在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

イタリア映画の紹介 Nico ニコ di Susanna Nicchiarelli

2017-11-16 19:23:10 | 何故か突然イタリア映画
Nico ニコ (タイトルは「ニコ、1988年」とも紹介されている)
監督 スザンナ・ニッキアレッリ




ニコという歌手は知らなかった。
日本では有名だったのだろうか。

背が高く、美人だったのでモデルをし、ウォーホルに気に入られ、ウォーホルプロディースのヴェルヴェット・アンダーグラウンドに参加し、成功、ウォーホルのミューズとなる。しかし、グループを去り、ソロ活動をするとは言っても、イメージが強烈すぎたのか、最後は日本でいう「ドサ回り」に近い音楽活動を続けた。

そのニコが49歳で死ぬ前の2年間の音楽活動を描いた作品。

ニコって誰?
80年代のミュージシャン?
モデルもしてたの?
未婚でも子供はいたのね。
何かを吐き出すような歌詞、歌い方。
どこから出るのか、すごいオーラ。

ウォーホル、ストーンズ、ボブ・ディラン、そして子供の父親はアラン・ドロンらしい、など、当時のすごーーーい有名人の名前がニコの周辺に挙がるのだが、ニコが亡くなったのは1988年のこと。49歳。
早い死だったと言える。

タバコプカプカ、そしてドラッグ。いやー、すごい。

こんな時代があったねー

今の50代に人にとって、古き良き時代とは80年代、それを象徴するような映画にしたかった、というのが監督の趣旨。



イタリアの80年代は赤い旅団の風が吹きまくり、決して良い時代ではなかったのではないか、という意見も出たのだが、イタリアに焦点を当てたわけではないし、ドラッグはあれど、それなりに懐かしさ覚える80年代を写したようなニコの、人生最後の数年の行き方を描いてみたかった、とのこと。

映画の中で歌を歌っているのは、本物のニコではなくニコ役の女優。デンマーク人。
ニコは知らないが、こんな感じのオーラを出していたんだろう、というのが見て取れるほどはまり役。

監督は、映画を作ると決めて、ニコの息子も含め、ニコを知っている人に随分あったそう。
だから、幾つものエピソードは本当にあったことだそう。

決してニコのビオグラフィー映画ではないが、きっともっとニコらしい一面を描いたのだと思う。

今年のベネチア映画祭でオリゾンテ(ホライズン)賞を受賞。

イタリア映画の紹介 Amore e malavita 愛と極道 di Manetti Bros.

2017-11-10 11:01:47 | 何故か突然イタリア映画
Amore e malavita  愛と極道 (とでもしよう。。。)
監督 マネッティ・ブラザーズ(アントニオ&マルコ・マネッティ)



今年のゴールデングローブの候補作の方が溜まっている。。。ちょっと久々。
仕事で見に行けない時もあるが、監督インタヴューがあり面白いので、できるだけ行くようにしている。

さて、この前の作品。
134分という2時間を超える大長編。
いやー長かった。でも、長いと思ったけれど、そこまで長いとは思わなんだ、という感じ。

音楽たっぷり、ナポリのチンピラヤクザ、カモッラを題材にしたミュージカル。

ナポリは話題に欠かない町。
映画にするにはめちゃ面白い。
映画制作者ゴコロをくすぐるものがあるんだろうなー(あるある)

ナポリ郊外、スカンピアは、カモッラの本境地としてもうすっかり有名になっている。
海はないのに、そこでムール貝を「養殖」しているカモッラの親分、「魚の帝王」なるドン・ヴィンチェンツォ。

げげっ、ナポリで食べるムール貝は実はこれ〜??
海の養殖じゃないのー!?
と一瞬思ってしまった。(意外と、いや、意外でなくても事実かも。。。)


そこへ敵の来週。
殺された、と思ったら、お尻を打たれただけ(笑)

でも、抜け目ない妻のドンナ・マリア(役柄ピッタリ)の悪知恵で、殺されたことにしちゃって、ストーリーが始まる。。。

やばい場面を偶然見てしまったのは看護婦のファティマ。

ところが、彼女は、ドン・ヴィンチェンツォの二人の子分のうちの一人、チーロの幼馴染で、永遠の愛を誓い合った青春時代の恋人だった。

偶然の再会。

愛を取るか、使命を取るか。。。(愛じゃないと映画にならない〜)

そして、二人の愛の逃避行が始まる。

今では自分も狙われの身。

こうなったら、組織を裏切るしかない。

いったい何人が殺されたか(クイズになりそう)、でも、最後はチーロも仲間に裏切られ、殺られてしまう。。。。。(えー、殺されちゃうのー??そんなー)

スローモーション、フィードバック多数。
トリックも多数で、実は、最後はハッピーエンド。


左 アントニオ氏 右 マルコ氏

プライベートの上映会なので、時々ハプニングが起こる。
今回のハプニングは、歌の歌詞の字幕スーパーがなかったこと。
(間違って、字幕なし版が上映会のために送られてきたらしい。注:劇場用にはある)

それにしても、セリフも歌詞もみんなバリバリのナポリ語。
ナポリ語はイタリア語ではない、と言ってもいいくらい、イタリア人でもわからない言語である。

インタヴューで、全編に(イタリア語の)字幕が欲しかった!という意見多数。

これでも(ナポリ語を)きれいにしてわかりやすくした、肝心なところはイタリア語にした(笑)との回答だが、確かに、なにいってんだかわからん!(笑)という場面も多かった。

それでも、セリフの場面は、字幕なしで映像とともに楽しんでね〜とのこと。

痛快コメディ、歌と踊り多数のミュージカル。
ナポリ、ヤクザ(カモッラ)、極道、そして愛、アモーレ〜
ちょっと長いけど、かなり面白い。

イタリア映画の紹介 L'ordine delle cose ものの秩序 di Andrea Segre

2017-10-07 23:35:48 | 何故か突然イタリア映画
L’ordine delle cose ものの秩序
監督 アンドレア・セグレ

違う角度から難民問題を扱った映画




この映画を見た人は、みんな「海は燃えているFuocoammare(海の炎)」を思い出しただろう。
ジャンフランコ・ロージ監督の、2016年作、移民問題を扱ったドキュメンタリー(風)映画。
アカデミー賞外国語映画賞、他、いくつもの賞を受賞し、日本でも上映された。

イタリアは、シチリアの南の海に浮かぶランペドゥーザ島は、イタリアよりアフリカに近い。だから、実に多くの難民が、この島を足がかりにするために目指して、海を越えてくる。もちろん命を落とす難民は絶えない。小さな船で出航し、海に翻弄され救助される難民も、一番近いこのランペドゥーザ島に収容される。

イタリアの難民問題を、決してオーバーでなく、静かに描いた「海は燃えている」は、衝撃的な作品だった。
上映前(ゴールデングローブ候補作のプライベートな上映)、イタリア沿岸警備隊の人が来て、警備隊制作の短いドキュメンタリーフィルムを上映、現況について説明があったのも貴重な経験だった。

この「海は燃えている」が、ある面から見た難民問題を描いているとすれば、「ものの秩序」は、真反対から見た、といっても良いと思う。



リナルディは、内務省のかなり上級の役人。(素晴らしく大きな家に住んでいる)
リビアからイタリアの難民の上陸を減らすよう、非常に難しい課題を仰せつかり、モロッコに出向き、収容所を見学する。
そこで、ある女性からミクロチップを渡され、ローマにる叔母に渡して欲しい、と。女性は北欧にいる夫の元に行きたいと願っている。
個人的にその女性を救いたいと思ったリナルディだが、最後は断念。
ものの秩序に押しつぶされた、というより、ものの秩序を壊すことを断念した、と取れたが、最後にうっすら浮かべる涙が印象的。

「海は燃えている」だけを見ていると、貧しい人だけが命をかけて外国を目指すような錯覚を起こすが、実は違うということがわかる。
学のある人、ある程度お金のある人も目指す。
また、自主的に希望するだけでなく、その意志のない人は強制もされる。移民を送り出す産業で儲けている組織があるからである。
移民が救助され、送還されても問題ない。再びお金を払って外国を目指す(または目指すように強制する)ので、さらに儲かるからである。

難民問題がいかに複雑で、簡単に解決などしない、希望の薄いものかが見えて来る。

難民問題の本質は、ヨーロッパに住んでいても理解できないほど難しいものだが、日本にいては表面しか見えないだろう。

だから、多くの日本人には退屈な映画と映るような気がする。
しかし、難民問題に興味のある人にはぜひ見て欲しい。
今年のベネチア映画祭でも話題。

なお、映画に出てくる収容所はシチリアの工場跡を使用、その他の場所も全てイタリアで撮影、トリポリとして映る光景はチュニジアだそう。




イタリア映画の紹介 Cuori Puri ピュア・ハート di Roberto di Paolis

2017-09-29 09:47:35 | 何故か突然イタリア映画
Cuori Puri ピュア・ハート
監督 ロベルト・デ・パオリス

ピュアな二つのハートが結びついたときに、少女が必死でついた嘘




今年のイタリアのゴールデングローブの上映会が始まった。
先週からで、毎週1本、来年の5月半ばまで続く。

先週は、仕事の都合で途中からしか見れなかった。
今日も、超ハードスケジュールの仕事の疲れで時間に間に合わず、着いた時には始まっていたが、幸い最初のわずか1分程度が欠けただけだった。

114分の長編。
若干長すぎる感はあり、カットできるところがいくつかあるように思うが(上映後のインタヴューでも一つの意見として出た)退屈はしない。

宗教が題材になっている。
同じく宗教を題材にした、昨年の「La ragazza del mondo あっちの世界の少女」(勝手に付けたタイトルです〜)を思い出した。

父親のいない母子家庭に育ったアニェーゼ、ローマの郊外、一角の空き地にジプシーバラック小屋を建て住んでいるような地域に暮らしている。
母親は熱心なカトリック教徒で、18歳になった娘に携帯も持たせないし、子供を自分の監視下に置きたいタイプで、かなり過保護。アニェーゼも、熱心に教会学校に通い、18歳になったとはいえ、母親と一緒に寝たり、母親のあやつり人形のようなところがある。

そのアニェーゼに、惹かれる青年が現れた。
でも、普通の恋の仕方を知らない。
婚前交渉はご法度、どうやって歯止めをかけたらいいかがわからない。

小さなショッピングセンターの駐車場、すぐ隣にジプシーの住むバラック小屋があり、彼らが駐車場に入り込まないように監視をしている。
根は真面目で優しいが、友人に誘われ恐喝でちょっとした小金を稼ぐこともある。
両親は家賃滞納で家を追い出されるし、親子共々、貧しさからなかなか抜け出せない。

青年ステファノもアニェーゼに惹かれ、二人は付き合い出す。
が、アニェーゼは、夜は出られない、と言い、昼間だけの健全な付き合い。
キスをするのがやっと。とたもかわいい。
初めて男性と付き合うアニェーゼ、心の中の葛藤に、何度か付き合いをやめようとも決心する。

しかし、惹かれ合う二人がついに関係を持つことになった。

無断外泊、そして婚前交渉。

ステファノがまだ寝ている明け方に彼の家を出て、とぼとぼと歩いているところ、女性警官の乗っているパトカーが通りかかった。
どうかしたの?大丈夫?と声をかける女性警官。

監督曰く、4年前、厳しいカトリックの家庭に育ち、婚前交渉を持った少女が、ジプシーに犯されたとの嘘の証言をして、怒ったイタリア人がジプシーと衝突した、という事件があったのを題材とした、とのこと。

抑圧され、鳥かごの中で育った少女が必死でついた嘘。

しかし、抑圧されているのは少女だけではなく、母親もである。
おそらく結婚せず妊娠し、つまり、キリスト教の教えに背いたその罪の償いを、娘に押し付け、ボランティア活動をすることによりごまかし、精神的に歪んでいるのが見て取れる。

最後は、どちらかというとハッピーエンド風に終わるのにほっとし、全体の重たさを抑えていた。



それにして、年頃の青年、本当なら襲いかかりたいところ(笑)だろうに、必死で堪えている感じがとてもカワイイ。
ピュア・ハートCuori Puriのタイトルが複数なのに納得する。
(日本語では単数と複数の違いがわからず、こういうときに残念)

上映後のインタヴューには監督と主役の二人が出席。
アニェーゼ役の少女は本物の方がうんとかわいいし、ステファノ役の少年もかっこいい。役ではかなり大人びて見えたが。(同意見多数、笑)
二人揃って、演技がめちゃくちゃ上手い。
これから良い役者に成長するだろう。

デ・パオリス監督の処女作。みんなにこれからも期待。


Lasciati andare di Francesco Amato イタリア映画の紹介「なるがままに」

2017-05-09 14:05:00 | 何故か突然イタリア映画
Lasciati andare なるがままに
監督 フランチェスコ・アマート




エリア・ヴェネツィアは、本も出している著名な精神科の医者。
結構な年なのに、甘いものは好きだし、仕事では座って人の話を聞いているだけ(居眠りもするが)なので、医者に、運動をしなさい、ジムに通いなさい、と言われる。

近くのジムに行ってみると、その雰囲気にびっくり。
患者にあったりもするので、入会をためらっていたところ「入会金が浮くわよ〜」と、パーソナルトレーナーを申し出る調子のいいスペイン人トレーナー、クラウディアに出会う。

早速、ジョギングやら、雨の日は室内トレーニングやら、ハードなトレーニングが始まる。

エリアには優しい妻がいるが、壁を作って、隣同士、2軒別々の家にして暮らしている。食事の支度、洗濯など、こまごまとした世話を夫のために長年にわたってせっせとする妻のジョヴァンナ。(やさしい〜)

さて、エリアの方は、次第にハチャメチャパーソナルトレーナーのクラウディアと、その娘も巻き込んで(巻き込まれて)爆笑コメディが展開される。

しかし、このところ、どうも、妻のジョヴァンナに恋人ができた模様。
おしゃれをして出て行く妻が相当気になるのであるが。。。

次第に、エリアとクラウディアの間には(ちょっと甘い)友情のようなものが芽生え、そんな中、ジョヴァンナは恋人と別れ、クラウディアは国に帰ることになり、エリアは、本当は妻を愛していたのだと自覚し、ハッピーエンド。



主演のトーニ・セルヴィッロは、ソレンティーノの代表作「グレート・ビューティー」、最近は(日本のイタリア映画祭でも上映された)「告解」で超シリアスを演じているが、なにせ有能な俳優(演出もする)なので、コメディも上手い。いや、コメディの方が上手いかも、と思わせる。

テンポの速さは見事でさすが、トーニ。うーん、大好き、と個人的趣味が出てしまう。

ただ、セルヴィッロのコメディは、「ローマに消えた男」(というタイトルなんだぁ〜ビックリ)がめちゃくちゃ面白いので、これには負ける。
(イタリア語タイトルは「自由万歳」)

Piccoli crimini coniugali di Alex Infascelli イタリア映画の紹介「夫婦間の小さな犯罪」

2017-04-27 10:32:41 | 何故か突然イタリア映画
Piccoli crimini coniugali
監督 アレックス・インファシェッリ

登場人物二人だけ。すでに亀裂の入った夫婦の心理劇。




すぐに書ける、書きたくなる作品、書けない、書きたくない作品があるが、これは後者。

途中、どうしても出なければならない仕事の電話がかかり、5分くらい抜けたこともある。

最初から最後まで、登場人物二人だけ。

いや、もう一人いたよね。
夫が病院から退院して家に帰る車を運転してた運転手。

あれは私です、と監督。(笑)

運転していただけで、後姿のみ、だから登場人物はやっぱり二人、で、85分。
長いような短いような。

相当の役者じゃないともたないと思うのだが、そこは、セルジョ・カステッリートとマルゲリータ・ブイ。どちらも大御所。いわくいっぱいの夫婦役。

夫エリアは、有名な推理小説作家。
ある日、アパートの階段から落ちて入院。記憶を失った。

記憶は戻っていないが、怪我は治り、退院。
妻と二人で住む、広く趣味のいい、高級アパートに戻ってくる。

実は夫婦間、いろいろあったにもかかわらず、夫の記憶がないことをいいことに、よき夫に戻ってくれるよう誘導する妻。

記憶が全く無くなったと言いながら、本当はかなり戻ってきている夫。

どこまでが本当で、どこからが嘘か、いったいどんな夫であり、どんな妻だったのか、階段から派手に転げ落ちるようなことがどうして起こったのか、その駆け引きが、ほぼ言葉だけで繰り広がられる。

真実、虚栄、嘘、過ち、夫婦間の小さな犯罪、なすりつけなどが、愛という幻想のもとにドロドロとぐろを巻いてる感じ。

最初は、よき夫、よき妻に見えた二人の間の深い溝がだんだんと見えてくる。

かなり広いとはいえ、撮影は家の中だけ。
登場人物も二人だけ。

映画というより演劇を見ている感覚。
微妙な言葉のあやを聞き逃さないように、結構緊張する。
見事な心理劇。推理劇。

これを面白いと思うか、退屈と思うかは、かなり極端に意見の分けれるところ。


Solo cuore amore di Daniele Vicari イタリア映画の紹介 「3つの言葉 太陽 ハート アモーレ」

2017-04-26 23:24:25 | 何故か突然イタリア映画
Sole cuore amore 「3つの言葉 太陽 ハート アモーレ」
監督 ダニエレ・ヴィカリ

過労死。

5月4日から公開だからアンテプリマ。




タイトルは、2000年代の初め(調べてみたら2001年)の夏にすごく流行ったポップスの歌詞から。

「3つの言葉Tre parole」

3つの言葉を頂戴。太陽soleとハートcuoreと愛amore。

その夏、ラジオを付けると必ず流れていたというくらい流行った歌だった。
有名女性歌手が歌っていたわけではないが(ちょっと音痴)、この、単純で甘く、そう、それだけでいいの、と(女性に)思わせる歌だった。

ああ、なんて懐かしい。(第2の) 青春。(笑)

映画のストーリーとは裏腹に、なんて軽やかなタイトル。(監督の意図の一つ)



上映後のインタヴューで語る監督。

映画のストーリーは48時間で書き上げた。(2012年)
きっかけは、

ある日曜日、ローマ郊外のレストランに立ち寄った。
そこでは献身式が行われ(つまり子供達がたくさん)、ある子供がこの歌を披露していた。かなりウケていた中、ある女性ウェイターが涙を流していた

ということだったそう。
つまり、日曜日(たぶん春)、本当なら家族と過ごしたいのに、アルバイトをしないと生活に困る人がいる。

庶民派の監督、と言うが、家族や親戚の中にも必死で働いている人がいる。
郊外からローマへ、毎日必死に働きに行く人がいる。(その数100万人以上)

さて、偶然だが、シナリオを書き上げたその48時間の間に、二つの出来事が起こった。

一つは、まだ若い、4人の子供を持つ母親が、地下鉄駅で過労死で亡くなった。

調べてみると34歳の女性、郊外(50キロ)に住み、毎朝4時に起きて、郊外バスでローマの地下鉄B線の郊外の駅へ。そこからテルミニまで。今度はA線に乗り換えて経営していたバールまで。
夜遅くまで働き、それでも笑顔を絶やさなかったらしい。
しばらく具合が悪かったようだが、ある日、地下鉄の駅のベンチに座ったまま静かに亡くなった。

もちろん、この映画の主役、エリーは全く同じではない。
映画の中のエリーはただの雇われ。

もう一つ、主人公のエリーと同じアパートに住む親友ヴァレはダンサーだが、このヴァレの元になったのは5年ほど付き合っていた監督の彼女で、やはりこの48時間の間に偶然に再会したのだそう。

ヴァレのパフォーマンス、音楽が映画に見事なアクセントを与えている。

最初は淡々と、シンプルで、いったい何が起こるのか、まだ何も起こらないのか、ちょっとじれったい感はあるが、120分近く、うまく、実にうまく引っ張っていく。

そして、結末。

ゴールデングローブの審査上映会なので、毎週真面目に見ている人ばかり。
でも、終わった後、すすり泣きが結構聞こえた。

そんな映画。

見たくなければ見なくていい。でも、気になったらぜひ見て欲しい。
毎日明るく、家族を愛し、もがきながらも必死で行きている人たちがいる。

私は映像で泣くタイプではなく、音楽で泣くタイプ。
次に「Tre Parole」を聞いたら、この映画を思い出して絶対に泣くに違いない。


La parucchiera di Stefano Incerti イタリア映画の紹介「美容師」

2017-03-30 21:38:19 | 何故か突然イタリア映画
La parucchiera 「美容師」
監督 ステファノ・インチェルティ




映画の作品の中に、髪結い、つまり美容師は結構出てくるような気がする。
それともただ単に「髪結いの亭主」の印象が強烈なだけか。
(「髪結いの亭主」は今だに個人的に謎な映画の一つ)
この意見は私だけではなく、審査員の一人も同じことを言った。

上映作品のお知らせメールを受け取った時、タイトル「髪結い(美容師)」を見て、おお、直球〜と思った。
亭主でも妻でもなく、「髪結い」。

しかし、実際は、髪結いより「美容師」だった。

場所はナポリ、バリバリのナポリ、つまりスペイン地区。

スペイン地区は、最もナポリらしいところで、今だに個人的に未知の場所。
タクシーの運転手で、道をよく知っている人が、たまに近道に通る。
そこで、車で通ったことは何度もあるが、自分の足で奥の方を歩いたことはない(さわりだけ)地区。

昔、この地区だけは絶対に足を踏み入れるな、と言われたこともあり、また、記憶では、この地区に(たぶん)間違えて入って命を落とした日本人の観光客の人もいたはず。
(今はだいぶ安全になっていると思う)

さて、そのスペイン地区に、子供と一緒に住んでいるのは美人(で当然超グラマー)のローザ。トランス他、変な同居人もいる。
海の方の高級地域の美容院で働いていたが、ローザに惚れた美容院のオーナーに襲われそうになったことに頭にきて、美容院をやめた。

飛び出したのはいいが、これでは同居人共々食べていけない。

そこで思いついたのが、自分たちで美容院をオープンすること。

昔の彼(子供の父)の協力を得て、なんとかスペイン地区にオープン。

スペイン地区に女性が美容院をオープン、カットはタダ、などが功を奏して少しずつ流行ってくのだが、元働いていた美容院から嫌がらせがたくさん入る。
それでも負けないローザ。。。。

上映後のインタヴューで、全く違うタイプの作品を作りたい、監督の言。
今度はコメディ。

ただ、ちょっとケバケバしすぎる。何もかも。(ポスターも)
美容院も家も、服装も髪の毛も、町内会のお祭りも。。。。に見ていてちょっと疲れた。

そして、出てくる女性みんなの胸が大きい。大きすぎ。男性なら目の保養になるかもしれないが、私は疲れた。(ないもののヒガミ??)

ナポリでは、トランスでも胸は大きくないとやっていけないんだろうなぁ。
どのくらいの大きさにしますか?と聞かれたら、も〜とにかく大きくして〜
みたいな感じ?

さらっと見るには良いコメディ。
4月6日上映開始ということなので、アンテプリマ。


Davide di Donatello 2017 2017年 ダヴィデ賞 発表

2017-03-28 13:24:24 | 何故か突然イタリア映画
Davide di Donatello 2017



ドナテッロのダヴィデ賞が発表になった。
イタリア・シネマ・アカデミーが主催している。

私が通っているのは違う賞の予選だが、当然、ダヴィデには興味がある。

さて、今年の賞(ベストフィルム)を獲得したのは、ヴィルズィ監督の「喜びのトスカーナPazza gioia」。(イタリア映画祭で上映予定)
個人的には、同じ監督の「人間の値打ち」の方が断然良いので、惜しくも逃した「切り離せないふたりIndivisibile」が受賞しなかったのが残念。(これも上映予定)
(ただし、ベストオリジナル脚本賞他多数を獲得)

なお、ヴィルツィ監督はベスト監督賞も獲得した。

「ジュリアの世界La ragazza del mondo」の監督も新人監督賞を受賞。
これも上映予定で、見る価値あり。

他、最優秀女優所は「喜びのトスカーナ」のテデスキ。

若いダビデ賞には「愛のために戦うGuerra per amore」(上映予定)のPif監督も選ばれた。

イタリア語だけど、一覧は以下のページ。
http://www.daviddidonatello.it/vincitori/vincitori-premi-david-di-donatello.php

こちらは抜粋






Il capitale umano di Paolo Virzi イタリア映画の紹介 「人間の値打ち」

2017-03-24 23:41:33 | 何故か突然イタリア映画
Il capitale umano 人間の値打ち
監督 パオロ・ヴィルズィ




ヴィルズィ監督の前作。
かなりいい。必見。
数多くのノミネーション、そして実際に多くの賞を受賞したことがわかる。
(日本語でも観れるのでぜひ)

スリラーでもあるが、実に巧妙なストーリー。

ケータリングでウェイターをしている男性が、真夜中、パーティーの仕事を終えた後、自転車で帰宅する。冬、雪が積もるところの田舎道。
対向車をよけようとした高級大型車に轢かれてしまう。
ひき逃げ。
田舎道で雪が積もり死角、発見は遅く、外気温は低く、瀕死。

その後のストーリーが4つの章となり、展開される。

投資家、大金持ちで、超高級別荘に住んでいるジョヴァンニの家族。
不動産業がまあまあ成功、新しい妻が双子を妊娠したとわかったばかりのディーノの家族。

ジョヴァンニの息子(マッシミリアーノ)とディーノの娘(セレーナ)は同じ高校で恋人同士。

それを運と見てジョヴァンニに近づくディーノ。
投資に参加させてもらい、巨額の投資をする。
ところが半年後、うまくことは運ばず、大損になることがわかり、焦る。

ジョバンニの妻(カルラ)は元女優。
ビジネスだけに関心がある夫との結婚生活に疲れている。
偶然、町の劇場が壊されると知って、劇場再建を夫に持ちかけ、プロジェクトが進んでいたが、今回の夫の損失で話が宙に浮く。

放蕩息子のマッシミリアーノは、酒が入るとぐでんぐでんになる。

セレーナは、他に気になる人ができて、マッシミリアーノとは別れたいと思っている。

二人が通う高級私立高校の最優秀賞発表、受賞式のパーティーの日、つまり、ウェーターが事故にあう日、それぞれの思惑と行動があらゆる角度から描かれる。

事故を起こした車は放蕩息子の新車だとすぐにわかる。
警察にひき逃げを疑われるマッシミリアーノ。

恋人であるセレーナも警察の尋問を受ける。

偶然犯人を知ったセレーナの父ディーノは、損失を取り戻すべく、ジョヴァンニ家族を脅す。

そして、真犯人がわかった時、セレーナはマッシミリアーノから離れ、ジョヴァンニの妻カルラは人生に冷めていた。

そして、人間の値打ち。。。

事件の日、6ヶ月前、そして事件後の映像が見事に交錯し、最初は時系列が頭の中で混乱するが、見事なカメラワークに惹きつけられ、あとはついていける。

必見。お見逃しなく。






Il padre d'Italia di Fabio Mollo イタリア映画の紹介 「イタリアのお父さん」

2017-03-23 18:05:39 | 何故か突然イタリア映画
Il padre d’Italia イタリアのお父さん
監督 ファビオ・モッロ

最高にムカついたが、よくできているメロドラマ。
心に傷を持った男性を救うのは、こんな女性??
主役はジグロボにも出演したカッコイイ男優。




イタリアの父、イタリアは生まれてくる子供の名前。
イタリアなんて名前つけられてカワイソー

さて、個人的に見ていてムカつく作品だった。
作品は良く出来ているし、評価できる。
しかし、主人公の役どころがムカつくー 最高にムカつくーーーー

トリノに住むパオロはゲイで、8年も一緒だった彼に振られたばかり。
建築家になりたかったというような、みんなが持っている夢はあれど実現できず、(イケアのような)大型家具店で働いている。

振られて、ゲイバーに顔を出す。
そこで見かけたのがミア。
妊娠6ヶ月で、偶然パオロの目の前で倒れてしまう。

ミアを救急病院に運び、付き添うパオロ。
なんとなく放っておけない。

回復し、病院を出たミア。
行くあてがないというので、とにかく一晩は家へ。
翌日、勤務先で、困った彼女を送っていくのに、半日、会社の運送用バンを借りる。

ここから珍道中。
トリノ近郊に始まり、ローマへ、ナポリへ、そして、ミアの故郷カラブリアへ。
ミアは、超奔放、かなり飛んでる、イケてる性格。ちょっと普通じゃない。
対照的な性格のミアに、ゲイのパオロがだんだんと惹かれていく。

ポスターを見たとき、何をバンザイしてるんだろうと思ったら、万歳じゃない。車から身を乗り出してるところ。
一事が万事こんな調子の女。

旅の途中、パオロは、自分が育った孤児院施設へ立ち寄る。
母に捨てられ、すごく無口な子供、誰にも引き取られることなく、施設で大きくなった。

故郷では、ミアの母親が喜んで迎えてくれた。
家族のいないパオロはここを気に入り、二人で留まることにする。

しかし、母娘の確執が再び表面化し、ミアはまたもや家を飛び出す。

残されたパオロはトリノに帰る。

数ヶ月後、シチリアの病院から電話が入る。
ミアが出産後、パオロを父親と表明してまたもや失踪。

海を渡ってメッシーナへ。
パオロは、自分の子供でもない、ミアの子供、イタリアを娘として受け入れることにする。

パオロはジグロボで悪役を演じた、かなりカッコい〜男優。
今回珍しく(とは監督の言)すごーーーく心優しい青年を演じるが、これもじれったい。

ミアは、風貌もだが、性格がめちゃくちゃ。
真面目な女性にとっては、「全女性の敵」タイプ。
しかし、男性にとっては、小悪魔タイプで、実に魅力的なんだろうなぁ。。。。

という感じで、よくできている作品だとは思いつつ、このミアに最初から最後まで頭に来た映画だった。
目の前にいたらひっぱたいてやりたい(笑)
(ミアの母親がきっと同じ感情)

インタヴューには、監督と、この母親役が出席した。(お年取っても美人)
カラブリアの方言だけでなく、ちょっと聞き取りずらい。。。と思っていたら、本物もちょっと聞き取りずらかった(笑)



ところで、
あの〜、二人が使った会社のバンは、途中で壊れたままどうなったんですか?
会社に返還してこないため、電話がバンバンかかるとかが普通じゃなんですか?
との質問。

実は私も気になってた。
クビになるどころじゃなく、これは、窃盗罪、警察が出てくるよね〜

ところが、映画は映画。往々にして、どこか辻褄の合わないことがあることもあり、そのあたり、目をつぶっていただけると。。。が監督の言。ご愛嬌〜

Caterina va in città di Paolo Virzi イタリア映画の紹介 「カテリーナ、都会へ行く」(邦題)

2017-03-23 11:01:34 | 何故か突然イタリア映画
Caterina va in città 「カテリーナ、都会へ行く」
監督 パオロ・ヴィルズィ



2003年の映画。ヴィルズィ監督のヒット作。

タイトルから想像するに、カテリーナという田舎の少女が 、 何かのきっかけで都会へ出て、まあ見たこともない初めての都会生活でいろいろなことが起こる。

かなりハズレ。

まず、カテリーナは中学3年の女の子。
頭はいいのだが、鈍臭いところのある内気な少女。
田舎ではあるが、トスカーナの海岸線の街に育ったから、例えばシチリアやカラブリアの山奥のような田舎ではない。

カテリーナの両親はどちらもかなり変わっている。
特にお父さん。カタブツ高校教師。
人生にプッツン来て、生まれ育ったローマの家に戻ることにする。

お母さんは専業主婦。
これまた鈍臭いところいっぱいで、頭が良いことが自慢の夫には逆らえない。

一家でローマへ移住、カテリーナが転入したのは、ローマの町の中心の中学校。
お父さんが通っていた学校だが、政治家の娘、息子などがたくさん通っている。

このクラスがハチャメチャで、「右」と「左」で、クラスの女子が真っ二つのグループに分かれている。(この歳でありえないー)

最初は知らぬ間に「左」へ。

どーしようもないお父さんが、あっちこっちでしゃしゃり出て、カテリーナはいつの間にか「右」のグループに。

カテリーナもそうだが、特にお母さんが、トンデモお父さんに抑圧されてる。
お母さんが黙ってお皿を投げる、次から次に落として壊す、そして、これまた黙って片付け、黙黙とご飯を食べ始める場面は、結構恐怖。そこらのホラーより怖いかも。

妻が、幼馴染と少し良い仲になっているのを見てショックで(楽しそうに話していただけだが)、トンデモお父さんプッツン、家出。失踪。

歌の大好きなカテリーナ。
1年後には夢を叶えるべく、音楽学校に入っっている。

つまり、あくまでも主役はお父さん(カステッリートは映画監督もするが、さすがうまい。はまり役)が主役の、トンデモ、プッツン家族の話。
お母さんはマルゲリータ・ブイ、これもはまり役。ブイは今では超大御所女優。

カテリーナは、かなりのオーディションをして選ばれたというが、彼女もまたいい。
「ナブッコ」に合わせて踊っちゃう。(笑)

彼女の素朴な感じがすごく好感。この色があるから、現実の世界(田舎の少女が都会に)と創作の世界(ハチャメチャコメディ)のギャップ、違和感が薄れる。

つまり、田舎の少女が。。。というのを割り引いて、ハチャメチャコメディと思ってみるとかなり面白い。傑作。

また、ミケーレ・プラチドや、なんとあのロベルト・ベニーニまで友情出演してる。

今年の「イタリア映画祭」アンコール上映作品の1本。

Indivisibili di Edoardo De Angelis イタリア映画の紹介 (邦題) 「切り離せないふたり」

2017-03-20 11:50:38 | 何故か突然イタリア映画
Indivisibili (邦題)切り離せないふたり
監督 エドアルド・デ・アンジェリス



毎週見ているゴールデン・グローブのイタリア映画上映会、行けない時もあるが、上映後の監督のインタヴューが興味深く、できるだけ行くようにしている。

1。なんの予備知識もなく映画を見る
2。あらすじなどの予備知識を仕入れてから映画を見る
3。予備知識を仕入れて見て、その後、監督直々のインタヴューがある
4。そのインタヴューがうちうちでのことならなおさらグー

当然、4が一番いい。嬉しい。
1の見方をする人もいるだろうし、それが好きという人もいるが、私は少なくとも2が好み。

オペラを観に行くのに、バレエを観に行くのに、あらすじを読んでから行くとたくさん楽しめますよ!ということに通じていると思うからである。

さて、見た後、時間がなくて記事が書けなかった映画、あまり(全然)書く気にならなかった映画があるが、これは、今年のシーズン、第1回目の上映会で見た映画。
今でも心に残っている作品の一つで、個人的にはかなり良かったのだが、あまりの忙しさに書けなかった。

実は、今でも映画の中で出てくる歌(映画のオリジナル)を覚えている。時々思い出す。
これは、ある意味かなりのことだと思っている。
個人的に、それくらい印象が強かった作品。

ヴィオラとデジーはシャム双生児。18歳になるところで、ナポリに住んでいる。
二人ともかなりの美人で、すごく歌がうまい。

結婚式、パーティーなどで歌を数曲披露して、ナポリではシャム双生児に触れると幸運が訪れると思われているらしく、ちょっと触らせ、結構な金額をいただく。
(受け取るのはマネージャーの父親、申告していると思わないからきっと脱税。。。)

シャム双生児なんて面倒な子供達でも、これで生計を立てられてしまう幸運に、家族、特にお父さんはホクホク。

ところが、あるパーティーで出会った医者に、切り離せますよ、と言われた。

検査をすると、確かに太ももの部分でつながっているとは言え、それだけ。つまり、臓器は完全に別々になっている。

今まで二人が分離できるなんて考えたこともなかった。
(ここがちょっと??(クエスチョンマーク)。18歳にもなったら、同じシャム双生児でもかなり幸運な例だという認識があっても良かったのでは?しかしこれは映画、目を瞑ろう。。。)

二人は当然似ているが、性格は結構違う。
このままでもいいじゃない、というおとなしいデジーに、一人前に恋をしたい、まさか彼と寝てる隣に妹がいるわけ?そんなぁ、と思うヴィオラ。

また、検査は無料でしてくれたが、実際の手術には高額な費用がかかる。

ここで、家族間に大きな亀裂が入る。

父親にとっては、分離されたら収入がなくなる。
(見ていて、シャム双生児という不幸な我が子たちを、ほとんど食い物にしている父親に怒り)
ナポリという貧しい土地、貧しい家庭に育ち、まだ未成年、自分たちの思うようにことが運ばないじれったさ。

上映後のインタヴューには、監督と一緒に双子が出席。
本物もそっくり(きっと代弁ができたに違いない)で、どっちも美人。

歌が実にうまい、という声に、実際に二人とも歌手を目指して(ジャンルはジャズ)音楽学校で勉強しているのだという。なるほど、だから、うまいんだぁ、とみんな納得。

監督曰く、シャム双生児は、シリコンなどを使い実際に二人をくっつけたので、撮影そのものより、その度、準備に時間がかなりかかったとのこと。

ストーリーの内容はちょっと地味かも知れない。
が、かなり心に響くところがある。
ちょっと興味を持ったら、必見。おすすめ。

双子のうち一人は、女優になることも考えたい、と言っていたので、またスクリーンに登場することがあるかも。
これだけ歌がうまいと、いろいろな役がありそう。期待。

Beata ignoranza di Massimiliano Bruno イタリア映画の紹介 「無知の方がいいさ〜」

2017-03-19 22:43:26 | 何故か突然イタリア映画
Beata ignoranza 無知の方がいいさ〜(と勝手につける)
監督 マッシミリアーノ・ブルーノ




最近はコマーシャルにも出ているマルコ・ジャッリーニとアレッサンドロ・ガスマンのコンビのコメディ。

エルネスト(ジャッリーニ)とフィリッポ(ガスマン)は犬猿の仲。
まだ演劇仲間だった頃、一人の女性(現在没)を巡って恋の争い、彼女はエルネストを選び、勝利はエスネストに、そしてフィリッポ大敗かと思いきや、なんと、生まれた子供の父親は実はフィリッポだった、というかなり複雑な内容。

2人がそうと知った時は、娘はすでに15歳。
つまり、娘にとっての父親は二人、ということになる。

犬猿の仲の2人が25年ぶりに顔を合わせたのは、エルネストが教師をしている高校。
片やイタリア語の教師(エルネスト)、片やトンデモ数学教師(フィリッポ)。

エルネストはコンピューターなどいじったこともない、超堅物。
フィリッポは正反対で、学校でセルフィーをしちゃうほど、テクノロジーにどっぷり。

しかし、ここで話は終わらない。
すごい喧嘩になったのがネットで公表され、そこに娘ニーナが出てきて、こうなったら対決!と来た。

つまり、エルネストにPCを使ってもらい、フィリッポからはテクノロジーを取り上げ、どっちが勝つか。

しかし、話はまあいろいろな方向に流れ、もう少しメロドラマ的方向へと進む。

最近、テクノロジーをストーリーに仕立てた映画が多くなっているが(例えば、昨年の大ヒット映画Perfetti sconosciuti完璧な他人)、これも。



今更、という感はあるが、2012年、実際にかなりテクノロジーに没頭していた監督の経験から生まれたという映画。
上映後のいつものインタヴューで、アポイントを断り、他のことを投げ出して、かなり没頭していたのに反省、ふっと周りをみると同じような「症状」に陥っている人がなんとたくさんいることか、との言。

同じ学校で、誰とでも関係をもっちゃう女教師がいたり、二人の対決をカメラに収める女カメラマンとマイク持ちのコンビがめちゃ面白く、このコンビいい〜!とみんな賞賛。

まずまず上質なイタリアン・コメディ。


Casa di Montalbano モンタルバーノの家 プンタセッカ

2017-03-19 19:36:08 | 何故か突然イタリア映画
これがモンタルバーノの家。
ラグーザに近い海ぎわ、プンタセッカというところにある。



B&Bになっているというのは有名。
しかし、地元の人の話だと、1階は貸し家だそう。B&Bは2、3階。
つまり、別になっているらしい。

印象的なバルコニーが1階と2階部分にある。
モンタルバーノが海からダイレクトにバルコニーに入るところは1階、食事もするが、主に海を見ながらコーヒーを飲むのは2階。

つまり、別々の家を一つの家にように見立てて使ってるのだと思う。


これが1階の玄関

ロケーションは最高。
何せ砂浜が真ん前。
モンタルバーノが泳ぐシーンがあるが、泳ぐのは家の前の海。
泳ぎが好きなら本当に最高。
ひと泳ぎして(当然海は素晴らしく綺麗)砂浜を渡って、バルコニーから上がり、ちょっと休憩、そして、家でシャワー。。。。憧れる〜


広場に面した2階、B&Bの本当の玄関

家の後ろ(正確には正面)にはキオスクのある広場になっているが、ここもかなり登場している場所だそう。



また、ここプンタセッカには、オープニングの映像で印象的な白い灯台がある。


レストラン全体はこんな感じ。砂浜に張り出したロケーション

また、砂浜にあるエンゾのレストランがすぐそば。
海が目の前というロケーション、モンタルバーノで超有名になったこともあり、質の割にかなり高いらしい。
冬は営業お休み。