラットリアの中で15店が選ばれた。しかし、欲を言うと、ワインバーとトラットリアが同じ線上に並ぶのにも無理があると思うので、いずれは、評価を分けて欲しいものだ。
「カヴェヤ」はエビ2つ。ナポリの北、カセルタ県にあり、高速から道が良いので、近くでお昼になった時には結構使えると思う。
以外に結構広い。造りは素朴な田舎風。壁にはびっしりワインの棚があり、部屋は広いのだが、ちょっと暗い。しかし、いくつかのアーチ型の大きな窓の外は、南イタリアの明るさ。部屋に入ると一瞬、眩しい光とほの暗さのコントラストに目が眩む。
ここは、野菜が美味しい。野菜をふんだんに使った前菜、そして、豆、野菜の素朴なスープがとてもお腹に優しい。それでは足りないという人は、セコンドに、シンプルに調理されたお肉を食べよう。物足りなさは必ずや吹っ飛んでいく。
最初に行った時は、全体にやや塩辛過ぎる感じだったが、次に行った時はそうでもなかった。まあ、南イタリアのトラットリアでは、塩をぐっと控えた料理にはそうめったに会えないから、仕方ない。強いくらいの塩味が、体に刺激と活力を与えてくれるかのようである。
デザートも素朴で美味しい。ワインは、まずまず。でも、こういう場所では、気取った高級ワインではなく、ハウスワインで充分である。
お腹が一杯になって外に出ると、気持ちの良い庭園スペース。そして、アグリ風に宿泊もできるようになっている。


”イル・パパヴェロ” エボリ -カンパーニア 

2007-09-03 02:53:34 | レストラン
"Il Papavero" Eboli -Campania
カルロ・レヴィの著名な作品のタイトルになっているエボリの町。キリストは、エボリより南には来なかった、という南部イタリアの貧しさを描いたものだが、この小説のおかげでエボリを知らないイタリア人はいないだろう。
エボリは、ナポリより南のサレルノを、さらに南に行ったところにあり、南イタリアのどこにでもあるようなごく普通の田舎町である。
その町の噴水-というかまるで金魚の水槽のようでもある-と、のんびりできるいくつかのベンチのある小さな広場に面してこのレストランはある。
テーブル数は7つか8つ程度で、規模は非常に小さい。店内はシンプルモダン。このレストランは好きで、2度行った。場所が場所だけに、値段が安い。
料理は、南イタリアのシンプルな素材を丁寧に料理した新イタリア料理。しかし、創作に傾き過ぎていない。また、南イタリアを良く意識しているのにとても好感が持てる。そう、ここは南イタリアの田舎町。ミラノやローマ、ナポリなどの都会とは全く違う空気が通り過ぎる。メニューデグスタツィオーネ(お勧めセット)もあるが、アラカルトで頼んでも懐が全然痛まないのも嬉しい。味は全体に優しく、主張し過ぎず、厳選されたカンパーニャ州のワインにとても良く合う。パンも全て手作りで、焼きあがる度に(4-5回)違うものを持ってきてくれる。これがまた美味しく、ついつい食べ過ぎてしまう。満足・満腹状態で、ワインも入れて一人40ユーロちょっと。本当に嬉しいレストランである。場所が辺鄙で、将来がやや不安ではあるが、ぜひぜひ、末長く続いて欲しい。