私は今でも目標があるが、この時代でもあるし、私自身も高齢なので、実現しな
いかも知れないけど、まだ希望的観測はしている。でも、昨年末あたりから実現
するか、どうか分からないこと目標にしていても、あまり楽しくないことに気が
付いた。「だったら可能性がある事をターゲットにしよう」と思って、「夫を男性
の平均寿命より10年以上長生きさせる」ことに決めた。夫はすでに87歳、とうに
平均寿命81・5歳を過ぎているし、認知症歴はすでに10年になった。
でも、記憶こそできないが、ほとんど自立しているし、その場では物事が理解
でき、見た目は他人に分からないほどの「認知症優等生」だ。
さらに、私は過去に、何年もかけて「夫と自分の体質改善した」実績があるでは
ないか。老化はしたが過去の経験からして、その可能性は大で、これこそ私の幸せの
元点ではないかと、ハット気づいた。すると毎日がとたんに楽しくなった。
それを夫に話したら大変嬉しそうで、ニコニコしながら「有難うございます。
これからもお世話になりますと」と言ったが、彼はホントに素直な人だ。
長年にわたる手づくりのバランスの摂れた食生活と、心理カウンセラーとして
心のケアは多分行き届いているはず。さらにホームドクター、10年目の治療を受け
ている精神科の先生、歯科、眼科の先生方にも定期的にお世話になり、現在毎週3日
デイケアサービスに通い、その手厚く効果的なサポートも受けている。
認知症になってから10年目、最近食欲が少なくなったが、夫が完食してくれると、それ
もまた小さな喜びになった。
認知症になってから一度も怒らせたことがないので、穏やかで明るく、いつも二人
で笑っていることが多い。コロナ騒ぎでお花見ができない人が多いが、私達は一足先
に新宿御苑、成城学園前駅の思い出の通学路だった桜並木、羽根木公園、すでに3回も
きれいな桜を沢山見てお花見をした。昔は確かこんな言葉があった。
「世の中で一番美しいものは老夫婦」、今ではあまりに老夫婦が増えたためか、死語
になったようだ。美しくなくても、子供達に迷惑かけず、友人達はすべて未亡人なった今
2人で仲良く暮らせればそれが一番幸せだと思った。コロナ戦争のため、今日と明日は
家から一歩も出ないで、大人しくしていようと思っている。