小学校に入るまでは薪で焚いたお風呂に入っていました。
今のように毎日、一日おき、二日おきなんてありえない時代でした。
水色のタイル張りで3つ上の姉とよく入っていました。
たまに薪の中に栗を入れて焼き栗をします。これがまた美味しい。
こげた皮の中から黄色い身だけを取り出し大事そうに食べていました。
夏には使っていない浴槽に水を入れてスイカを入れて冷やした事もありました。
いつものように姉とふたり、お風呂に入ろうとしました。
先に浴槽に入ろうとした私はお湯ではなくまだ水風呂だとわかり、半べそ状態。
もう泣きじゃくりながら水風呂から出ました。
ぬるま湯なら我慢出来ますが本当にただの水風呂だったのです。
薪の火が消えていたのが原因でした。
その頃の事を思い出すとまるで夢のように思えてきます。
いつのまにか姉は病気になっていました。
ある事件をきっかけにお互いに会うことを遠慮するようにと言われました。
本当は会いたい、話したい、ご飯も一緒に食べたい。
無言電話も度々あり、自分は勇気が無くもがき苦しみました。
あれから3年目の冬に入ります。
同じ頃、PC教室に通っていた事を身内から知らされ、姉妹だなぁと思いました。
誤解が誤解を呼びみんなバラバラになりました。
知らない内に巻き込まれ、今もわだかまりは消えていません。
いつの日か、天に召されるまでにこのわだかまりは消えるのだろうか?
今も夢心地のようで信じられません。
薪で焚く浴槽は同じ敷地内に家を建て直し、なくなりました。
その立て直した家から姉より早く嫁いだ私は、
いつでも帰れる「場所」だと思っていました。
他県に移り住んだ時も寂しくて手紙を何通も書きました。
達筆の姉は私のつたない手紙を読んで「文章うまいよ」と褒めてもくれました。
絵もマンガも姉の物をいつも真似て覚えました。
日記も盗み見しました。
歯ぎしリをして翌朝、怒られもしました。
いろんな思い出が涙で消えてしまいそうです。
現実を受け止められない私は今も勇気が無く逃避行を続けています。
まだ白黒だった頃の写真。
同じおさげ髪、同じセーターを着て二人一緒に並んで写っていました。
変わらないのはこの写真一枚だけ……となりました。