予測されたことなのですが、ガソリンスタンド数激減のニュースが気になります。
色々な見解があるようですが、SSが儲からないという風潮が世の中に蔓延していることは事実ですね。
理由としては、地下タンクの施設老朽化問題だけでなくエコカーの普及と小型化による減販、
さらに慢性的な販売価格競争の継続による収益性の悪化なども取り上げられています。
「SSビジネスは儲からない。」という風潮が世の中と石油業界に蔓延しているように感じます。
しかし、どんな商売でも世の中から消えてしまう事はないわけで、
特にガソリンスタンドの激減がこれだけ多くメディアで取り上げられているということは、
それだけ、消費者ニーズも強いことから社会問題化しつつあるということだとも思います。
世の中に絶対必要な業種なのに、撤退したり、廃業する方が多いということ。
減販や価格競争が主な要因で将来性に乏しいビジネスだと位置づけられているのは残念です。
しかし、最近ではその責任は、リテールまで含めた石油業界全体の体質にもあると思います。
基本的に変化を嫌い、当面の課題は「仕切り情報」だけといった視点の経営者が多いのがSS業界石油業界の特性でもあります。
特に業務改善やシステム改善などの点においても積極的な進取先行の気風は薄いと感じます。
これまで、系列に与えられた「ガソリンを売る」という事が中心のビジネスモデルで「余計なことはするな」といった風潮があったことも事実です。
そして、店頭での『待ちのビジネス』に慣れすぎたという傾向もあったと思います。
これまで、独自の工夫が少なかったことから、変化しないことが安全なのだと考えてきた経営者も多いようです。
ですから、「リスク回避」をすることが「最大のリスク」なのだということを認識していない経営者が多すぎるということでしょう。
人と変わったことをすると批判されたり、スポイルされるのがこれまでの石油業界の実態だともいえます。
昔の石油業界用語で「協定」という言葉がありました。
GHQや官に規制されていた戦後の統制の時代の流れを引きづった言葉です。
『赤信号、皆で渡れば怖くない。』といったところなのでしょうか。
しかし、現在それが一番怖いわけです。
システム屋としての立場で考えても、SS業界は変化を嫌う傾向が強いと感じています。
OSの進化やIT環境の変化により可能となったことでも、
今までの流れをシステム的にそのままに引きずったり、
そのまま置き換えるような無駄を繰り返す不合理な企業が多いのも石油業界の実態なのです。
世の中の変化に対応できない、古い体質の「名門企業」が今でも多く存在しているわけですが、
特に、中堅といわれる企業にも多くみられます。
そんな企業が、元売り販社化、または淘汰の予備軍として業界に星の数ほど存在しています。
今後は、そんな企業の閉鎖や淘汰が開始されるはずですから、SS数はさらに減少することも予測されます。
今回は、地下タンク問題などで物理的に廃業を余儀なくされる零細企業が多いわけですが、
これからは、業界病に冒された老衰型の淘汰が増えてくるのかもしれません。
老化した業態、老化した企業、そして老化した施設、
経営者の頭まで老化しているケースも多いわけですから本当に大変です。
安定した消費量がある、絶対に必要なビジネスなのに・・・、
ガソリンスタンドが減少する時代です。
やはり、「変化と試練が人と企業を強くする。」ということだと思います。