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NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

江戸の段階的養育法 <九つ言葉>

2010年05月03日 | 江戸
今日は、子育てしぐさの「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つ言葉、文(ふみ)十二、理(ことわり)十五で末決まる」のうち、「九つ言葉」についてです。

三歳までに頭と体を結び付ける心の糸をうまく張らせて、六歳までに心の糸をスムーズに動かす方法を躾たら、次は数え年の九歳までに、どんな人とも失礼なくあいさつができるように育てたそうです。

商家の子であれば、九歳になったら「さようで御座います」などと、大人の言葉や世辞が言えて、人とのコミュニケーションがとれるようになる必要がありました。世辞とは、おべんちゃらのことではなく、人間関係を円滑にする社交辞令、付き合い上の応対のことばを指します。例えば、「こんにちは」のあとに「今日はいいお天気ですね」と続け、「その後、お母上お体の具合はいかがですか」など、相手を思いやる言葉が続くことをいいます。

江戸商人の才覚や将来性は、ほとんどこの時期に決まったといわれます。現代に比べて、ずいぶん早いと思われるかも知れませんが、どうもそうではないようです。

サッカー指導者の間ではよく知られているスキャモンの発育発達曲線というのをご存じでしょうか。1930年にスキャモンという学者によって発表された理論で、現在の少年少女サッカー指導法の理論的根拠になっているものです。

スキャモンの発育発達曲線は、ヒトの成長を一般系(骨や筋肉の発達)、神経系、リンパ系、生殖系の4つに分類し、これらがヒトが大人になるまでの間に一様に成長するわけではなく、それぞれの発達する時期が違うということを説明しています。

神経系については、9歳~12歳頃になると発達がほぼ完成に近づきますので、あらゆる物事を短時間で覚えることのできる「即座の習得」を備えた時期(ゴールデンエイジ)と呼ばれ、サッカーに必要なあらゆるスキル獲得に最適な時期として位置づけています。

こうしたスキル獲得は新たな神経回路の形成ですから、8歳頃までをプレゴールデンエイジ、13歳頃以降をポストゴールデンエイジと称して、神経の発達段階に応じた指導法を確立しています。

江戸の商人たちも、子どもにゴールデンエイジがあることを経験則として理解しており、成長段階に応じた養育法を確立したのではないでしょうか。

(To Be Continued)

*記述の一部は、NPO法人江戸しぐさ理事長越川禮子さんの著書を参照させていただきました。
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