時々見ていたが、夫は背中を搔くための長い竹でできた「孫の手」を
ベットの傍に置いて「カーテンを閉めて」と頼むと、その「孫の手」で
器用に閉めている。先日気が付いたら、それで戸まで閉めていた。
二人共背中が痒い時など全くないので、使った記憶はないほどだ。
昨日タンスの一番上の引き出しが開かずに困って,夫に「開けて」と
頼んだら、彼はしばらく触っていたが開かなかった。
するとベッドから「孫の手」を持ってきて、それを差し込んで動かしていたら
引き出しはスッと開いた。「スゴーイ!背中かきってそんな事にも役立つんだ
とってもお利口さんなのね」と夫に言ったら、「だからオレ何時も傍に
置いておくんだ」とちょっと嬉しそうだった。
認知症の夫だが、時にはビックリするほど、頭が働くこともあり、身の
周りにある小さなグッズも、使い方で色々利用できるのだと、夫に教え
られた思いがして、ちょっと嬉しくなった。
そんなダブルの「ちょっとした嬉しさ」が、もしかしたら我が家の
円満さなのかも・・・だから幸せなのかもと感じた。