こ と の 端

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知 の 力 学

2016-06-05 07:55:50 | Weblog
物価の上昇が続く状態

がそこに成り立っているのなら

それがインフレ

という理解を

正しい

とは言えない


インフレの定義は

通貨価値の下落

というその一点にある


物価の上昇はインフレの結果であって

原因ではない

アベノミクスを

薄っぺらな政策

にしていたのは

この根源的な誤りに

誰一人

気づかなかったからなのだ


通貨価値が下落するのは

その通貨発行国に備わっていた信用が失われ

国民の信頼が失われるようになったとき

自国通貨の価値を国民が信じようとしなくなれば

誰もその通貨を欲しがらない

お金がたくさんあったとしても

それは

もっているというだけのことで

時々刻々と

勝手に目減りしてしまい

時の経過と共に

通貨の価値が

減る事象


現金を積み上げても

それは

最終的に

損失の山

となる運命

ならば

さっさと消費に回すか

価値の安定したもの

例えば貴金属や宝飾品

などに振り替えておく

にシクはない


価値を勝手に低下させつづける紙幣を

どんなにたくさん

もっていたとしても

それは損失の種でしかない


もっているだけで価値を失う通貨など

もっている価値がない

通貨の価値が下がるより早く

速やかに使ってしまわなければならない

という状態の出現

をインフレと呼ぶ


勝手に値下がりしてしまう紙幣など

保有している価値そのものがない

消費に回すか

モノに変えておかなければ

資産を失うだけとなる


インフレの時代には

損失を避ける

という点で

消費の昂進が起きるもの

健全なインフレを持続させることが可能なら

生活の質の向上

は約束されたものとなる

戦後の復興期から

バブル経済崩壊以前までの

45年間

日本では

インフラ整備を目的とする公共投資と

輸出産業が牽引する外需依存型の産業構造

そして

賃金の着実な増加を前提

とする終身雇用型の労働形態との相乗効果で

健全なインフレ体質が

底堅く成り立っていた


不健全なインフレだったなら

今日一万円だった紙幣の価値が

明日には5000円へと半減してしまっており

明後日にはそれが五分の一の1000円にまで

更に低下する

という驚異的なハイパーインフレ

へと発展する事態を招く


日本経済の高度成長期というものは

アメリカの資本と日本人がもつ優れた労働資産

とが複利計算的に作用しあうことによって生まれ

アメリカ全土を買収する

ことができるほどの総合資産

を絶頂期に擁するまでに高めたが

国会の不見識から

底流となっていた流動性のダイナミズムを

断ち切ってしまう政策を

訳も分からずに導入してしまい

バブル経済を潰しただけでなく

行為の意味も悟れないまま

茫然自失の態

をつづける不作為の三年と

それにつづく

失われた20年をこの国に与え

国民を苦しめるだけの

粗末な諸対策を

善と信じて連ねさせることとなり

雇用の流動化を急がせて

少子化と高齢化とを進行させ

分母となる成分の数を緩慢に減らし

有効求人倍率を引き上げ

失業率も低下させた

と誇らしげに語る

政権固有の錯誤を呼ぶ

という愚かに過ぎる顛末

を導くに至らしめた


持っているというだけで

時の経過と共に

どんどん

価値が失われる紙幣など

早く使ってしまわなければ

ただ単に

損失の規模を太らせるだけ


50%のインフレ率は

紙幣の価値を半分にし

その翌日には25%へと引き下げる

通貨価値が信用を失うと

このようにして

価値はどんどん勝手に減っていく


アベノミクスが標榜するインフレ率は

僅か2%

たったこれだけの小さなインフレ効果さえ

毎年80兆円ずつ

流動性供給量を増やす

という異次元緩和を実施していながらも

三年たった今に於いてさえ

所期の成果

をまったく引き出せない

というありさま


経済政策に

未解決の課題が残されていると

このように不毛な経過が

次々に訪れるようになる


2%のインフレ目標は

通貨価値の同率の下落を意味し

100円の価値を98円へと引き下げる


円通貨に対する国際的な信用度

が高いため

世界が何らかの異変をかぎつけたなら

円はたちまち世界中から買われて

通貨価値を

引き上げて高める


物価を上昇させただけでは

通貨価値の下落

ということにはならない

そこで円安誘導が必要となり

購買力平価を

80円から125円へと

五割以上も短期間で引き下げた


円安効果で輸出産業は息を吹き返すことができ

利益を急速に膨張させて

貿易黒字を大幅に拡大させた

同じタイミングで原油相場が低迷したことから

国の貿易収支は

急速に改善し

黒字幅の拡大を記録した


輸出産業の利益が増え

株式市場も活況を取り戻し

市場参加者を増やしはしたものの

プロの投資家が相場を形成するようになった市場では

一般投資家を犠牲とする構造が築かれ

意図的な相場の誘導を先鋭化する経過を生み

乱高下を繰り返す

荒れた値動きを日常化させる結果へと繋がった

その犠牲となったのが

官制相場で市場の底上げを図った

公的資金を預かる

大小さまざまな組織から成る

愚かなる投資行為に携わる素人集団


株式市場を主戦場と心得る資本投下は

為替市場をも利益獲得の手段とする

国際金融資本と海外投資家グループ

から成る一団と化した勢力との駆け引きで

官制相場は手もなく崩され

損失の嵩を押し上げるのみ

という哀れむべき身分へと

自ら落ちた


膨大な損失

を計上する決算を強いられる株式相場は

最早経済指標としての役割を失い

マネーゲームで浮利を捻出する組織のための賭場

と既に化している


為替市場と株式市場が連動する関係を構成し

円安で株価を上昇させたあと

高められた株価を引き下げる益出しを行い

収益を本国へと効率的に送金する目的で

為替差益を強引に生じさせる円高へのシフトを

再投資の波で予め誘導しておくことにより

円高効果で株価の下落を正当化させ

株の売却益を投資家へと遺漏なく還元し

演出された円高状況を利用して

値を意図的に低下させておいたドルを

効率よく買い戻し

それによる一時的なドル高を

何度でも延々と繰り返す

ドル安政策は余っているドルを押し付けるだけのこと

買った外貨は投資へと仕向けられ

額得した収益は

外貨高となっているタイミングで

緩やかに売却してドルを買い戻す



株の売却益と為替差益とを

二日間で同時に手に入れる行為を

ビジネスとして

海外市場で展開することで

過剰流動性を見かけ上消し去りながら

投資収益を確定させ

意図的なドル安円高環境を利用して

高値となった円を売って

引き下げられたドルを買い戻す

このようにして

二重の利益を同時に手に入れる

行為を連綿として

国際金融資本の一群が

今も尚続けている


この操作の繰り返し

が1%対99%の対立を際立たせ

北米大陸へと向かう富の潮流にうねりを与え

ドル需要国

つまり石油消費国すべての政府の財政に

強い負の圧力を懸けつづけ

国際経済をデフレ圧力ですっぽりと覆う

現状を与えている


国際政治でテロと難民を量産し

信用で成り立っているドル経済圏に

無用な軋轢を生んだのは

ドルに備わる過剰流動性に起因する

その最終結果


問題の本質は

石油消費国による温暖化の昂進と

決済通貨であるドルの供給国

即ちアメリカの経済を

総ての石油消費国が扶ける

という構造を維持するための枠組みを

形成させてきたことが

現状の手詰まりを

より一層際立たせている


日本の経済失政に直結するアベノミクスで

欲の深い投資家たちが

市場関与を組織的に行い

手持ちの外貨資産を移動させることで

為替相場を特定の方向へ

意図的に誘導し

それに連動する株式相場を操って

あらゆる局面で利益を捻出してきただけでなく

ドルを買い戻す局面でも

利益を上乗せするよう為替相場を

金融資本に予め誘導させておき

乖離幅を広げることで

国家に為替介入するよう

間接的に強いている

為替操作の圧力源は

ドル需要国の側にではなく

ドル供給国の側にこそあったのだ


止まらない温暖化は

石油消費国の総てと

ドル供給国であるアメリカ

そしてその手先機関としてのドル資本

現在の国際金融資本

が新設の通貨であるユーロまでもを

自在に操ることを可能ならしめ

国際経済の潤滑剤として

機能する仕組みを設えていた


富裕となったごく一部の階級と

それ以外の

アメリカを含むすべての市場参加国とが

一様に貧困化せざるを得なくなり

財政規律を損なって

付加価値税を闇雲に引き揚げ

国民から可処分所得を取り上げて

消費市場を矮小化する結果を引き出した

ドル経済圏に於けるすべての経済事案は

このように密接不可分の関係

で強く結びつけられている


機軸通貨というものが

ドルという名のアメリカのローカル通貨

である限り

政治経済の反応場に懸かっているバイアスは

消えるどころか反対に増悪する

どの国家にも属さない中立で中性の通貨

を導入することが将来もできないのであれば

ドル経済圏の拡大と止まらない温暖化

そして

それによる貧困の蔓延の影響で

文明を待ち受けている未来は

強い淘汰圧に支配されたものとなる


これを避けるためには

地下資源を前提としない

未来型のエネルギーがどうしても必要なのだ


エネルギーコストがゼロ

という国家の登場は

その他の国家すべてを相対化させ

経済的繁栄に

大いなる差をつける

この未来型のエネルギーを活用すれば

核の廃絶は

可能


軍縮競争も引き起こす

思考力を失わせてきた高等教育が

テロと貧困

そして環境異変という

解決不能な変化を

この地表へと導いた


学力があっても

思考力を活用することができないのなら

一切の価値は

ない

知識のインフレーションは

思考力の劣化となって顕在化する

問題の本質を見ようとしなければ

有効解との遭遇は

おきない

法則のもつ本来の意味

を知るためには

思考力と集中力との関与

がなによりも必要なこと
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