赤紙は閉口だが、真っ白な紙を目の前にすると、鉛筆をへし折りたくなる人がいたり、またある人の場合は、俄然、文字を連ねてみたくなるという。私には前者に該当する友人がいる。彼は、白紙を前にすると、まったく頭が回転しなくなるという。でも心配無用、口を開くとまったく別人になる。
彼がしらふなら相手の話を少し聞くふりをするが、アルコールが入ると他者に発言の機会を渡すことはほとんどない。ちょっと形勢が不利になったら、中座して席に戻るなり別の話題に振り替える。なので、彼といっしょの酒席を嫌う人もなかにはいる。私は、相手のしゃべりに翻弄されないタイプ。場の雰囲気に頓着することなく、食べ物や音楽、自分の空想などに没頭できるので、彼とはうまが合うのだろう。
ところで私がしゃべらないかというと、そうでもないらしいのだ。別の友人と飲んだら、彼は私がしゃべりすぎるので、食べ物を口に運ぶ暇さえないとこぼす。私は酔うのが早い方なので、そういう自分の行状を記憶に残すことができない。(2017.12.8)