青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

マイ・ホームタウン・トレイン

2018年05月20日 20時48分55秒 | 東武鉄道

(タヌキの焼き物がお出迎え…@東武伊勢崎線茂林寺前駅)

この週末は、東武鉄道で長年に亘り活躍していた1800系(1819編成)がラストランを迎えるという事で、この話が出てからぜひどっかで撮りたい撮りたいと思っていました。但しこのラストラン列車、東武動物公園から伊勢崎線沿線をミステリーツアー的に回って最終的には浅草に辿り着くという行路のはっきりしない列車だったんで、どこで抑えていいものやらが全く見当がつかず。加えて東武沿線の撮影地など門外漢ですから、「とりあえず東武動物公園以北に行って考える」事にしたのですが…家から子供と2時間半かけてやって来て、途中下車したのは茂林寺前駅。館林の一つ手前の駅です。


多分もう二度と使わない可能性が高い駅(笑)を降りて、麦畑の中を歩く我々親子連れ。ロケハンは地図で見て決めたのだけど、伊勢崎線は羽生から利根川を渡って館林まで、ここだけ完全に南北に線路が走ってて光線が良さそうと言うのがまず一番。地図で見ると、駅間には見通しの利きそうな田園地帯があってアングル組みやすそうというのが二番。そして、スマホで調べたら駅前にセブンイレブンがあって食料の調達がしやすそうというのが三番目の理由であった。辿り着いたのは駅から歩いて10分程度の、小さな川の土手っぷち。雰囲気としてはワシクリっぽい。


土手から線路を見ると、屋敷森を割ってすっきりと田園地帯の築堤上に線路が伸びているいかにも関東平野らしい素直なアングル。踏切ぎわにかぶりついている先客若干名…といったところですが、そこまでギュウギュウに長タマで圧縮するつもりもないので若干開き気味の位置に。この区間、日中は特急りょうもうと館林ローカル(久喜~館林間の普通電車)くらいしか来ないので、車両のバリエーションは多いとは言えません。ただ、東武撮るのも久しぶりなのでね。来るものは抑えて行くというスタンス。


遠くに見える山は赤城だろうか。欲を言えば、築堤下の田園に水が入っていればなお良かったな。東武動物公園から羽生の辺りは田んぼに水が入って田植えをしてたので、こっちも期待してたんだけど。利根川渡って群馬に入ったらどこの田んぼにも全く水が張ってない。周囲には麦畑が目立つので、二毛作とかやってるのだろうか?そう言えば館林ってうどんの有名な町でしたよね。加須とか舘林とか、うどんの店が多くて有名ですものね。


現行の特急りょうもう。浅草から舘林・足利市・太田を通って桐生線の赤城までを結んでいます。東毛地区の中小都市をターゲットにしたビジネスユースの色濃い列車です。太田市と言えば中島飛行機からのスバルの大工場とかあったりしますし、カルソニックカンセイの工場だとか自動車系強いよね。ブラジルとか海外から来た工員がいっぱい住み着いてて、独自の文化を作っているのも東毛地区の特徴ですかねえ。ちなみに私は桐生競艇のナイターの帰りに何回か使いましたw


我々が着いたころには3~4人だった撮影地も、1800系のラストラン列車の通過時間が近づくにつれ人が増え、人が増え、人が増えて最終的には30人程度がここで構えることになりました。たぶんかなりのガチ勢が来てたんでしょうけど、アングルの組み方もお互い見事というかね。「これあなたの三脚?じゃ構えていただけますか?あ。そんな感じですか?じゃ私後ろからハイアンで抜いちゃいますので」みたいなやり取りを、人が来るたびにやるのなんてアタクシにはどうやら無理っぽい(笑)。しかし面からカブリ付きたい連中は平気で踏切の柵の中に三脚立てるのね…。正直アウトな位置から撮ってる人間もいて、通過電車からビービー警笛鳴らされてもお構いなしというのは厚顔無恥と言うか何というか。最初は子供と並んで手持ちで撮ってたんだけど、あまりにもみんな我々に接近して三脚を立てるもんだからこっちがアングルから離れてしまったよ。子供がチョロチョロして、アングル固めてる三脚にでも当たったら絶対トラブるもん…


熱気とちょっとした殺伐感を孕んで14時半過ぎ、屋敷森の向こうからスカーレットの車体が築堤に姿を現した。正直なところ東武沿線に住んでた事もなく、そこまでゆかりのある列車じゃないですけど、まあ我々世代の関東私鉄の特急列車と言えば小田急のロマンスカーに始まって西武のレッドアロー、京成はマルーンとベージュのAE型スカイライナー、そして東武と言えばDRC(デラックスロマンスカー)のけごん・きぬにスカーレットの急行りょうもうというラインナップでありましてね。小学生の頃、ヤマケイハンドブックスで飽きるほど眺めた鉄道車両のうちの一つである事は間違いありません。1800系の中間車のダブルパンタをしっかり抜きたかったので、個人的にはこのアングルで大正解。


居並ぶ撮り鉄から少し離れて立っていた我々親子に、何事があったのかとビックリして話しかけてきた散歩中のおばあちゃん。かくかくしかじか理由を話すと「ああ、あの赤い電車がねえ」と言って、ひとしきり昔話をしてくれた。赤い電車に乗って浅草へ出掛け、松屋デパートでショッピングを楽しみ、雷門をブラブラして、レストランで食事をするのが家族の一年に何回かだけの贅沢な時間だったこと。「東京って言っても、新宿や銀座なんか行かなかったわ」と語るおばあちゃん。群馬の片田舎から眩しく見えた東京とは、浅草の事だったんだろうね。

東毛地区の人々の思いを乗せて、半世紀に亘って走り続けたホームタウントレイン1800系。
あの頃の「急行りょうもう」が、惜別のヘッドマークも誇らしく、青い空の下を駆け抜けて行きました。
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果てしない喪失感

2018年05月17日 19時53分41秒 | 日常
ヒデキが逝ってしまった。

正直、色んな著名人の方とか、スポーツ選手とか、芸能人の方とかの訃報に触れて来たんだけども、今までで一番ショックかもしれないねえ。脳梗塞に倒れてから、色々大変なのは伝わって来てはいたんだけど、それでもあのエンターテインメント感あふれるパワフルなステージと、あの歌声がもう二度と聞けなくなると思うと…果てしない喪失感があります。病に倒れてからもう十数年が過ぎていたとは言え、63歳でしょ。若過ぎるよね。

彼の歌唱とそのパフォーマンスについては、5年前のこのブログに書き記した通り。「不謹慎だけどこのままヒデキが復活する事なく老いさらばえて亡くなってしまう前に、ヒデキの素晴らしさはもう一回くらいは語っておいたほうがいい」なんてその時は書いてますけど、まさかこんなに早くその時が来るなんて思いもしませんでしたね。今日の昼に訃報に触れたその時から、何となくぽっかりと心に穴が開いたような気がしていて、帰り道にiPhoneで全盛期のヒデキの歌唱を聞いていたら、ダメでしたねえ。もうこんなに色っぽくて存在感のあるシンガーは、こんなにもカッコいいボーカリストは出てこないんだろうなあという思いに、いよいよもって昭和が遠くなった気がしました。

青空よ心を伝えてよ
悲しみはあまりにも大きい
青空よ遠い人に伝えて
さよならと

阿久さん、安井さん、三木さん、ヒデキがそっちに行ったよ。
ありったけ書き溜めたであろう彼らの新譜で、これからも天国に響く歌声を聞かせて欲しいと思います。
どうか安らかにお休みくださいますよう。
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いつもあなたのそばに

2018年05月16日 21時43分38秒 | 小田急電鉄

(サービス券付きですよ@箱根そば)

先日箱根そばに入ったら、キャンペーンかなんかでクーポン券を貰った。使わないのがもったいないので、先週は一週間ずーっと箱根そばを食っていた。出先から帰る時、ちょっと小腹が空いている時に鼻をくすぐるそばつゆの香り、ついフラフラと誘われてしまうよね。元々立ち食いそばって好きなんだけど、基本的に撮り鉄なんかしているとあんまメシ食ってる暇なんかないから、余計に重宝するよね。


だいたいかき揚げ天そばを食うのが定番なんだけど、暑くなってきたのでざるそばにかき揚げトッピングなど。むかーしはそばもノビノビの茹で麺で、天ぷらなんかも揚げ置きだったけど、色々と改良されてだいぶ美味しくなったと思う。ちなみにコロッケ券もあったんでかけそばにコロッケトッピングもやったんだけど、何で箱そばのコロッケそばに乗ってるコロッケってカレー味なん?自分は普通のコロッケの方が好きなので、こういう機会でもないとまず頼まないんだが。


冷やしトロロにサービス券で大盛り。超ブルジョワ。冷やしにすると濃い目&甘めのツユの味が立ってよりうめーんだ。やっぱ箱そばはこのツユの味がキモだよなあ。立ち食いそば屋ってのは時間のない時にズルズルっとかっ込む食い物なので、ツユが強い味じゃないと食った気がしない。ちなみに大学の時に真面目に箱根そばでバイトでもしてみようかなと思った事があるのだが、水仕事だし立ち仕事だしキツイよね、という事で電鉄本体の方へ行ってしまった。ただ、バイトしていた四年間もずーっと箱そばにはお世話になっていて、特に寒さ極まる冬の朝、早番を上がってバイト仲間と食べるけんちんそば(冬季限定)とか、冷えた体にホッとする思いがしたものです。


箱根そばと言えば、自分の原点は向ケ丘遊園の下りホームにあったカウンターだけの店。今はなくなっちゃったけどね。父親と出掛けた帰り道、各停本厚木行きを待つまでの僅かな時間。家に帰れば夕飯はあるのだけど、やっぱりホームに漂うそばつゆの香りに誘われて暖簾をくぐる。色違いのプラ板の食券を握りしめてカウンターに立ち、親子で食べた箱根そばの味。急行箱根湯本・片瀬江ノ島行きが2400系HE+非冷房4000系とかそういう時代ですよ。分割案内板AとBの時代ですよ。

最近はホームにある店が少なくなっていて、残ってるのって相模大野くらいじゃないでしょうか。湘南台とかもなくなっちゃったしな。あと、昔の箱根そばってコロッケそばコロッケ2つ乗ってませんでしたか?カレー味と普通のと。誰か教えてプリーズ。
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撮り鉄好日

2018年05月15日 17時00分00秒 | 小田急電鉄

(どちらが好み?@渋沢~新松田間)

馬小屋脇の川音川の鉄橋。小さな堰を飛沫をあげて流れる清流と、小田急線らしい黄色と青の低いガーター橋を渡って行くロマンスカーの姿は、定番ながらも安定の構図。「馬小屋脇」と言っているのは、このポイントの河原に降りる際に馬小屋(厩舎)の脇を通って行くので勝手にそう呼んでいるだけなんだけど、聞けば近隣の乗馬クラブや遊園地に乗馬用のサラやポニーを卸している畜産業者さんなんだとか。橋のたもとに見える赤い厩舎を横目に、LSEがやって来ました。


この日の四十八瀬界隈、GWとあってか多数の撮影者がおり、おそらく遠征の記念撮影勢も絡んで大盛況となりました。馬小屋脇でこんなに撮影者がいることが信じられないのだが、それだけ注目を集めているLSEのラストイヤー。撮影者が多いという事はそれだけアングルに制約が出る訳で、それならそれでこういう構図。撮り鉄には「この日に出かけないでどうする!」という日が年に何日かはあるけれど、確かにこの日はお天気も、運用も、山の色も、光線も、何もかも揃った「撮り鉄好日」とも言うべき日ではありました。

LSEが正式に引退をするまで、おそらくこのフィーバーは続くのでしょうね。
撮り鉄が増えて来ると絶対的にトラブルが起こるので、気持ち良く送り出してやれるようにしたいものですな。
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今日、ロマンスカーで

2018年05月12日 17時00分00秒 | 小田急電鉄

(新緑に冴える赤@渋沢~新松田間)

3月にデビューしたGSEも、何となく撮り慣れてきたかなという頃合い。撮っていて思うのが、あんまり正面がちに撮っては面白みがなくて、どちらかと言えば側面から見た造形の方がカッコ良く見える。ロマンスカーのCMの舞台にもなった川音川の馬小屋ポイント、寄(やどりき)から流れて来る中津川を合わせ、四十八瀬川はここから川音川となって松田市街で酒匂川に合流します。


サイドから鮮烈に冴えるその赤色を愉しむ。チェックメイト俯瞰に続く山を入れ込んだら、河原の灌木が車体を隠してしまった。灌木の間をするりと抜けて、GSEが箱根へ向かいます。「あなたはいま どの空を 見ているの…」で始まる小田急ロマンスカーのあのCM、差し挟まれるロマンスカーの映像は渋沢~新松田で撮られているものが多い。


清流に足を浸しながら見上げるMSE、もう季節は初夏の趣。CMのテーマソングである「ロマンスをもう一度」、歌い手がシーズンによってもコロコロ変わるのですが、葛谷洋子さんという方が歌っている初代のボサノバパターンが好み。今年の春は複々線完成によるダイヤ改正とGSEのデビューで結構CM打ってましたよね。

鉄道会社のCMとしては落ち着いた作りで、目立つタレントも起用しないロマンスカーのCMなんですけど、毎年季節ごとに作られていて目を引く。テレビで流れると、何となく手を止めて見てしまうんだよなあ。
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