人間は生まれたときすでに持っている「基本的な性格」があるが、私は気分の
アップダウンが多く、人間大好き、おっちょこちょいの「そううつ型タイプ」だ。
いつも明るく元気だが、突然何の脈絡もなく、ガタンと気持ちが落ち込むのが
特徴的だ。若い頃にはそれで随分悩んだが、心理学を勉強して「それは生まれつき
備わった性格で、変えようがなく仕方ないものだ」と知ってから、生きるのが随分
楽になった。その他自分のパーソナリティーを熟知したが、もしも心理学を勉強して
いなかったら、私はもう多分この世には存在していないはずだ。
先日のことだがある事で小々気分がダウンしていた、そんな時あることを思い出し
心の中に冷たい風が吹いているような寂寥感に見舞われた。
さらにアルコールが入り、理性的な大脳の力が落ちている時で、「精神的に最も
危険レベル」になったのは夜の7時過ぎ。「これはヤバい、何とかしなければ」夫は
すでに眠っている。「そうだ電車に乗ろう」と、素早く身支度し家を飛び出した。
我が家は梅が丘から1分の近さだ、新宿は15分、あまりに近すぎる、下りホームへ
行き、ホームに滑り込んできた電車に飛び乗った。それは千代田線の乗り入れ電車で
成城学園前行だったが、日曜の夜とは言え、コロナのためか、何と電車には私を入れて
たった3人しか乗っていなかった。
電車の中で考えた、(成城学園前から急行に乗り、小田原まで行こうか、でもちょっと
遠い、町田まで行き、気分によっては降りてみよう)と思った。
町田はまだ都内で、私は昔「よみうりカルチャーセンター」で「自律訓練法」と
ヨーガのクラスを約2年間指導していたので、多少土地勘はある。
「認知症の夫を、穏やかでやさしく、10年間も介護していられる」ように見える
らしいが、多分私の深い悲しみ、淋しさなど誰も理解できないと思う。
町田で新宿行の急行に乗り換えたが、そこには若い人が沢山乗っていて、そんな人々
をさりげなく観察するのも、実にとても楽しかった。途中各駅停車に乗り換えたが
経堂駅からまた3人だけだった。電車は大好きなので、しばらく乗っただけで、驚く
ほどさっきの最悪の気分は雲散霧消し、いつもの平常心になっていた。
そんな自分に少々呆れたが、僅か2時間足らずで、すっかり楽しい気分になり
「最悪の危険レベルの精神状態が」が解消できたが、これも私の大きな特技かも知れない。