博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『趙氏孤児案』その7(完)

2016年09月26日 | 中国古典小説ドラマ
『趙氏孤児案』第36~最終41話まで見ました。

程嬰の尽力により記憶を取り戻しながら、屠岸賈を警戒してこれまで心の病が癒えていないふりをしていた宋香。しかし事情を察していた屠岸賈の計略に嵌められ、大業が実は趙武であることを告白してしまいます。で、湘霊に大業を毒殺するよう命じる屠岸賈。しかし大業も程嬰から手渡された竹簡を読み、自分が趙武であること、そして湘霊の正体を既に知っていたのでした。

湘霊も大業に惚れてしまっていて手が下せず。二人で屠岸府から逃亡する道を選択。そして秦の使者としてすっかりお馴染みとなった離楼と接触し、屠岸賈が秦国の後継者争いに関与し、公子石を支援するかわりに、息子の無姜を晋の君主に据えるよう秦側に支援を求めていたことが発覚。事の次第を知らされて激怒する国君景公でしたが、屠岸賈が先手を打ち、配下の兵を動かして都城を封鎖。そして大業の正体と父親の謀叛を知らされた無姜は、父親に加担すると見せかけて、大業・韓厥とともに国君を保護。かわりに父親の赦免を求めます。

無姜には屠岸賈の死罪を免じて追放処分とすると明言した国君でしたが、それを素直に履行するはずもなく、大業を趙氏の後継と認定して司寇に任じ、屠岸賈の処断を一任して暗に彼の処刑を求めます。韓厥や、母子の名乗りを挙げた荘姫は今こそ父親の仇討ちの時と、大業に屠岸賈殺害を求めますが、彼の選択は?そして逃亡を図る屠岸賈を待ち受けていた程嬰の意図は?

【総括】
ということで、評判と期待に違わぬ歴史文芸大作に仕上がっていました。かと思えば所々で挿入されている妙にクオリティの高いアクション・シーンとか、程嬰と屠岸賈、到満とのやりとりなど、いろんな角度から楽しめる作品に仕上がっています。『武神趙子龍』みたいな作品もあれば本作みたいなのもあるというのが、中国時代劇の懐の深さを示していると思います (^_^;)

実のところ中国でも春秋時代を舞台にしたものは、呉越の争いや孔子を描いたものぐらいしか存在しないのですが(そして呉越の争いも孔子もほぼ同時期の話……)、本作のような感じでもっとたくさん制作して欲しいところです。
コメント (2)
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『趙氏孤児案』その6

2016年09月21日 | 中国古典小説ドラマ
『趙氏孤児案』第30~35話まで見ました。

石言の遺児湘霊ですが、実は屠岸賈のスパイというか工作員であったことが判明。


屠岸賈は彼女を石言のもとに送り込み、3年ほど仕えさせて彼に関する事情をすべて把握させたとのこと。実に手が込んでますw 程家に送り込まれた主目的は、大業が趙朔の遺児であるかどうかを調べあげることなのですが……

その大業ですが、湘霊から趙朔の死について吹き込まれ、屠岸賈のコネで宮廷の書庫で趙氏に関する資料を漁ったりしております。そして旧趙府で出会った荘姫から、程嬰が赤子の自分を助けるために趙武を犠牲にしたことを知らされ、父親に幻滅して湘霊を連れて家出を敢行。荘姫と大業は実の母子にあたるわけですが、お互いにまだそのことは知るよしもありません。

大業に興味を持った荘姫は、彼が程嬰の子だと知ると、程家を探訪して大業の部屋から、彼が宮廷の書庫より持ち出した趙氏関連の竹簡を持ち去ります。その中に趙氏の祖先神話の一節を記した「女脩織、玄鳥隕卵、女脩吞之、生子大業」という竹簡があり、最後の「子 大業を生む」の部分に注目し、大業が趙武なのではないかという疑いを持ち始めます。実はこの竹簡は程嬰が紛れ込ませたものなのですが…… なお、この一節は漢代の司馬遷の『史記』秦本紀に出てくるものなので、春秋時代を舞台にしたこのドラマで登場すると、何となく座りが悪いような気がしてくるのですが (^_^;)

そうこうしているうちに屠岸賈の子無姜が凱旋。大業の家出を知り、彼の定宿で家に戻るように諭します。その宿の酒場で、少女講釈師の草児と遭遇。


彼女の十八番は「換嬰計」という物語なのですが、これは「趙氏孤児」を題材としたもので、19年前に屠岸賈の子として生まれたのは女児であったが、男児を欲しがった彼は同じ日に生まれた趙朔の男児とすり替えたうえで趙氏を滅ぼしてしまい、男児を自分の子として養育したという内容。それでいくと趙朔の子ということになるはずの無姜は動揺し、父親に事実を問いただしたり、当時を知る、出産に当たった医師や産婆を訪問し、生まれたのが女児だったのか男児だったのかを確認しようとしますが、なぜか彼が訪問するタイミングで2人とも何者かによって殺害。(後に遺体は別人で、2人とも生きていたことが判明しますが)この一件により父親に不審を感じた無姜も屠岸府から家出してしまいます。

実はこの草児も程嬰の仕込みであるようですが、竹簡の件と合わせて、荘姫と大業が互いに母子であると認めさせるのが主目的の模様。自分の出生に疑問を持った無姜ですが、出生の秘密があるのは彼じゃないというのが面白いところ。

そして大業は屠岸賈の計らいにより「執訊令」に任命され、「趙氏孤児案」の捜査に当たることに。これで「換嬰計」が悪質なデマであることを明らかにさせ、無姜を連れ戻させようという腹なのですが、大業に捉えられた草児は屠岸賈の前で、自分こそが無姜とすり替えられた女児、すなわち屠岸賈の実の娘であると称し、なおかつ自害を敢行。これによって屠岸賈と無姜の父子を離間させようということなのですが……
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『趙氏孤児案』その5

2016年09月13日 | 中国古典小説ドラマ
『趙氏孤児案』第24~29話まで見ました。

程嬰殺害を屠岸賈に進言して相談役の地位を追われ、炊事係から出直しとなった到満。その炊事係の立場を利用して程嬰に毒入りスープを飲ませて毒殺しようとするも、陰謀が露見。で、「こんなやつ危なっかしくて炊事係にはしておけん。ワシの目の届く所に置いておかねば」ということで、屠岸賈の相談役に復帰。なんやこの展開(´Д`;)


到満(左)と程嬰。仲良く喧嘩してます。

このドラマ、この程嬰と到満の絡みとか、おっさん同士の絡みの合間にアクションシーンをつなぎに入れてるようなドラマなんですが、そのおっさん同士の絡みが最高に面白いですw 程嬰・屠岸賈・到満の絡みは、2000年前後に中国で一世を風靡した張国立・張鉄林・王剛の「鉄三角」(黄金トリオ)を彷彿とさせるものがあります。

そして趙武は程嬰夫妻の子程大業として、屠岸賈の邸宅でその一人息子無姜の学友として成長することになります。で、間に大業の幼年時代の話を挟み、趙氏族滅から19年後の話へと移ります。


19歳になった大業(右)と無姜。大業の母がわりとなる宋香は、以前より精神の病が和らいだようですが、相変わらず程嬰に関する記憶は失われたままで、ともに暮らす程嬰が自分の夫とは認識できません。

ともに文武の道を鍛え合った二人は、韓厥を主将として秦との戦いが行われることを知り、従軍を志願。程嬰は戦死の危険性は無論のこと、彼を怨む韓厥がこの機会に大業に対して意趣返しを図るのではないかと気が気ではありません。「まあ子供には手を出すまい」と楽観的な屠岸賈に対して、程嬰の心配通り思い切り意趣返しを図る韓厥。韓厥の心狭すぎワロタw 結局国君景公の計らいにより、韓厥は出征する無姜に対しては手を出さないことを誓い、大業の方は程嬰の懇願により出征が認められないことになり、更にそれに納得できない大業が韓厥に突っかかって右腕を負傷させられ、嫌でも出征できない状態に。

親友無姜が出征してしまい、無聊を託つ大業ですが、そこへ楚の石言の遺女(屠岸賈の手の者によりひっそりと謀殺)湘霊が現れ、ともに晋国の記録抹殺刑的な扱いになってしまっている趙朔のことを探ることに。その過程で実母の荘姫とも知り合いになりますが、双方とも相手が肉親であることは知るよしもありません。一方、到満の進言により屠岸賈は大業が実は趙武ではないかと少しずつ疑いを持ち始めます。そんな中、程嬰の懸命な治療により、宋香が19年ぶりに記憶を取り戻し……
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『趙氏孤児案』その4

2016年09月06日 | 中国古典小説ドラマ
『半妖傾城』やら『ゲーム・オブ・スローンズ』やらに浮気して随分間が空いてしまいましたが、『趙氏孤児案』第18~23話まで鑑賞。

都中の赤子を救うため、我が子を趙武と偽って手に掛けた程嬰でしたが、その現場を見てしまった妻の宋香が精神を病んでしまい、実状を知らない(また、知らせるわけにもいかない)韓厥や荘姫からは、保身のために趙武を死に追いやったとして仇敵視され、割と詰んだ状態に。


応采児(チェリー・イン)演じる荘姫。このパートからは闇落ちし、次々と刺客を送り込んだりして程嬰を付け狙うことに。

かつて自分によくしてくれた人々が尽く敵に回ったかと思いきや、趙朔の対楚戦で絡んだ石言が程嬰のもとに駆けつけ、荘姫の送り込んだ刺客と死闘を繰り広げたりしております。結局刺客は程嬰の人柄に感服して去って行くのですが、そんなことで荘姫が諦めるはずもなく、弟である国君景公が亡き趙朔の悪夢に悩まされていることを利用し、趙朔の亡霊が夢に現れるのは、自分を裏切った程嬰を怨んでいるからだということで、悪夢を静めるために景公の命で趙朔への生け贄として釜ゆでされることに…… 

ここで助け船を出したのが屠岸賈。秦国の侵攻を利用し、程嬰が秦の主将と旧知でその兵法を熟知しているということで赦免を勝ち取ります。屠岸賈は謀臣の到満から、この機会に程嬰を見殺しにするよう提案され、「無理に赦免させようとすると国君の機嫌を損ねかねない。国君と程嬰のどちらが大事なのか」と詰問されますが、「国君は各国に1人ずついるが、程嬰はこの世にたった1人だけだ」と即答。やだ屠岸賈さんカッコイイ/// というか、どんだけ程嬰のことが好きなんでしょうか (^_^;)

危ないところを助けられた程嬰は、石言・宋香・趙武を引き連れ、楚へと亡命すると見せかけて秦へと迂回しますが、やはり秦の使者離楼と結託した荘姫により、刺客に追われ、更には宋香と趙武を攫われ、結局晋都に舞い戻ることに。程嬰は荘姫と対面し、赤子が趙武であるということを明かさずに、夫の遺志を裏切って趙武を見殺しにしたという糾弾を乗り切りつつ宋香らの解放を勝ち取るという無理ゲーを命懸けでこなします。で、結局一家の身の安全のために屠岸賈のもとに匿われることに……

ということで久しぶりに見てみたら、この作品毎回のようにアクション・シーンを盛り込んでいるうえにアクションのクオリティも高いことに今更ながら気付きました。
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『趙氏孤児案』その3

2016年07月27日 | 中国古典小説ドラマ
『趙氏孤児案』第12~17話まで見ました。

食客を動員して趙朔の邸宅から屠岸賈への邸宅への地下道を掘り進めさせ、屠岸賈の暗殺を図る公孫杵臼。程嬰が気付いてそれを阻止したものの、屠岸賈が途中まで掘り進めた穴を自邸につなげ、地下道に配下の者を潜ませ、主君景公が探訪した際に襲撃させます。下手人は趙朔の食客の一人蒙奇。実は彼は屠岸賈の間者なのでした。蒙奇が「趙朔はこの計画と無関係」と発言したものの、当然景公の不信感は拭えず、趙朔も責任を感じて食客を解散。

これで趙朔を守る者がいなくなったということで、屠岸賈に促された景公は、重臣の欒書らに趙氏族滅を命令。覚悟を決めた趙朔は欒書らの前で自決します。趙朔の夫人荘姫は景公の姉で、ちょうど出産の時期を迎えていましたが、景公のはからいにより事前に宮中に引き取り、夫の死と惨劇を知らぬまま趙朔の男児、本作のテーマとなる「趙氏孤児」趙武を出産。ほぼ同時に、程嬰の妻宋香と、屠岸賈の妻孟姜もそれぞれ男児を出産。しかし孟姜の方は出産時の大量失血により、そのまま亡くなってしまいます。

愛妻家としての一面も持つ屠岸賈は、悲しみのあまり生き残った赤子趙武のことなどどうでもよくなりますが、謀臣到満の進言に促され、将来自分の子の障害になるであろう趙武の抹殺を決意。景公と連携して宮中から自邸へと趙武を連れ出させます。事態を知り、趙武を助けようと程嬰が駆け付けた時には、趙武は使用人の且騅によって井戸に投げ捨てられたはずでしたが、実は密かに且騅に匿われていたのでした。

且騅の生まれ故郷の村は、いつぞやの旱魃による大飢饉(その2を参照)に苦しめられましたが、趙朔が出征して立ち寄った際に兵糧を分けてくれたので村人たちが助かり、その恩返しをしたかったとのことです。あの話がここで生きてくるのかと…… こういう具合に趙朔が理想主義者でお人好しであることによって身を滅ぼすことになったという描写にとどまらず、それが一方で我が子を助けることにもつながったということで、厳しい現実を描きつつも理想や理念がちゃんと報われるという展開になるのは、中国的なヒューマニズムと言ってもいいかもしれません。

程嬰一家と公孫杵臼は趙武を連れて逃亡生活に入りますが、趙武が生きていると知った屠岸賈は、趙武が見つからなければ十日以内に城内のすべての赤子を殺害すると、ヘロデ大王のようなことを言い出します。このままでは趙武はもちろん程嬰の子も生き延びられないと、公孫杵臼は程嬰に、程嬰の赤子を身代わりにして趙武を助ける策を提案。当然のように宋香は生まれたばかりの我が子を犠牲にすることに強く反発しますが、程嬰は深く思い悩み、逡巡しつつもその策に同意。


公孫杵臼は屠岸賈に疑いの目を向けさせないため、身代わりの赤子を守るふりをして死ぬことを決意。程嬰は生き延びて趙武を育てるということで、誓いを交わす二人。

で、屠岸賈を欺くために、まずは程嬰が趙武は公孫杵臼の手にあると密告。公孫杵臼は趙武(=程嬰の赤子)を命懸けで守るふりをしてみせて絶命。趙武(=程嬰の赤子)は屠岸賈の手に渡りますが、赤子が身代わりではないかという疑いを抱いた屠岸賈は、念のためにということで衆人環視の中で程嬰自ら赤子を殺すように強要。そしてその様子を目にした宋香は………
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『趙氏孤児案』その2

2016年07月18日 | 中国古典小説ドラマ
『趙氏孤児案』その2

『趙氏孤児案』第6~11話まで見ました。

趙朔を追い落とすため、次から次へと罠を仕掛ける屠岸賈。晋の君主景公が3人の刺客に暗殺されかけるという事件が発生し、趙朔に刺客を捕らえるよう命令が下されます。実はその刺客、屠岸賈の仕込みで、趙朔が犯人を捕らえられないように手を回して趙朔を追い詰める策かと思いきや、公孫杵臼の尽力で捕縛。しかしそれ自体がまた別の罠で、刺客は景公の前で「暗殺の首謀者は趙朔の同志である韓厥」「趙朔から不当な拷問を受けた」と告発。やはり趙朔が窮地に陥ります。

それを切り抜けたと思ったら、今度は秦国から同盟を結んでともに楚国を攻めようという提案がもたらされます。趙朔が大将、韓厥が副将、屠岸賈が兵糧の配給を命じられますが、実はこの時、晋国内では旱魃により飢饉が発生しておりました。しかし屠岸賈が情報を遮断しているので、景公も趙朔らもそのことを知りません。兵糧は本来被災民の救済に充てられるはずだったもの。で、出征して事情を知った趙朔が国内各地で兵糧を用いて被災民への炊き出しを行い、楚国と一戦もしないまま和議を結んで帰国。

この時は楚将石言がかつて程嬰に命を助けられた相手ということで、程嬰が手筈を整えて敵将のはずの彼から兵糧を借り受け、その石言が主君の楚の荘王から咎めを受けないどころか褒められたということで、趙朔もお咎めなしとなりましたが、今度は屠岸賈が趙朔を恐れる景公に知恵を付け、趙朔がまんまと自ら兵権の返納を申し出ることとなります。

景公「重臣の欒書と郤克が兵を率いて私闘を始めてしまった。どうしたらよいのか……」 趙朔「2人から兵権を取り上げればよろしい」 景公「どうやって?」 趙朔「まずは私が殿に兵権を返上します。そうすれば2人とも返上せざるを得なくなるでしょう」 ということで、まんまと兵権返上に同意する趙朔。もちろん欒書と郤克の私闘は、景公と屠岸賈による仕込みです。2人が兵権を返上する様子をしめしめとドヤ顔で見守る趙朔が痛々しいです……

景公が趙朔を恐れるのは、先々代の霊公が趙朔の父趙盾と対立して趙氏の一族によって暗殺され、自分の父成公がその趙盾によって擁立され、現在も趙朔は自分の姉莊姫を妻としているという背景があるからですね。

ということで趙朔の死という結果はわかっているはずなのに、毎回面白く見られてしまいます。ここまでは趙朔を助けようとする程嬰と、趙朔になりかわろうとする屠岸賈との知恵比べの様相を呈しています。同じく趙朔を支えるはずの公孫杵臼は、とにかく屠岸賈を暗殺すればいいとしか言わず、その蛮勇を屠岸賈に体よく利用されたりするただの脳筋、韓厥は、しっかりしているようで肝心な時に屠岸賈の美人局に引っかかり、女の尻を追っかけたりするオンナスキーという役回りになっていますw

屠岸賈もこの2人については相手にしていませんが、程嬰については「ワシの意図を見抜けるのはあやつのみ」と、評価を爆上げ気味。本人がよく口にしているように、「一介の医師」にすぎない程嬰がここまで頭が回るのは少々不審ではありますが、これまた本人の台詞にあるように、「国を治めるのは病人を診るのと同じ」ということで納得しないとしかたがないのでしょうか (^_^;)

しかしその程嬰が支える趙朔も屠岸賈によって着実に死亡フラグを積み上げさせられていき……

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『趙氏孤児案』その1

2016年07月10日 | 中国古典小説ドラマ
『半妖傾城』と並行して、2013年放映と旧作ながら歴史文芸大作として評価が高い『趙氏孤児案』の鑑賞を開始。今回は第1~5話まで鑑賞。

楚国に住む晋国出身の医師夫婦程嬰と宋香。時に楚との戦争に敗北した晋の趙克がこの程嬰宅に身を寄せ、自分の主人である趙朔に、晋の下軍の佐である卑南が、佞臣屠岸賈の指図によって自分を裏切り、敗北に追い込んだことを伝えて欲しいと懇願し、絶命。ここから程嬰と趙朔との関わりが始まります。


程嬰を演じるのは有名俳優の呉秀波。

何とか晋国の趙朔のもとに辿り着いた程嬰ですが、妻の宋香が楚国に置き去りとなり、囚われの身に。人格者の趙朔は「それはいかん」と、自分を慕う侠客公孫杵臼夫婦を宋香救出に派遣。結果、宋香は無事救出されますが、今度は公孫杵臼の妻双槐が楚兵との戦いで犠牲に…… 程嬰夫妻は2人で妻を失った公孫杵臼を支えていこうと決意するのでありました。


やはり物語の主要人物となる公孫杵臼。趙朔を恩人として慕う。融通の利かなさはまんま『史記』に出てくる侠客。(というか、元ネタのひとつは『史記』であるわけですが……)


そしてこの2人が対峙する屠岸賈。晋君のお気に入りで、陰謀を巡らせ、晋国第一の臣下である趙朔をあの手この手で排除しようとします。かと思えば愛妻家の面もあり、身重の妻の治療のために、程嬰の要求を聞き入れたりといった具合に、単純な悪役にはなっておりません。

ということで、『史記』や元曲・京劇に見える「趙氏孤児」を原典とする本作ですが、滑り出しはいい感じですね。ただ、全41話のドラマということで、引き延ばし感が出てこないかどうか不安でありますが…… 現段階ではタイトルの「趙氏孤児」がまだ生まれてすらいません (^_^;)
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『武神趙子龍』その10(完)

2016年06月28日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第55~最終60話まで見ました。

劉備が西川に出征している間、荊州の防衛を任された子龍ですが、孫尚香が呉から連れてきた護衛隊長魏徳が民衆に横暴な振る舞いをしているのが問題に。で、子龍が裁判官として彼を裁くことになりますが、そこへ孫夫人の横槍が……と、なぜか『包青天』みたいな展開に (^_^;) 孫夫人はいち早く長沙に視察中の孔明に使者を送り、魏徳の赦免を勝ち取ります。こういう場合包青天だと使者が帰ってくる前に処刑してしまったりするのですが、最終的に魏徳を処刑するとはいえ、子龍はまだまだ甘いですねw

一方、西川では軍師として従軍した龐統が落鳳坡で戦死。劉璋の将張任の背後にいるのはもちろん高則です。龐統の戦死を承け、荊州から孔明が張飛・子龍を率いて出征し、劉備と合流。張任はなおも雒城に立て籠もって頑強に抵抗。そこで旅の商人に扮した宝月が子龍の愛馬「夜照玉」をそれと知らせずに張任に贈り、「夜照玉」に乗って出陣したところを落馬させるというセコい手で生け捕りに。「夜照玉」は伝説の馬として思わせぶりに登場するのですが、こういう使われ方をするとは(´Д`;)

ここでなぜか張任の副将雷銅が仇討ちとして劉備暗殺を図り、雷銅の娘が子龍に密告してそれを阻止するというオリジナルエピソードが挿入されます。これが呉懿の妹なら、彼女が呉夫人として劉備に嫁ぐきっかけになるということで、うまく話がつながったと思うのですが……

その後張魯の配下となったイケメン馬超が劉璋側の援軍として派遣されますが、旧知の公孫宝月の説得により劉備に帰順。妹馬玉柔(牛玉)をめぐる子龍とのわだかまりも、タイマン勝負で解消されます。

そして益州制圧後、夏侯淵の副将に収まった高則は子龍に最後の決戦に臨み、それぞれ因縁の青釭剣と倚天剣を手に刃を交え……

【総括】
ということで、オチは割と酷いです。高則との決闘を終えた子龍が、述懐ついでにさらっと今までのことを全否定してます (^_^;) まあ、最後は原典通り劉備が漢中王に即位して子龍らを五虎将に任命し、めでたしめでたしとなるのですが……

「トンデモ三国志」「お笑い三国志」などのありがたくない呼び名を頂戴している本作ですが、三国志要素にこだわりさえしなければ、言うほど悪い作品ではありません。これまでも触れたように、武侠的なアクションシーンのクオリティは意外に高いですし、動物などのCGのクオリティも于正版『神雕侠侶』や『花千骨』よりは上。話のテンポも良いです。ライト古装としては寧ろ上出来の部類だと思うんですよね。早速日本語版の買い手もついたということで、『呂布と貂蝉』のように三国志ファンからは非難囂々でしょうが、ライト古装の一定の達成を示した作品として、自信を持ってリリースして貰いたいと思います。


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『武神趙子龍』その9

2016年06月22日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第49~54話まで見ました。

呉では劉備から荊州を奪取しようと、孫権の妹孫尚香との婚約をエサに劉備を呉に呼び寄せます。子龍・柳慎も護衛として呉に赴くことに。それで牛玉が孔明より助言を収めた三つの錦の袋を子龍に届けに行くという役回りです。

で、甘露寺で劉備と孫権兄妹の母呉国太との対面となるのですが、この呉国太、孫権の配下が密かに劉備を射殺しようとするのを見破り、酒杯を投げて矢を逸らしたり、外出して装飾品店で暴漢を蹴散らしたりと、実はカンフーマスターだったという設定になっております。尚香が武芸好きなのはなぜか?→おかんがカンフーマスターだからだろうという発想なのでしょうか (^_^;)


見た目も貫禄溢れる呉国太。

そして劉備は呉国太に気に入られ、尚香との結婚が認められます。ついでに子龍を追ってきた公孫宝月も呉国太の義女となり、尚香とは義理の姉妹に。一方、牛玉は子龍や宝月に馬騰の娘であることが知られてしまい、馬騰のスパイと誤解されたまま兄馬超に連れられて西涼に帰ることになります。

その後は例によって劉備の呉脱出、周瑜の死、龐統を副軍師に迎えて益州に出征と、あれよあれよという間に話が進んでいきます。その間に西涼ではドラマに出てこないまま馬騰がナレ死し、ともに曹操への仇討ちを誓ったはずの馬超と韓遂が仲違い。ここで曹操の偽手紙を仕立て上げ、韓遂に渡したのが高則という展開に。子龍との決戦に敗れた後、楽淵に命を助けられて改心したと思われた高則ですが、もちろん改心などしておらず、意味も無く楽淵を殺め、馬超と韓遂を離間させたのを手土産に曹操のもとに帰参。ラストがまたぞろ子龍VS高則だと思うと、いささかうんざりしてきますが……
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『武神趙子龍』その8

2016年06月15日 | 中国古典小説ドラマ
『武神趙子龍』第43~48話まで見ました。

曹操軍の追っ手から逃れつつ江夏へと向かう劉備一行。そんな中、子龍は一行からはぐれて負傷した糜夫人から阿斗を託され……



ということで、さすがに長坂坡は趙雲の見せ場とあって力が入ってますね。何となく三国無双風のアクションになっていますが。しかしこのドラマ、全60話の半分近くになるまで子龍がなかなか劉備どころか公孫瓚の配下にすらならず、最終回までに赤壁に辿り着くのかとやきもきしてましたが、気がつけばあっという間に長坂坡です。そして夏侯恩から伝説の剣こと因縁の青釭剣をゲット。それで戦闘が片付いたと思ったら、父親の死の真相を知りたい軽衣に真実を教えろと迫られますが、その軽衣も趙雲の口から真相が暴露されるのを阻止しようとした高則により誤殺。

そして竹林で剣を交える2人。このあたりも武侠的アクションも、竹林で一対一の対決というシチュエーションがベタながらもそれなりに見応えがあります。で、子龍は高則を打ち倒し、彼の手から倚天剣もゲット。ここで子龍に斬られて死んだかと思われた高則ですが、2人の戦いを見守っていた楽淵に助けられ……

その後は孔明が魯肅とともに呉に赴き、孫権や周瑜を説き伏せて曹操との開戦に誘導したり、周瑜が訪ねてきた旧友の蔣幹を騙したり、龐統が曹操に連環の計を検索したりと三国志ファンにはお馴染みのエピソードが展開され、赤壁の戦いを迎えます。三国志要素は極力端折り気味に進めてきた本作ですが、さすがにこのあたりはきっちり描いていきますね。しかし赤壁で曹操の水軍が炎上するシーンは『レッドクリフ』のパクリではないかという指摘が……

「少女時代ユナ出演の時代劇、「レッドクリフ」のワンシーン借用か?「制作費を節約しすぎ」」
http://www.recordchina.co.jp/a137058.html


炎上シーンだけでなく孔明が十万本の矢を集める場面もパクリのような気がしますがw しかし地元の山賊との死闘とか高則との決闘は力を入れて制作するのに対し、こういう所はコピペで済ますあたり、このドラマは何がやりたくて何がやりたくないのか方向性がはっきりしていて良いですね。問題は、三国志要素がやりたくない方に入っていることなんですけどねw

さて、その裏で我らが子龍は孔明に秘密のミッションを命じられ、柳慎とともに荊州南郡四郡のひとつ桂陽に潜入し、太守趙範の隠し銀を盗み出すことに。再びドラクエっぽい展開になってきました (^_^;) 

そこで唐突に軽衣の生き写し牛玉が登場。配役は軽衣と同じく少女時代のユナです。


子龍らには身元を隠していますが、実は馬超の妹という設定。

この牛玉と桂陽太守趙範の隠し銀をどうやって盗み出すかと画策する子龍ら。ひょっとして、孔明が曹操軍から矢を頂戴する話と、子龍らが趙範のもとから銀を頂戴する話が対になっているなどというアホな裏設定はありませんよね?

華容道がすっ飛ばされ、荊州南四郡の接収もあっという間に終わり、趙雲が桂陽太守趙範の兄嫁との結婚を拒絶したあたりで、趙範の黒幕が元夏侯傑の副将耿純であることが明らかに…… ということで再び三国志要素が適当に端折られるターンに入りました……
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