司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

規制改革会議の答申と「不動産登記」

2017-05-24 18:10:50 | 不動産登記法その他
規制改革会議
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170523/agenda.html


 規制改革会議が「規制改革推進に関する第1次答申」をまとめている。

 不動産登記に関するものは,以下のとおりである(41頁以下)。司法書士界としても,速やかに,提言していかなければなりませんね。


エ 不動産登記のデータ整備(相続登記の促進)
【a:平成29年度上期措置、b:平成29年度措置、c:平成29年度検討開始、結論を得た事項につき措置】
 不動産登記簿が土地所有者を把握するための実質的な情報源となっているにもかかわらず、相続登記の未了等により所有者情報が実際のものとかい離しており、土地所有者が把握できないため、地方自治体の業務及び民間開発に支障が生じている。不動産登記の実体とのかい離状況を把握し、不動産登記制度の在り方について見直すべきとの指摘がある。またマイナンバーの利用が検討されている戸籍との連携など、相続登記の促進に向けた制度整備を早急に検討すべきとの指摘がある。
 したがって、以下の措置を講ずる。
a 不動産登記上の所有者と実体上の所有者とのかい離状況を把握するため、相続登記未了のおそれのある土地がどの程度あるかなどについて調査し、その結果を公表する。
b 相続登記の必要性について意識を高めるために、法定相続情報証明制度を利用する相続人に対し、相続登記のメリットや放置することのデメリットを登記官が説明するなど相続登記を促進するための働きかけを行う仕組みを構築する。
c 相続登記が長期にわたり未了となっている土地の解消に向けて、死亡情報・相続人情報も含め土地所有者情報を把握すべく、マイナンバーの利用が検討されている戸籍との連携など制度改正を含めて具体的施策を検討し、結論を得た事項につき、必要な措置を講ずる。

オ 不動産登記情報の公開の在り方
【平成29年度検討開始、平成30年度結論】
 不動産登記については、有料で提供されている。これに対し、オープンデータ推進の観点で、無償公開を含め、よりオープンに情報を提供すべきとの指摘がある。また、土地所有者情報など一定の情報について、データの整備と公開を進めることにより、不動産市場の活性化などを図るべきとの指摘もある。
 したがって、不動産データにおける登記情報の重要性に鑑み、個人情報保護に留意した上で、国民の利便性向上の観点から、情報範囲を限定した無償公開の可否も含めて登記情報の公開の在り方について検討し、所要の見直しを行う。

カ 不動産登記情報等の行政機関間連携
【平成29年度検討・結論】
 不動産登記簿が土地所有者を把握するための実質的な情報源となっており、行政機関への提供については、現状USB等の媒体を用いて情報提供を行っているためセキュリティ面に問題があり、また提供側・受領側双方において負担が大きいと考えられる。また、行政業務の効率化及び土地の適正な管理の観点から、土地所有者などの一定の情報については、効率的・実効的に共有する仕組みを整備した上で、不動産市場の活性化に向けてオープンデータの推進を検討すべきとの指摘がある。
 したがって、以下の措置を講ずる。
a 不動産登記情報システム、農地台帳、林地台帳、固定資産課税台帳、不動産情報データベースなどの各種台帳等における所有者情報などに関し、それぞれの行政機関間で効率的に活用する仕組みを構築する。
b 上記の各種台帳等の情報連携により、最新の所有者情報などをより的確に蓄積し、これを行政機関内で共有し、さらに一定範囲でオープンに利用できる仕組みについて、その構築のための政府としての推進体制を決定する。
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ワンセグ機能付き携帯電話所有者のNHKとの放送受信契約締結義務

2017-05-24 15:27:33 | 消費者問題
ワンセグ機能付き携帯電話所有者のNHKとの放送受信契約締結義務
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201705_1.html

 さいたま地裁平成28年8月26日判決は,「ワンセグ機能付き携帯電話の所有者が、同携帯電話は、一定の場所に設置しておらず携帯しているに過ぎないから、放送法64条1項本文の「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しない等と主張して、NHKとの間に放送受信契約締結義務が存在しないことの確認を求めた事例」において,「放送法では「設置」と「携帯」が区別されていることから、「設置」には「携帯」を含まないと解して、携帯電話を携帯するに過ぎない者は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当しない」と判断し,請求を認容した。
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減らない原状回復のトラブル相談

2017-05-24 09:03:56 | 消費者問題
全国賃貸住宅新聞
http://www.zenchin.com/news/2017/05/post-3317.php

「独立行政法人国民生活センター(神奈川県相模原市)への取材で、賃貸住宅の敷金や原状回復に関する消費者からの相談件数が10年以上前から改善していない事実が判明した」(上掲記事)

 最高裁判決以降,なんとなく収まった感があったが,そうでもないようだ。
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国土交通書「空き家対策の推進のための新規制度等に係る説明会」資料

2017-05-24 06:54:07 | 空き家問題&所有者不明土地問題
空き家対策の推進のための新規制度等に係る説明会について by 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000053.html

 平成29年5月16日開催の説明会資料である。
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正しく役員変更登記されてますか?

2017-05-23 17:28:57 | 会社法(改正商法等)
正しく役員変更登記されてますか? by 日司連
http://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/kikan/39805/

「経営者の皆様!法務担当者様! 会社の登記のこと,日常の経営問題や法務のこと,司法書士に相談してみませんか。」
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日弁連,「空家等対策の推進に関する特別措置法」施行1年を経ての全国実態調査結果

2017-05-23 17:24:20 | 空き家問題&所有者不明土地問題
「空家等対策の推進に関する特別措置法」施行1年を経ての全国実態調査結果 by 日弁連
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/statistics/questionnaire#questionnaire_05

 とりあえず。
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外国人のための「日本で不動産を購入するためのQ&A」(英文)

2017-05-23 17:05:30 | 不動産登記法その他
Q&A on the Purchase of Real Estate in Japan(日本で不動産を購入するためのQ&A)by 日司連
http://www.shiho-shoshi.or.jp/html/global/pdf/Q&A%20on%20the%20Purchase%20of%20Real%20Estate%20in%20Japan.pdf

 英文のパンフレット。日本語訳は,月報司法書士2017年5月号を御参照ください。
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外国人のための「日本で会社を設立するためのQ&A」(英文)

2017-05-23 17:03:18 | 会社法(改正商法等)
Q&A on Setting Up a Company in Japan(日本で会社を設立するためのQ&A)by 日司連
http://www.shiho-shoshi.or.jp/html/global/pdf/Q&A%20on%20Setting%20Up%20a%20Company%20in%20Japan.pdf

 英文のパンフレット。日本語訳は,月報司法書士2017年5月号を御参照ください。
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イギリスの裁判における当事者支援制度であるマッケンジー・フレンド

2017-05-23 16:22:23 | 民事訴訟等
 月報司法書士2017年5月号の表紙裏面に,リポート「シンガポールにおける『Mckenzie Friends』(Friends of Litigant-in-Person Singapore)制度の視察」が掲載されている。

 司法書士総合研究所の司法・司法書士制度研究部会の研究員の方々が,「イギリスの裁判における当事者支援制度であるマッケンジー・フレンドに由来を持った類似の制度を導入しているシンガポールに対して,その情報を収集するため視察を行った」そうである。

 初耳の制度であるが,次の論稿が参考になりそうである。

cf. 菅富美枝「訴訟における自律の実現-訴訟の個人的契機と社会的契機の連関-」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsl1951/2005/63/2005_63_112/_pdf
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上場企業の「相談役」や「顧問」に関する情報の開示

2017-05-23 14:37:20 | 会社法(改正商法等)
NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170520/k10010988991000.html

日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC22H05_S7A520C1EE8000/

「具体的には、東京証券取引所が上場企業に提出を義務づけている企業統治に関する報告書の中に、相談役や顧問の業務内容や報酬、それに常勤・非常勤などの情報を記入する項目を新たに設けます。情報の開示は義務づけはしないものの、企業が「非開示」としたことがわかるような仕組みを検討します。」(上掲NHK記事)

 「院政」や「天下り」に対する批判が強まっていることから,会社法の枠外の「相談役」や「顧問」にメスを入れようとするものである。
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要件事実マニュアル(第5版)第1巻~第5巻

2017-05-23 14:02:03 | 民事訴訟等
岡口基一著「要件事実マニュアル(第5版)第1巻~第5巻」(ぎょうせい)
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9255

 改訂版(第5版)が全5巻出揃いました。お薦め。
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商業・法人登記申請における「法定相続情報一覧図の写し」の取扱い

2017-05-22 19:34:55 | 会社法(改正商法等)
商業・法人登記申請における「法定相続情報一覧図の写し」の取扱いについて by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00107.html

「「不動産登記規則の一部を改正する省令」(平成29年法務省令第20号)が平成29年5月29日から施行されます。
 この省令による不動産登記規則の改正に伴い,同日以降,商業・法人登記申請において,相続を証する書面又は役員等の死亡を証する書面を添付する必要がある場合には,従来の戸除籍謄抄本等に代えて,登記官の認証文が付された法定相続情報一覧図の写しを添付することができるようになります。」

cf. 平成29年5月19日付け「法定相続情報証明制度の新設に係る不動産登記規則の一部改正に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通知)」
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法定相続情報証明制度の新設に係る不動産登記規則の一部改正に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通知)

2017-05-19 13:00:09 | 会社法(改正商法等)
 「不動産登記規則の一部改正に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通知)」(平成29年5月18日付け法務省民商第84号法務省民事局商事課長通知)が発出されている。


「不動産登記規則の一部を改正する省令(平成29年法務省令第20号)による改正後の不動産登記規則第247条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写しについては,商業・法人登記申請の添付書面のうち,「相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した書面」及び「役員等の死亡を証する書面」として取り扱うことができ,申請人から添付した法定相続情報一覧図の写しの原本還付の請求があった場合においても,不動産登記通達第2の2と同様の取扱いとする。」

 平成29年5月29日以降の取扱いである。

 穏当ですね。

cf. 平成29年4月21日付け「法定相続情報証明制度に関する不動産登記通達の補遺(10)」
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法定相続情報証明制度の新設に係る不動産登記規則の一部改正に伴う供託事務の取扱いについて(通知)

2017-05-19 12:50:53 | 会社法(改正商法等)
「不動産登記規則の一部改正に伴う供託事務の取扱いについて(通知)」(平成29年5月17日付け法務省民商第83号法務省民事局商事課長通知)が発出されている。

「不動産登記規則の一部を改正する省令(平成29年法務省令第20号)による改正後の不動産登記規則第247条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写しについては,相続人が供託物払渡請求をする場合に添付すべき書面のうち,「相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した書面」として取り扱うことができ,請求者から添付した法定相続情報一覧図の写しの原本還付の請求があった場合においても,不動産登記通達第2の2と同様の取扱いとする。」

 平成29年5月29日以降の取扱いである。
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会社法第22条第2項の免責の登記の抹消

2017-05-19 11:55:54 | 会社法(改正商法等)
 会社法第22条第2項の免責の登記については,下記の書籍でも取り上げているところである。

編著「会社分割の理論・実務と書式(第6版)」(民事法研究会)2013年1月刊
http://www.minjiho.com/shop/shopdetail.html?brandcode=020000000001&search=%B2%F1%BC%D2%CA%AC%B3%E4%A4%CE%CD%FD%CF%C0&sort=

編著「事業譲渡の理論・実務と書式(第2版)」(民事法研究会)2011年8月刊
http://www.minjiho.com/shop/shopdetail.html?brandcode=020000000003&search=%BB%F6%B6%C8%BE%F9%C5%CF%A4%CE%CD%FD%CF%C0&sort=


 ところで,この登記がお役目を果たしたので,そろそろ抹消したいという話が浮上したとしたら・・・。

 正直なところ,深く考えたことがなかったのであるが,現行法上は,抹消の登記はすることができないという取扱いである。


商業登記法
 (抹消の申請)
第134条 登記が次の各号のいずれかに該当するときは、当事者は、その登記の抹消を申請することができる。
 一 第24条第1号から第3号まで又は第5号に掲げる事由があること。
 二 登記された事項につき無効の原因があること。ただし、訴えをもつてのみその無効を主張することができる場合を除く。
2 第132条第2項の規定は、前項第2号の場合に準用する。

 (職権抹消)
第135条 登記官は、登記が前条第1項各号のいずれかに該当することを発見したときは、登記をした者に、一月をこえない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨を通知しなければならない。
2 登記官は、登記をした者の住所又は居所が知れないときは、前項の通知に代え官報で公告しなければならない。
3 登記官は、官報のほか相当と認める新聞紙に同一の公告を掲載することができる。


 商業登記法第134条第1項各号は,限定列挙であると解されている。すなわち,それ以外の理由による抹消の登記はすることができないということになる。

 果たして,それでいいのか?

 会社法第22条第1項の「事業によって生じた債務」については,単に企業取引を通じて生じた債務のみならず,事業上の活動に関連して発生したすべての債務を意味し,取引上の債務やその不履行による損害賠償債務はもちろん,事業上の不法行為に基づく損害賠償債務(最一小判昭和29・10・7民集8巻10号1795頁〔27003126〕)をも含むものと一般に解されている(江頭憲治郎・中村直人編著「論点体系会社法1」(第一法規)75頁)。

 とすると,各別の通知(会社法第22条第2項後段)をしない限り,それなりの長期にわたって「公示」する必要があるわけであるが,以後,会社が存続する限り,永久に登記によって公示し続ける必要性があるとは思われない。

 5年なり,10年なり,一定の期間が経過した後,会社の判断で,そろそろ抹消したいということを認めることについて,合理性はあると思われるのだが,どうだろうか?

 もちろん,一定の期間,登記によって公示しているので,抹消後も免責の効果は維持されるということでよいと思われる。
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