バブルへGO!

2010-08-19 13:42:42 | 雑感
4月~6月期のGDPで中国が日本を遂に抜き,世界第2位の経済規模となったニュースが世界中を駆け巡っている。1月期~6月期通算ではまだ日本が世界第2位であるが,通年では逆転されると見られている。もし逆転すれば,日本が西ドイツを抜いて世界第2位に浮上して以来,40数年ぶりの逆転劇となる模様。

もっとも人口で10倍の規模を誇るため,一人当たりGDPで見た場合,アメリカ46000ドル,日本40000ドルと比べ,中国3600ドルとまるで比較にならない。世界ランキングで100位以下でありアルジェリアと肩を並べる規模だ。

というわけで,中国当局は今回の逆転劇を踏まえても,未だに「発展途上国である」と言い続けている。改めて「発展途上国とは何ぞや」,という議論が必要な気がする。今までは,グロスベースと一人当たりベースでこんなに落差のある国は無かったというのが実情だ。中国は極めて異例の国と言える。

アメリカ,日本,ドイツのBIG3は,グロスベースだけでなく一人当たりベースでも世界のトップをひた走る。また,経済力の源も最先端技術などが売りだ。ところが中国の強みは,安い労働力であり,市場の大きさである。中国がハイテク産業のトップ争いに加わるのはまだまだ先の話である。何より,貧富の差が激しい。金持ちはトンでもない金持ちがいる反面,圧倒的多くの国民は貧民である。日本で言う,中間富裕層というのが中国には2億人いるそうである。これだけ聞くと,物凄いパワーを感じる。しかしこのことは同時に10億人以上の貧困層を抱えているという事も意味する。この落差が凄い。凄すぎる。

中国は産業構造を変えていかないと,経済の発展に伴い物価が上昇していけば,賃金の上昇が伴い,最大の強みである低賃金労働力をいずれ失う事になる。既にそれを見越してインドなどに目をつけている企業も多い。これをどう乗り越えるかが一つの試金石になると予想している。またいつまでも人民元を人為的にコントロールできるわけでもない。マーケットの大きさも,文字通りの10億人市場ではないのは事実だ。しかし2億人の中間富裕層を擁する巨大マーケットがアジアに出現したのも事実だ。この意味での強みは当分失わないであろう。欧米先進国がこぞって自国商品を中国市場で売りさばけば,中国経済自体は過熱していくのだろうが国内から大量のマネーが流失していくことを意味する。この点も留意事項だろう。

なんにせよ,世界経済における存在感は圧倒的だ。アメリカ,日本,ドイツ,中国の4強が世界経済をリードしていく事になる。

ところで,最近中国人が日本の物件を買い漁っている,会社を買収している,というニュースを良く見かける。恐らく報道のスタンスには,「中国人にわが国が買われている」と言う悲壮感,諦め感があるんじゃないかと思う。で,それを聞く日本人の方も「中国に買われるかぁ」的な感じがあるのではないだろうか。

なんて情けない。しょぼすぎるぞ日本人,と俺は言いたい。それだけまだ日本に魅力があるという風になぜ捉えられないのか不思議である。興味も無ければ価値も無い国に,大量の観光客は来ないだろうし,買い物もしないだろう。しょぼい国の不動産を誰が大枚叩いて買うというのか?金融市場に至っては日本にチャイナ・マネーがなだれ込んでいるという事を意味する。喜ぶべきであるし自信を持つべきである。何を凹んでいるのか分からない。

大金出して買ってもらって,中国経済がクラッシュした時に安く買い戻せば良いだけの話だ。バブル期の日本がアメリカにやった事と同じだ。日本企業は,ロックフェラーセンタービルを丸ごと買い,コロンビア映画,コロンビア・レコード,ユニバーサル映画,アラモアナショッピングセンターも購入した。で,今だに日本企業が所有しているのは一体幾つあるのだろうか。アメリカ人はかなりの安値で買い戻しているのだ。バブル期も結局最後に笑ったのはアメリカだ。

日本全体を覆うこの悲壮感何とかならんのか,といつも思う。最近バブル経済が妙に懐かしい(笑)。

「東京23区売れば,アメリカ4つ買えるらしいぜ?」。

凄い会話をしていたもんだ。
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