すぐおわかりになったと思うが、「深く暗い森のヒツジたち」はグリム童話から話の材料をいただいている。第三章のウサギの章まで書き進めるうち、ブログに載せるには話の内容が陰惨で過激すぎなのではないかと感じるようになった。グリムが書いたのなら、魔女を焼き殺そうと、悪逆不埒な母親を恐怖で打ちのめして狂死させようと、見知らぬ子どもたちに毒を盛って皆殺しにしようと、こういうことがあってはならないものの、その当時なら仕方がないか、と醒めた目で読み流せるのだが、この内容を今の世に置き換えたとたん、私自身、現実に起きている事件をまざまざと思い起こさせられて、鋭い戦慄のために心が縮み上がってしまうのだ。
ということで、ヒツジたちの話をブログに登載するのはあきらめ、万が一この連作が書き上げられたなら、手づくり本にまとめ、世の中のヒトビトを恐怖に陥れようと思う。(2013.5.24)