つい先日、ロバート・ボーンの逝去の報を聞いた。
ロバート・ボーンは、私が中学のころ始まったアメリカのテレビ映画「0011ナポレオン・ソロ」の主役を演じた米俳優。国際機関アンクルのエージェント仲間イリヤ・クリアキン役のデビッド・マッカラムともども大いに人気を博した。そのころ西欧のスパイアクション物では007などの劇場映画がヒットしていたものの、007は成人用だったのか、映画を見に行った記憶はない。なので、テレビ映画に映る町並みやスパイが乗る車などのシチュエーションは新鮮で刺激的だった。この番組を見ないと、翌日のクラスでの話について行けないと父親からチャンネルを奪い取ったことまでちゃんと覚えている。
最近、流行っているパイナッポー・アッポーペンの人気は大したものらしいが、ソロたちがノック式のペンシル型衛星電話で「こちら〇〇」と話を切り出す場面はひときわ印象的で、このフレーズは未だに耳の奥に残っている。この種の残響フレーズとして、ピーター・グレイブス主演のスパイ大作戦「おはようフェルプス君」や、コマーシャルの「バヤリースだよ」に並ぶとも劣らない。
ボーンと言えば思い出されるのはスティーブ・マックイーン。二人が登場する映画(といってもいつも主役はマックイーン)では、マックイーンの鮮烈な個性に圧倒されて、ボーンの印象はペラペラに薄い。当たり役のソロも、イリヤに人気を奪われる始末。何だかかわいそうな気がするが、つい最近まで現役でテレビのシリーズ物に出ていたという。彼は再三、悪役を演じている。実は嫌われ役が似合ったので息の長い俳優人生を送ることができたのかもしれない。学識も豊かで、政治家になりたいと言っているのを聞いた覚えがある。八十三歳、ご冥福をお祈りする。(2016.11.18)
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