NPOな人

NPOの現状や日々の雑感などを徒然なるままにお伝えします。

45センチの世界

2010年05月16日 | 日記
毎週日曜日の朝は、定期的に水槽の水換えをしています。水槽と言っても幅45センチの小型のものなので、そんなに手間はかかりません。





以前は、90センチ幅の水槽が3本あって、淡水魚や海水魚を色々と飼っていたのですが、1台200キロ以上も重量があるので管理が大変なことや、ヒーターに使う電気代のことでカミさんに怒られたりしましたので、徐々に戦線を縮小してきました。

今は、エンゼルフィッシュと水槽のお掃除屋さんのコリドラスが数匹入っているだけですから、アンモニアから亜硝酸、そして硝酸塩へというバクテリアによる濾過も順調で、水質は安定しており病気なども出ない状態が続いています。

それでも、45センチの中には45センチなりの世界があって、同じ時期に稚魚を入れた二匹のゴールデンエンゼルフィッシュは、お互いの力関係から成長度合いが全く違ってしまい、今では親子のようになってしまいました。





これは水槽の中だけのことではなく、地球上に暮らす人間にも当てはまることだと思いますが、45センチの世界からでも学ぶことは沢山あるんですよね。
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NPOスタートアップ講座を開催

2010年05月15日 | NPO
昨晩は、藤沢市市民活動推進センターで開催されたNPOスタートアップ講座のお手伝いをしてきました。この講座は、藤沢市生涯学習大学かわせみ学園のカリキュラムの一つに位置付けられているもので、NPOについての入門から設立、運営、実務までを8回シリーズで学ぶものです。

20名ほどの受講生は皆さん社会人で、NPOがどのような存在なのかという基礎を知りたい方、これまで企業で培ってきた経験をNPOの運営に関わることで社会に還元したいと思っている方、既にNPO活動に携わっているがレベルアップのための理論武装の機会にしようとしている方など様々です。





昨日は、NPOの概念整理、社会における役割、NPOの設立と運営など基礎的なことから、新たな展開に向けての考え方まで、NPOの概要を理解していただけるような内容の話をさせていただきましたが、受講生の皆さんの熱心な目線を受けていると、1997年の2月から3月にかけて、日本NPOセンターが開催した「NPO塾・第1期基礎講座」を受講したときのことが頭に浮かんできました。

前年の11月に設立されたばかりの日本NPOセンターの最初の行事ともいえるこの講座には、新幹線で駆けつけた方などを含めて50名余りが参加していました。主催者側の「ともかく多くの人にNPOの社会的な意味や重要性を知ってもらいたい。」という熱い思いは、NPOに対して大きな期待を寄せる受講生の真剣な姿勢と呼応し、東京駅北口の八重洲東海ビルの会議室は異常な熱気に包まれていました。

あれから15年が経過し、NPOの社会的な認知も進み、政府が主催する「新しい公共円卓会議」において、日本社会の目指すべき方向性やそれを実現させる制度・政策の在り方などについて議論される時代になりましたが、地域社会には依然として多くの課題や問題が存在し、日々それに立ち向かっているNPOの運営が厳しいという現状は続いています。

世の中を大きく動かすことは一朝一夕には叶いませんが、だからと言って手をこまねいているわけにもいきません。社会変革の核となるであろうNPOが地域社会に増えること目指して、微力ながらお役に立てればと思いながら話をさせていただきました。
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第50回二宮町商工会通常総代会

2010年05月14日 | 二宮町商工会の紹介
昨日は、商工会の総代会を開催しました。総代会は、定款や規約の設定、役員の選任、事業計画及び収支予算の決定など、商工会を運営するうえで重要な事項について意思決定する機関で、一般的には総会といわれているものに相当します。二宮町商工会では、会員の中から地区と業種ごとに102名の方が総代として選ばれています。

冒頭に鈴木会長から、「リーマンショックから持ち直しの動き見られる日本経済だが、ギリシャの信用不安の影響がどのように現れるのか懸念している。」「厳しい経済情勢の中ではあるが、二宮町商工会は創立50周年という節目の年を迎えるので、地域が元気になるような事業を企画、実施したい。」という趣旨のあいさつがありました。





議長を選出し議事に入りましたが、平成21年度の事業報告と収支決算、平成22年度の事業計画と収支予算など、お陰様で提出したすべての議案について承認をいただくことができました。





総代会が終了した後に、来賓から祝辞をいただきましたが、坂本二宮町長の「厳しい時であるが、希望と情熱を持って挑戦し続けていけば必ず良い時代がくるので、頑張っていこう。」という言葉に参加者は大いに勇気づけられました。

第2部の懇親会は、参加者の皆さんが熱心に情報交換をするなど、和気あいあいの交流の場となりました。





無事に総代会が終了し、いよいよ本年度事業を本格的に動かすことができるようになりました。特に、創立50周年記念事業については、多くの町民の方も参加できるような企画を練っていますので、請うご期待です。
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アイスプラント

2010年05月13日 | 地域情報・まちづくり
5月8日(土)に二宮町梅沢海岸で行われた「海の朝市」には、漁業協同組合のほかに地元の事業者さんの出店がありました。その中で、はなまる農園さんが珍しい野菜を販売していましたので、ご紹介したいと思います。

はなまる農園さんの販売所は小田原市にありますが、野菜は二宮町で育てています。当日は、アイスプラントや黄色いカブ、イタリアンレタスなど、まだ市場にはあまり出回っていない野菜をお持ちになりました。





アイスプラントは、南アフリカ原産の多肉植物で、海水と同程度の塩化ナトリウム水溶液でも水耕栽培が可能という変わった性質をもっています。その名のとおり、葉や茎の表面にキラキラと氷のように光る細胞がついていますが、この中に吸収したミネラル分やリンゴ酸が含まれているようです。食べてみると、薄い塩味と酸味がする不思議な野菜です。





黄色いカブはヨーロッパから種を取り寄せているとのことですが、火を通すと甘みが出て美味しい味になります。





はなまる農園は、こうした付加価値の高い野菜をホテルやレストランと契約栽培することにより安定的な経営を目指しているとのことですが、安売り競争とは一線を画した経営方針は、デフレ対策としても参考になる点が多いと感じました。
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MUFFIN MUFFIN

2010年05月12日 | 地域情報・まちづくり
昨日のブログで、横浜ウォーカー(5月11日発売号)の西湘スイーツ特集で「パティスリー サン・マロー」が取材されていることをお伝えしましたが、二宮町からもう一軒「MUFFIN MUFFIN(マフィン マフィン)」が紹介されています。





MUFFIN MUFFINは、アメリカンマフィンの専門店です。チェーン店では、横浜にミセスエリザベスマフィンやシーノウズマフィンがありますが、個店でマフィン専門店というのはあまり見かけないですよね。





店内の棚には、チョコバナナやフレッシュベリー、メープルミルクなどのスイーツ系、大根葉ベーコンやドライカレー、豆乳ひじきなどの食事系、その他にも季節・期間限定品など20種類ほどのマフィンが並びます。







オーナーの小峯毅さんと妹さんが手作りした美味しいマフィンをぜひお試しください。と言っても、保存料や合成着色料を使用していませんので、買ってから24時間以内に食べてくださいね。

お店はJR二宮駅北口から歩いて7分ほど、二宮町商工会と県道秦野二宮線を隔てた向かい側にありますが、詳しくは同店のHPをご参照ください。
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サン・マロー 横浜ウォーカーに再登場!

2010年05月11日 | 地域情報・まちづくり
今朝は、キヨスクに直行しました。お目当ては、今日発売の横浜ウォーカーです。2月16日発売号でクマカロンが紹介されて大ブレイク中の「パティスリー サン・マロー」が特集記事で再登場しました。サン・マローは、3月12日4月20日のブログで紹介しましたが、今回は特集記事に併せて再度ご紹介したいと思います。

特集のテーマは、「西湘スイーツがブレイク中です!」、「西湘に現れた期待の新星! 2トップはこの2店」という見出しで、武田利秋シェフのサン・マロー(二宮町)と深瀬恵一シェフのエスペランス(大井町)が見開きで紹介されていました。





記事の中でお二人は、「同じ年齢ということもあるし、一緒に企画などもしたいですね。(武田)」、「お互いに刺激し合って西湘スイーツを盛り上げていきたいですね。((深瀬)」とエールを交換しています。







昨日のブログで紹介した山小屋さんもサン・マローのファンで、「同じ町に頑張っている仲間がいると、私たちも元気が出ます。こうしたお店が増えて、町が活性化されるといいですね。」と仰っていました。

商店街を昔の姿に復活させることは難しいかも知れませんが、元気な個店が次々と現れれば、町全体が活性化するはずです。そうした目標に向かって、二宮町商工会もできる限りのお手伝いをしたいと思います。
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二宮版・アイスクリームの日

2010年05月10日 | 地域情報・まちづくり
昨日(5月9日)は、アイスクリームの日でした。明治2年5月9日に、町田房蔵という人が横浜の馬車通りに開いた氷水店で、日本最初のアイスクリームといわれている「あいすくりん」を製造・販売したことに由来しているそうです。

二宮町には、そんなことには全く関わりなく、今日(5月10日)をアイスクリームの日と決めているお店があります。JR二宮駅南口から歩いて3分、不動通りの「山小屋」は、その名のとおり山小屋風の造り、ジャズが流れる落ち着いた雰囲気の中で食事と喫茶が楽しめるお店です。





私も、ときどき美味しいランチを食べに行きますが、今日はテーブルに変わった案内があるのを見つけました。曰く、「山小屋では、毎月第2月曜日を山小屋アイスの日と何の根拠もなく決めました」、好きですね、こういうアバウトなところ。





とても仲が良いご夫婦にお聞きすると、何種類もあるアイスクリームを選ぶのに迷っているお客さんから、「色々な種類を少しずつ食べたい」という要望があり、それに応えるために始めた企画とのことです。







ひゃー! すごいです。
バニラ、チョコレート、洋なし、かぼちゃ、抹茶、あずき、マロンミルク、ロイヤルミルクティーがテンコ盛りです。

実は、オリジナルパフェもお薦めです。
何種類か用意しているアイスクリーム、フルーツ、ソース、トッピングを、それぞれお客さんの好みで組み合わせてくれるのです。

アイスクリームがお好きな方、ぜひ二宮町までお越しください。
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えっ、彼女が博士に!

2010年05月09日 | NPO
数日前に、びっくりするような手紙がとどきました。

「謹啓
薫風の候、ますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
○○大学大学院△△科博士後期課程在籍中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。5年間にわたり進めてまいりました研究成果を、博士論文にまとめ提出し、このたび○○大学より博士の学位を授与されることができました、ここにご報告し、ご協力・ご支援に厚く感謝を申し上げます。・・・」

彼女と始めて会ったのは、十数年前でしょうか。地域で子どもを支援する活動などしていた専業主婦でした。行政の市民活動支援センターの運営に関わるうちに、NPO研究に目覚めて大学院に入ったのですが、まさか博士号を取得するまでになるとは正直考えてもいませんでした。

がんばりましたね。本当に嬉しいです。

彼女の研究対象は、日本の地域エリアで長期的に活動してきた自然環境保全分野の市民活動団体です。アンケート調査で全国的傾向を把握し、5地域の事例研究をもとに、地域に根差した活動の歴史をたどり、その社会的意義と長期継続要因を考察したものです。

私の知人で、NPO関連の研究で博士号を取得したのは、これで3人目です。皆さん、NPOの運営に関わることはもとより、行政や企業についても精通している方ばかりです。

政府では「新しい公共円卓会議」を主催し、これからの日本社会の目指すべき方向性やそれを実現させる制度・政策の在り方などについて議論を行っていますが、政策を具体化する段階では、彼等のように複数のセクターを知るNPO研究者が重要な役割を担うものと考えています。

更なる活躍を心から期待しています。
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二宮町梅沢海岸の「海の朝市」

2010年05月08日 | 地域情報・まちづくり
今朝は、早起きしてリニューアル初日を迎えた二宮町梅沢海岸の「海の朝市」に行ってきました。と言っても、毎朝5時にはワンコと散歩をしているんですがね。


朝早くから来たお客さんのために体験地引網が行われていました。



今日は、地引網のお魚さんはお休みのようで、残念!



販売開始と同時に大勢のお客さんが、朝獲れの魚を買い求めます。



ゆめむすびさんも、イカめしで参戦です。



今日は、無農薬の野菜の販売もありました。



漁師鍋の振舞いもあり、お客さんたちは大満足です。




二宮町梅沢海岸の「海の朝市」は、これから11月まで開催されますので、ぜひお越しください。

開催日   5月~11月の第2・第4土曜日
開催時間 午前8時から(魚の整理券は午前7時より配布)
場 所    二宮町梅沢海岸
問合せ先 二宮町漁業協同組合 TEL 0463-71-1006
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吾妻山・つつじ情報(その2)

2010年05月07日 | 地域情報・まちづくり
今朝は、二宮町商工会に出勤する前に吾妻山に登ってきました。4月の天候不順の影響でツツジの開花が遅れていましたが、このところの好天で満開になりました。吾妻山の西側斜面のツツジ園は、赤と白のじゅうたんを敷きつめたような美しさです。









ツツジを鑑賞した後には、吾妻山に二つあるお社巡りがお勧めです。

<吾妻神社>
展望台の南斜面にある吾妻神社は、地元梅沢の氏神で弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)を祀っています。





「日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征の時、三浦半島の走水から海路、 上総へ渡ろうとすると、突如として暴風が起こり、船もろとも海中に沈む かと思われました。その時妻の弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)は 夫に代わって海の神の怒りを鎮め、夫の武運を祈るため海に身を投じると たちまち海は静まりました。
その後、海辺に流れ着いた櫛を吾妻山山頂に埋め、ありし日の命を偲び ました。その場所が吾妻神社だと伝えられています。(二宮町のHPより)」


<浅間神社>
ツツジ園の上段にある浅間神社は、二宮町上町地区の祭神で、木花咲耶媛(このはなさくやひめ)を祀っています。





「木花咲耶媛はその名のとおり、咲く花の匂うような美女で、良縁を得られたので縁結びの神様として信仰されています。
今からおよそ八百年の昔、源頼朝が富士の巻狩りを催した時、曽我兄弟は父の仇、工藤祐経を討取りました。この時、二宮の花月尼はその成功を富士浅間神社に祈りました。
後、花月尼は大願成就に感謝の意をこめて、自分の住いの前のこの山上に、浅間神社を祀ったといわれています。(浅間神社の境内掲示より)」

吾妻山のツツジは、今が見頃です。ぜひ、お出掛けください。
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「海の朝市」がリニューアル

2010年05月06日 | 地域情報・まちづくり
二宮町の梅沢海岸では、5月から11月までの間、毎月第2・第4土曜日に「海の朝市」を開催します。第1回目となる5月8日には、新鮮な魚のほかにも野菜や地場の特産品などを直売いたします。

また、来場者向けに海の幸鍋のサービスや体験地引網など、大人も子供も楽しめるイベントを企画していますので、ご家族お揃いでお出掛けください。

開催日   5月~11月の第2・第4土曜日
開催時間 午前8時から(魚の整理券は午前7時より配布)
場 所    二宮町梅沢海岸
問合せ先 二宮町漁業協同組合 TEL 0463-71-1006


昨年のさかなの朝市の様子です。(二宮町HPより転載)





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江戸の段階的養育法 <理(ことわり)十五で末決まる>

2010年05月05日 | 江戸
今日は、子育てしぐさの「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つ言葉、文(ふみ)十二、理(ことわり)十五で末決まる」の最後で、「理(ことわり)十五で末決まる」についてです。

理(ことわり)とは、物事の正しい筋道のことであり、人として行うべき正しい道のことで、数え年の十五歳にもなると、森羅万象に対する理解が深まってきます。この年齢になると、子どもの将来性を見抜き、適材適所に振り分けていくのが、寺子屋の師匠や江戸講の講師の務めであったそうです。

「親は苦をする 子は楽をする 孫は乞食をする」という諺があります。初代は多くの苦労を積み重ねて商売を拡げるが、その子の代になると守りに入り、孫の代になると家業のやり方も知らずに、ついには家を潰してしまう例が多いという意味ですが、大店(おおだな)ともなればそんなことを言ってはいられません。

江戸の商家では、跡取りが決まってからも更に厳しく商人道を学ばせましたが、現在の三越・三井グループの前身である三井越後屋には、次のような後継者育成方法が家訓として遺されています。

「同族の小児は一定の年限内に於ては、他の店員と同一の生活待遇をなし、番頭、手代の下に労苦せしめて、決して主人たるの待遇をなさしめざるべし。」

「己れ其道に通ざれば他を率ゐる能はず、宜しく子弟をして小僧の執るべき事務を習熟せしめ、漸(ぜん)を追うて其奥に達する時は、支店に代勤して実地に当らしむ可(べ)し。」

一族の子どもは店に出して実務を覚えさせるという現場重視の考え方ですが、三井家では明治になるまでこれを守っていたそうです。現代にも通用するOJTによる人材育成プログラムが、すでに江戸時代に行われていたのですね。

*記述の一部は、NPO法人江戸しぐさ理事長越川禮子さんの著書を参照させていただきました。
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江戸の段階的教育法 <文(ふみ)十二>

2010年05月04日 | 江戸
今日は、子育てしぐさの「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つ言葉、文(ふみ)十二、理(ことわり)十五で末決まる」のうち、「文(ふみ)十二」についてです。

江戸時代の商家には、万一、主がなくなっても跡取りがすぐに代行できるという用意周到さが求められました。そのため、数え年の十二歳になる頃には主の代書ができるようにします。注文書や請求書はもとより、季節の挨拶状、苦情があったときの詫び状など、商売に必要なことは一通り書けるようにしたそうです。

しかしながら、商人は日々の商いがあるため、子どもに読み書き算盤などを教える暇がありませんでした。それを担っていたのは、民間による教育機関である寺子屋(手習い)です。数え年の七歳か八歳の初午に入門し、十二歳か十三歳で卒業しますが、その間に礼儀作法をはじめ、読み書き算盤などを学びます。

幕末の慶応年間には、全国で1万を超える寺子屋が授業をしており、江戸の市中だけでも1200~1300くらいの寺子屋があったといわれます。また、寺子屋用の教科書も信じられないほど種類が多く、商業用語を集めた「商売往来」、農業用語を教える「百姓往来」、地名や地理を教える「東海道往来」「国尽(くにづくし)」など実物が残っているだけでも、七千種類もあるそうです。

このように教育熱心であった江戸時代の日本では、庶民の就学率、識字率はともに世界最高水準に達しており、福沢諭吉が「通俗国権論(明治十一年)」の中で、「凡そ国の人口を平均して、字を知る者の多寡を西洋諸国に比較しなば、我日本を以て世界一等と称するも可なり」と書いているほどです。

(To Be Continued)

*記述の一部は、NPO法人江戸しぐさ理事長越川禮子さんの著書を参照させていただきました。
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江戸の段階的養育法 <九つ言葉>

2010年05月03日 | 江戸
今日は、子育てしぐさの「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つ言葉、文(ふみ)十二、理(ことわり)十五で末決まる」のうち、「九つ言葉」についてです。

三歳までに頭と体を結び付ける心の糸をうまく張らせて、六歳までに心の糸をスムーズに動かす方法を躾たら、次は数え年の九歳までに、どんな人とも失礼なくあいさつができるように育てたそうです。

商家の子であれば、九歳になったら「さようで御座います」などと、大人の言葉や世辞が言えて、人とのコミュニケーションがとれるようになる必要がありました。世辞とは、おべんちゃらのことではなく、人間関係を円滑にする社交辞令、付き合い上の応対のことばを指します。例えば、「こんにちは」のあとに「今日はいいお天気ですね」と続け、「その後、お母上お体の具合はいかがですか」など、相手を思いやる言葉が続くことをいいます。

江戸商人の才覚や将来性は、ほとんどこの時期に決まったといわれます。現代に比べて、ずいぶん早いと思われるかも知れませんが、どうもそうではないようです。

サッカー指導者の間ではよく知られているスキャモンの発育発達曲線というのをご存じでしょうか。1930年にスキャモンという学者によって発表された理論で、現在の少年少女サッカー指導法の理論的根拠になっているものです。

スキャモンの発育発達曲線は、ヒトの成長を一般系(骨や筋肉の発達)、神経系、リンパ系、生殖系の4つに分類し、これらがヒトが大人になるまでの間に一様に成長するわけではなく、それぞれの発達する時期が違うということを説明しています。

神経系については、9歳~12歳頃になると発達がほぼ完成に近づきますので、あらゆる物事を短時間で覚えることのできる「即座の習得」を備えた時期(ゴールデンエイジ)と呼ばれ、サッカーに必要なあらゆるスキル獲得に最適な時期として位置づけています。

こうしたスキル獲得は新たな神経回路の形成ですから、8歳頃までをプレゴールデンエイジ、13歳頃以降をポストゴールデンエイジと称して、神経の発達段階に応じた指導法を確立しています。

江戸の商人たちも、子どもにゴールデンエイジがあることを経験則として理解しており、成長段階に応じた養育法を確立したのではないでしょうか。

(To Be Continued)

*記述の一部は、NPO法人江戸しぐさ理事長越川禮子さんの著書を参照させていただきました。
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江戸の段階的養育法 <六つ躾(しつけ)>

2010年05月02日 | 江戸
今日は、子育てしぐさの「三つ心、六つ躾(しつけ)、九つ言葉、文(ふみ)十二、理(ことわり)十五で末決まる」のうち、「六つ躾」についてのお話です。

数え年の三歳までに、頭と体を結び付ける心の糸をうまく張れたら、次は六歳までに、体と頭を結ぶ糸をスムーズに動かす方法を手取り足とり真似させます。お箸の使い方、服の着方、履物の脱ぎ方など、日常的な躾は六つまでにすべきというのが、「六つ躾」です。

これはエデュケーションではなく、トレーニングです。教えるものではなく、親や大人がすることを、ひたすら真似させるのです。子どもはトレーニングを繰り返すことによって、上手に美しい身のこなしができるようになります。

あいさつの仕方、迷惑をかけないしぐさ、親切な対応など、瞬時に出るように繰り返し行わせて、自然にそのしぐさが出るようにさせます。子どもは、寄り道や回り道をしながらも善悪を体認していくのです。

話は代わりますが、二宮町商工会の会長は福島県の出身です。一緒にお酒を飲むと、よく会津藩の「什(じゅう)の誓い」のことを口にします。会津藩では、藩士の子息が六歳になると、住んでいる区域ごとに什という子どもたちの組に入り、什の誓いというものを毎朝復唱していたそうです。

一 年長者のいうことに背いてはなりませぬ。
二 年長者には御辞儀をしなければなりませぬ
三 虚言(うそ)をいうてはなりませぬ。
四 卑怯なふるまいをしてはなりませぬ。
五 弱い者をいじめてはなりませぬ。
六 戸外で物を食べてはなりませぬ。
七 戸外で婦人とことばを交わしてはなりませぬ。
ならぬことはならぬものです

武士の子息の躾のためのものですから、さすがに時代錯誤の部分もありますので、会津若松市では現代版の什の誓い「あいづっこ宣言」を策定し、青少年の健全育成に取り組んでいます。

一 人をいたわります
二 ありがとうごめんなさいを言います
三 がまんをします
四 卑怯なふるまいをしません
五 会津を誇り年上を敬います
六 夢に向かってがんばります
やってはならぬ やらねばならぬ ならぬことはならぬものです

NPO法人江戸しぐさでも、2008年から「平成しぐさ・ふるさとしぐさコンクール」を実施しています。これは、江戸の人たちが育んできた人間関係を円満にする考え方や行動様式に、時代感覚にあった内容を盛り込んでいこうと実施しているものです。

今年も夏休み期間中に、お互いが気持ちよく過ごすための「平成しぐさ」、ふるさとに伝わる心あたたまる「ふるさとしぐさ」を募集する予定です。応募の詳細が決まりましたら、このブログでもお知らせしたいと思います。

(To Be Continued)

*記述の一部は、NPO法人江戸しぐさ理事長越川禮子さんの著書を参照させていただきました。
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