博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

于正版『笑傲江湖』その7(完)

2013年06月09日 | 武侠ドラマ
于正版『笑傲江湖』第37~最終42話まで見ました。ネタバレありで行きます。

林平之に重傷を負わされるも、一度は令狐冲と任盈盈に助けられて一命を取り留めた岳霊珊ですが、結局嵩山で林平之に誤殺されてしまいます。このあたりの展開は呂頌賢版を踏襲してますが、霊珊の死に方ってこんな雑でしたっけ?(´・ω・`) そして娘の死と夫の変貌に絶望した寧中則も自害。令狐冲は岳不群に絶縁宣言を突きつけ、盈盈は脅しのために岳不群に偽の三尸脳神丹を飲ませます。

その後こっそり恒山に戻る令狐冲ですが、「唖婆婆」に化けた死んだはずのあのお方……すなわち東方不敗に捕らえられ、妹の儀琳を娶るよう強要されます。やっぱり崖から落ちて死んだ人なんておらんかったんや!でも普通のドラマなら、ここらでどうして崖から落ちて助かったのかという説明を入れると思うのですが、このドラマではそういう説明は一切ありません(^^;)

一方、岳不群は道端で拾った黒木令を悪用して日月神教徒を動員し、恒山派の尼僧たちを捕らえます。そして五岳派の面々を華山思過崖に招いて日月教教徒の使い手たちが残した壁画を見せようとしますが、ここで洞穴の暗闇の中で左冷禅・林平之・令狐冲らと乱闘に。乱闘を逃れた岳不群は令狐冲と盈盈を捕らえて三尸脳神丹の解毒薬を奪おうとしますが、助けに駆けつけた儀琳に刺殺されます。

令狐冲は朝陽峰で任我行と対面し、副教主への就任を改めて拒絶。恒山に戻って日月神教との決戦に備えます。ここでやはり呂頌賢版の展開を踏襲して霊鷲寺の方証大師らが仕掛け椅子と爆薬を持ち込みますが、呂頌賢版ではこれ、何の役にも立たなかったんだよなあと思って見ていたら、于正版でもやっぱり役に立ってなかった(´・ω・`) ならこの展開をパクる必要が無かったのでは……

黒木崖では任我行や「殺人名医」平一指が盈盈のために三尸脳神の解毒法を解明しようと尽力しますが果たせず、余命幾ばくも無い盈盈の求めに応じて令狐冲が密かに到来。そこを任我行に見つかって追い詰められますが、救援にやって来た東方不敗が任我行を成敗。そして三尸脳神丹を解毒するにはその抗体を持った人の心臓を移植するしかないという謎理論によって、東方不敗は平一指に心臓を差し出して盈盈の治療を託し、自らの遺体は湖の底へ。今度こそ死んだと思われた東方不敗ですが……



【総括】

『美人心計』『宮』の于正のプロデュース・脚本作品ということで本場中国でも賛否両論……というか非難囂々だったらしい本作。私はと言えば、どうせ「魔教を非難しなきゃ正派の人士に邪派扱いされる江湖」という原作のテーマを真正面から扱った映像化作品なんてこれまで無かったんだし、ラストの展開を忠実に映像化した作品も無い。なら于正流に無茶苦茶やったればええんや!……と好意的に見続けてきたのですが、さすがにちょっとこれは無茶苦茶すぎないでしょうか(震え声) でもどれだけ設定が破綻していようとも、于正作品特有のテンポの良さだけは最後まで維持されているので、そこそこ楽しく見られてしまうんですよね……

で、于正は本作に続き同じく金庸原作の『神雕侠侶』の制作を予定しているとのこと。熱烈なファンが多い作品なので、本作と同じように作ると本作以上に強烈なバッシングに遭うことになるでしょうが、個人的にはとても楽しみにしております。
コメント (2)
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