司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

登記原因証明情報(根抵当権と会社分割)

2005-04-03 23:39:23 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 新会社法では、吸収分割について
「株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。」(新会社法第2条第29号)
と定義される。

 関係整備法で民法の一部改正もなされるが、改正後の第398条の10は次のとおり。

 (根抵当権者又は債務者の会社分割)
第398条の10 元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。
2 元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。
3 前条第3項から第5項までの規定は、前2項の場合について準用する。

 確定前の根抵当権に関して、根抵当権者が会社分割を行った場合の根抵当権一部移転登記申請に際しての登記原因証明情報として、民法の規定と通達をベースにすると、会社分割を証する履歴事項証明書で足りると私は考えるが、別に分割契約書又は分割計画書の内容を証する書面の添付を要するという考え方もあり、登記実務において意見の一致を見ていない(大阪は前者、東京は後者)。

 しかし、新会社法下においても結局、民法第398条の10の規定が存置されるということは、根抵当権の取扱に関しては従来どおりということではないのだろうか?
 上記改正後の条文もやはり法律上当然の準共有と読める。別段の定めを重視して登記原因証明情報の内容としなければならないというのであれば、この規定を削除すべきであろう。削除せずに存置するのであれば、但書として「但し、分割計画書又は分割契約書に別段の定めがあるときはこの限りでない。」と付け加えるべき。
 当初の「通達」を維持しつつ、省略を認めた「通知」を発したため、登記原因証明情報との整合性が図れなくなってしまったものである。
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