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筆者の音楽の聴き方には2種類の聴き方があるように思う、先ずは音楽を楽しむ、寛ぎを感じるには10吋のTANNOYのユニットに限るが、後はもう一面に例えば音楽を探求する、又検証するにはなるべく色付けが少ない無色透明的な音質が特徴のスピーカーに限ると思うがこの様な音の特徴を持つスピーカーも多いようで現状は少ない。何故LS3/5aを選ぶかの疑問に「すべてのアートで、音楽は最も曖昧でありながら最も表現力が豊かであり、最も想像的でありながら最も身近な存在であり、最もはかないようで最も不滅なものです。音楽はワイヤに沿って電子のダンスに変換され、その魂は長く生き長らえます。KEFはそれを音楽としてあなたの耳や心に戻す時、可能な限り最も自然の方法で達成します・・・これは誇張でもなければ策略でもなく、作り話でもありません」KEF創設者「レイモンド・E・クック」の言葉だが、「KEF」のブランドストーリーの魅力LS3/5aを完成させたと思う、ごく一般的な音楽愛好家である。
当時はAR(Acoustic Research)のスピーカーの音質は余り気にならない特徴のない音のするスピーカーと思っていたが、実はARはポリシーは正確な音再現。ARはそれを「リスニングの真実」と呼び、いつまで聴いても飽きない音と言っていた事を思い出す。当時Jazzを多く聴いていた筆者には、ジムランのラッパが好みだったが今になって考えれば当然の事だったと思う様になったが。有名なことはかのヘルべルト・フォン・カラヤンは、「AR-3a」をプレイバックモニターとして常用していたほどである。
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当時昔世話になった先輩がAR(Acoustic Research)AR-LSTのスピーカーが最高と言っていたことが改めて思い出す、但し能率は良くなく大出力のアンプマランツ500Wで駆動していた。先輩のもう一台は15吋レットのTANNOYヨークを聴いておられた。筆者は今まではKEF Q300を使いその役割に使用して来たが癖のないユニットが欲しくグレートアップが必要に思い、今年バージョンアップを行った。勿論RogersLS3/5aの15Ωが欲しかったが貧困老人の為グレートダウンをしてインチキLS3/5aを導入した、つくづく貧困とは辛いものである。
今回は以前購入し現在サブシステムとしている愛用のインチキLS3/5aだが正式には「ho's systemのLS3/5a」というらしい「新品 ho's system (LS3/5a) 20年前のデットストック」品であり日本に輸入しようとして何らかの理由でそのまま保管され、同じ物をキットとして「キット屋」(現在のSUNVALLEY)さんで販売していた商品と同じと説明は受けるが、只キット屋さんと違う点はネットワークが若干違うと伺う、取扱説明者は、音質に影響してho's systemのネットワークが断然良いと言われ、購入に至るが、視聴すると音質はそれほどでも無く、低音に不満を覚え、吸音材の交換をしてやっと音質も良くなり現在に至る。
今までオーデイオでのエンクロージャーはオリジナル商品については手を加えない事が一番と言われ、変更することには躊躇したが自分の耳での確認が一番肝心に思えた。勿論エンクロージャーのデザインと製作したギャップが見える。
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又インシュレーターにWELLFLOATを使っているが、インシュレーターでこれ程音に違いが出るかは体験しなければわからない程の影響があると思う、しかし今は現在のメインアンプとの相性は最近少し疑問を感じている。
現在は300Bの真空管で試聴していますがアンプの使うトランスに疑問がわくのか、じっくり聴き出すと、色々な面に不満を覚える、少し前に好意でEL34のウエスギ UTY-5 モノラルアンプをテストで1週間程聴いたが実に良い音がした。勿論価格も高額で購入は無理であるウエスギが良いのか、又使用するタムラトランスか、EL34の真空管が良いのかわからないが・・・・・・?
当然EL34の真空管を使った名品マランツ8の名機としても大変有名です・・。
でもウエスギアンプの良さは実感した次第である。少し安価なU-BROS-16もあるが、この製品も中古品でも高額取引されているようである。パーツはどれもおなじみのパーツで製作して仕上がりも綺麗なことがとても好印象的だ、勿論トランスも定評あるTangoを使い、同時に音質の穏やかさも抜群であった、勿論10吋のTANNOYのユニットも粗さが抑えられ思わず納得出来、長く聴きたくなるアンプであった。
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下の写真はU-BROS-16で出力は50W×50Wだそうである。勿論真空管もEL34(GE製、太管)プッシュプルにて使用しているようです。一般的にはEL34(太管)の使用が音質は良いらしいが、現実に聴いたことも無く不明だ。確かにモノーラルで自作しても質の良いトランスが重要だ特に日本製のタムラ製、電源トランス:PC‐3007、出力トランス:F-2011、チョークトランス:A-4004のトランス(各2個)だけで福沢さん15人程は必要で真空管アンプのトランスは高額なことが分かる。勿論上質なトランスにより音質に多大な影響があることは有名な話でオーデイオに興味のあるたかには当然な話だ。
知人からの真空管情報では、ウエスギアンプ以外でも、現在タムラのトランス製品は値上げや生産中止で入手が困難な状態ですので、今後品薄状態を考慮するとプレミヤムが付く可能性があると踴らされた、特に自作を考えるにはタイミング的には購入の考え時かも知れないと言われ、頭の痛い問題である。
ウエスギアンプに変えてインチキLS3/5aを聴くが音質全体はやや暗めではあるが、実に素直な音で長く聴いても疲れない音質は流石である、10吋TANNOYと比べるとあのTANNOYの独特の癖の強い涼やかな高音は聴けないが音楽全体を楽しむことに不自由を感じないことは良いアンプと思っている。
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庭には百合の花が咲き梅雨が過ぎれば暑い夏が来る。「武漢風邪」は未だ東京都は30人以上のの感染者の報道があるが、経済が心配のため移動は自由になっている、今までの巣ごもり状態は何故か?全く不明である。最初から国全体の封鎖は必要であったのか疑問である、特に東京アラートの意味は何であろうか。但し外出から帰宅後の嗽、洗剤での丁寧な手洗い、指を口に近づけない等濃厚接触は厳重注意である。
本日の本題に移ります。フーガの技法 BWV 1080の不思議な謎を問うてみる、まずこの作品は長らくバッハ最後の作品だと考えられてきました、作品途中に絶筆したため息子が手を加え完成したと知らされて来た作品です。勿論この時代のバッハは人気作曲家でも無く、後日メンデルスゾーンにより発掘された経緯もあり未だ未開発な文献等があるかもしれず、人気の合ったモーツアルト等とは違うのかも知れない。
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上記の様な事を踏まえ音楽を探求するには癖のない特徴の癖の強RogersLS3/5aの様なタイプのスピーカーが筆者には良い、其れを10吋のTANNOYのユニットで聴くと違う方向に連れ去られる様な感じになり、違った鑑賞になってしまいそうだ。
今は、直筆譜とはべつの用紙に記されていた未完の「新主題による三重フーガ」が239小節目でぷっつり途切れて、その余白にエマヌエル・バッハの手で「作曲者はここで対位主題にBACHの名前が出たところで亡くなった」という衝撃的な一文で終わっているためです(ちなみに数象徴的に解釈すればこの小節数は2+3+9=14で、BACHとなるのはたんなる偶然? さらにこのあと、最初の基本主題と組み合わされて四重フーガとして構想されていたということも判明しています)。
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しかしながら用紙の年代や「透かし模様」についての科学的分析が進展するにつれ、『フーガの技法』がバッハの文字どおりの絶筆というわけではないこともわかってきました。またエマヌエル・バッハによる注記については、バッハが死去して30年ほど経過したころに記入されていることも明らかにされています。近年の研究によれば、バッハはすくなくとも『ゴルトベルク』とほぼ同時期の1740年代初めには『フーガの技法』作曲に取りかかり、そのほとんどが完成していた、という点で意見が一致しています。
結果的には「ゴルドベルグ変奏曲」の次曲第五変奏曲とすればやはりチェンバロ演奏が一番解明しやすい楽器演奏になるのかもしれない。まず曲名である。これはCDによっていろいろに書かれているが、バッハは「コントラプンクトゥス」「カノン」の2種類の曲名を記している。ただし「未完のフーガ」だけは「フーガ」である。
次に曲順であるが、バッハによって番号が与えられているのは「コントラプンクトゥス」のみでそれも12番までであるらしい。(このことはレオンハルト盤の解説によってわかる。)そして、その12番までの配列は、初出版譜およびBWV番号でも同じになっている。
ベルリン自筆譜は、そもそも欠けている曲もある上、曲順も異なる。そのことからもこれは、決定稿というより初期の稿の様子がわかる資料として貴重なものと言えるのだろう。まずBWV番号順に曲を配列し、そこにベルリン自筆譜および初出版譜の状況を記す。初出版譜では、10と10aの両方が印刷されているので、全部で20曲になってしまっている。
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J.S.Bach: The Art of the Fugue Vol.1 -BWV.1080 :Glenn Gould(p)
グールドが珍しくオルガンを演奏した「フーガの技法」では、彼がこよなく愛したフーガを演奏するときの愉悦にあふれた素顔を垣間見せてくれます。さらには、1981年春収録の映像作品「バッハ・シリーズ」において、ピアノで演奏したフーガの技法(第1・2・4・14番)、またマルチェルロの主題による協奏曲、イタリア風アリアと変奏といった珍しい貴重な録音もボーナストラックとして収録しました。
J.S.バッハ:フーガの技法 BWV 1080より
1. コントラプンクトゥス 第1番
2. コントラプンクトゥス 第2番
3. コントラプンクトゥス 第3番
4. コントラプンクトゥス 第4番
5. コントラプンクトゥス 第5番
6. コントラプンクトゥス 第6番
7. コントラプンクトゥス 第7番
8. コントラプンクトゥス 第8番
9. コントラプンクトゥス 第9番
10. コントラプンクトゥス 第1番
11. コントラプンクトゥス 第2番
12. コントラプンクトゥス 第4番
13. コントラプンクトゥス 第14番
14. マルチェルロの主題による協奏曲 BWV974
15. イタリア風アリアと変奏 イ短調 BWV989
【演奏】
グレン・グールド(オルガン(1-9)、ピアノ(10-15))
【録音】
1-9)1962年1月&2月 トロント
10-13)1981年 トロント
14)1979年6月 トロント
15)1971年1月 ニューヨーク
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筆者個人的にはチェンバロ演奏が好きですが、勿論リヒター盤がなく、フーガの技法. カール・リヒター 、 カール・ リヒター&ヘルムート・ヴァルハの演奏が残っている。
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S.バッハ:フーガの技法 BWV 1080 / トン・コープマン(チェンバロ),ティニ・マトー(チェンバロ) 1993年
J.S.Bach : Die Kunst der Fuge (The Art of Fugue), BWV 1080 / Ton Koopman,Tini Mathot (Cemb) 1993
《フーガの技法》は、演奏する楽器さえ指定せずに、「フーガ」という当時の作曲様式を徹底して追求した作品で、バッハの絶筆のひとつと言われています。ひとつの「小宇宙」ともいうべき荘厳さを持ち、音楽史上特筆すべき特異性を有するこの作品は、絶壁のように演奏家の挑戦意欲をかき立てます。当代最高のバッハ演奏家コープマンによる刺激に満ちた再現。
1. コントラプンクトゥス1
2. コントラプンクトゥス2
3. コントラプンクトゥス3
4. コントラプンクトゥス4
5. コントラプンクトゥス5
6. コントラプンクトゥス6
7. コントラプンクトゥス7
8. 反行の拡大カノン
9. オクターヴのカノン
10. コントラプンクトゥス8
11. コントラプンクトゥス9
12. 12度のカノン
13. コントラプンクトゥス10
14. 10度のカノン
15. コントラプンクトゥス11
16. コントラプンクトゥス12[正立形]
17. コントラプンクトゥス12[倒立形]
18. コントラプンクトゥス13[正立形]
19. コントラプンクトゥス13[倒立形]
20. 3つの主題によるフーガ
フーガを極限まで追求したこの作品は、楽器の指定がないため、さまざまな構成で演奏されるが、やはり基本はチェンバロとオルガンであろう。その意味ではこのCDはオルガンのグールドと双璧をなすものといえる。グールドは全ての旋律を一人で弾きこなしてしまうのに対し、コープマンは和声の複雑なところを2台でカバーしているが、ここはグールドの職人芸が特殊なのであって、コープマンの選択は表現の余裕と言う意味で、正解であろう。録音も良質であり、チェンバロの深い響きが堪能できる、それでいて聴き疲れのしない、お勧めの一枚である。
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これは 朝山 奈津子さんがまとめられた記事を引用させていただきましたが分かりやすくまとめておられるようです。
Contrapunctus 1 基本テーマの正立形による4声単純フーガ 1080/1 4段総譜(SATB) Alla Breve 78 1 Alla Breveのまま、4/2から2/2へ。終結部加筆。
Contrapunctus 2 基本テーマの正立形による4声単純フーガ 1080/2 4段総譜(SATB) Alla Breve 84 3 Alla Breveのまま、4/2から2/2へ。終結部加筆。
Contrapunctus 3 基本テーマの倒立形による4声単純フーガ 1080/3 4段総譜(SATB) Alla Breve 72 2 Alla Breveのまま、4/2から2/2へ。終結部加筆。
Contrapunctus 4 基本主題の倒立形による4声単純フーガ 1080/4 4段総譜(SATB) Alla Breve 138 - 楽曲追加。
Contrapunctus 5 基本テーマの正立形と倒立形による4声反行ストレッタフーガ 1080/5 4段総譜(SATB) C 89 4 Alla BreveからCへ。
Contrapunctus 6 a 4 in Stylo Francese フランス様式の4声反行ストレッタフーガ 1080/6 4段総譜(SATB) C 79 7 T.44-46:装飾的なリズムを追加。
Contrapunctus 7 a 4 per Augmentationem et Diminutionem 拡大と縮小による4声反行フーガ 1080/7 4段総譜(SATB) C 61 8 大幅変更なし。
Contrapunctus 8 a 3 変形テーマと2つの新主題による3声三重フーガ 1080/8 3段総譜(SAB) Alla Breve 188 10 2/4から2/2(Alla Breve)へ、さらに音価を倍増。
Contrapunctus 9 a 4 alla Duodecima 12度の転回対位法による4声二重フーガ 1080/9 4段総譜(SATB) C 130 5 Cのまま音価を倍増。
Contrapunctus 10 a 4 alla Decima 10度の転回対位法による4声二重フーガ 1080/10 4段総譜(SATB) C 120 6 Cのまま音価を倍増。初期稿第2主題を冒頭主題として用いる。
Contrapunctus 11 a 4 変形テーマと2つの新主題による4声三重フーガ 1080/11 4段総譜(SATB) Alla Breve 184 11 2/4から2/2(Alla Breve)へ、さらに音価を倍増。大幅改訂。
Contrapunctus 12 a 4. a) Forma inversa 4声の鏡像フーガ:倒立形 1080/12.2 4段総譜(SATB) 3/2 56 12 (上段) a)とbを上下に並列するのでなく、1曲ずつ分離。3/4から3/2へ、さらに音価を倍増。
Contrapunctus 12 a 4. b) Forma recta 4声の鏡像フーガ:正立形 1080/12.1 4段総譜(SATB) 3/2 56 12 (下段) 3/4から3/3へ、さらに音価を倍増。
Contrapunctus inversus a 3. a) Forma recta 3声の鏡像フーガ:変形正立主題 1080/13.2 3段総譜(VSB) Alla Breve 71 13 (上段) a)とbを上下に並列するのでなく、1曲ずつ分離。2/4からCへ、さらに音価を倍増。
Contrapunctus inversus a 3. b) Forma inversa 3声の鏡像フーガ:倒立形 1080/13.1 3段総譜(VSB) Alla Breve 71 13 (下段) 2/4から2/2(Alla Breve)へ、さらに音価を倍増。
Contrapunctus a 4 4声二重フーガ 1080/10 a 4段総譜(SATB) C 98 6 Cのまま音価を倍増。初版第10曲の初期稿。
Canon per Augmentationenm in Contrario Motu 拡大カノン 1080/14 2段総譜(VB/VA) Alla Breve 109 15 S譜表1段による「謎カノン」の表記を削除。SB譜表からVB譜表へ。CからAlla Breveへ、さらに音価を倍増。
Canon alla Ottava 変形倒立テーマによる8度のカノン 1080/15 2段総譜(SB/SA) 9/16 103 9 S譜表1段による「謎カノン」としての表記を削除。
Canon alla Decima in Contrapunto all Terza 変形倒立テーマによる3度のカノン 1080/16 2段総譜(VT) 8/12 82 - 楽曲追加。
Canon all Duodecima in Contrapunto alla Quinta 変形正立テーマによる5度のカノン 1080/17 2段総譜(SB) Alla Breve 78 (75小節目に反復記号) - 楽曲追加。
Fuga inversa a 2 Clavicembali: a) Forma inversa 印刷譜第13曲を2台のチェンバロ用に編曲したもの。正立形。 1080/18.1 大譜表(VB)2段組
(Cem.I/II) 2/4 71 - 楽曲追加。
Alio modo. Fuga inversa a 2 Clavicembali: b) Forma recta 印刷譜第13曲を2台のチェンバロ用に編曲したもの。倒立形。 1080/18.2 大譜表(VB)2段組
(Cem.I/II) 2/4 71 - 楽曲追加。
Fuga a 3 Soggetti 3つの新しい主題による4声三重フーガ。未完。 1080/19
(Fragment) 4段総譜(SATB) C 233 - 楽曲追加。
Choral: Wenn wir in Ho"chsten No"ten sein. Canto fermo in Canto コラール《われら苦しみの極みにあるとき》の旋律による4声フーガ 668a 4段総譜(SATB) C 45 - 楽曲追加。
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『フーガの技法』はただでさえ構造が複雑、しかも楽曲配列や直筆譜と初版譜に相違点が多い、演奏楽器の指定さえない、というわけでこの作品を敬遠する向きも多いかと思いますが、それはそれでなんとももったいない話。そこで「こうすればとっつきやすくなるかも」という聴き方のコツ(?)を挙げてみます。
1)おおまかなグループのまとまりを知る:『フーガの技法』は、やはり「フーガのお勉強のための作品」という性格が強いため、基本的事項はやはり知っておいたほうが深く楽しめると思います。各フーガのグループ分けは、つぎのようになります。
a.「主要主題の基本形と転回形による単純フーガ」[4曲]、
b.「変形主要主題による反行フーガ」,
c.「変形主要主題の縮小形・拡大形による反行フーガ」[2曲]、
d.「変形主要主題と新主題による転回対位二重フーガ」[2曲]、
e.「変形主要主題と新主題による三重フーガ」[2曲]、
f.「変形主要主題の鏡像フーガ」[2曲]、
g.「3つの新主題[と主要主題の四重]の三重フーガ」、
h.4つのカノン
2)いろいろなタイプの演奏の音源を聴いてみる:筆者も『フーガの技法』のアルバムはいくつか持っていますが、楽器指定のない作品はとにかくいろいろな演奏形態で聴いてみて、自分だけのお気に入りを見つける、というのが近道のような気がします。
市販されているアルバムには弦楽四重奏版、オルガン独奏版、ピアノ独奏版、クラヴィコード独奏版、金管合奏版…といろいろありますが、毛色の変わったところでは「ヴィオール合奏版」を発表している英国のフレットワークによる演奏などどうでしょうか、以前紹介したブログです。
3)「全曲」この作品は、おそらく公開の演奏会で「全曲」演奏しなければならないものとして作られたわけではなく、「対位法技法の集大成」として後世に残そうとの意図が強く働いた、でも演奏して楽しい作品として書かれたものと思われます。なのでお気に入りのフーガのみ聴くというスタイルもあり。たとえばグレン・グールドがピアノで演奏した音源とか、ヘルムート・ヴァルヒャがみずからの補筆完成版を用いてオルガンで演奏した音源でもよし。また、多少なりとも鍵盤楽器を弾いた経験があれば、ポケットスコアとしてもかんたんに手に入るので一部買って作品を聴きながら眺めてみる、あるいはもっと積極的に自分でも音を出してみる、というのも一興。
べつに発表会ではないのだから、上手いとか下手とか関係なし。じっさいに指を動かしてみて、メインの主題だけでもいいからじっさいに弾いてみることでこの作品をより身近に感じられるようになるのではないかと思います。
つまり、楽しみ方はいろいろ、聴き方も人それぞれでどうぞという、なんとも懐の深い作品が、この『フーガの技法』。とくにグレン・グールドがオルガンで「コントラプンクトゥス9」を弾いた音源は一聴の価値あり!
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記憶にないCDの発見、筆者の持参するCDを整理すると、ヴィンシャマン演奏のフーガの技法発見、演奏はゆったりして静寂の中で楽しむにはうってつけの、バッハ :フーガの技法を見つけた。
BWV 1080 Bach, Johann Sebastian:Die Kunst der Fuge BWV 1080演奏: ヘルムート・ヴィンシャマン、インゴ・ゴリツキ、エグベルト・グッチュ、ザール放送室内管弦楽団、クラウス・ シュルップ他 指揮: カール・リステンパルト、ヴィンシャーマン編による「フーガの技法」は、少なくとも飽きずに聴けるという点ではピカ一だった。
リステンパルトの演奏も、ドイツ人ならではの情熱に溢れ、今聴いても感動的。やはり忘れてはならぬ名演のひとつに違いない。音質的にも良好だ。
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誠に残念ですがヴィンシャーマンのYouTube配信はありません。
1. フーガの技法(ヴィンシャーマン編)
2. フルート,ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調BWV1038
3. 2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ハ長調BWV1037
カール・リステンパル(指揮)1900年1月26日、ドイツの港町キール生まれの指揮者。1967年12月24日リスボンにて没。ベルリンのシュテルン音楽院で学び、ベルリン・オラトリオ合唱団の指揮者として活動を開始する。32年、15名ほどの弦楽奏者を中心にリステンパルト室内管弦楽団を創設し、定期コンサートを開催する。戦後の46年にベルリンRIAS室内管弦楽団と合唱団を組織し、モンテヴェルディからストラヴィンスキーに到る幅広いレパートリーで、演奏と録音を行なう。
50年のバッハ没後200年には、カンタータの連続演奏会を開き、アグネス・ギーベルやフィッシャー=ディースカウらとの親交を得た。53年からザールブリュッケンのザールラント(ザール)室内管弦楽団の指揮者に就任、高い評価を受けた。バッハやモーツァルトの権威のような印象が強いが、ザール放送の番組のために演奏した作曲家は230人を超え、その内の半数は同時代の作曲家であった。この様な演奏です。
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この演奏は、名オーボエ奏者のヘルムート・ヴィンシャーマンの校訂(楽器指定)版によっており、オーボエ属のダブルリードの楽器群のアンサンブルによってこの曲集の中のいくつかが演奏されているが、息の長い少々鄙びた音色の楽器によって演奏されるContrapunctusは、非常に美しい。全体的にテンポが緩やかで、静けさが部屋に満ちるような演奏である。正に静粛の中での音楽を聴くには特に良い曲である。確かにヴィンシャーマンの演奏は時代的に古さは感じるが、あのゆったりした調べはやけにリラックスできる。
改めて違うバッハを見るようである。ブラボー!
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