令和4年12月15日(木)
冬帽子 : 冬 帽
冬にかぶる帽子。中折れ帽、鳥打帽、学帽など各種ある。
普段帽子をかぶらない人でも、冬場に帽子をかぶる人は
増える。
欧化主義(明治半ば頃、ヨーロッパ文化の移植を目的と
した社会の風潮)が流行った明治時代に、殊に帽子が大
流行し、男性の着用が普通の事となった。
明治の文豪の二葉亭四迷は著書「浮雲」の冒頭で、役所
の初冬の退け時を描き、主人公の文三はつば広の黒いラ
シャの帽子を、友人の昇は縁の巻き上がった鍋底形の黒
の帽子をかぶっている、、、、、、。
中折れ帽子、
この風潮は大正、昭和へと繫がっていった。
言われてみると私の幼い頃、戦後の街中で帽子をかぶる
大人達をよく見かけた。サラリーマンはつば広帽を紳士
然と被り、私の親達(商店主)は外出時にハンチングを
被っていた。(今では殆ど見かけぬが、、、)
その時代の映画の中でもサラリーマンは背広(スーツ、
いや三つ揃いベスト付)につば広帽をかぶっている。
東京物語(小津安二郎監督)、笠智衆
めし、上原謙と原節子
松竹映画の小津安二郎監督作品での笠智衆他の男優達。
東宝映画の監督は違うが、「めし」の上原謙、「生きる」
の志村喬は、雪の降る公園のブランコに乗り「ゴンドラ
の唄」を歌うシーンは今も胸に残る名画である。
生きる、(黒澤明監督)志村喬
今では、一般のサラリーマン等で、この帽子を被る人は
皆無である。極稀に某政治家が紳士を気どり被っている
のを見かけるが、海外の要人と比べると見劣りが、、、。
昨今、冬になると老いも若きも、男女を問わず毛糸の冬
帽子をかぶり、街中を歩いている。
殊に若い人達は皆、帽子を耳まで覆い、街中を闊歩する。
この防寒帽は私も愛用するがとても温かく重宝する。
冬場の散歩には欠かせぬものとなっている。
今日の1句
皆同じ冬帽行くや其処彼処 ヤギ爺
※其処彼処 :そこかしこ、あちらこちら