司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

政令で定める公益通報者保護法の対象法律(案)

2004-12-24 16:50:00 | 消費者問題
 内閣府国民生活局が 政令で定める公益通報者保護法の対象法律(案)に対する御意見の募集 中である。平成17年1月31日まで。

 司法書士法も対象法律(165)に挙がっている。通報されないようにしなければ(^^)。
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堤義明氏の居宅、38年間未登記 相続税対策か

2004-12-24 12:12:05 | 司法書士(改正不動産登記法等)
堤義明氏の居宅、38年間未登記 相続税対策か (朝日新聞) - goo ニュース

 不動産登記には物理的現況に関する表示登記と権利に関する登記の二種類があるが、本件で問題となっているのは表示登記の方である。

現行不動産登記法
第93条第1項  建物ヲ新築シタルトキハ所有者ハ一个月内ニ建物ノ表示ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス
第159条ノ2  第八十条第一項若クハ第三項、第八十一条第一項若クハ第三項、第八十一条ノ八第一項、第九十三条第一項若クハ第三項、第九十三条ノ四ノ二第一項、第二項若クハ第五項、第九十三条ノ五第一項若クハ第三項又ハ第九十三条ノ十一ノ規定ニ依ル申請ヲ為スベキ義務アル者其申請ヲ怠リタルトキハ十万円以下ノ過料ニ処ス
cf. 改正不動産登記法第47条第1項、同第136条

 上記のとおり建物を新築したときは、1か月以内に表示登記を申請する義務がある(保存登記の義務はない。)とされている。しかし、融資絡みで担保権設定の必要があるときは前提として権利に関する保存登記を行う必要があるので、表示登記も当然なされるが、そういった事情がなければ、保存登記はおろか表示登記すらなされないことが多い。数十年立ってから表示、保存登記を経ることがあるが、過料が科されることは現実にはないようだ。固定資産税は、表示登記の有無に関わらず、現況に基づいて課税されている。したがって、やや騒ぎ過ぎの感。

 ちなみに、JR京都駅ビルは表示登記はなされているが、保存登記はなされていない。法律上の義務は遵守したが、不要不急の保存登記は登録免許税(数億円規模)を節約する意味もあって行わなかったもの。同駅前地下街ポルタも登記の対象ということで登記されている。
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匿名 anonymity

2004-12-23 00:05:03 | いろいろ
 先日、このブログを見たという学生から質問メールが届いた。「立命館大学の1回生」とだけあり、氏名不詳であったので、「私なりの回答をするについてはやぶさかではありませんが、こういう質問をなさるのでしたら、せめて氏名を顕かにして下さい。」と返信したところ、無しのつぶて。故川端康成は、不躾にコメントを求めて自宅を訪れた記者に対して、「私は、文筆を業としている。その私に向かって無料でコメントしろとはなにごとだ!」と叱りつけた、とかいう逸話がある。同じ旨のことをいうつもりは毛頭ないが、教えを乞うのであればきちんと名乗るべきであろう。猫も杓子もブログ、ブログと大流行であるが、実名を表に出しているものは数えるほどである。単なるお遊びが大半であるから、それはそれで目くじらを立てるつもりはないが、DMで教えを乞うのに名乗ることすらできないとは、非常識も極まれり!携帯にせよ、メールにせよ、便利である反面、匿名のまま相手の領域に闖入することが可能な時代がもたらした野放図さである。法学部の学生らしい彼(彼女?)に敢えて苦言を呈したい。
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「個人情報保護法と金融実務」

2004-12-22 15:01:42 | 消費者問題
弁護士浅井弘章著「個人情報保護法と金融実務」(きんざい)

 平成17年4月1日施行予定の個人情報保護法への金融機関の実務対応について論じたもの。元は旬刊金融法務事情の連載稿。著者は金融実務に精通した弁護士であり、実務上の問題点を多角的に検討した上で、私論も交えた解決策を積極的に示しており、平板な解説書が多い中で出色の好著である。不動産担保という面から金融実務の一翼を担っている司法書士にとっても有益。「センシティブ情報」や「異業種等との業務提携時の留意点」は特に興味深い論点である。
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国技館禁煙訴訟の顛末

2004-12-22 10:10:00 | いろいろ
 神奈川県小田原市の司法書士野田順一さんが、自ら提起され国技館を禁煙に導いた訴訟の顛末を 国技館禁煙訴訟について で公開されている。

cf. 6月13日付「たばこ訴訟」

 京都司法書士会館にも先日ようやく「分煙」機器が導入された。以前京都地方法務局本局(既に全館禁煙)に置かれていたものと同じタイプ。
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不動産登記規則案の修正案

2004-12-21 18:35:00 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 法務省では、「不動産登記事務手続準則(案)」の作成作業中だそうだ。

 その作業中に、「規則(案)」に整理すべき部分、誤記等が散見されたということで、日司連から各単位会に「規則(案)」の修正箇所について連絡が届いた。

 但し、法務省HPには修正案をアップしないとのこと。
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改正信託業法は平成16年12月30日施行

2004-12-21 12:59:28 | 会社法(改正商法等)
 先般成立した改正信託業法は、本日の閣議決定で平成16年12月30日施行となるようだ。通常国会での成立が見送りとなり、臨時国会での成立となったために、経済界からの早期施行の要請が強く、スピード施行となった模様。

cf. 信託業法要綱案
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督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください

2004-12-21 09:43:45 | 消費者問題
 法務省HPに 督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください がアップされている。対応がやや遅い感もあるが、それだけ事例が増えているということか。債務者(?)が放置すると債務名義を取得できるので、一見頭脳犯のようにもみえる。しかし、訴訟費用等それなりにコストがかかる反面、特に「少額訴訟」の場合はもちろん訴額が金60万円以下であり、振り込め詐欺と比してリターンが低いので逆に赤字ではないかと思うのだが。

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日経株主代表訴訟が和解

2004-12-21 00:06:11 | 会社法(改正商法等)
日経株主代表訴訟が和解 懲戒解雇の元部長、復職へ (朝日新聞) - goo ニュース

 大塚氏は、復職し、関連のシンクタンクに出向・転籍するとのこと。復職が認められる法的効果として、解雇されてから復職するまでの間も労働契約関係が存続していたものとして、大塚氏には解雇期間中の賃金請求権が認められることになる。本来はその上で退職金の支給を受けて退職、というのが双方円満だと思うが、本件では関連会社に出向・転籍らしい。関連会社とはいえ、居心地はよくないと思うが。

 株主代表訴訟に関しては、会社法制の現代化において、興銀事件や大和銀行事件の反省を踏まえ(?)、次のような改正がなされる予定である。


株式交換・株式移転による原告適格の喪失の見直し等
イ 完全子会社となる会社につき係属中の株主代表訴訟の原告が、株式交換・株式移転により完全子会社となる会社の株主たる地位を喪失する場合であっても、当該株式交換・株式移転により完全親会社となる会社の株主となるときは、当該原告は、当該株主代表訴訟の原告適格を喪失しないものとする。
ロ 合併の消滅会社につき係属中の株主代表訴訟の原告が、合併により消滅金社の株主たる地位を喪失する場合であっても、当該合併により存続会社の株主となるときは、当該原告は、当該株主代表訴訟の原告適格を喪失しないものとする。
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「地域+品名」も商標登録可能に 特許庁検討

2004-12-20 17:10:26 | 会社法(改正商法等)
「地域+品名」も商標登録可能に 特許庁検討 (朝日新聞) - goo ニュース

 「商標として認めるのはその地域で中心となっている生産者団体が申請した場合」に限るようだが、「登録できる生産者団体の条件や、団体に入っていない地域内の生産者との関係をどうするか」など問題は多い。実現は難しいように思うが。

 会社の設立に際して、類似商号の調査を行うことは常識的だが、登録商標の調査というのが意外に盲点である。会社法制の現代化において、類似商号の規制も廃止されるので、今後は商標の調査も重要視されるようになるであろうが。
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類型別会社訴訟シリーズ③(判例タイムズ)

2004-12-20 10:20:00 | 会社法(改正商法等)
 判例タイムズ1156号(2004年10月15日号)から開始された連載。会社訴訟事件等を取り扱う商事専門部である東京地裁民事第8部の裁判官及び書記官が、実務上の問題点をQ&A方式でまとめたもの。会社訴訟は地裁の専属管轄とされ(商法第88条の準用)、司法書士には代理権はないが、商業登記を扱う上で「問い合せ」を受けることも多く、当然押さえておくべき分野である。

 第3回(1162号)では、「取締役の地位に関する登記請求訴訟」が取上げられている。会社の取締役を退任(辞任・解任・任期満了等)したにもかかわらず、取締役の退任登記がなされず、会社の取締役として公示されたままの状態になっている者、あるいは、会社の取締役でないにもかかわらず就任登記がされている者や、取締役を退任していないにもかかわらず退任登記がされている者など、自分について不実の登記がされている者は、会社を被告として所要の登記手続を請求することができる。第3回はそのような登記請求訴訟に関してであり、司法書士にとってはきわめて密接な問題である。小会社における商法特例法第24条の適用の有無も重要。
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商業登記オンライン申請~対応バージョン変更のお知らせ~

2004-12-19 18:50:39 | 会社法(改正商法等)
法務省オンライン申請のご案内 新着情報に、「JREのセキュリティホール公開に伴う対応バージョン変更のお知らせ(平成16年12月17日)」が登場している。

 この「新着情報」はまめにチェックの要あり。
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「会社法制の現代化に関する要綱案」解説会

2004-12-19 15:41:55 | 会社法(改正商法等)
 社団法人商事法務研究会主催の「会社法制の現代化に関する要綱案」会員解説会が下記のとおり開催される。江頭、森本両教授ともに現代化部会のメンバー(江頭教授は部会長。)である。なお、要綱案は、旬刊商事法務No.1717(2004年12月15日号)に掲載されている。


●東京会場●
 日 時 平成17年1月18日(火)午後2時~4時
 講 師 江頭憲治郎東京大学教授
 会 場 よみうりホール(千代田区有楽町1-11-1)  
 定 員 600名(申込順)
 申込先 商事法務研究会 会員管理部
 FAX:03-5643-7186 電子メール:junkan2@shojihomu.or.jp

●大阪会場●
 日 時 平成17年1月19日(水)午後2時~4時
 講 師 森本滋京都大学教授
 会 場 大阪会館ホール(大阪市中央区本町4-1-52)
 定 員 200名(申込順)
 申込先 商事法務研究会 大阪事務所
 FAX:06-6231-4030 電子メール:osaka@shojihomu.or.jp
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西武鉄道、取締役会を7年間開催せず

2004-12-19 12:30:00 | 会社法(改正商法等)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004121800068&genre=B1&area=Z10

 先般上場廃止となった西武鉄道が、7年間も取締役会を開催していなかったそうだ。個人事業者同然の中小零細企業ならともかく、上場会社では通常考えられない、を通り越して不可解な話である。

 先般まとめられた「会社法制の現代化に関する要綱案」において、取締役会の書面決議が認められるが、代表取締役等による取締役会への定期的な業務執行状況の報告に関する取締役会(商法第260条第4項)については、現に開催することを要するものとされる方向である。


現行商法
第二百六十条  取締役会ハ会社ノ業務執行ヲ決シ取締役ノ職務ノ執行ヲ監督ス
2 取締役会ハ左ノ事項其ノ他ノ重要ナル業務執行ニ付テハ取締役ニ決セシムルコトヲ得ズ
 一  重要ナル財産ノ処分及譲受
 二  多額ノ借財
 三  支配人其ノ他ノ重要ナル使用人ノ選任及解任
 四  支店其ノ他ノ重要ナル組織ノ設置、変更及廃止
3 左ニ掲グル取締役ハ会社ノ業務ヲ執行ス
 一  代表取締役
 二  代表取締役以外ノ取締役ニシテ取締役会ノ決議ニ依リ会社ノ業務ヲ執行スル取締役ニ指名セラレ其ノ指名ヲ受諾シタルモノ
4 前項ノ取締役ハ三月ニ一回以上業務ノ執行ノ状況ヲ取締役会ニ報告スルコトヲ要ス
5 第三項ノ取締役以外ノ取締役ニシテ会社ノ業務ヲ執行シタルモノハ第百八十八条第二項第七号ノ二ノ規定ノ適用ニ付テハ会社又ハ子会社ノ業務ヲ執行スル取締役ト看做ス
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敷金問題で画期的な大阪高裁判決

2004-12-18 11:53:53 | 消費者問題
 賃貸住宅の敷金返還裁判で大阪高裁は、修繕費を一方的に借主に負担させる契約は、「消費者契約法に反し無効」とする、(高裁レベルでは)全国初の画期的な判決を下した。京都敷金・保証金弁護団の皆さん(私も一員だが、幽霊化している。)の入魂の賜物。


cf. 毎日放送ニュース  ※ 文中「木村哲郎弁護士」は「木内哲郎弁護士」の誤り。
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