先々月買った「超弦理論入門」(小栗博司著)をジワジワ読み続けている。他の本に飽きたときチョコッと読むには最適な本だ。スキッと気分転換できる。不思議なのはページにしおりをちゃんと挟んでいるのに、たまにしか読まないからなのか、それともむずかしすぎるからなのか、どこまで読んだかわからなくなり同じ箇所を行ったり来たりする。考えようによってはどこから読んでも新鮮なのだ。正直に言うと、どの箇所も私にはよくわからないということ。
NHKテレビの「神の数式」という理論物理学のシリーズなども録画して三回見た。やっぱりわからないものはわからない。でも私は、合っているのか外れているのかわからないこじつけのような理屈を追求するのは大好きだ。
ところで、この本によると、物理学の専門家たちは 物質に重さを与えるヒッグス粒子の次に、重力波という微少な力を探し出そうとしているらしい。重力なんて子どもでさえ日常用語で使うくらい言い古されていて、どこにでもありそうなものだが、これを探し出せたら宇宙誕生の謎を説明できるのだという。
重力と時間との関係についても意味深だ。耳にしたことがあると思うが、時間というのは、その人の置かれた環境によって長かったり短かったりする。アインシュタインは相対性理論で、動いている物の方が止まっている物より時間の進み方が遅い、たとえば宇宙を光速で回ると地球にいるより時間の進み方が遅くなること。さらに地球の重力より軽いところでは、時間が早く進むことを明らかにした。
たとえば地球から離れた宇宙ステーションでは重力が小さいので、老け方がいくらか早くなる。(老けるとか年寄りとかは差別用語?)反対に重力が大きいところでは、時間はゆっくり進む。それがウラシマ効果だ。浦島太郎が海底の水圧の高い竜宮城から地上へ戻ったとき、知っている人々はみな先に逝っていた。長生きが幸せとは限らないけれど、おとぎ話は科学的に正しいことが証明された。
よく感じることだが、年取れば取るほど時間があっという間に過ぎてしまう。年寄りの多くは、今日の用事と行くところ(きょうよう・きょういく)がなくなり日常生活がスカスカになるので、時間が早く進むんですかね?
大人に比べ、子どもだったころの一年というのはほんとうに長かった。一年間で背が十センチも伸びたりした。毎日いいことばかりではなかったが充実していた。脳細胞などもグングン発達して何でも吸収できた。余計なことまで憶えたし、おまけに三つ子の魂の有効期限は百まで続く。そういう魂は、密度が濃くて内容が重いので、世間一般の時間にあらがって、ゆったりした時間を進むのだろう。(2015.12.3)